手軽で効率的!スマホ写真編集アプリ「VSCO」だけでフィルムライクに仕上げる

手軽で効率的!スマホ写真編集アプリ「VSCO」だけでフィルムライクに仕上げる

こんにちは、フォトグラファーの嵐田大志(@Taishi_Arashida)です。前回の「ミニマル写真のススメ」はいかがでしたか? 「実際に撮ってみました」「前から自分が撮っていたのはミニマル写真だったんですね!」と、いろんな声をいただいてうれしい限りです!
今回は、写真のワークフローについてお話ししたいと思います。

みなさんは、撮影した写真をどのようなフローで編集していますか?
やはりPCに取り込んで、LightroomやPhotoshopで編集する方が多いのではないでしょうか。 僕はメールのやり取りからちょっとしたドキュメント作成、果ては契約書へのサインにいたるまでPCレスなワークスタイルへの移行を進めていて、写真関連のワークフローについてもPCレスなスタイルを実践しています。
その中でも重要なプロセスである、「スマホを活用した編集フロー」を今回ご紹介したいと思います。

 

手軽で効率的!スマホ写真編集アプリ「VSCO」だけでフィルムライクに仕上げる

 

「スマホ編集」のメリット

スマホで編集する理由の一つが、「大多数の人が写真をスマホで見ているから」です。2017年時点でWEB閲覧数はスマホがPCを逆転し、InstagramやTwitterなどにいたってはさらにスマホでの閲覧率が高いことでしょう。PCで見る人が少ないのであれば、最初からスマホで編集を完結したほうが合理的だと思っています。

また、スマホ編集に慣れるとちょっとした隙間時間、例えば電車に乗っている間に写真の編集もできてしまうんです。ちなみに、iPhoneのスクリーンタイムで自分のスマホ使用時間配分を確認してみると、VSCOやLightroomなどの写真編集が約半分を占め、SNSやネットを見ている時間より長いことがわかりました。PCメインでは、こうはいかないと思います。

写真編集で使用するアイテム

僕がスマホ編集でよく使用するアプリが、「VSCO」と「Lightroomモバイル版」です。

 

【VSCO】

フィルムライクなプリセットを使うことができる老舗のモバイル用アプリです。プリセットを適用するだけでいい感じに仕上がり、手軽に編集を楽しむことができます。Z 6を使っていて思うのですが、VSCOとの相性がいいのか、簡単な補正でもフィルムライクに仕上がります!

 

 

 

【Lightroomモバイル版】

言わずと知れた写真編集ソフトの雄。そのモバイル版です。シャドーを明るくしながらハイライトを下げる…といった、よりキメ細かな調整をしたい場合はこちらを使っています。

 

 

今回は、スマホで多くの方が使っているアプリ「VSCO」での編集フローを紹介します。

写真を取り込む

まずはスマホに写真を取り込むところからスタートです。僕はiPhoneで写真を撮ることもありますが、やはりちゃんとしたカメラで撮った写真の色情報の深さやボケが欲しいので、できる限りカメラを持ち歩いて撮影しています。


写真転送

  • 撮影した写真はNikonのアプリ「SnapBridge」のWi-FiもしくはBluetoothを使ってスマホに転送
  • Z6では、Wi-Fiを使うと転送速度がかなり速いのでオススメ

 

SnapBridge画面SnapBridge画面
Wi-Fi modeWi-Fiがオススメ

 

編集アプリに写真を取り込む

スマホに転送できたらVSCOを起動し、写真を取り込めば事前準備はOKです。

 

BEFOREBEFORE
AFTERAFTER

 

それでは、左の写真を右の写真のように「爽やかなフィルムライク」に仕上げていく編集プロセスを、順を追ってご紹介していきます。

プリセットを適用する

VSCOには無料版と有料版があり、有料版は膨大な数のプリセットが用意されていますが、無料版は少ないながらも高品質なプリセットが楽しめる内容です。いろいろ試してみて、自分のイメージに一番近いプリセットを適用してみましょう。

無料のプリセットの中で僕が好んで使うのはF2やM5、有料のプリセットだとFP8やKE1あたりです。慣れないうちは写真ごとにプリセットを選ぶと迷いが生じてしまうので、一つのプリセットを使い倒してみるのがオススメです。

 

手軽で効率的!スマホ写真編集アプリ「VSCO」だけでフィルムライクに仕上げる

  • F2:フェード感を効かせつつも万能なプリセット。
  • M5:古い写真のように赤茶けた色調で、ノスタルジックな被写体に合います。
  • FP8:フィルム「Fuji Pro 800Z」をベースにしたプリセットで、日本人好みの色調。
  • KE1:フィルム「Kodak Ektar 100」をベースにしたプリセットで、コントラストと彩度が高めです。


今回は「F2」を使ってみましょう。Mellow / Fadeシリーズの一つで、メロウな雰囲気に合い、変なクセもなく汎用性が高いので、さまざまなシーンに使いやすいと感じています。

 

VSCO「プリセット」画面
VSCO「プリセット」画面

VSCO「プリセット」画面。プリセット一覧の中から適用したいプリセットをセレクトします。タップするとすぐにプレビューが表示されるので、試してみましょう。

BEFOREBEFORE
AFTERAFTER

 

プリセットを適用しただけで、一気にフィルムライクになりました。ただ、プリセット適用だけでは極端な印象ですので、各項目を調整して自分のイメージに近づけていきます。

各項目を調整していく

ベースとなるプリセットを適用したら、各項目についてさらに調整を進めます。厳密に順番を決めているわけではありませんが、以下の順序が調整しやすいと感じています。

 

  1. 調節:トリミングや水平補正で画面構成を整えるステップ
  2. 露出とコントラスト:写真の明るさやトーンを調整するステップ
  3. ホワイトバランスと彩度:色温度や色の濃さを調整して色調を決めるステップ
  4. 粒子とフェード:写真の質感を調整するステップ

 

とはいえ、【露出を上げる→色温度を変える→露出を下げる】というように同じ項目を行ったり来たりしながら、色調やトーンを追い込むことが多いのが実際なので、上の順番はあくまで参考程度に考えてもらえればと思います。

僕の場合、VSCOでは上記以外の項目はほとんど調整していません。Lightroomを使う場合は、カラーミキサーで色系統ごとに色相や彩度を編集しますが、VSCOはプリセットにそういったエッセンスがすでに盛り込まれているため、下手に触らずに最小限の補正を行うようにしています。

調節

「調節」では、トリミングや角度調整を行います。

 

VSCO「調節」画面

VSCO「調節」画面

僕は縦位置の場合には、縦に長すぎると間のびした感が出てしまうので、3:4か4:5にトリミングすることが多いです。

露出とコントラスト

「露出」で、明るさを調整します。デジタルは白とびに弱い特性があるため、やや暗めに撮影し、編集で明るさを持ち上げることが多いです。

 

VSCO「露出」画面

VSCO「露出」画面

 

今回は明るく爽やかな印象にしたかったので、大幅にプラス補正しました。僕はハイキー・ローキーともに好きで、標準的な露出はあまり面白味がないと感じてしまうので、両極端に振りがちですね。

 

BEFOREBEFORE
AFTERAFTER

「コントラスト」で、写真の明るいところと暗いところの段差を強くしたり弱くしたりします。コントラストが高いとパキッとする一方、低くするとメリハリが少なくなります。写真ごとに光の硬さは違うので、イメージに近づくよう微調整していきましょう。

 

VSCO「コントラスト」画面

VSCO「コントラスト」画面

 

最初に適用したプリセットF2ではコントラストがやや高いことに加え、今回はやわらかい雰囲気にしたかったので、コントラストを下げています。

 

BEFOREBEFORE
AFTERAFTER
ホワイトバランスと彩度

「ホワイトバランス」は、写真全体の色調を決定する大事な調整項目です。「色温度」と「ティント」という2つの項目がありますが、簡単に言うと色温度は「寒色にする↔︎暖色にする」、ティントは「グリーンにする↔︎マゼンタにする」の効果を調整します。

 

VSCO「ホワイトバランス」画面

VSCO「ホワイトバランス」画面

 

現状はやや暖色調なため、色温度を寒色側にし、ティントをグリーン側に振ることで、“爽やかな味付け”にしました。

 

BEFOREBEFORE
AFTERAFTER

「彩度」は、色の濃さを調整する項目です。「●●という数値だと高い」というものではなく、露出やコントラストなどによって左右されるため、パラメーター上の数値にとらわれないようにしましょう。

 

VSCO「彩度」画面

VSCO「彩度」画面

 

F2が低彩度な上に、今回は露出を上げてコントラストを下げたため、見た目の彩度が低くなったと感じました。そこで、彩度をわずかに上げています。

 

BEFOREBEFORE
AFTERAFTER
粒子とフェード

「粒子」は、文字通り写真にフィルムのような粒状性をプラスする機能で、数値を上げるほどザラつきのある質感になります。「フェード」は、写真の暗い部分を明るく(白っぽく)する機能で、黒い影などはグレーっぽくなります。F2はもともとフェードがかかっているプリセットなので、今回の編集では省略しました。

 

VSCO「粒子」画面

VSCO「粒子」画面

 

大幅にプラスにすると、ザラザラ感が目に見えて増えて「フィルムらしさ」が出るように感じるかもしれませんが、“隠し味”程度に入れるのがオススメ。フェードを適用する場合も同じく、隠し味程度がポイントです。

 

BEFOREBEFORE
AFTERAFTER
FINISH!

以上で、編集プロセスは完了です。編集前後で見比べてみましょう。

 

 

プリセット適用と少しの調整で、自分のイメージしていたフィルムライクに仕上がりました。このくらいのプロセスなら、慣れれば1分くらいでできると思います。

 

編集効率を上げるオススメ機能

VSCOでは、よく使う編集プロセスを「レシピ」として登録することで、写真ごとに同じ編集作業を繰り返さなくて済みます。もちろん、レシピ適用後も各項目は調整できます。

※編集済みの写真を表示してレシピとして追加すると、その写真の編集内容が記録されます。

 

VSCO「レシピ」画面

VSCO「レシピ」画面。登録したレシピは、他の写真にも適用できます。

 

その他にも大量の写真に同じプリセットを適用できる機能など、まだまだ編集効率を上げることができます。自分が使いやすい編集アプリが見つかったら、ぜひ機能を使いこなして編集のスピードアップも目指してみてください。

編集写真ギャラリー

今回の内容で同様に編集した作品を最後にご紹介したいと思います。「レシピ」を適用すれば露出やホワイトバランスなどを微調整するだけの簡単編集で、人だけでなく風景にもマッチしてくれます。

 

 

プリセットF2の暖色調の色合いを生かした夕景写真に。

 

 

朝の爽やかな光を表現したかったので、ホワイトバランスを調整して少し青みがかった色調にしています。

 

 

水槽の青の彩度をやや低くして、ノスタルジックな雰囲気を目指しました。

 

 

Photographer’s Note
スマホで編集し、スマホから発信する。

この機動性の高さは慣れると、重くてかさばるノートPCから解放され、爽快ですらあります。Photoshopを使うような合成やレタッチの領域は、まだまだPC作業が有利。…ですが、今回紹介した色調やトーンの補正であればスマホでも遜色のない作業が可能だと思います。

編集プロセスは、写真の光線状況や色の構成要素によって調整内容が大きく変わってきますが、これをどれだけ自分の中でパターン化していくか…それが「スキル」として蓄積されていきます。編集してきた量とその検証がある程度モノを言う世界。その点に鑑みても、PCレスな編集スタイルは俄然オススメです。PCでの編集にこだわりがある人こそ、ぜひ一度お試しください!

実際に試した方は、「#NICOSTOP #スマホでフィルムライクに」のハッシュタグをつけてつぶやいていただけるとうれしいです。みなさんの投稿をお待ちしています。

 

 

※「VSCO」は無料版と有料版とでは、編集機能が一部異なります。
※こちらに掲載している情報は2019年12月12日現在のものです。

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20190523173955

Z 6

製品ページ ニコンダイレクト
20190523173952

NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

製品ページ ニコンダイレクト
嵐田大志

嵐田大志

本業の傍ら、東京をベースにフォトグラファーとして活動。LightroomやVSCOを活用し、フィルム風の空気感を表現。家族や身近なものを中心にしつつ、頻繁に旅する海外でのスナップを撮り続けている。