こんにちは、フォトグラファーのもなみん(@and_mona)です。普段は、フィルムカメラで友人と過ごす時間や季節を一緒に撮影したり、旅写真を撮ったりしています。「はじめてのフィルムカメラ」シリーズでちょこちょこ登場しましたが、記事を書くのは今回がはじめてです!
みなさんは、慣れ親しんだ何気ない場所が、特別な光景に見えるかもしれない…そんなふうに思ったことはありますか? 私は数年前、生まれ育った街「聖蹟桜ヶ丘」に友人を連れて撮影したとき、「当たり前のように過ごしてきた地元が画になるかも」と気づきました。
映画『耳をすませば』の舞台としても知られている聖蹟桜ヶ丘は、丘陵地帯で坂の多い街。高いところから屋根が並ぶ姿を見たり、道が遠くに続く姿に惹かれたり…。何気ない風景の中に、気づけばシャッターを切ってしまう特別な光景があると私は思っています。
1. 光や季節で変わる街の表情
同じ景色でも、光や季節によって表情はさまざま。そんな変化をたくさん知ることができるのは、慣れ親しんだ場所ならではです。
光と影が、風景の表情を豊かにする
なんでもないただの道。光と影の表情で、ドラマチックな光景に変わります。
新緑の時期、 木漏れ日がつくり出す光景は、なぜか楽しい気持ちになりませんか? 服に落ちる木漏れ日に、子供のようにはしゃいでみたり。
肌寒い時期になれば、暖かな西日が写り込むだけでどこか懐かしさを覚えます。
季節の移ろいが、新たな気づきを与えてくれる
いつも通る道。同じ場所で撮り続けることで、四季の表情、季節の移ろいを写し取ることができます。
四季の中でも、私は特に春が好きです。聖蹟“桜”ヶ丘の名前のとおり、桜が彩りを与えてくれて、なんでもない道の美しさに気づかせてくれます。
2. 人物配置がストーリーを生む
景色の写真を撮るとき、私は人に写ってもらうことが多いです。止まっている風景に、ストーリーや動きを生み出すことができる気がします。
街に溶け込むことで、物語が動き出す
最初の写真はごく普通の道ですが、光と影やまわりの木々を生かすことで、とても印象深くなりました。この風景に、さらに人を入れることでストーリーが生まれていきます。
街に溶け込んだように、自然に道を歩いてもらったり、バス停に立ってもらったりすれば、止まっているはずの風景が一つのストーリーとして動き出すんです。
寄りで足元や手元だけを写すことで、何気ない風景だからこそストーリーを感じる1枚になることも。
ときには、思い切った動きをしてもらうのもアクセントになりますよ!
写る人や時期が変われば、同じ場所でも違うストーリーが生まれる
彼/彼女たちは、この場所でどんな思い出をつくっているんでしょう…。同じ場所でも、その時期ならではの光や服装を生かすことで、描くストーリーも変わってきます。
写る人が、女性か男性かでも印象ががらっと変わりませんか? 同じ場所で撮った写真を交互に並べると、二人の物語がはじまる予感さえしてきます。
コミュニケーションをとることで、見た人が写真の中に入り込める
モデルさんとコミュニケーションをとりながら写すと、見る人が撮影を一緒に楽しんでいるような感覚になると思います。それも、何気ない風景だからこそ。行ったことがないはずなのに、どこか見たことのある“記憶の中の風景”と重なるからなのかもしれません。
3. プラス1アイテムで風景にアクセントを加える
何気ない風景に彩りを見つけるのは簡単ではないですよね。そんなときは、シャボン玉や小物などのプラス1アイテムで写真に変化をつけるとぐっと楽しくなるんです。
シャボン玉やカラフル小物で、風景に彩りを加える
風景が幻想的になる「シャボン玉」。ぷかぷかと街並みに溶け込み、映画のようなワンシーンに変わります。シャボン玉を吹く人物を撮るときは、前後にもシャボン玉を入れることで、写真に奥行きが出ます。
また、カラフルな小物も写真にアクセントを加えてくれます。このときは近くで買ったドーナツを使いました。“ドーナツカメラ”の穴をファインダーにして空をのぞけば、穴の中に青空を閉じこめた、“絵のような1枚”になりました。
傘のリフレクションやフィルター効果で、新しい風景をつくり出す
私は晴れた日にあえて傘を使うことがよくあります。(「#晴れた日の傘の使いかた」をハッシュタグによくSNSに投稿しています) ふと試してみたら傘がきれいに光ることに気づいて、それ以来、写真に変化をつけたいときに使っています。ビニール傘をフィルターに、季節の草花を切り取るのもきれいですよ!
Photographer's Note
何気ない風景の中にある特別な光景
「何気ない地元が画になるかも」と気づいて以来、魅力を知ってほしくて、聖蹟の写真に「#耳すまごっこ」というハッシュタグをつけて発信しています。(聖蹟桜ヶ丘の写真にはぜひつけてください!)
「この街を見てほしい」気持ちと同じくらい「みなさんが普段見ている景色も、視点を変えてみたら素敵に見えるかも!」というメッセージが伝わればいいな…と思っています。
いつもよりゆっくり歩いてみたり、少し時間を変えてみたり。それだけで普段とは違った景色が見えてくるかもしれません。また、フィルム写真の“ざらり”とした描写はどこか懐かしく、思い出に余白をつけてくれる気がしています。
生まれ育った場所や長年住んだ街など、みなさんにとって思い出の詰まった「身近な場所」にぜひ目を向けてみてください!
Supported by L&MARK
もなみん
東京在住のフォトグラファー。季節をテーマに、友人と過ごす瞬間をメインにフィルムカメラで撮影している。企業PRなどの撮影、旅行系メディアでの執筆など、幅広く活動中。「たいていワンピースを着ています」