みなさん、こんにちは。フォトグラファーのフジモリメグミ(@fujimorimegumi)です。普段は写真学校の講師もしています。
フィルムカメラ初心者さんのための連載企画「はじめてのフィルムカメラ」。第2回は操作編です。第1回で購入したNew FM2を持って、稀ちゃん(@marematsuura)に操作の仕方をレクチャーしてきました!
- まずは各パーツを知ることから
- レンズ交換の仕方を覚えよう
- ここが重要! フィルムのセットの仕方
- ピントを合わせよう
- 写真の明るさ「露出」を調整して撮影!
- 背景をきれいにぼかしたい
- レンズによる写り具合の違いを知ろう
- フィルムを外して現像に出そう
- はじめてのフィルムカメラギャラリー
まずは各パーツを知ることから
操作をはじめる前に、どんなパーツがあってどんな役割があるのか覚えていきましょう。
カメラ前面にレンズを取り付けます。レンズには、ピントを調整する距離リングと絞りを調整する絞りリングがついていて、回して調整します。右手側にはセルフタイマーと絞り具合を確認するためのレバー。絞り込みレバーを操作するとピントの合う範囲を事前に確認できて便利ですよ。
背面にはファインダーがあり、ここをのぞきこんで写り具合を確認します。フィルムをセットするときは巻き戻しノブを持ち上げて裏ぶたを開けます。裏ぶたの中央にある四角い枠(メモホルダー)にフィルムの箱のふたなど一部を切り取って入れておくと、今使っているフィルムが一目でわかるので安心です。
上面には操作パーツが集合しています。左側はフィルムの出し入れに使うパーツ、右側は撮影時に使うパーツです。New FM2の場合は、シャッタースピードダイヤルとフィルム感度目盛が一体になっています。ダイヤルが多くて操作が大変そうに思うかもしれませんが、すぐに慣れるので心配はいりません!
レンズ交換の仕方を覚えよう
複数のレンズを使いわけるときなど、頻繁にレンズ交換をするときもあります。ここでは、レンズの取り付けと取り外しの仕方を覚えましょう。
※New FM2に非AIレンズは装着できませんのでご注意ください。
レンズの取り付け
イスに座るなど安定した場所で、カメラとレンズのキャップを外して取り付けます。レンズとカメラの間にホコリや水滴が入らないように注意してくださいね。
カメラのレンズ着脱指標とレンズの絞り指標(カメラとレンズにある丸印)の位置を合わせてはめこみ、レンズの着脱リングを持って反時計方向にカチっと音がするまで回したら取り付け完了。簡単ですね!
レンズの取り外し
レンズ着脱ボタンを押しながら、レンズの着脱リングを持って時計方向へ止まるまで回し、静かに外してください。外したレンズは、ホコリなどが付着しないようにキャップをつけて保管してくださいね。
ここが重要! フィルムのセットの仕方
はじめての人にとって、フィルムのセットが一番難しく感じるポイントです。すぐに慣れるので一緒にやってみましょう。なお、新しいフィルムをセットする前に、撮影済み(撮影中)のフィルムが入っていないか裏ぶたを開ける前に確認することを忘れずに!
裏ぶたを開けてフィルムをセット
1. 裏ぶたロックレバーを手前に引いて、巻き戻しノブを引き上げ、カメラの裏ぶたを開ける(機種によっては巻き戻しノブにロックがかかっています)
2. フィルム本体を入れ、巻き戻しノブを下げて固定する(フィルムの向きに注意)
3. フィルムを引き出し、先端を巻き取りスプールの溝に差し込む
4. フィルムの穴にツメがかかるように注意しながら巻き取りスプールを少し回す
5. 巻き上げレバーを回してフィルムを巻き上げ、空シャッターを切る
6. 裏ぶたを閉じ、巻き戻しノブを矢印の方向へ止まるまで静かに回してたるみをとる
7. フィルムカウンターが1になるまで数回空シャッターを切る
これでフィルムのセットは完了です。2回くらいやってみると、すぐに慣れますよ!
ちなみに、フィルムのセットや交換のときは強い光がフィルムに当たらないよう、室内や日陰、または太陽を背にして自分の陰で行ってくださいね。
フィルムの感度と同じ数値に設定する
フィルムをセットできたら、フィルムの感度と同じ数値にフィルム感度指標を合わせましょう(今回は感度400のフィルムを使用)。New FM2ではシャッタースピードダイヤルとフィルム感度目盛が一体になっていて、持ち上げて回すと感度設定を変更できます。
ピントを合わせよう
ファインダーをのぞきこむと、何気ない光景に心惹かれたりしておもしろいですよね。いいなと思った光景を写すために、ピントをしっかり合わせましょう。
ファインダーをのぞいてみると、ぼんやりしています。これはピントが合っていない状態。レンズの距離リングを回して調整していきます。
距離リングを自分から見て左方向に回すと近い位置に、右方向に回すと遠くの位置にピントが合うようになるので、ファインダーをのぞきながら確認します。レンズと被写体が近すぎるとピントが合わないので、その場合は自分が被写体から離れましょう。
なお、ピントが合っているかどうかはピント位置が鮮明に見えることに加えて、「スプリットプリズム」の部分も確認します。ピントが合っていない場合、上半分と下半分が左右にずれるので、上下がしっかりそろっていることを確認しましょう。
左の写真のスプリットプリズム部分を見ると、上下で柱がずれているのがわかります。右の写真のように柱の上下が合うように調整するとピントがしっかり合います。
写真の明るさ「露出」を調整して撮影!
写真の明るさのことを「露出」といいます。ファインダーをのぞいたとき、右側に「○」という表示が見えますが、これは明るさを表す「露出計」です。「○」がちょうどいい明るさ、「―」だとそれより暗く、「+」だとそれより明るくなります。あえて+や―にしてみるのもおもしろいですよ!
※露出計は機種により異なります。
露出を決める要素は「フィルムの感度」「F値」「シャッタースピード」の3つです。
感度、F値、シャッタースピードの関係についてはこちらの記事をチェック!
フィルムの感度(ISO)は100や400などフィルムによって異なり、数字が大きいほど明るく写ります。F値は絞りリングを、シャッタースピードはシャッタースピードダイヤルを回して調整しましょう。絞りリングの値を小さく、シャッタースピードダイヤルの数値を小さくするほど明るくなります。
※「絞り優先」というオート機能がある機種では、F値に合わせてちょうどいい明るさになるよう自動でシャッタースピードを設定してくれます。
ピントと露出が合ったらシャッターボタンを押して、撮影完了です! 次の写真を撮るときは、巻き上げレバーを回します。
※New FM2の場合、上の写真のように巻き上げレバーを少し引き出さないとロックされてシャッターが切れません。
ピントと露出を合わせると、明るくてしっかりピントのあったこんな写真が撮れますよ!
背景をきれいにぼかしたい
F値を小さくすると、背景をぼかすことができて雰囲気のいい写真になります。レンズの絞りリングを回して、F値を調整しましょう。
New FM2なら、ピントが合う範囲を事前に絞り込みレバーで確認できます。レバーをカメラ側に引くと実際の写り具合が確認できるので、最初はこれで感覚をつかんでいきましょう!
※絞り込みレバーがない機種もあります。
左がF値を小さく(F2)、右がF値を大きくした(F8)場合。ボケ具合が違うのがわかりますね。なお、絞り込みレバーを使うと絞りが実際に作動するため、F値が大きいほど暗く見えます。
F値を小さくして背景をぼかした写真
F値を大きくして全体をくっきり写した写真
背景をぼかすと主役が引き立って雰囲気のいい写真に仕上がります。広い風景など全体を写したいときにはF値を大きくした方がいいので、うまく使いわけたいですね。
レンズによる写り具合の違いを知ろう
レンズによって50mmや24mmのように焦点距離が違っていて、写り具合も変わります。レンズ交換の仕方を覚えたら、撮影イメージに合わせて使いわけてみましょう。
焦点距離50mm
焦点距離24mm
焦点距離50mmのレンズで撮影すると実際の見た目に近くて自然な遠近感に。24mmのレンズで撮影すると広い範囲を写すことができて遠近感が強調されます。レンズ交換をすると、表現の幅が広がりますね!
フィルムを外して現像に出そう
フィルムを使い切ったら、取り外して写真店で現像しましょう。
フィルムを外すには底面にある巻き戻しボタンを押して、左上の巻き戻しクランクで巻き戻します。クランクを矢印の方向に回していくと、スッと軽くなる瞬間が! 「フィルムを巻き終えたよ」という合図です。
裏ぶたをあけるとフィルムが巻き戻っているので、巻き戻しノブを上げてフィルムを取り外しましょう。写真店では現像と一緒にデータ化までできます。データをもらえばインスタにアップもできますよ!
はじめてのフィルムカメラギャラリー
操作の仕方を覚えた稀ちゃんは早速、公園で撮影開始。「撮影しているうちに、使い方はすぐに慣れちゃいました。1枚1枚どんなふうに写るのか想像しながらシャッターを切るのが楽しかったです!」と稀ちゃん。現像した写真を見て、フィルムのやわらかい質感に感動していました。雨上がりということで、しっとりしたいい雰囲気の写真ですね!
次回の「はじめてのフィルムカメラ」は撮影編です。稀ちゃんが今年の夏をどう切り取るのか、ぜひお楽しみに!
※New FM2に非Aiレンズは装着できませんのでご注意ください。
※ボディとレンズの組み合わせによっては使用できない場合もございますので、購入の際にはお店の方にご確認ください。
Model:松浦稀(@marematsuura)
Supported by L&MARK
はじめてのフィルムカメラ
フジモリメグミ
清澄白河TAP Gallery に所属し、展示会やZINEを主体に作品を発表。「日常というものは奇跡なのかもしれない」という思いが2011年から強くなり、日常を撮ることをライフワークとしている。日本写真芸術専門学校講師。2017年、写真集『apollon』出版。