フィルム写真をレタッチで“自分色”に変える – 写真店でのオーダーからスマホ編集まで

フィルム写真をレタッチで“自分色”に変える – 写真店でのオーダーからスマホ編集まで

こんにちは! フォトグラファーのもなみん(@and_mona)です。前回の聖蹟桜ヶ丘の記事はいかがでしたでしょうか? 実際に「読んだよ」「行ってみたくなった!」という声をいただいて、とてもうれしいです!

今回は私が普段行っている、フィルム写真を「自分色」に仕上げる方法をご紹介したいと思います。

 

私は写真をはじめた頃から、「見た人が、私が撮ったとわかるような色で表現したい」という想いがありました。デジタルカメラで撮った写真はもちろん、フィルムカメラで撮った写真でもそれは同じ。写真店に現像&データ化をお願いするときに仕上がりのオーダーを伝えることに加えて、データ化した写真をアプリで編集することで、より自分らしい写真へと近づけることができるんです。

※写真店で現像と一緒にデータ化をお願いすると、現像したフィルムをスキャンしてデータ化してくれます。このデータ化の際に、オーダーした内容に沿って仕上げてくれます。

 

現像後に色味を編集した作例(左:Before、右:After)

フィルムカメラで撮影した写真。季節感を引き立てながら、光や影に青みや緑を含めるのが自分らしい写真だと思っています。

 

フィルム写真を「自分色」に仕上げるプロセス

「自分色」に仕上げるプロセスはフィルム選びからはじまっています。

  • フィルム選び:自分の好きな色味のフィルムを選ぶ
  • 撮影:編集を意識しながらイメージをかためて撮影
  • 写真店への仕上がりのオーダー:写真全体の土台・方向性を決める
  • 画像編集:VSCOで色味などのベースを作り、Lightroomで色味や露出の最終調整

「画像編集をするなら、特にオーダーをせずにスピード仕上げの写真店で現像&データ化すればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、データ化の際の仕上がりで写真の方向性が決まるので、ここがとても大事なポイントなんです。

 

写真データの仕上がりの違い

スピード仕上げ(オーダーなし)スピード仕上げ(オーダーなし)
仕上がりをオーダー仕上がりをオーダー

 

上の写真のように、オーダー次第でこれくらい雰囲気が変わってきます!

オーダーができないスピード仕上げのほうは、背景の湖に合わせた明るさに補正されていて、人物がやや暗くなっています。一方オーダーしたほうは、人物に合わせて明るさの補正をしてくれました。こちらから指定したのではなく、お店の方の判断です。私が想像していたよりもすごく素敵な雰囲気に仕上がりました。

今は、名古屋にある「ダイヤモンドカメラシュシュ」さんに郵送で現像&データ化をお願いしているんですが、自分の好きな雰囲気に仕上げてくれるお店が見つかると、この後の編集もぐっとしやすくなります!

 

今回は色彩豊かで好きな季節・秋の写真を使って、「自分色」に仕上げるプロセスを紹介していきます。

写真店への仕上がりのオーダーで、写真全体の土台・方向性を決める

この後の画像編集のためにも、データ化の際に自分の色を乗せやすい仕上がりにしてもらうことがポイントです。今回の写真では、以下をオーダーしました。

  • 明るさ:標準(暗いものを明るくするほうが調整しやすいため、現像時は標準に)
  • 鮮やかさ:やや低彩度(全体をやわらかい雰囲気に+後で色を乗せやすくするため)
  • 色味:標準(画像編集で調整するため、標準に)
  • 雰囲気:秋らしく

※写真店への仕上がりのオーダーについてはこちらを参考に

 

色味は後から編集するため標準としていますが、季節に合わせて「夏らしく」「秋らしく」などの雰囲気を作るオーダーも伝えています。「夏らしく」ではさわやかに、「秋らしく」ではあたたかみのある印象に仕上がります。

 

仕上がりをオーダーした写真

New FM2、AI Nikkor 35mm f/1.4S

仕上がりをオーダーした写真

 

Point 1:撮影時に意識しておくのは、光と影

編集で光や影に色を乗せやすいよう、撮るときに光と影が写りこむように意識します。また、光と影だけでなく、ぼかした背景にも色を乗せるため、すっきりした明るい背景で抜けを作るのもポイント。被写体と背景をある程度離して、遠近感を意識しています。

 

Point 2:フィルムは、編集しやすいようクセの少ないものを

フィルム写真をレタッチで“自分色”に変える – 写真店でのオーダーからスマホ編集まで

 

私はFUJIFILMの「業務用100」をよく使います。クセが少ない仕上がりでどんなシーンにも合うことに加えて、青や緑の発色が好みだからです。このフィルムの発色を生かすために、緑がある場所や空や水がある場所を選んで撮影するときも多いですね。

画像編集で、さらに自分色を作りこむ

データ化してもらった写真をスマホに取りこみ、編集アプリを使って仕上げていきます。使うアプリは「VSCO」と「Lightroom(モバイル版)」の2つです。

  • VSCO:ホワイトバランスやコントラストを調整し、色味などのベースを作る。写真に合うプリセットがある場合は適用(私はC1やA6、F1の色味が気に入っています)
  • Lightroom:さらに細かく各色の項目を調整し、明るさを最終調整

なお、写真店でデータ化してもらった状態で色味などのベースが整っている場合は、VSCOは使わずLightroomのみで微調整することもあります。

VSCOで色味などのベースを作る

私は緑や青みがかったトーンに合うように写真を撮るのが好きなので、それらの色味のベース作りをVSCOで行います。今回は人物を主役に、秋のきれいな色味と背景、水面を少し引き立てるように編集しました。

  • ホワイトバランス:写真の色温度をやや下げ、青みをプラス
  • コントラスト:やや上げ、主役を引き立てる

※VSCOでの編集方法はこちらを参考に

 

BEFOREBEFORE
AFTERAFTER

 

データ化の際に彩度をやや下げて全体をやさしい雰囲気にしながら、ここでコントラストをやや上げ主役を引き立て、ホワイトバランスを調整してきれいな色味のベースを作りました。今回はプリセットを適用しませんでしたが、写真によってはプリセットを適用してベースを作るときもあります。

Lightroomで最終調整

VSCOで編集した写真をLightroomに取りこみ、最終の仕上げをしていきます。今回は以下の項目を編集しました。

  • 明暗別色補正:写真に合わせて光(ハイライト)や影(シャドウ)に色を乗せる
  • カラーミキサー:色相や彩度など、それぞれの色味を整える
  • 露出: VSCOではなくここで調整するのは、最後に全体を見て微調整するため

 

Lightroom「明暗別色補正」編集画面
Lightroom「カラーミキサー」編集画面

「Lightroom」編集画面(左:明暗別色補正、右:カラーミキサー)

 

秋の澄んだ光の透明感を強調するために、「明暗別色補正」でハイライトに少しだけ青みを乗せています。そして、「カラーミキサー」でその青の色相の数値を下げました。青の色相を下げると青緑色よりに、上げると紫色よりになります。

 

BEFOREBEFORE
AFTERAFTER

 

以上の項目を調整していくことで、主役がさらに引き立ち、秋のきれいな色を強調させることができました。今回は色味の項目を調整しましたが、写真によっては「シャープ」を調整することもあります。シャープは写真のふんわり感を保ちながら、輪郭をはっきりさせたりフィルムの質感の強調が可能です。また、明るさに関しては、「ハイライト/シャドウ」、「白レベル/黒レベル」もイメージによって調整する場合があります。

 

Lightroomのシャープに関する編集画面
Lightroomの明るさに関する編集画面

「Lightroom」のシャープや明るさに関する編集画面

FINISH!

以上で編集は終了です。スピード現像でおまかせした写真とあらためて見比べてみましょう。

 

 

写真店への仕上がりのオーダーにプラスで画像編集をすることで、撮影時にイメージしていた「人物を主役に、秋のきれいな色味と背景、水面を少し引き立てるイメージ」に近づけることができました。秋のあたたかみを残しながら自分らしい青みを空気感に乗せて、透明感のある写真に仕上げることができたと思います。

編集写真ギャラリー

ここからは、別のイメージで編集した作例も紹介したいと思います。

 

窓からの光と空気感をやわらかく表現

オーダーせずにスピード仕上げでデータ化した場合

オーダーせずにスピード仕上げでデータ化した場合

画像編集後

New FM2、AI Nikkor 35mm f/1.4S

画像編集後

 

こちらは、何気ない窓辺を切り取った写真です。波打った影がおもしろいなと思ったので、光と影の表情に注目して撮影しました。

 

  • 写真店への仕上がりのオーダー:後で色を乗せやすいように少し低彩度に、明るさと色温度は標準でオーダーしています。
  • 編集:Lightroomで微調整のみ。光と影にほんの少し青色を乗せ、影を残しつつも光を強調させたかったので「白レベル」と「黒レベル」を少しだけ上げて仕上げました。


秋の光を際立たせる

オーダーせずにスピード仕上げでデータ化した場合

オーダーせずにスピード仕上げでデータ化した場合

画像編集後

New FM2、AI Nikkor 35mm f/1.4S

画像編集後

 

こちらの写真は、紅葉を写したくて、赤がアクセントになるようモミジの葉を手に持ち、中心に配置しました。逆光が強くなりすぎないように、木々からのやわらかい木漏れ日になるよう角度を調節して撮影しています。

  • 写真店への仕上がりのオーダー:少し低彩度に、明るさと色温度は標準、加えて「秋らしく」とオーダーしました。
  • 編集:Lightroomのみ。主役のモミジの赤を引き立てるために、影に緑を少し足しました。また、コントラストを上げて光を強調、全体をくっきりさせています。

Photographer's Note

自分色に近づけるために、フィルム写真をデジタル編集

フィルム写真において、「写真店でデータ化してもらった写真の色に手を加えない」という考えの方もいるかもしれません。私も最初は抵抗がありましたが、「見た人が、私が撮ったとわかるような色で表現したい」という想いのほうが自分にとっては大事なことでした。

当初はスピード仕上げでデータ化した写真で編集していたのですが、好みの色を引き出すことに苦戦…。いろいろと試していく中で自分の写真に合った写真店に出会いました。そして、オーダーをして編集しやすいベースを作ってもらい、デジタル編集でイメージに近づけていく、という今のプロセスができました。

写真店への仕上がりのオーダーに加えて自分で編集をすることで、「こういう色にこれを乗せたら好きなイメージになる」などの発見もあり、それが自分のスタイルになっていきます。自分らしい色の写真に仕上げたい方は、ぜひ試してみてください!

 

Supported by L&MARK

 

New FM2

New FM2

AI Nikkor 35mm f/1.4S

AI Nikkor 35mm f/1.4S

もなみん

もなみん

東京在住のフォトグラファー。季節をテーマに、友人と過ごす瞬間をメインにフィルムカメラで撮影している。企業PRなどの撮影、旅行系メディアでの執筆など、幅広く活動中。「たいていワンピースを着ています」