国内外からの多くの観光客でにぎわう浅草。せっかくなら着物で、レトロ気分をたっぷり味わいたいですよね。今回はフォトグラファーのFujikawa hinanoさん(@nanono1282)に、フィルムカメラで浅草の町を写し取っていただきました。着物に身を包むのは、モデルのカジタヒカルさん(@hikaru08_)。二人が巡る、レトロなスポットを紹介します。
こんにちは。フォトグラファーのFujikawa hinanoです。私は普段、フィルムカメラやオールドレンズで、ポートレートやスナップ写真を撮っています。
「浅草」は、実は家から近いこともあって通ってはいたのですが、写真をしっかり撮るのは数回ほど。今回は、タイムトリップしたような写真や“新しい浅草”の写真が撮れればと、期待を膨らませていました。
浅草巡りは、着物で気分アップ
まずは、着物に着替えましょう!
たくさんの着物レンタル店の中から、浅草駅近くの「令和服」にお願いしました。
【令和服】鮮やかでレトロな着物に身を包む
小物(髪飾りやかごバッグ)やヘアセットを含めてとてもリーズナブル。着物の数も多く、袴プランや男性プランもあります。
色とりどりな着物の中から、お店の方のアドバイスを聞きながら選んでいきました。今回は、赤い大きな花柄の着物に。レトロで、大きな柄やビビットな色が浅草の町には映えると思います。
着付けが終わると、鏡の前でヘアセット。とてつもない早さで着付けやヘアアレンジが進んでいきます。悩んでいるときはアドバイスしていただき、安心してお願いできました。
お店では着物に合う和傘も借りられます。レトロな着物を選んだのですが、ヒカルちゃんの雰囲気に合っていて素敵でした!
浅草着物レンタル令和服
東京都台東区浅草1-33-8 エーワンビル4F
営業時間:9:30~18:00(最終受付16:00)レンタルの注意点:着物は17:30までに返却する必要があります。間に合わないとわかっている場合は、翌日返却(有料)にすると余裕をもって浅草を楽しめます。また、保障パックを申しこむと、濡れてしまったり汚れてしまった場合にも安心です。
https://reiwafuku.com/
※詳細はHPをご確認ください。撮影の注意点:着付け室は、他のお客さんがいるのでNGです。着物が並んでいる場所やヘアセットのスペースは、休日はもちろん平日でも雨以外の日は非常に混雑しています。撮る場合は十分配慮しましょう。
【江戸とんぼ玉みはる】着物によく似合うアクセサリー
着物レンタル店を出てすぐのところに「とんぼ玉」という気になる看板。中に入ってみると、宝石のようにキラキラしたアクセサリーが並んでいました。
髪飾りや耳飾りなどさまざまなアクセサリーがあり、とんぼ玉自体も販売されています。レトロで温かい風合いが素敵ですよね。
とんぼ玉を手に取って見ていると、室内の照明を反射した奥のとんぼ玉が玉ボケになり、とても魅力的に写せました。
ヒカルちゃんが選んだのは、小ぶりなピアス。爪と同じ赤色で、揺れる姿もかわいいです。着物にとても合っていて、また一段と気分が上がります。
江戸とんぼ玉みはる
東京都台東区浅草1-32-14
営業時間:11:00~17:00
https://tombodama-miharu.crayonsite.com/
※詳細はHPをご確認ください。撮影の注意点:お店の方に声をかけてから、他の方の迷惑にならないようにしましょう。
着物で巡りたい浅草のオススメスポット10選
当日はあいにくの雨でしたが、雨でも楽しめるのが浅草の魅力でもあります。今回は、しっとりと風情溢れる浅草を巡りました。
【雷門】まずはここから!浅草のシンボル
浅草寺の玄関口「雷門」。しっかり見るのは久しぶりでしたが、大きさと渋さがかっこいいですね!
観光客の方が多く、雷門のすぐ下は撮影の順番待ち状態。私たちは少し離れた位置から、小さいF値で極力後ろの人たちをぼかし、大提灯が入るようローアングル気味で撮影しました。和傘の赤・雷門の赤・着物の赤を縦に並べるように意識したのですが、雷門の赤が映えるので画の中にどう入れるかを考えると楽しいと思います。
雷門(浅草寺)
東京都台東区浅草2-3-1
https://www.senso-ji.jp/guide/guide01.html撮影の注意点:他の方の迷惑にならないように、また通行の妨げにならないように短時間で撮影を済ませましょう。
【仲見世通り】活気を感じる日本の古い町並み
平日で雨にもかかわらず人がとても多く、「活気ある浅草の姿」が戻ってきているなと感じました。景観は日本の古い町並み。歩いてもらったり、寄り引きのバランスを見ながら「町」の空気感を写し取るようにしました。
晴れていれば、青空に着物の色が映えそうです。
一直線に伸びる道、そこに連なるお店がきれいで、引いて撮影しました。屋根や提灯が放射線構図をつくっていて、その収束が気持ちよく画角に取り入れています。
赤い提灯もかわいいです。上の写真は、お店が入っていないところの屋根の下で、雨宿りのイメージで撮影しました。町並みと表情、江戸時代のワンシーンのような写真が楽しめます。
仲見世通り
東京都台東区浅草
撮影の注意点:観光客の方が多いため、写りこみには十分注意しましょう。また、通行の妨げにならないよう、周囲を確認しながら素早く撮影を済ませましょう。
裏通りもレトロでオススメ
仲見世通りの一本裏は、人が比較的少なく撮りやすい場所です。レンガ色の壁は独特の雰囲気があり、色が少ないので着物と人を目立たせることもできます。
上の写真では、自分のビニール傘を前ボケにして変化をつけました。路地裏で撮っているのに浅草だとわかるのは、浅草が醸し出す町の空気感だと思います。
【菊水堂】仲見世通りでかわいいスイーツを発見!
仲見世通りには、本当にたくさんのお店が並んでいます。その中で目に留まったのが、イチゴのオブジェが印象的な「菊水堂」。
二人とも、人気の「いちご大福串」を頼みました。ハートのカステラがかわいいですね。華やかな着物と一緒に写真に収めるときは、スイーツが浮き立つように小さいF値で着物をぼかすのがポイントです。
串には「恋みくじ」がついていてびっくり。中を見せ合いっこして、ヒカルちゃんと盛り上がりました(私は大吉でした)。
菊水堂
東京都台東区浅草1-30-1
営業時間:(平日)9:00~17:30、(土曜)9:00~18:30、(日曜・祝日)9:00~18:00
https://www.instagram.com/asakusa_kikusuido/
※詳細はHPをご確認ください。撮影の注意点:他のお客さんやお店の迷惑にならないように十分注意しましょう。
【浅草寺】都内最古の寺でタイムトリップ
仲見世通りを進んだ先に、浅草寺が見えてきました。浅草寺は1400年近くの歴史があり、都内最古のお寺。宝蔵門や本堂の、大きくて迫力がある姿には圧倒されます。
上の写真は宝蔵門前、ここも人気の撮影スポットです。私たちは離れた位置から大きな提灯を入れて、参拝の方々をぼかしながら撮影しました。赤の着物が、この場所でも映えていますね!
おちゃめな感じでも1枚。かわいいです!
どうしても引いて撮りたくなりますが、いろんな撮り方を意識しました。自分のビニール傘を前ボケにしたり、和傘を大胆にフレーミングしたり、定番の撮影スポットもアイデア次第です。
こちらは本堂前にある「常香炉」。お参りする前に線香をあげたり、体がよくなると煙をあびたりしています。
参拝の方がたくさん集まる場所ですが、人がいない瞬間を狙って撮りました。ブレないようシャッタースピードを早めに設定することで、楽しんでいる表情をとらえられます。
参道から一本裏には、柳の木がありました。観光スポットとはまた違う「撮りたい」空間です。
柳は前ボケでも単体でも江戸情緒が出るので、柳をどう生かすかイメージを広げながら撮影しました。上の写真では、雨・柳・着物・赤を組み合わせてストーリー性のある写真を意識しています。
浅草寺
東京都台東区浅草2-3-1
https://www.senso-ji.jp/
※詳細はHPをご確認ください。撮影の注意点:参拝客やお寺の迷惑にならないよう、マナーを守りましょう。
【喫茶シルクロード】ずっといたい、体も心も温まる場所
浅草で行きたかったお店が「喫茶シルクロード」です。古い看板が残っていて、風情ある喫茶店でした。
店内はさらにいい雰囲気。そして、お店の方や常連のお客さんが、優しく迎え入れてくれました。
ランチには、オムライスを注文。レトロなお皿の上に盛り付けられた黄色い卵と赤いケチャップがかわいく、食欲と一緒に写真欲がそそられます。
早速ひとくち。ふんわり卵とライスが、体にしみわたる美味しさ。「美味し~」と、自然と声が出てしまいます。お店の方もその声ににっこりしてくれて、心も癒やされました。
このお店は大きな窓が特徴で、印象的な光が差しこみます。窓辺で食べてもらうオムライスは、喫茶店の理想の情景でした。
また、外から中を撮ると、店内の緑のランプがボケてきれいです。「浅草」への案内表示があり、浅草らしさも入れることができました。
紅茶を飲む姿は、大正ロマン感がありますね。
店内は、時が止まったようなレトロな空間で、何を撮っても楽しかったです。BGMが雨音と混ざり合い、窓際の着物の女性が主人公の映画を見ているような感覚にもなりました。
とても居心地がよくすっかり長居してしまったのですが、「今度は一人で読書をしながらゆっくり過ごすのもよさそう」そう思える素敵な喫茶店でした。
喫茶シルクロード
東京都台東区西浅草3-14-11
営業時間:(平日・土曜)8:00~18:00、(日曜)9:00~17:00/定休日:祝日、木曜日
http://www.miraishop.com/silkroad.html
※詳細はHPをご確認ください。撮影の注意点:お店の方に声をかけてから、他の方の迷惑にならないようにしましょう。
【壽々喜園 浅草本店】世界一濃い! 抹茶ジェラート
抹茶スイーツも人気の浅草で、今回訪れたのは「壽々喜園(すずきえん)」です。お茶屋さんということで、中に入るとお茶のいい香りに包まれました。
ここの抹茶ジェラートは、No.1~7と濃さを選べるのですが、No.7は世界一濃いんです。ダブルも頼めるので、No.7とほうじ茶の組み合わせに。世界一濃い抹茶は想像以上の濃さで、甘いほうじ茶ジェラートと交互に食べると、抹茶の濃厚さをより感じられます。
こちらは、「四種の抹茶餡だんご」。色が濃いほど抹茶も濃くなっていきます。見た目もかわいく、温かい煎茶とセットなので、寒い日にオススメです。
壽々喜園 浅草本店
東京都台東区浅草3-4-3
営業時間:11:00~17:00
https://www.tocha.co.jp/company/shops#asakusahonten
※詳細はHPをご確認ください。撮影の注意点:お店の方に声をかけてから、他の方の迷惑にならないようにしましょう。
【浅草花月堂】着物が映えるかざぐるまの壁
メロンパンを販売している「浅草花月堂」の壁は、一面かざぐるま。季節によっても変わるそうで、着物で撮りたいスポットです。
かざぐるまを背景の模様としてとらえました。ボケすぎないように、少し絞るのがポイントです。
ヒカルちゃんが機転をきかせて「かざぐるまを吹くポーズ」をしてくれて、とてもかわいかったです。
浅草花月堂のある商店街は、全体がレトロな雰囲気。赤色が特徴的で、着物との調和も取れていました。ここでは、ローアングル気味に撮ると、屋根からの光を取り入れながら、旗まで写せてきれいです。
浅草花月堂本店
東京都台東区浅草2-7-13
https://asakusa-kagetudo.com/
※詳細はHPをご確認ください。撮影の注意点:撮影の順番待ちがありますので、順番を守り、長時間独占しないなど、他の方の迷惑にならないようにしましょう。
【浅草射的場・浅草きんぎょ】縁日気分を味わえる
浅草花月堂は、射的や金魚すくいのお店もやっています。こちらは、浅草花月堂の隣にある「浅草射的場」。東京で本格的な射的ができる場所があるんですね!
「射的がはじめて」というヒカルちゃん。お店の方に玉の詰め方を教えてもらい…
狙いをすまして、パン!
見事、的中。全5発のほとんどを当てるヒカルちゃん。射的ははじめてでも、シューティングゲームが得意だったそうで、才能を発揮していました。
私は、そんな無邪気に楽しむ様子を、手元や仕草、表情も含めてシャッターを切っていきました。スペースは限られているので、広く写すには広角レンズもあると便利です。
浅草射的場
東京都台東区浅草2-7-13
営業時間:11:00~16:00
※18歳未満の入場はできません。撮影の注意点:お店の方に声をかけてから、迷惑にならないようにしましょう。
今度は花月堂の向かいにある「浅草きんぎょ」に。次から次へとお客さんが来て、ワイワイと縁日気分を味わえました。
金魚すくいも初挑戦のヒカルちゃん。狙いを定め、はじめてとは思えない手つきで次々にすくっていきます。
すくった金魚たち。金魚の赤と、着物やネイルの赤がリンクしているのがかわいらしくて、思わず切り取りました。
やぶれてしまったポイ越しにこちらをのぞくヒカルちゃん。無邪気な姿にキュンとしました!
いつの間にか、こんなにすくっていたんですね!
射的・金魚すくいと、お祭り気分を存分に満喫できました。
浅草きんぎょ
東京都台東区浅草2-7-13
営業時間:10:00~16:00
※金魚はすくうだけか、すくった金魚を持ち帰るかも最初に選べます。撮影の注意点:お店の方に声をかけてから、他の方の迷惑にならないようにしましょう。
【雷門まとい】自分で焼き、好きな味で楽しむあぶりだんご
着物を着て行きたいのが甘味処です。こちらは雷門近くにある「あんみつ抹茶処 雷門まとい」。スタッフの方々がとても親切で、スイーツも人柄も温かいお店でした。
寒い日だったので、あぶりだんごセットを注文しました。抹茶つきで体が温まります。
まん丸のかわいいだんごを、七輪で自分で焼くはじめての経験。香ばしいいい香りが漂ってきます。
焼いただんごは、タレ・あんこ・きなこの3種を、自分の好みで楽しめるのもオススメポイントです。
自分で焼いたこともあって、余計に美味しく感じるのかもしれません。私とヒカルちゃんはタレ推し。みなさんもぜひお試しください!
あんみつ抹茶処 雷門まとい
東京都台東区浅草1-3-3
営業時間:(平日)12:30~18:00、(土日祝日)12:30~19:00
http://www.kaminarimon.jp/
※詳細はHPをご確認ください。こちらは「抹茶ぜんざい」。お店こだわりの抹茶をかけると、アイスの甘味と抹茶の苦味のバランスが絶妙。メニューに書かれている「アフォガード」という説明が、まさにその通りでした。
撮影の注意点:お店の方に声をかけてから、他の方の迷惑にならないようにしましょう。
【ホッピー通り】昼とは異なる魅力を放つ浅草夜景
街灯がキラキラしていて、ノスタルジーな情景。仲見世通りの西側にある大衆酒場「ホッピー通り」は、夜にはどこか懐かしい光に包まれます。
この日は濡れた地面に街灯が反射し、雨ならではの美しい夜景を魅せてくれました。
暗い場所では高感度フィルムを使うことに加えて、光がある場所を探すことで撮影がよりしやすくなります。
こちらは別の通りですが、自分のビニール傘越しに、光の反射や街灯の色味をより幻想的な雰囲気で写し出しました。浅草の夜は「不思議な町に来たような」独特の空気感が魅力的です。
ホッピー通り
東京都台東区浅草
撮影の注意点:通行の妨げにならないよう注意しましょう。
Photographer's Note
着物で巡る浅草は、非日常を味わえる場所でした。
左の写真では違う時代に入り切ったように見え、右の写真では後ろの観光客との対比で着物を着た人だけが江戸時代からタイムトリップしたように浮いている状況が好きです。
上の写真はぱっと見て「浅草」とわかる写真ではないですが、浅草でしか撮れない空気感があると感じました。
そして、一歩入った路地、喫茶店やお店の方など浅草の方々の生活のある場所にこそ、本当の下町・浅草が見えてくる気がしました。古いものを大事にしながら、現代の要素が入っている。浅草の現在と昔をつないでいるようなところに魅力を感じます。
今回はあいにくの雨でしたが、しっとりとした幻想的な浅草を知ることができました。また、どこのお店でも、「機材は大丈夫?」「寒いから温まってね」など気にかけていただき、浅草の方々の人情にも触れることができた、素敵な1日でした。
今度は晴れた日に浅草を訪れてみたいと思います。青空と着物を写したり、浅草駅近くを流れる隅田川で夕陽を絡めた撮影もしてみたいですし、浅草はまだまだ奥が深いです。
浅草撮影の注意点
- 休日はもちろん平日でも混雑します。他の方の迷惑にならないように、通行の妨げにならないように、周囲を確認しながら素早く撮影しましょう。
- お店での撮影はお店の方に許可を得てから、お店や他のお客さんの迷惑にならないようご注意ください。また、撮影のみのご利用はご遠慮ください。
- 浅草は屋根ありのアーケードもあるので、事前に調べていくと雨でも撮影を楽しめます。
- 室内は暗い場合が多いので、ISO感度の高いフィルムを準備しておくと安心です。
※こちらに掲載している情報は2022年11月15日現在のものです。
Model:カジタヒカル(@hikaru08_)
Supported by L&MARK
FE2
F3
Nikkor S Auto 5cm F2
Nikkor-S Auto 35mm F2.8
※フォトグラファーの作品性を尊重して機材を選択・撮影しています。
※FE2は非AI方式レンズには対応しておりません。今回使用しているNikkor S Auto 5cm F2はAI改造済みですので、ご注意ください。
Fujikawa hinano
Instagramで作品を投稿。グループ展やメディア執筆など、幅広く活動中。「日常と非日常の中にある曖昧さ、そして感情を丁寧に表現したいと思っています」