こんにちは、フォトグラファーの酒井貴弘(@sakaitakahiro_)です!
2020年、新しい年になって気持ちも新たにNICO STOPでの記事もスタートしていきたいと思います。今回はいつもとちょっと違った角度でのお話。
これまで「キミと彩るポートレート」で担当させていただいた記事は主に撮影についてお話しさせていただきましたが、今回から2回連続でお届けするのは「写真編集」について。
はじめに
憧れの写真を撮るあの人の写真の色はどうやって出しているんだろう?個性のある色味にするにはどうしたらいいんだろう?
写真をみて、こう思う人も多くいるはず。そうやってみている写真も、ほとんどは編集された状態で目に写ります。
スマホアプリとかインスタのフィルターとか、あれも一つの編集です。
今回の記事でお話しするのは、プロも使っているPCの編集ソフトを使って自分の手でイメージの写真に仕上げていくもの。編集の方法をちょっと覚えるだけで写真も変わり、それによって撮ることももっと楽しくなるはず。
写真編集をしてみよう
よし!写真編集を始めてみよう!と思っても、「何をどうやって編集すればいいんだろう?」って初めての方は思うかもしれません。
写真編集には専用のソフトがあり、有料のものから無料のものまでたくさんの種類があります。
これから初めて写真を編集してみるという方には、まずは無料のソフトから使ってみるのもおすすめです。無料のソフトっていうとあんまりよくないんじゃないの?なんて思うかもしれませんが、無料でも十分編集できてしまいます。
実は今の記事で載せている写真は全てニコンの編集ソフト「Capture NX-D」でRAW現像してるんですが、このソフトもなんと無料なんです!
Capture NX-D
ニコンが提供しているソフトウェア。画像の明るさや色味などの調整を行ったり、ニコンのデジタルカメラで撮影したRAW画像の調整や、ファイル変換を行うことができます。
ニコンユーザーなら、まずはこのソフトで編集してみることをオススメします。「RAW」とは何かについては、また後ほど説明しますね。
露出を調整し、写真をパッと明るく
では実際にNX-Dを使って写真を編集してみましょう。ここでは最初にまず覚えたい3つの要素「露出・色温度・トーンカーブ」についてご紹介します。
一つ目は露出補正、つまり明るさの調整についてです。
露出補正の項目で写真を明るくしたり、暗くしたりすることができます。この露出補正を適切に行うだけで写真の見た目はだいぶ変わります。
左が明るさ調整前で、右が調整後の写真。
これだけでも写真がパッと明るくなった気がしませんか?
僕は普段、肌の色が綺麗に見える明るさに露出を調整しています。ポートレートにおいて肌の色味はとても重要だと思っていて、肌の明るさが暗いと少しくすんだ印象になるので僕は少し明るめな印象に調節することが多いです。
肌が明るくなりすぎると肌の質感が失われてしまうので、明るく撮影しすぎた時には質感を残すためにアンダーに調整することもあります。
色温度を調整し、写真のイメージを表現する
次にホワイトバランスの調整。
写真の色温度(暖かさ)を編集時に変えることができます。RAWデータで撮影しておけば画像の損傷なく色温度の調整ができるので、撮影時に多少色温度の調整がうまくいっていなくても後から整えることができます。
夕日の暖かい色や冷たいイメージの青っぽい写真を表現することも可能になります。
色温度を調整しただけですが、これだけでもかなり写真の印象が変わりますね!
カメラの機能もとても高くなってきていて、WBオートで撮影すれば自然な色味にしてくれるのですが逆に面白くない平凡な印象になってしまうことも多くあります。
例えば夕日をオートで撮ると夕日っぽい暖色がでなくなってしまったり。
僕は撮影時はほとんどWBはオートで撮って、伝えたいイメージに合わせて編集の時に色温度を調整しています。
暖かいイメージなら暖色よりに、爽やかなイメージなら青味を足すように編集します。
トーンカーブで写真を理想に近づける
そしてカーブの傾き、形を変更することによって画像の明暗を調整するトーンカーブ。
これについては次回詳しく説明しますが、これを使いこなせると写真の印象を大きくコントロールできるようになります。
僕も編集を始めた頃は少しいじると大きく印象が変わってしまったりしてうまく扱えなかったのですが、このトーンカーブのコントロールの仕方に慣れてから自分のイメージする編集に近づけるようになりました。
はじめはちょっと難しいかもしれませんが、とても便利な機能なのでぜひ触ってみてください。
撮影時に心がけること
後から編集でどうにかしようと、なんでもかんでもただ撮影するだけでは良い写真は出来上がりません。編集で良い写真を生み出すために、僕なりの撮影時の心がけもご紹介します。
RAW形式で撮影する
僕は、撮影した写真には必ず編集をしています。編集する前提なので、RAW形式で撮影をしています。
普段、僕たちが画面上で見ている写真はデータ形式がjpegやpngなど、画像として見ることができる状態のデータになっています。Jpegなどの画像データでも編集は可能なのですが、一度画像データとしてカメラで生成されたデータなので、光の情報など撮影した時の情報が画像データに変換されていて情報量が少なくなっています。
そこから編集を行うと画像が劣化してしまったり、編集できる幅が狭くなります。
対してRAWは映像素子から取り出されたままのデータを保存しているもので、カメラ内で変換されていないデータです。そのままでは画像データとして見ることはできませんが、jpegやpngなどよりも色の情報を多く持っています。
RAWデータで編集を行えばより自由度の高い編集ができますので、是非挑戦してみてください。
ちなみにRAWデータを編集して画像にすることをRAW現像といいます。先ほど紹介した「ND-X」などの現像ソフトを使って、写真の色味をコントロールすることができます。
撮影を軽んじない
フィルム写真であれば現像して初めて写真として完成するように、デジタル写真も撮って出しじゃなければ現像して初めて完成します。
撮影した時点はゴールじゃなくても、通過点の一つ。RAWで撮影すればあとで編集できるからと適当に撮影してしまうと、いくら編集しても全然思うように仕上げられないなんてことがよくあります。
料理でもどんなに美味しい味付けをしても素材が悪くなっていたり、使う食材や調味料を間違えれば美味しくはなりません。同じように写真でも撮影したデータの良し悪しが結局は写真の出来に大きく影響することは忘れないようにしましょう。
白飛びには注意
少し編集について知っている人は「RAWは暗めに撮った方がいい」ということを聞いたことがあるかもしれません。なぜそう言われるかというと、RAWデータは特に白飛びには弱いからです。
暗い部分のデータは情報が残っていることが多いですが、白飛びしてしまった部分の情報は失われてしまいます。情報を持っていない部分は編集でも復元することはできないので、その部分はもうどうにもなりません。
全部暗く撮影した方がいいとまでは言いませんが、最低限白飛びには注意しつつ撮影するのがおすすめです。
NX-Dで編集した写真を紹介
最後にNX-Dで他にも編集した写真をご紹介します。
無料のソフトでもここまで個性を出した編集ができちゃいます。今回紹介した機能以外にもNX-Dには面白い機能があって、部分的に色を調整したり、写真のテイストをコントロールすることができるので、もし編集ソフトの導入に悩んでる方はぜひNX-Dのような無料の編集ソフトから導入してみるのもいいと思います。
まずは編集の楽しさを実感してみましょう!
写真の可能性を広げよう!
始めにもお話ししましたが、写真の色味は写真の個性に大きく影響する一つの要素です。編集を覚えるだけで写真の表現の幅は大きく広がるし、写真の楽しみもより増していくはず。
ぜひ写真編集を身につけて、自分なりの色味や表現を見つけてみてください!次回はNX-Dを使ってもっと詳しく編集の方法についてお届けしたいと思います。
お楽しみに!
Model:しお(汐音)(@shio_jp_)、アオイミヅキ(@aoi_bellemoon)、花柳のぞみ(@nozomihanayagi_)、早水ひより(@hiyori_17_)、りな(@s_rina0402)
Edit:高澤けーすけ(@saradaregend)
Supported by CURBON
酒井貴弘
長野県生まれ。東京在住のフォトグラファー。ポートレートを得意とし、広告写真や企業案件、ポートレートなどの撮影案件から雑誌掲載、WEBメディアでの執筆、写真教室やプリセットのプロデュースなど幅広く活躍。SNSでは約2年間で総フォロワー10万人を超えるなど、SNSでの強みも持っている。