こんにちは!フォトグラファーの酒井貴弘(@sakaitakahiro_)です!
クリスマスも近づき、街は綺麗な光で彩られるこの季節。いつもの街とは違って、イルミネーションで飾られたこの時期だからこそできるポートレート撮影をしたくなります。
でも実際撮ってみると想像とは違う写真ばかり。なんか上手くいかない!なんてことも少なくないはず。
今回の”キミと彩るポートレート”はイルミネーションでの撮影について。場所選びから光の使い方、玉ボケの作り方までまるっとご紹介します!
撮影前に準備すること
撮影場所の情報をチェック
イルミネーションでのポートレートは普段と違って、どうしても光の存在感が強くなってしまいます。夜の撮影ということもあり、「どこで撮影するか」にはいつもより注意を払いたいところ。
撮影地で失敗しないためにも、まずはSNSやWEBなどで例年のイルミネーションの情報を調べておくことをおすすめします。
写真を撮る時は「イルミネーションの明るさ」もチェックポイントの一つ。イルミネーション自体がどのくらい綺麗かという他に、ポートレートの場合はモデルさんに当たる光がどうかなども気にしなくてはなりません。
モデルさんの周りが暗いとシルエットしか撮れなかったり、顔に光が当たらなかったり…。明るい場所を選ぶだけでもかなり撮影しやすく感じると思います!
光以外では少しイルミネーションから離れて撮影ができる広さがあることも大切です。詳しくは後ほど説明しますが、イルミネーション撮影の醍醐味”玉ボケ”に影響してきます。
レンズはできるだけ明るいものを
今回は気軽に撮影できるよう、ストロボは使わない撮影を想定しています。撮り下ろしの写真も全て環境光のみで撮影しました。
ストロボなしで撮影となるとやはり気になるのは明るさです。レンズはなるべく明るく撮れるレンズを選びましょう。単焦点でF値を1.8くらいまで下げられるレンズだと、開放にして撮ればかなり明るく撮れるのでおすすめです。シャッタースピードを遅くして明るくする方法もありますが、ブレが気になってアクティブな撮影がしにくいです。
明るく撮影するためにISOもある程度上げなくてはならないので、カメラはなるべく感度に強いものを選びましょう。
今回使ったカメラ NIKON Z6はISO1600くらいで撮影しても、ノイズはほとんど気になりませんでした。
防寒も忘れずに
イルミネーションの撮影はとにかく寒さとの戦い!
寒いと集中して撮影できないし、自分もモデルさんも体調を崩しては元も子もない…。首元、手足首はしっかりガードして使い捨てカイロもお忘れなく!
カイロはモデルさんの分も含めて、多めに持っていってあげる気遣いも大切です!(という僕は今回カイロを忘れてしまい、モデルのれいちゃんに寒い思いをさせてしまったので自分への戒めとしてここ強調しました…。)
いざ撮影してみよう!
周辺が明るい場所を見つける
撮影準備も整い、いざ撮影地へ。実際に着いてみたものの一体どこで撮影したらいいんだろうか?
現場を見てみると想像とは違って見えることも多く、場所選びはつい悩んでしまいますよね。僕なりのポイントは光を見ながら場所を選ぶことです。
下の写真をご覧ください。
赤い丸の部分が比較的暗い場所。青い丸の部分が撮影しやすい、比較的明るい場所です。
街灯やショーウィンドーなどがあると明るく、モデルさんにも光を当てやすい。実際に赤い丸の場所で撮った写真と青い丸の場所で撮った写真を比べてみましょう。
【赤い丸で囲った場所で撮影した写真】
【青い丸で囲った場所で撮影した写真】
上が暗い場所、下が明るい場所で撮った写真です。
背景の明るさは同じくらいになるようにしましたが、暗い場所での写真はモデルさんに光が当たらず沈んでしまっていますよね。まずはショーウィンドウやイルミネーションの配置を考え、モデルさんにも光が当たる明るい場所を探してみましょう。
下の写真のように、看板の光を使うのも有効的です!
次の光の使い方ではこの看板で実際に撮った写真を使って説明してみたいと思います。
モデルに光を当てて、肌を綺麗に見せる
ポートレートである以上、重要なのはイルミネーションが綺麗に写るかよりもモデルさんが綺麗に写るかどうか、だと僕は思います。
スナップであればまた話は別ですが、美しいポートレート撮影をするために、モデルさんへの光の当たり方を意識するようにしましょう。
先ほどご紹介した看板の光を使って実際に光の当たり方を比べてみたいと思います。
まずはモデルさんの顔に看板の光が当たっていない写真。
後ろのイルミネーションは綺麗に輝いてますが、モデルさんの顔が影になり暗い印象になってしまっています。
こちらが顔に看板の光が当たっている写真。この方がモデルさんの肌もナチュラルに写っていますし、全体の明るさのバランスが取れています。
イルミネーションばかりに気を取られずに、どこからモデルさんに光が当たっているのか注意して撮影すると、素敵な写真が撮れやすいです。
モデルさんとイルミネーションの距離を離して、綺麗な玉ボケを
イルミネーションの醍醐味でもある玉ボケ。電飾の明かりがボケることで綺麗な玉ボケが生まれて光に包まれるような写真を撮ることができます。
玉ボケを作る時にポイントとなるのが、被写体とイルミネーションの距離です。
まずは上手く玉ボケを作れた写真。
玉ボケが背景に満遍なく写り、目を引く写真になっています。
次は玉ボケを作れなかった写真です。
背景の左上の電飾はあまり玉ボケにならずハッキリ写っていて少し物足りない印象です。
2つの写真のうち、上の写真はモデルさんからイルミネーションの距離が約15mくらい。下の写真は1mくらいで同じF値で撮影したものです。
大きく綺麗な玉ボケを作りたいときはモデルさんからイルミネーションの距離を離して、背景が大きくボケるようにしてみましょう。
また、レンズの焦点距離でも玉ボケの大きさは変わります。
玉ボケを大きく写したい時は少し望遠気味なレンズを使うとうまく玉ボケを作りやすいと思います。
イルミネーションを楽しむアイデア
今まで紹介したことだけを意識しても、イルミネーション下での撮影はかなり撮りやすくなると思います。最後にもう少しイルミネーション撮影を工夫して楽しみたい!という人向けにちょっとした応用編をご紹介。
LEDライトで綺麗な光をプラス
暗い場所で撮影する時に、もう少し顔の周りに明るさが欲しい!なんて時に使える小道具がLEDイルミネーションライト。モデルさんに顔の前で持ってもらうと顔も明るくなりつつ、綺麗な光をプラスすることができます。
LEDライトは明るさの弱いものが多いので、明るめのものを選んで持っていくか、少し量を多く持つなどして明るさを確保できるように意識しましょう。また、色味はイルミネーションに合わせて持っていくとナチュラルに仕上がります。
前ボケに使っても綺麗なので、一つあると便利なアイテムです。
多重露出を使ってより幻想的に
普通のイルミネーション撮影に飽きた!なんて人にオススメなのが多重露出での撮影です。2枚の写真を重ね合わせて作る多重露出の写真は非現実的な世界を作り出して、幻想的なイルミネーション写真を生み出してくれます。
初めは少し難しく感じるかもしれませんが、液晶で確認しながらできるカメラもあるので、オリジナルな世界を目指してぜひチャレンジしてみてください。
ガラスの反射で印象的な一枚に
室内や地下鉄の出入り口などガラス越しに撮れる場所があったら、ガラス越しにイルミネーションを入れて撮ってみるのもおすすめです。
ガラスの反射と合わせると、多重露出したような印象的な一枚になるかもしれません。
まとめ
冬の季節限定の撮影内容でしたがいかがでしょうか?その季節ならではの条件を利用してポートレートに挑戦するのも面白いですよね。
はじめの方にもお話ししましたが、冬の撮影は寒さとの戦い。しっかりと防寒対策をして撮影に挑みましょう!
最後に大切なことを。
イルミネーションは撮影だけの目的で作られているものではありません。イルミネーションを見に来たり、その雰囲気を楽しみたい人もたくさんいますので、撮影する時は周りに配慮しながらマナーを守って撮影しましょう!
他に撮影してる人がいたら譲り合いの精神も大切です。マナーは写真の出来以上に大切なことだと思うので、みんなが楽しめるように配慮しながら、この季節ならではのイルミネーションポートレート撮影を楽しんでください!
イルミネーションポートレートの撮り方
・できるだけ明るい場所で、明るいレンズを使う
・モデルさんへの光の当たり方を意識しながら場所を探す
・背景の玉ボケが大きくきれいに写るように距離やレンズを選ぶ
・マナーを守って撮影する
【丸の内イルミネーション2019】
場所: 東京都千代田区丸の内 丸の内仲通り、東京駅周辺、東京都千代田区大手町 大手町仲通り
営業時間:2019年11月7日~2020年2月16日 17:30~23:00(12月中は17:00~24:00 ※予定)
URL:https://www.marunouchi.com/
Model:れいちょる(@reis_1024)
Edit:高澤けーすけ(@saradaregend)
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酒井貴弘
長野県生まれ。東京在住のフォトグラファー。ポートレートを得意とし、広告写真や企業案件、ポートレートなどの撮影案件から雑誌掲載、WEBメディアでの執筆、写真教室やプリセットのプロデュースなど幅広く活躍。SNSでは約2年間で総フォロワー10万人を超えるなど、SNSでの強みも持っている。