こんにちは、フォトグラファーのShunto(@shuntosato)です。
オールドレンズやフィルムカメラを手に、ノスタルジックな世界に浸る「晴れ、ときどきレトロ気分」。第6回は、谷根千エリアにある「上野桜木あたり」という複合施設に、のんちゃん(@nonchan_1207)と行ってきました。今回の相棒は、ミラーレス×オールドレンズです。
Spot Impression ― 撮影欲を刺激する、昭和の世界観
住宅街の中にある「上野桜木あたり」。実は以前に立ち寄ったことがあり、どこか懐かしい雰囲気に魅力を感じていました。
のれんの先に広がる、昭和の世界…。渋くてレトロな建物が並び、この外観で複合施設というギャップにも撮影意欲が湧いてきますね。
Spot Memo
上野桜木あたりの「あたり」は、「○○付近」という意味の「あたり」。あいまいだからこそ、どこまでも広げていきたい…という可能性を秘めた名前なんだそうです。昭和初期に建てられた3軒の古民家を改装した複合施設で、「あたり1」~「あたり3」の3エリアにわかれています。あたり1と2には店舗が入り、あたり3はコミュニティスペースとして利用できます。
昭和の佇まいが色濃く残る「あたり1」
今回は、あたり1とあたり2のショップスペースにおじゃましてきました! まずは、あたり1にある「谷中ビアホール」で腹ごしらえです。
かわいいのれんをくぐると、たくさんのビアサーバー。ビール好きにはたまらないですね!
昭和の香りが漂う店内、小物一つ一つに味があります。アンティークランプから降り注ぐ光が壁に反射して、温かくてやさしい雰囲気に心惹かれます。
「2階はもっとオススメですよ!」と店員さん。畳にちゃぶ台に懐かしい日用品…ドラマのワンシーンのような昭和の佇まいに、思わずたくさんシャッターを切ってしまいますね。このレトロな部屋でいただくのは、お店自家製の肉味噌がくせになる「もろみ肉味噌うどん」。
僕は、オリジナルクラフトビール「谷中シリーズ」のテイスティングセットとおつまみの「あたりセット」を注文。「ビールがあまり得意じゃない」と言うのんちゃんも、色鮮やかなビールに興味津々! すごく飲みやすくて、味比べも楽しめました。
レトロと新しさの楽しい融合「あたり2」
あたり2は、青いのれんが目印。塩とオリーブオイルの専門店とベーカリーの二つのお店が入っています。
廊下は二つの部屋につながっていて、手前にあるのが塩とオリーブオイルの専門店「おしおりーぶ」です。国内外の塩やオリーブオイル、ビネガーやバルサミコ酢などが取りそろえられ、すべて試食できます。
お店オススメのオリーブオイル×バルサミコ酢の組み合わせを味見させてもらいました。一緒に口にするのははじめてでしたが、さっぱりした口当たりの中にもコクがあり、美味しかったです!
廊下の奥には、北欧の味わいが楽しめるベーカリー「VANER」があります。趣のあるガラス戸から見える景色が雰囲気抜群。温かみのある木目と緑の相性もまたいいですね。
※VANERは2022年11月27日をもって閉店しました。
パンに目がないのんちゃんは、看板メニューの酵母パン「サワードウ」と、スパイス系のシナモンロールとカルダモンロールをまとめ買い。大事そうに抱える姿…ふとした瞬間や何気ない仕草は、ついついシャッターを切ってしまいます。
中庭に出ると、「おしおりーぶ」のドリンクカウンターがありました。メニューの中で特に気になるのが…「オリーブラテ」。抹茶のような深みがあり、ミルクのやさしい甘さに癒やされました。
昭和の空気感を生かしながら、それぞれの世界をつくりこんでいる「上野桜木あたり」のお店たち。内装やこだわりを丁寧に写せるようにシャッターを切りました。「また来たいな」と感じながら純粋に散歩気分で撮影できたのも、建物全体の雰囲気がすごく落ち着ける空間だったからだと思います。
Photo Impression ― レトロな空気感を切り取る秘訣
路地裏やお座敷と、まさに昭和の世界が広がる「上野桜木あたり」。ここでは、実際に撮影してみて感じた、レトロな空気感を切り取るポイントをご紹介したいと思います。
Point 1 場所に合ったアイテムを組み合わせる
この日はあいにくの雨でしたが、ぬれた建物や地面の反射によって、しっとりした昭和の空気感が増していました。そして、レトロな水玉柄の傘がいいアクセントに。モデルさんもアイテムがあると、動きに雰囲気をつくりやすいですよね。晴れている場合でも、レトロ感のある服装を合わせれば、この場所の空気感をより魅力的に切り取れると思います。
Point 2 仕草でニュアンスを出す
自然光による部屋の明暗を生かしながら、「昭和のドラマ」のような仕草をお願いしました。趣のある佇まいを切り取ることができたと思います。仕草は、手元や足元だけでも効果的です。足を少しくずし、目線を入れないフレーミングにすれば、お座敷らしい足元のニュアンスを強調することができます。
Point 3 オールドレンズで切り取る
今回はZ 6×AI Nikkor 50mm f/1.4Sで撮影しました。オールドレンズは「ふんわり」というイメージでしたが、この組み合わせは黒をしっかり写し、明るい部分にやさしいフィルターがかかったような独特な描写。明暗差に左右されない安定感は、レトロスポットの撮影にもってこいです。僕は質感や透明感を大切にするタイプなのですが、撮って出しの写りがすでに完成されていて、ほとんどレタッチいらずのきれいな描写に驚きました!
オールドレンズで撮った中で、お気に入りの1枚。この場の雰囲気を生かして、「つい、触れたくなるようなやさしい光」をイメージして撮影しました。
— ANOTHER SIDE STORY —
「谷中ビアホール」では、土日にテイクアウトも行っています。カウンターにある赤いボックスがレトロポップで印象的。撮影でもプライベートでも、また訪れてみたい素敵なお店でした。
— photo&text by Shunto
上野桜木あたり
東京都台東区上野桜木2-15-6 あたり
営業時間:8:00~20:00(店舗により異なる)
定休日:店舗により異なる
https://uenosakuragiatari.jp/
谷中ビアホール
あたり1号棟1階、2階/営業時間:11:00~20:30(L.O.20:00)、月曜日のみ11:00~15:30(L.O.15:00)のランチタイムのみ営業/TEL:03-5834-2381
おしおりーぶ
あたり2号棟1階/営業時間:10:30~19:00/定休日:月曜日(月曜日が祝祭日の場合は火曜日休み)/TEL:03-5834-2711
VANER
あたり2号棟1階/営業時間:9:00~18:00/定休日:月・火曜日(月曜日が祝日の場合は営業9:00~18:00)/TEL:03-5834-8137
※VANERは2022年11月27日をもって閉店しました。
※お店での撮影はお店の方に許可を得てから、お店や他のお客様の迷惑にならないようご注意ください。また、撮影のみのご利用はご遠慮ください。
※こちらに掲載している情報は2019年10月24日現在のものです。
Model:花柳のぞみ(@nonchan_1207)
Supported by L&MARK
Shunto Sato
東京出身のフォトグラファー。春夏秋冬の移り変わりを優れた色彩感覚で表現し、自身の掲げる「#その瞬間に物語を」のタグでは1日約1000投稿される程人気に。その空間に引き込まれるような世界観は、国内に留まらず海外でも注目されている。