みなさん、こんにちは。連載企画「今日は何の日?」でハリネズミたちの写真をお届けしている、KAZ(@ichigo_chiyoco)です。
私は今から3年ほど前、人生で2匹目のハリネズミ・チヨコをお迎えしたのがきっかけでInstagramをはじめました。最初は携帯で撮影していましたが、もっとかわいい姿を撮りたいと思って、2017年の5月に思い切ってミラーレスカメラを買い、そこからハリネズミたちの写真を撮り続けています。
今回は普段の生活の一番の楽しみでもある「ハリネズミの日々を撮ること」について、お話ししたいと思います。
わが家のハリネズミたち
(左上から)イチゴ、シルバ、(左下から)バニラ、ヒヨコ
長男・イチゴ、次男・シルバ、シルバの娘・バニラ、イチゴの息子・ヒヨコの4匹。
- ハリネズミを撮るときのポイント
- 目線を意識していい表情をとらえる
- 特徴的なフォルムを写真で伝える
- 見ると癒やされる日常の姿を写真に収める
- 自分の“好き”を共有して日常を特別に
- 日々の撮影のために知っておくべきこと
- Photographer's Note
ハリネズミを撮るときのポイント
ハリネズミは動きが速く、顔の向きもすぐ変わるので、撮る場所や構図をある程度決めておいて、連写するのが基本です。そのために必要な機材の条件や設定について、まずはご紹介します。
【カメラ】
- 動きが速いので、ピント合わせが速いもの、連写性能がいいカメラ
- 液晶モニターをタッチして、すぐに小さい目にピント合わせができる機能があるもの
- リモート撮影機能やサイレント撮影モードがあると◎
- 片手でおやつをあげながら撮るときもあるので、軽量なミラーレスがオススメ
【レンズ】
- 室内で明るく撮るために、開放F値が小さい単焦点レンズ
- セット撮影をする上で 、広角レンズがオススメ
- 思い切り近づいて撮影できるように、最短撮影距離が短いもの
今回は50mm単焦点も使いましたが、普段は35mm単焦点を愛用しています。一番の理由は、「構図を決めやすい」こと。室内の狭い場所でも広く写せるので、背景やまわりを写したいときに便利です。アップ撮影も近づけばOKですし、最短撮影距離が短いので近づいてかわいさを目いっぱい引き出すことができるんです。
【設定】
- 基本は、極力速いシャッタースピード&連写
- セット撮影は大きめなF値で全体にピントを合わせる、セットを作りこまずに撮るときは小さいF値で背景をぼかす
白い背景に造花などを入れるときはF値を小さくします。左はF2.5で、右はF14です。右では造花感がわかってしまうので、ぼかして自然な雰囲気を出すためF値を小さく、かつ、ぼけてもディテールがわかるようにF2.5にしました。
撮影モードはマニュアル
素早い動きに対応しながら画づくりするため、シャッタースピードもF値も自分でコントロールできるマニュアルで撮影しています。同じセットの撮影中でも、角度が変われば光の当たり方や距離感も変わってくるので、その都度変えられるマニュアルが一番しっくりきています。
目線を意識していい表情をとらえる
ハリネズミと一緒に暮らしていて、癒やされるのはやっぱり表情です。
笑っているような顔やご満悦な様子、優しい雰囲気や幼くてあどけないかわいさ…。ハリネズミはとても表情豊かで、写真を撮っていると新たな魅力に気づくきっかけにもなります。
このとき、ハリネズミの目線とカメラの位置を意識すると、いい表情をしっかり残せます。
目線の高さで撮ると表情がよくわかる
表情がよくわかる正面の写真を撮りたいときは、ハリネズミと目線の高さを合わせて撮影します。テーブルの上や手の上が、カメラ位置を調整しやすくて撮りやすいです。
下から撮ると垂れ目に見える
人と一緒で、ハリネズミを下から撮ると垂れ目に見えてとってもかわいいんです。ちょっとクマさんのような顔にも見えて、実は一番好きなアングルでもあります。
リラックスした表情のときは目が大きくなりさらに垂れ目に見えるので、撮影前にリラックスさせてから撮っています。バニラは仰向けでじっとしていることが多いのですが、その子がリラックスしやすい状態にさせてあげるのが大事です。
背景選びのコツ
表情を際立たせたいときは、背景はシンプルにします。まん丸なハリネズミは正方形写真と相性がいいのですが、横長の写真では横があいてさびしくなりやすいので、ふわふわの布で質感を出したりアクセントで色味を入れたりしています。
この写真では、100円ショップで買ったペーパーフラワーを両サイドに置きました。ぼかすことで、優しい雰囲気をさりげなく演出できたと思います。
カメラ目線を撮るためには、おやつや指で気を引く
いい表情を引き出すためには、指やおやつで気を引いたり、話しかけて目を向けてもらいます。上の写真では、左がおやつをあげる前、右がおやつをあげた後。…全然違いますよね!
こちらは、ハロウィンイメージの撮影の様子です。カボチャのおもちゃに入ってもらったのですが、顔を出してくれません。
声をかけながら、おやつを近づけてみると…顔を出してくれました! さらに、指で気を引くことで、カメラ目線の写真を撮ることができました。
特徴的なフォルムを写真で伝える
ハリネズミといえば、丸まった姿や針のような毛、体とアンバランスな足が特徴的です。よくよく見ると、毛の色や体つきはハリネズミごとに違うので、表情だけでなくその子の特徴も意識して撮るようにしています。
リラックスした状態でかわいい足を撮る
ハリネズミを手で抱えると、かわいい足を撮ることができます。少し斜めにすると、足の形状などが立体的にわかりますね。ハリネズミを抱えてすぐは、だいたい毛の中に足はしまわれています。リラックスしてくるとニョキッと出てくるので、足が出てくるまでじっと待ちましょう。
針のような毛は痛くない?
リラックスしている状態では、毛が寝ているので痛くないので安心です。ハリネズミを飼っている方は慣れて痛みを感じないということもありますが…。
こちらは、ふわふわのティッシュケースの上で撮りました。ティッシュを出すために真ん中があいていて、座りやすいんです。
手で抱えられるのが好きな子と、ブランケットなどやわからかい素材の上のほうが好きな子と、ハリネズミによって違うので性格に合わせるようにします。どちらもかたいテーブルにそのまま置くよりも、リラックスしてじっとしてくれることが多いです。
ツンツンした毛並みをきれいに撮る
ハリネズミは毛の色の種類がたくさんあるので、その子の色をきれいに見せるために自然光で撮影します。光の向きは、顔に当たらないように半逆光で撮ります。
上の写真はイチゴがバニラに興味を持って顔を近づけているところです。素早く動くハリネズミの毛並みと顔の両方を写すには、顔より斜め上から連写で狙います。2匹とも下を向いて撮れたのはかなりラッキーでした!
見ると癒やされる日常の姿を写真に収める
作りこんだセット撮影も楽しいのですが、爪切りをしているところやマッサージでリラックスしている姿など、ハリネズミを飼っていない方にも楽しんでもらえるように日常の姿も撮るようにしています。
触れ合いの時間を写真に残す
上の写真は、爪切りの様子。だいたい1週間に一度のペースで爪のお手入れをします。爪切りをするときはリラックス状態をつくることが大事で、少し眠くなったタイミングがオススメです。
こちらはマッサージしている様子。自分のおなかの上が、表情も見えて安定感もあっていいと思います。
両手がふさがる撮影はカメラを三脚に固定
1人で撮影する場合は三脚が必須です。「今撮れそう」と思ったときにさっとセッティングするために、軽い三脚を使っています。撮るときは、セルフタイマーではピント合わせが難しいので、携帯を使ってリモート撮影。構図などが見えるように、カメラの液晶モニターの向こう側に姿見鏡を置いて確認することもあります。
オフショット的に見えて実はセッティングが大変なのですが…後で見返したときにとても癒やされる写真が撮れるんです。
おやつを食べる瞬間もシャッターチャンス
いい表情を引き出すためにおやつをあげることが多いのですが、気を許してくれる食事中も撮影のチャンスです。片手におやつ、片手にカメラを持つことになるので、おやつを実際にあげる前に構図やアングルなどを決めておくと、いい瞬間を逃さずとらえられます。
サイレント撮影なら眠っている様子も写せる
おやつタイムで満腹になったのか、すやすや眠ってしまいました。シャッター音がしないようにサイレント撮影モードでその寝顔を収めました。ハリネズミは音に敏感なので、普段からサイレント撮影モードにしています。
自分の“好き”を共有して日常を特別に
日々撮る中で、自分の好きを写真に取り入れてみると、特別な記憶として残すことができます。私は帽子が好きで、ハリネズミと帽子を撮るのが特に好きです! 最初は抵抗しないかと不安もあったのですが、かぶせてみるとまんざらでもなさそうでした(笑)
こちらは自作のシルクハット。もともとシルクハットが好きなので、自分が欲しい帽子を作ってみました。高級感も出るので、一気におしゃれになりますよね!
帽子をかぶった写真の撮り方
- 帽子の決め方:自分が帽子を選ぶときと同じで、季節で選ぶことが多いです。上の写真は10月で秋めいてきたので、暖かいイメージの帽子をセレクトしました。左の写真は自分で編んだニット帽です。イメージしたものが売っていない場合は自作することもあります。
- 帽子をかぶってもらうコツ:機嫌がよくてじっとしているタイミングを見計らってかぶせます。無理にかぶせることはしません。
- 撮影のコツ:かぶせる前に、アングルや構図などを決めておきます。このとき、帽子が入るように上をあけた構図にするのがポイントです。
わが家の帽子コレクション
自作もしますが、ハリネズミのイベントやminne、友達が作ったいただき物がほとんどです。チヨコを飼いはじめてから帽子を集めはじめ、3年半で約400個になってしまいました(笑)
帽子だけじゃなく、なりきれるセットも好きで集めています。上の写真は、韓国のスイーツ「トゥンカロン」になりきったバニラをどうぞ!というイメージです。
日々の撮影のために知っておくべきこと
ハリネズミとの日々を撮ることについてお話ししてきましたが、撮影を楽しむために知っておくべきことがあります。
ハリネズミの特徴に合わせた撮り方にする
このベッドは普段ケージの中に入っていて、触れ合うときに出します。うちは4匹いますが、別々のケージでそれぞれ生活しています。
機嫌がいいときだけ、短時間で撮る
ハリネズミは基本的に臆病で、怒るとすぐ針のように毛が立ち、機嫌が悪いとイガグリモードは解除されません。撮影するときは機嫌がいいときだけ。リラックスさせて、1日10分程度と短時間だけ撮らせてもらいます。
フラッシュなどは絶対NG
ハリネズミは強い光が苦手なので、フラッシュ撮影はNGです。撮影するときはやわらかい自然光で、直接当てないように半逆光で撮るようにしています。(うちはそもそも太陽の光があまり入らない部屋なので、撮りやすい状況ではあります)
個々の性格に合わせる
丸くなるクセがある子はそのフォルムを生かしたり、そうではない子は自然な状態で撮るなど、その子のストレスにならないように撮影しています。
ハリネズミの気持ちを直接聞けない分、負担になることはしないと常に心がけています。
お迎えしてから、信頼関係を築くためののポイント
本やネットで調べるとさまざまですが、個人的には「人にどの程度慣れているか」によって違うと考えています。お迎えしたら、身につけているものをケージに入れたりして、においを覚えてもらうのがオススメです。すでに人慣れしている子なら、自分のにおいに慣れてもらうためにもなるべく毎日触れ合います。嫌われないように、短い時間でストレスを与えないように触るのがコツです。
Photographer's Note
私がハリネズミをはじめてお迎えしたのが22年前。特にチヨコをお迎えしてからInstagramをはじめ、カメラを本格的にはじめるようになりました。
最初はうまく写真が撮れず、ミラーレスで撮った動画を携帯のスクリーンショットで切り取って、かわいい一瞬を静止画にしてアップしていました。2018年に写真展のお話をいただきましたが、スクリーンショットの画像では引き伸ばしたときの画質がどうしても荒くなる…ということで、次の写真展のときまでに写真を撮れるように練習しました。
何でもそうですが、最初からうまくはいかないんですね。目標ができたり、たくさん撮っているうちに好きな設定や撮り方が身についていくんだと思います。
カメラをはじめたての頃は、たまにものすごくかわいい瞬間が撮れると小躍りしたくなるほど喜んでいました。その気持ちは今も変わらず、かわいい瞬間が撮れると早くInstagramにアップして、共有したくなるんです。
私は写真を通じてハリネズミのたくさんの魅力に気づけたので、みなさんもぜひかわいい瞬間を見つけてもらえればと思います!
Supported by L&MARK
KAZ
1998年にハリネズミと出会い、一緒に暮らしはじめる。もともと動物が好きでその後もいろいろな動物と 暮らし、現在は4匹のハリネズミのイチゴ・シルバ・バニラ・ヒヨコと仲睦まじいハリライフを送っている。「ハリジェニック展」などの展示にも参加。