根強い人気のフィルムカメラ。みなさんはフィルムカメラのどんなところに魅力を感じ、たくさんの機種がある中で何を決め手に選んでいますか?
今回は、フィルムカメラユーザーのFujikawa hinanoさん(@nanono1282)に、所有カメラを含めて合計9種類のフィルムカメラを実際に使っていただき、特徴やおすすめポイントを紹介していただきます。
こんにちは。フォトグラファーのFujikawa hinanoです。私はフィルムカメラを愛用していて、日常と非日常の中にある曖昧さ、そして感情を丁寧に表現したいと思っています。
フィルムカメラをはじめたのは、2018年からです。
知り合いのお店に見たこともない“見た目がかわいすぎるカメラ”が飾ってあるのを見かけ、「このカメラ何だろう…?」と気になり聞いてみると、フィルムカメラでした。お店のオーナー経由でフィルムカメラに詳しい方(私のフィルムカメラの師匠となる方)を紹介していただき、いろいろと話を聞く中で、フィルムカメラの歴史や種類の豊富さに惹かれていきました。
「1台目のカメラをどうするか」師匠に相談に乗ってもらう中で、初心者でも使いやすい機種の多さ・壊れにくさ・レンズがたくさんあることから候補に挙がったのがNikonの機種です。そして、見た目のかわいさに惹かれ、FE2を迎えました。
はじめての撮影は、ピントの合わせ方に苦戦したり、フィルムがうまくセットされているか心配でしたが、その日のうちに1本撮り切ると決めていました。撮影後に、近くの現像店で即日現像・スキャニング。受け取った写真は、描写・質感・ボケなど、今まで撮ってきたデジタルの写真とはまったくの別物で、感動したのを今でも覚えています。
今回は、9種類のフィルムカメラの特徴とおすすめポイントを紹介します。
フィルムカメラ9種の特徴とおすすめポイント
私は1台目にFE2を購入し、その後FE→F3→F4と買い足しています。この4機種に加え、さらに5機種を実際に撮影して使用感をレビューしたいと思います。はじめてのフィルムカメラ選び、自分に合ったフィルムカメラ選びの参考にしていただけたら幸いです。
Nikonのフィルムカメラを愛用する理由
- 描写:オールドレンズの種類が豊富で、個性的なレンズが多いのもうれしいポイントです。
- デザイン:メーカーごとにデザインは個性豊かですが、Nikonはシンプルでありながら、操作性に優れているところが好きです。
- 丈夫さ:さまざまなフィルムカメラを使ってきましたが、Nikonのカメラは使えなくなるほど壊れたことが今までありません。非常に信頼できるカメラです。私のまわりでも、Nikonの一眼レフカメラで「致命的な故障をいきなりした」ということを聞いたことがありません。
【FE2】かわいい見た目×使いやすさで、文句なしの1台
A(絞り優先オート)モードが搭載されたフィルムカメラです。Aモードを使うと、F値に合わせて適正露出になるようシャッタースピードを自動で設定してくれます。
私がはじめて手にしたフィルムカメラで、シャッタースピードが1/4000秒まで設定でき、露出計が見やすいというのが決め手でした。
おすすめポイント
- デザイン:四角いフォルムと、無駄のないシンプルな見た目。小さくて軽いのも◎。
- シャッタースピード:1/4000秒まで設定できるため、屋外の光が強い状況でも適正露出を確保しやすいです。
※こちらはファインダー内のイメージです。
- 露出計:視覚的にわかりやすいです。ファインダー左端にシャッタースピード値が記載されたメーターがあり、F値・ISO感度・環境の明るさに応じて適正露出になるシャッタースピードが針で示されます。少しアンダー/オーバーにという調整もしやすいです。
- 露出制御:Aモードがあるのではじめての方も扱いやすく、露出計が見やすいためM(マニュアル)を覚えるのにもぴったりなカメラです。
- 操作性:ボタンなどの配置がよく、シンプルなため説明書がなくても直感的に操作できます。ファインダーに集中しながら、片手で設定を変えられるのもポイントです。
- 他機能:多重露出レバーがあり、簡単に多重露出撮影ができます。
こんなシーンで使いたいカメラ
露出計が見やすく、露出をコントロールしやすいため、FE2ではすべてマニュアルで撮影しています。
上の写真では、シャドーとハイライトの露出をカメラの露出計でチェックして、その中間を狙ったおかげで白とびや黒つぶれせず、ちょうどいい明るさで撮影できました。
シャッタースピードはMAX1/4000秒のため、動きのあるシーンや、屋外での撮影も安心です。また、裏ぶたが開けやすいので、意図的に感光させることもできます。
外観・スペック
発売年 | 1983年 |
サイズ(幅×高さ×奥行)/重さ | 約142.5×90×57.5mm/約550g(ボディーのみ、フィルム・電池別) |
使用電源 | SR44電池×2個、またはLR44電池×2個、またはCR1/3N電池×1個 |
カメラ形式 | 電子制御式 |
露出制御 | M(マニュアル)、A(絞り優先オート)、露出補正 |
シャッタースピード | Aモード:8~1/4000秒、Mモード:8~1/4000秒、B(バルブ)、M250(1/250秒)※B・M250はメカニカル制御式 |
フォーカス | MF(マニュアルフォーカス) |
露出計 | ファインダーにシャッタースピード数値メーターがあり、F値・ISO感度・環境の明るさに応じて適正露出になるシャッタースピードを針が示す |
他機能 | セルフタイマー、多重露出、プレビュー、アクセサリーシューあり、内蔵フラッシュなし ※プレビュー:絞り込みレバーを操作することで、ピントの合う範囲を事前に確認可能 |
対応レンズ | FE2に使用できるレンズはAI方式ニッコールレンズ、ニコンレンズシリーズE、その他レフレックスニッコール、メディカルニッコールなどとなっています。これらのレンズ以外のレンズはFE2に使用することはできません。なお旧来方式のレンズは、AI方式へ改造済であれば使用可能となります。 |
価格帯 | 2万~3万円台が多い ※状態や販売先によります。 |
【FE】手頃で気軽に撮れる、Aモード搭載機
Aモードが搭載されたフィルムカメラで、「シンプルニコン」と呼ばれています。後継のFE2との大きな違いはシャッタースピードが1/1000秒までということ。その分、価格が手頃で、中古店でもよく目にします。
私はFE2をメインに使う中で、サブ機がほしくなりFEを購入しました。
おすすめポイント
- デザイン:四角いフォルムと、無駄のないシンプルな見た目。小さくて軽いのも◎。
※こちらはファインダー内のイメージです。
- 露出計:視覚的にわかりやすいです。ファインダー左端にシャッタースピード値が記載されたメーターがあり、F値・ISO感度・環境の明るさに応じて適正露出になるシャッタースピードが針で示されます。
- 露出制御:Aモードがあるのではじめての方も扱いやすく、露出計が見やすいためM(マニュアル)を覚えるのにもぴったりなカメラです。
- 操作性:ボタンなどの配置がよく、シンプルなため説明書がなくても直感的に操作できます。ファインダーに集中しながら片手で設定を変えられるのもポイントです。
- 他機能:多重露出レバーがあり、簡単に多重露出撮影ができます。
こんなシーンで使いたいカメラ
コンパクトでありながら、写りがとてもいいので、安心して使えます。パンケーキレンズのAI Nikkor 50mm F1.8Sをつけてさらにコンパクトなセットにして、「撮るかはわからないけど、荷物を増やしたくない」という旅行に持っていくことが多いです。
注意点
- シャッタースピードが1/1000秒までなので、屋外で開放F値で撮る際に、適正露出に合わせられない場合があります。屋外では、感度が低いフィルムを使用すると安心です。
外観・スペック
発売年 | 1978年 |
サイズ(幅×高さ×奥行)/重さ | 約142×89.5×57.5mm/約590g(ボディーのみ、フィルム・電池別) |
使用電源 | SR44電池×2個、またはLR44電池×2個、またはCR1/3N電池×1個 |
カメラ形式 | 電子制御式 |
露出制御 | M、A、露出補正 |
シャッタースピード | Aモード:8~1/1000秒、Mモード: 8~1/1000秒、B(バルブ)、M90(1/90秒)※B・M90はメカニカルシャッター |
フォーカス | MF |
露出計 | ファインダーにシャッタースピード数値メーターがあり、F値・ISO感度・環境の明るさに応じて適正露出になるシャッタースピードを針が示す |
他機能 | セルフタイマー、多重露出、プレビュー、アクセサリーシューあり、内蔵フラッシュなし ※プレビュー:絞り込みレバーを操作することで、ピントの合う範囲を事前に確認可能 |
対応レンズ | AI方式以外のレンズも使用可能(AI方式以外のレンズは、連動レバー解除ボタンを押しながら、ボディーの露出計連動レバーを上方へ静かに押し上げて取り付け) ※AI方式以外のニッコールレンズを取り付けますと、露出計とレンズの絞りが連動しません。 ※初期のAI方式以外のレンズには一部取り付けられないものもあります。 |
価格帯 | 1万円台が多い ※状態や販売先によります。 |
【F3】デザイン・性能に優れ、シャッター音が心地いい
Nikonの「F一桁」は最上位機種で、プロにも愛用されてきました。F3はAモードを搭載し、赤いラインが入ったスタイリッシュなデザインも印象的です。
私の好きな写真家の方がF3を使っていて気になっていたのですが、所有している友人に触らせてもらうと…シャッターを切るときの「ガシャン」という重量感のある音と感覚に感動して即買いしました。現在いちばん愛用しているカメラです。
おすすめポイント
- シャッター:シャッターを切ったときの音と指の感覚は、他のカメラと比べ物になりません。
- デザイン:赤いラインがスタイリッシュで、全体的に重厚感があります。
※こちらはファインダー内のイメージです。
- ファインダー・露出計:視野率約100%のファインダーで、設定値や露出は液晶に表示され、わかりやすいです。
- 露出制御:Aモードの露出制御の精度が高く、設定よりも「写真を撮る」ことに集中できます。
- 操作性:ボタンなどの配置がよく、レバーの引き心地がなめらかで快適です。グリップ力が高いので安定感もあります。
- 他機能:多重露出レバーがあり、簡単に多重露出撮影ができます。
- 丈夫さ:非常に頑丈です。寒い場所に持っていったこともありますが、動作はまったく問題ありませんでした。
こんなシーンで使いたいカメラ
Aモードの露出制御や操作性が優れ、しっかりと写真に向き合いたいときや大事な撮影のときに信頼して使えるカメラです。
F3はほぼAモードで撮影していますが、自分のイメージ通りのボケ具合に合わせて適切な露出にしてくれるので表現に集中できます。
上の猫の写真や日の出の写真では、見かけて「すぐ撮りたい」と思った瞬間にシャッターを切ることができました。撮影に集中させてくれるF3のおかげだなと感じています。
注意点
- FE2などに比べると重いです。
- アクセサリーシューは、裏ぶたロックレバーのところ(左上面)についている特殊なタイプです。
外観・スペック
発売年 | 1980年 |
サイズ(幅×高さ×奥行)/重さ | 約148.5×96.5×65.5mm/約700g(ボディーのみ、フィルム・電池別) |
使用電源 | SR44・GR13タイプに相当する電池×2個 |
カメラ形式 | 電子制御式 |
露出制御 | M、A、露出補正 |
シャッタースピード |
Aモード:8~1/2000秒、Mモード:1~1/2000秒、B(バルブ)、X(1/80秒)、T(タイム)※Tは機械制御 |
フォーカス | MF |
露出計 | ファインダー内の液晶に-+で表示(露出過不足表示)。「-」が露出アンダー、「+」が露出オーバー、「-+」で適正露出 |
他機能 | セルフタイマー、多重露出、プレビュー、アクセサリーシューあり、内蔵フラッシュなし ※プレビュー:絞り込みボタンを操作することで、ピントの合う範囲を事前に確認可能 |
対応レンズ | AI方式以外のレンズも使用可能(AI方式以外のレンズは、連動レバー解除ボタンを押しながら、ボディーの露出計連動レバーを上方へ静かに押し上げて取り付け) ※AI方式以外のニッコールレンズを取り付けますと、露出計とレンズの絞りが連動しません。 ※初期のAI方式以外のレンズには一部取り付けられないものもあります。 |
価格帯 | 4万~5万円台が多い ※状態や販売先によります。 |
【F4】連写・AF搭載のデジタルに近いカメラ
Nikonの最上位機種「F一桁」として、はじめてAF(オートフォーカス)が搭載され、連写が可能なフィルムカメラです。仕事の撮影で連写が必要になり購入したのですが、デジタルカメラのような安心感があります。
おすすめポイント
- 連写:最高巻き上げ約4.0コマ/秒で、フィルムカメラとは思えない連写性能を備えています。
- AF:AF対応レンズとの組み合わせにより、AFでピント合わせができます。F4はAFレンズ[AI AF Nikkor 50mm f/1.4D]とセットで販売されていることが多く、このレンズを使っています。
こんなシーンで使いたいカメラ
動く被写体を連写で撮りたいときや、確実にピントを合わせたいときに、頼りがいのあるフィルムカメラです。
AFで狙った場所にピントをしっかり合わせてくれて、人物や物撮りなど、スピード感を持ってすぐ撮影できます。オートモードの露出制御もよく、左上の写真は逆光でしたが、求めていた雰囲気の露出になりました。
注意点
- ボディーのみで約1090gと、かなり大きくて重いです。
- 自動機能や性能が充実している反面、直感的に操作できない部分も多いため、F4の使い方を紹介しているWEBサイトなどを見ながらテスト操作してみることをおすすめします。
- フィルムの装填:裏ぶたを開けて先端を引き出したフィルムをセットし、ふたを閉じて空シャッターを切ると自動でフィルムが巻き取られます。
- フィルムの自動巻き戻し:R1レバーロックボタンを押しながら、R1レバーを手前に回してセットします。次にR2レバーロックボタンを押しながら、R2レバーを左下方向に回してセットします。
外観・スペック
発売年 | 1988年 |
サイズ(幅×高さ×奥行)/重さ | 約169×118×77mm/約1090g(ボディーのみ、フィルム・電池別) |
使用電源 | 単3形アルカリマンガン乾電池(LR6)×4本 |
カメラ形式 | 電子制御式 |
露出制御 | M、A、P(標準プログラムオート)、PH(高速プログラムオート)、S(シャッター優先オート)、露出補正 |
シャッタースピード |
A/Pモード:30~1/8000秒、S/Mモード:4~1/8000秒、B(バルブ)、X(1/250秒、ロック付)、T(タイム)※Tはメカニカル制御 |
フォーカス | AF/MF |
露出計 | ファインダー内下部に液晶表示 |
他機能 | フィルム自動巻き上げ・自動巻き戻し、セルフタイマー、多重露出、プレビュー、アクセサリーシューあり、内蔵フラッシュなし ※プレビュー:プレビューボタンを操作することで、ピントの合う範囲を事前に確認可能 |
対応レンズ | AI方式以外のレンズも使用可能(AI方式以外のレンズは、連動レバー解除ボタンを押しながら、ボディーの露出計連動レバーを上方へ静かに押し上げて取り付け) ※AI方式以外のニッコールレンズを取り付けますと、露出計とレンズの絞りが連動しません。 ※初期のAI方式以外のレンズには一部取り付けられないものもあります。 |
価格帯 | 1万~3万円台が多い ※状態や販売先によります。 |
【New FM2】Nikonフルマニュアル機の王道
露出もピントも操作するフルマニュアル機で、Nikonのフィルムカメラの中で「基本となる機種」というイメージがあります。バランスがよく、シャッタースピードが1/4000秒まであるため屋外でも適正露出を確保しやすいです。
おすすめポイント
- デザイン:フィルムカメラらしい見た目でかわいい。
- シャッタースピード:1/4000秒まで設定できるため、屋外の光が強い状況でも適正露出を確保しやすいです。
※こちらはファインダー内のイメージです。
- 露出計:「+〇-」表示(「〇」が適正露出)で、適正露出が明確です。
- 他機能:多重露出レバーがあり、簡単に多重露出撮影ができます。
こんなシーンで使いたいカメラ
全体的にバランスがいいので、旅行やスナップ、作品撮りにも使いたいカメラです。
少し遅いシャッタースピードで撮ってぶらしたり、多重露出撮影をしたり。基本部分が安定しているおかげで、遊びを入れた撮影もしやすいです。
注意点
- 露出計が「+〇-」表示なので、「これくらいアンダー/オーバーにしたい」と自分のさじ加減で露出を調整するのは難しいです。
外観・スペック
発売年 | 1984年 |
サイズ(幅×高さ×奥行)/重さ | 約142.5×90×60mm/約540g(ボディーのみ、フィルム・電池別) |
使用電源 | SR44電池×2個、またはLR44電池×2個、またはCR1/3N電池×1個 |
カメラ形式 | 機械制御式 |
露出制御 | M |
シャッタースピード | 1~1/4000秒、B(バルブ) |
フォーカス | MF |
露出計 | ファインダー右端に「+〇-」表示(〇:適正露出、+:露出オーバー、-:露出アンダー) |
他機能 | セルフタイマー、多重露出、プレビュー、アクセサリーシューあり、内蔵フラッシュなし ※プレビュー:絞り込みレバーを操作することで、ピントの合う範囲を事前に確認可能 |
対応レンズ | New FM2に使用できるレンズはAI方式ニッコールレンズ、ニコンレンズシリーズE、その他レフレックスニッコール、メディカルニッコールなどとなっています。これらのレンズ以外のレンズはNew FM2に使用することはできません。なお旧来方式のレンズは、AI方式へ改造済であれば使用可能となります。 |
価格帯 | 3万~5万円台が多い ※状態や販売先によります。 |
【FM10】初心者の方でも扱いやすいマニュアル機
露出もピントも操作するフルマニュアル機ですが、初心者の方も扱いやすいです。フィルムカメラとしては珍しく、公式サイトの情報や使用説明書が残っています(2023年8月時点)。
>公式サイト
>使用説明書
おすすめポイント
- サイズ・操作性:小さく軽く、レバーなど操作が軽快。グリップがあるため、握りやすいです。
- 性能:標準的によく、シンプルなので説明書を見なくても直感的に操作できます。
※こちらはファインダー内のイメージです。
- 露出計:「+〇-」表示(「〇」が適正露出)で、適正露出かどうかが明確です。
- 他機能:多重露出レバーがあり、簡単に多重露出撮影ができます。
こんなシーンで使いたいカメラ
軽く、グリップがあり持ち歩きしやすいため、街撮りスナップにぴったりです。
また、標準的な性能はしっかりしているので、作品撮りまで幅広く使えるカメラです。
注意点
- シャッタースピードが1/2000秒までなので、屋外の明るい環境では注意が必要です。低感度のフィルムにすることで適正露出を確保しやすくなります。
- 露出計が「+〇-」表示なので、「これくらいアンダー/オーバーにしたい」と自分のさじ加減で露出を微調整するのは難しいです。
外観・スペック
発売年 | 1996年 |
サイズ(幅×高さ×奥行)/重さ | 約139×86×53mm/約420g(ボディーのみ、フィルム・電池別) |
使用電源 | SR44電池×2個、またはLR44電池×2個、またはCR1/3N電池×1個 |
カメラ形式 | 機械制御式 |
露出制御 | M |
シャッタースピード | 1~1/2000秒、B(バルブ) |
フォーカス | MF |
露出計 | ファインダー左端に「+〇-」表示(〇:適正露出、+:露出オーバー、-:露出アンダー) |
他機能 | セルフタイマー、多重露出、プレビュー、アクセサリーシューあり、内蔵フラッシュなし ※プレビュー:絞り込みレバーを操作することで、ピントの合う範囲を事前に確認可能 |
対応レンズ | FM10に使用できるレンズはAI方式ニッコールレンズ、AFニッコールレンズ、ニコンレンズシリーズE、その他レフレックスニッコール、メディカルニッコールなどとなっています。これらのレンズ以外のレンズはFM10に使用することはできません。 |
価格帯 | 1万円前後、数千円程度のものもあり ※状態や販売先によります。 |
【FG】オートで気軽に撮れる、小さくかわいいカメラ
小さくて軽い「リトルニコン」と呼ばれるシリーズの一つで、M・Aモードに加え、P(プログラムオート)モードを搭載しています。
おすすめポイント
- デザイン・サイズ:小さくて軽く、丸っぽくてかわいいフォルム。それでいてグリップがあり、持ちやすいです。
- 露出制御:PやAなどオートモードがあると、初心者の方でも気軽にフィルムカメラをはじめられます。私もいつも以上にシャッターを切る機会が多くなりました。
※こちらはファインダー内のイメージです。
- 露出計:設定しているシャッタースピードも、露出計表示も赤のLEDで表示されていて、二つの赤丸が合致したところが適正露出になります。また、露出が合っていないときに音で知らせてくれる機能もあります(モードダイヤルの横にあるレバーで、音なしにもできます)。
こんなシーンで使いたいカメラ
小さくて軽くて、オートモードがあり、気軽に一眼レフカメラで撮影できるのは大きな魅力です。旅行でのスナップとも非常に相性がよかったです。
バッグに入れて1週間ほど持ち歩いていましたが、「小さくて軽いオート機能搭載のカメラは、こんなにもいいのか!」と思い愛着が湧きました。カメラは持ち歩かないと撮らないですし、持ち歩いた分だけいい写真との出会いがあります。手軽にいろいろなところに連れていける相棒カメラになりそうです。
注意点
- シャッタースピードは1/1000秒までなので、屋外での撮影はISO感度が低いフィルムのほうが安心です。
- 露出が合っていないと警告音が鳴るモードがあるので、はじめはびっくりするかもしれません。音は消すこともできますが、私は撮影に集中しすぎると露出計を見逃すこともあるため、警告音はありがたかったです。
外観・スペック
発売年 | 1982年 |
サイズ(幅×高さ×奥行)/重さ | 約136×87.5×54mm/約490g(ボディーのみ、フィルム・電池別) |
使用電源 | SR44電池×2個、またはLR44電池×2個、またはCR1/3N電池×1個 |
カメラ形式 | 電子制御式 |
露出制御 | M、A、P、露出補正 |
シャッタースピード | A/Pモード:1~1/1000秒、Mモード:1~1/1000秒、B(バルブ)、M90(1/90秒)※B・M90はメカニカルシャッター |
フォーカス | MF |
露出計 | 設定しているシャッタースピードと露出計表示が赤のLEDで表示され、二つの赤丸が合致したところが適正露出になる |
他機能 | セルフタイマー、アクセサリーシューあり、露出警告付き(警告音、LED)、内蔵フラッシュなし |
対応レンズ | FGに使用できるレンズは、AI方式ニッコールレンズ、ニコンレンズシリーズE、その他レフレックスニッコール、PCニッコール、メディカルニッコール120mmF4(IF)などとなっています。これらのレンズ以外のレンズはFGに使用することはできません。なお旧来方式のレンズは、AI方式へ改造済であれば使用可能となります。 |
価格帯 | 1万円前後、数千円程度のものもあり ※状態や販売先によります。 |
【L35AD】フラッシュ内蔵・日付機能付きのコンパクト
「ピカイチAD」と呼ばれる、フラッシュを内蔵したコンパクトフィルムカメラです。以前友人が持っていて、赤いラインが特徴的で、見た目がかわいいコンパクトだなと思っていました。
おすすめポイント
- サイズ:軽い上にグリップがあるため持ちやすいです。
- オート機能:露出、フォーカス、フィルム巻き上げ、巻き戻しが自動で手軽です。
- レンズ:F2.8固定の35mm単焦点レンズは、シャープな描写で、画角もスナップに適しています。
- ファインダー:広くて見やすいです。視覚的にピントの確認方法もわかりやすかったです。
- 内蔵フラッシュ:暗い場所などで重宝します。コンパクトは内蔵フラッシュ付きがおすすめです。
- 日付機能:思い出感が一気に出ます。背面にボタン電池を入れると、使うことができます。
こんなシーンで使いたいカメラ
小さくて軽い上に高性能で、レンズは広角かつ写りがシャープなので、街スナップに◎。少し外に出る際に持っていくだけで、いつもの散歩をより楽しくしてくれます。
またフラッシュ内蔵なので、「暗いからフラッシュを発光させたい」「フラッシュの質感がほしい」というときにも活躍します。
注意点
- フィルム装填:裏ぶたを開けて先端を引き出したフィルムをセットし、ふたを閉じて空シャッターを切ると自動でフィルムが巻き取られます。
- フィルムの自動巻き戻し:底部の①をスライドさせて②を押すことで作動します。巻き戻しが終わったら、裏ぶたを開けてフィルムを取り外します。
- 最短撮影距離が0.8mなので、寄りすぎるとピンボケします。
- フラッシュのチャージ時間が少しあります。
>L35ADについては、こちらの記事でも紹介しています。
外観・スペック
発売年 | 1983年 |
サイズ(幅×高さ×奥行)/重さ | 約127×75×52mm/約370g(ボディーのみ、フィルム・電池別)※実測 |
使用電源 | 単3形アルカリマンガン乾電池(LR6)×2本(ニカド電池は使用不可) 日付機能はLR44電池×2個、またはSR44電池×2個 |
フォーカス | AF |
他機能 | 日付機能、フィルム自動巻き上げ・自動巻き戻し、内蔵フラッシュ |
対応レンズ | 35mm F2.8固定レンズ付き(最短撮影距離0.8m) |
価格帯 | 1万~2万円台が多い(中古店よりもフリマアプリで出回る) ※状態や販売先によります。 |
【35Ti】デザインのこだわり・描写が優れた高級コンパクト
チタン製の外装、上面のアナログ表示部など、デザインにこだわりのある高級コンパクトです。
10万円を超えることが多く、なかなか手を出せないですが、今回はレンタルしました。お試しとしてレンタルするのはありだと思います。
>レンタル「ワンダーワンズ」
おすすめポイント
- デザイン:チタン製の外装が美しく、高級感があります。レンズも収納されるのでレンズが傷つく心配がありません。また、上面に設置されたアナログ表示部がオシャレです。針がくるくる動くのがかわいらしく、動きを見るためにF値を変えたりしていました。
- レンズ:クリアな描写で、35mm・F2.8はスナップに適しています。L35ADと違い、コマンドダイヤルでF値を変えられるので、さらに表現の幅が広がります。
- 露出制御:P・Aなどのオートが充実しています。
- 他機能:内蔵スピードライト、露出補正など多機能です。
こんなシーンで使いたいカメラ
高級なので大事に使いたい気持ちが自然と湧いてきますが、作品撮りにもスナップにも使える高性能カメラです。上の2枚は、ISO400のコントラストが高めのフィルムだったこともあり、非常にシャープな写りでした。
こちらの2枚は、ISO200でそこまで絞らなかったのですが、優しい描写になりました。コンパクトカメラで、さまざまな写真表現を模索できるのはうれしいポイントです。
注意点
- 高価
- フィルム装填:フィルムを入れ、引き出した先端を左奥のフィルム先端位置マークに合わせます。セレクトダイヤルをPにセットして、シャッターボタンを押し込むと自動で巻き上げが完了します。
※フィルムカウンターが"E"表示の場合、フィルムがうまく巻き取れていないため、再度入れ直しが必要です。- フィルム取り出し:撮り終えると、自動でフィルムの巻き戻しがはじまります。フィルムカウンターが"E"に戻り、巻き戻しが完了したら裏ぶたを開けて取り出します。
- 上面のアナログ表示部の見方が最初は難しく感じます。ただ、あまり難しく考えず、装飾として見ているだけでも大丈夫です。
- 電源オフにするとレンズカバーが閉まり、シャッターが切れません。
外観・スペック
発売年 | 1993年 |
サイズ(幅×高さ×奥行)/重さ | 約118×66×36mm/約310g(ボディーのみ、フィルム・電池別) |
使用電源 | CR123AまたはDL123Aタイプ(3Vリチウム電池)×1個 |
露出制御 | P、A、T(長時間露出)、露出補正 |
フォーカス | AF/MF |
他機能 | フィルム自動巻き上げ・自動巻き戻し、内蔵スピードライト、パノラマ撮影、日付機能 |
対応レンズ | 35mm F2.8レンズ付き(最短撮影距離0.4m) |
価格帯 | 10万円を超える場合も ※状態や販売先によります。 |
カメラ選びのポイントと使いこなすコツ
ここからは、フィルムカメラ全般について、選び方や使いこなすためのポイントを紹介します。
フィルムカメラを選ぶポイント
自分の中で何を重視するか、優先順位を決めましょう。
(例)
- 価格
- 見た目
- 重さ、大きさ
- 用途(何を撮りたいか)
- 機能性など
Nikonはフィルムカメラの機種が多いので、相性がいいカメラがきっとあるはずです。
はじめてフィルムカメラを購入する場合は、中古カメラ屋さんなどできちんと整備されたカメラを、実際に手に取り触って確認してから決めたほうがいいかと思います。最初に故障カメラに当たってしまうと、撮るまでのハードルがぐっと上がってしまいます。
レンズ交換式とコンパクトでは、まずは「レンズ交換式」がおすすめ
最初から標準的な機能を備えているカメラのほうが、カメラに慣れるスピードが早いです。大は小を兼ねます!
もっとカジュアルな撮影を楽しみたいなら、コンパクトでもいいと思います。
フルマニュアルに慣れると、選択肢が広がる
私はAモード搭載のFE2を1台目に迎えましたが、最初はあえてマニュアル操作をして、カメラに慣れるようにしていました。今後のカメラとのつき合い方を考えても、はじめにマニュアル操作を覚えておくことはとても大事だと思います。慣れるまで大変かもしれませんが、損はありません。なお、初心者の方にとっては、マニュアルもA(絞り優先オート)モードもあるカメラのほうが安心だと思います。
>フィルムカメラの選び方については、こちらで詳しく紹介しています。
フィルムカメラを使いこなすコツ
使い方はWEBで調べる
中古品は説明書がほぼありません。ですが、WEBサイトやYouTubeなどで紹介されている機種もあるため、大体解決します。また、1種類でも使い慣れると、シンプルなカメラであれば他機種でも説明書を見なくても直感的に操作できるようになります。その点、フィルムの自動巻き上げ・巻き戻しなど、自動機能を搭載した機種は直感では操作できないため、しっかり調べる必要があります。
>フィルムカメラの各部名称や使い方について、こちらでNew FM2を例に紹介しています。
使用電池の注意点
フィルムカメラでは、ボタン電池[LR44もしくはSR44]で駆動する機種が多いのですが、「LR44電池では露出計は動いているのにミラーアップする場合がある」という相談をたまに受けます。これはSR44電池にすることで解消します。LR44電池は長く使うと電圧が下がっていくのに対し、SR44電池は電圧が下がりにくいのが要因だと考えられます。
接眼補助レンズで視度補正
フィルムカメラは視度補正がないものがほとんどです。視力が弱い方は、機種に対応した接眼補助レンズを購入すると補正できます。
なお、「-3」「+2」のように度合いにより個別の接眼補助レンズがあるため、自分の補正度合いを把握する必要があります。私はデジタルカメラの視度補正で+-の度合いを確かめてから購入しました。
フィルムカメラを長く使うために
私はそこまでシビアに管理していません。フィルムカメラの見た目も好きなので、棚に飾っています。
長く使うコツとして、未使用期間を長くしないことだと考えています。頻繁に使うことで不調に気づくこともできるので、まんべんなくどの機種も使うようにしたり、友人に貸したりして動かすようにしています。
カメラが故障してしまった場合は、修理してくれる専門店にお願いするのが確実ですが、新規購入と修理費用が変わらないようであれば、新規で購入してもいいと思います(修理しても部品がないなど直らないケースも多々あります)。
Photographer's Note
9種類のフィルムカメラを紹介しましたが、いかがでしたか?
カメラによってさまざまな特徴があり、その特徴を生かしたレンズ、フィルム選びや撮り方によってさらに写真表現が広がります。この選択から、フィルム撮影での作品は生み出されているということが、フィルムカメラのおもしろさだなぁと改めて思いました。また、カメラが違うと、撮るスタンスや撮るものも変わってくるので、自分に合った「相棒カメラ」を見つけることは非常に大事だと感じました。
みなさんもぜひ、自分に合うカメラを探してみてください。この記事が少しでも参考になれば、とてもうれしいです!
お気に入りカメラ
- F3:シャッター音・デザイン・性能がよく、圧倒的に好きです。
- FE2:シャッタースピード1/4000秒・デザイン・露出計の見やすさなど、非常に使いやすいカメラです。
- 35Ti:コンパクトカメラであれば、35Tiがとてもいいカメラでした。見た目のかわいさはもちろん、描写もとてもよく、価格がもう少しかわいければ購入を検討したいところです。
FE2
FE
F3
F4
New FM2
FM10
FG
L35AD
35Ti
Fujikawa hinano
Instagramで作品を投稿。グループ展やメディア執筆など、幅広く活動中。「日常と非日常の中にある曖昧さ、そして感情を丁寧に表現したいと思っています」