森を抜けるとそこは、子供の頃に見たいつかの世界―「旧福沢小学校」

森を抜けるとそこは、子供の頃に見たいつかの世界―「旧福沢小学校」

みなさん、こんにちは! フォトグラファーのうめざわ(@ume44)です。はじめまして…ではなく、2回目の登場となります。1回目は「あの人のフィルム事情」で、フィルムについてお話させていただきました。普段はフィルムだけじゃなくデジタルを使うときもあって、日常の何気ない瞬間やポートレートなどを撮影しています。

オールドレンズやフィルムカメラを手に、ノスタルジックな世界に浸る「晴れ、ときどきレトロ気分」。今回は前から気になっていた、神奈川県にある「旧福沢小学校」に行ってきました。校舎はどこを切り取っても画になる場所が多く、とても好きな撮影スポットの一つです。しかも、今回は昔懐かしい木造校舎。行く前から期待が高まります。

※旧福沢小学校は、「丸太の森」という施設の中に移設された旧校舎で、入園料を払うと自由に入ることができます。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

AI Nikkor 50mm f/1.4S

 

座談会でも一緒になったmeg(@kanaimeg)と校舎へ向かいます。今ではモデルとして活躍中の彼女ですが、私はフィルムカメラ仲間として一緒に撮りに行く方が多いです。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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この学校は、森林公園「丸太の森」という森の中にあります。入口近くにはアスレチックもあって、親子連れがとても楽しそうでした! 受付を過ぎると、すぐに森の道に入ります。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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道中はまさに“森”。「こんなところに本当に校舎があるのかな?」と、二人で不安になりながらも足を進めます。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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AI Nikkor 50mm f/1.4S

AI Nikkor 50mm f/1.4S

 

光を透過する葉がきれいだったので、太陽光をしっかり入れつつ、枝を対角線上に配置して撮影してみました。木の枝と太陽光が対角線になっていることで安定感が出たかなと思います。ほどよい階段があったので、ゆっくり歩いてもらいながら一枚。木々から差し込む光に惹かれて、不安も忘れて道中の撮影を楽しむことができました。 

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

AI Nikkor 50mm f/1.4S

 

そうこうしているうちに、ついに校舎が見えてきました! 緑に囲まれた校舎。突然現れるので、違う世界に迷い込んだような感覚になります。

木造の校舎とまわりの木々がとてもいい雰囲気です。校舎は後ろにも回りこめるようで、行ってみるといい場所を発見!

 

Shutter Point

AI Nikkor 50mm f/1.4S

AI Nikkor 50mm f/1.4S

 

茶色の壁に白い窓。レトロなランプにいい感じに降り注ぐ木漏れ日がたまらないです。背景がいいので、どんなふうに撮っても画になります。光がきれいだったのを伝えたくて、木漏れ日が揺らめく場所に立ってもらいました。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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校舎の中に入ると木の香りが胸いっぱいに広がり、期待が高まります。窓から見える木々や、廊下に差す光がきれいで、気づくと二人でたくさんシャッターを切っていました。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

AI Nikkor 50mm f/1.4S

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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木造の校舎、奥まで続く廊下に子供の頃を思い出します。母校は木造ではなかったのに、懐かしく感じるのが不思議です。どこから探索しようか迷っていると、megが「校長室に行ってみたい」と。学生の頃はなかなか入る機会のなかった、校長室から行くことに。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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机とテーブルといくつかの椅子。結構シンプルな印象です。「昔はここで会議なんかをしたのかな?」と二人で想像をめぐらします。気づくとmegもカメラを構えていて、いつの間にか撮り合いに。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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学生時代は絶対に機会のない校長の椅子に座るmeg。興味津々に引き出しの中をのぞきこんでいました。

 

Shutter Point

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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窓を開けると気持ちのいい風が入りました。目線の高さを合わせることで、背景の木々もいい感じの玉ボケに。こういった窓際では気持ち暗めに撮ることで、光と影が強調されて印象的になります。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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校長室を後にして、次に見つけたのは衛生室。奥には掃除道具が置いてありました。このほうきって学校の掃除でしか使わないですよね。今でもあるのかな? 思わず二人で「うわ。懐かしい!」と叫んでしまいました。掃除道具…から武器へと変えるmeg。彼女にほうきを持たせてはいけなかったようです(笑)

この場所は引き戸の障子がない状態で格子がむきだしになっていましたが、これはこれでいい雰囲気。障子に穴をあけては怒られる生徒もいたんだろうなぁ。

 

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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木々に囲まれた校舎は、窓際もいい撮影ポイントです。少し動きを出したかったので、髪を耳にかける動作をしてもらいました。絞りを開放気味で撮ると背景がきれいな緑になります。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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手だけをクローズアップして撮るのもいいですね。こういった古い建物のガラスは、フラットに見えて少し歪んでいることが多いのって知っていましたか?この1枚1枚に表情がある感じが私はとても好きです。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

AI Nikkor 50mm f/1.4S

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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刻一刻と変化する光。ふと気づくと、木漏れ日がいい感じに廊下に差し込むように。すかさず移動します。

 

Shutter Point

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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AI Nikkor 50mm f/1.4S

AI Nikkor 50mm f/1.4S

 

座ってもらう位置や顔の向きによって光の当たり方が大きく変わるので、動いてもらいながらいろんなパターンでシャッターを切りました。やはりここでも暗めに撮り、光と影を強調。彼女の持つクールさも相まって、物憂げな印象になりました。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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さて、最後にやってきたのが「職員室」。今は展示室として、当時の教室の様子を展示しているそうです(移設の際に当時の教室はなくなってしまったそう)。中をのぞくと、大きさがバラバラな机と椅子が並んでいました。窓からの光、まわりを囲む木々で、教室全体が緑に染まっているのが印象的でした。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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学生時代を思い返しながら、机の間を行き来するmeg。小学校の頃の好きな席だったという、窓際に座ってもらいました。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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ふと、流れる静寂。つい昔のことを考えてしまいます。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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「どこの席が好きだった?」「休み時間は何をして過ごしていた?」と、昔の話を自然とできるのもいいですね。

 

Shutter Point

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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趣向を変えて床に座ってもらいました。机の間からローアングルで撮ることで、奥行き感が出るよう意識しています。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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AI Nikkor 50mm f/1.4S

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外に回ってみました。白の窓枠がやはり画になります。ときおり吹く風が最高に気持ちいいです。

 

Shutter Point

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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校舎では、カーテンを生かすといろんな雰囲気の写真が撮れます。陰影を生かすとクールな雰囲気になりますし、カーテンをかぶるようにするとレフ板効果でやわらかく撮れるのもポイントですね。ポーズを指定せずに自由に動いてもらったり、会話しながらシャッターを切ると、自然な雰囲気で撮ることができます。

 

AI Nikkor 50mm f/1.4S

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校舎外で撮ってもよし、廊下で撮ってもよし、教室で撮ってもよし! どこを撮っても画になる場所ばかりで気づいたら数時間があっという間に。もう一度来たいと思える、とても素敵な空間でした。

 

Photographer’s Note

今回の撮影では明暗差の大きいシーンが多かったので露出には特に気をつけました。窓際で撮るときは、窓メインと室内メインで写したときの適正露出を測り、その真ん中を基準に。「光と影を強調したいから、気持ち暗めに」「モデルをメインにしたいから、気持ち明るめに」と露出を決めていきます。

最近は、スマホのカメラでもマニュアルで露出を設定できるものもあるので、スマホ画面で確認しておくのもいいかもしれませんね。よかったら参考にしてみてください。

 

校舎撮影TIPS

・校舎によって照明がある場合とない場合がありますが、照明をつけてもあまりきれいに撮れないので、自然光を生かすのがベスト

・日中~夕方頃にかけて行くと、明るいシーンも徐々に日が暮れる様も撮れてオススメ(人が結構来る場所であれば、午前の開場一番が狙い目)

・エアコンがない場合が多いので、暑さ・寒さ対策は忘れずに

 

 

— ANOTHER SIDE STORY —

喧騒から離れた跡地や廃墟をめぐるのが好きです。そういう場所は、普段の時間軸からかけ離れて「何倍かの速度で先の未来に来てしまった」と感じることがあると同時に、移り変わる日常から切り離されて「ここにいる私たちだけ時間が止まっているのではないか」と思うときもあります。

 

森を抜けるとそこは、子供の頃に見たいつかの世界―「旧福沢小学校」
森を抜けるとそこは、子供の頃に見たいつかの世界―「旧福沢小学校」

 

ここはまさにそんな場所でした。少し異質で、ゆっくりした時間の中で響くフィルムを巻き取る音、カメラの機械音がとても愛おしく、気づけば何回もシャッターを切っていました。

 

森を抜けるとそこは、子供の頃に見たいつかの世界―「旧福沢小学校」
森を抜けるとそこは、子供の頃に見たいつかの世界―「旧福沢小学校」

 

時間の経過とともに移りゆく窓辺の光にもついつい惹かれてシャッターを切ってしまいます。ふと見渡すと懐かしく思うものがたくさんあり、「小学生の頃どんな子供だったっけ?」「習字、うまく書けなくて悔しかったっけ」「風でカーテンが揺れるのを見るのが好きだったな」…なんて、シャッターを切るたびに少しだけ自分のことまで見つめ直してしまった、そんな素敵な場所でした。

 

— photo&text by Kanai meg


足柄森林公園 丸太の森「旧福沢小学校」
神奈川県南足柄市広町1544
TEL:0465-74-4510
営業時間:4~10月9:00~17:00、11~3月9:00~16:00
定休日:月曜日(祝日の場合はその翌日)、12月29日~1月3日
http://k-mask.jp/maruta/

※丸太の森の入園料として440円(税込)が必要です。撮影の際は施設や他のお客様に迷惑にならないようご注意ください。

※こちらに掲載している情報は2019年9月24日現在のものです。

 

 

Model:Kanai meg(@kanaimeg
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20190523173947

FE2

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うめざわ

うめざわ

学生時代からカメラの魅力にはまり、現在も本業の傍らフォトグラファーとして活動。光と影を生かしたストーリー性のあるポートレート作品が魅力。