吸い込まれそうな「螺旋階段」写真の魅力 – 東京近郊のオススメスポット5選と美しく表現するポイント

吸い込まれそうな「螺旋階段」写真の魅力 – 東京近郊のオススメスポット5選と美しく表現するポイント

みなさん、はじめまして。フォトグラファーのmame(@daizphoto)です。
好きなジャンルは、建築や夜景、自然の絶景、SF感のある写真など。特に建築は好きで、その中でも造形美とストーリー性が魅力の「螺旋階段」は心惹かれる被写体です。

螺旋は、非常に効率的で建築的な造形美を感じられます。また、映画などでは「同じことを繰り返しているようで前に進んでいる」という暗喩表現として使用され、どこまでも続くような螺旋階段の写真は見る人の想像をかき立てるストーリー性があると考えています。

今回は、東京近郊にあるオススメの螺旋階段スポットと撮り方のポイントを紹介します。螺旋階段に少しでも興味を持っていただけるとうれしいです。

 

東京近郊の螺旋階段スポット5選

これまでに訪れた場所に加え、行きたかった場所を含めて、東京近郊にある5か所をピックアップしました。

螺旋階段は、吹き抜けになっていれば人を入れた撮影も楽しめますので、ポートレート撮影のロケーションとしても生かせます。

【国営昭和記念公園】造形美が際立つ円形螺旋

東京の立川市と昭島市にまたがる「国営昭和記念公園」の東側(無料区)にある「花みどり文化センター」。その野外に螺旋階段があります。中央が吹き抜けのタイプで、手すりの骨組みが放射構図を強調してくれます。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

撮影のポイント

  • 場所:上から見下ろす場合は、数段下って撮ることで螺旋を画角いっぱいに納められます。下から見上げる場合は、吹き抜けの中心位置から。
  • 天気や時間:晴れていれば、下から見上げたときに青空を入れられます(太陽が真上にならないよう、~午前10時頃や午後2~3時頃がオススメ)。くもっていても、明暗差が緩和されて撮影しやすいです。
  • 設定や構図:極力広角で、パンフォーカスで隅々まで写します。螺旋を強調するためには、画角いっぱいに階段を入れ、螺旋の始点を写真の角にして弧を描くように。そして、収束点を中央付近にするのがポイントです。なお、青空を生かす際は、白とびしないよう、暗めに撮影して編集で持ち上げています。

 

螺旋階段×ポートレート

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

超広角域で撮る際は、ゆがみが悪影響しないようモデルさんを中心線上に配置し、極力中央付近に。中心線上に人と収束点が来ることで視線も誘導できます。なお、直射日光が入ると露出調整が難しくなるため、1枚目よりも少し下りた位置から撮影しています。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

こちらは、モデルさんに下りてもらい、中央により目がいくように。動きを出すため、回ってもらいスカートをひらりとさせ、シャッタースピードを1/400秒に上げて撮影しています。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

今度は下から見上げた構図に。中央の下側にモデルさんを配置すると、足長効果が出ます。やりすぎは注意なので、「中央より少し下」を意識するのがコツです。青空で明るい印象にしたかったので、笑顔で撮っています。

 

国営昭和記念公園・花みどり文化センター

東京都立川市緑町3173 みどりの文化ゾーン(無料区)内
https://www.showakinen-koen.jp/
※開園時間など詳細はHPをご確認ください。

注意点:混雑していない撮影しやすい場所ですが、場所を占有しないなど、他の方の迷惑にならないようにしましょう。

【渋谷区立松濤美術館】ミステリアスな洋館のような世界観

約40年前に建てられた「渋谷区立松濤美術館」は、日本を代表する建築家の一人・白井晟一の設計による建物です。この美術館のエントランスから展示室に向かうための階段が、今回のオススメスポット。曲線がとにかく美しく、壁面照明による光と影がおしゃれです。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

撮影のポイント

  • 場所:地下2階から2階まで続いていますが、螺旋の始点を画角に入れるために2階から撮影しています。
  • 天気や時間:外からの光は入らないため、天気・時間を気にする必要はありません。
  • 設定や構図:壁面照明のみのため、開放F2.8とし、手ブレしないシャッタースピードを稼げるようISO感度をアップ(写真では1/15秒・ISO800)。構図は、ギザギザ形状を見せつつ、螺旋の始点を上の角に配置することで、この場所ならではの形状を強調できます。壁面照明と収束点を中心線上に配置し、照明の陰影を生かしているのがポイントです。

 

螺旋階段×ポートレート

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

まずは先ほどの構図で、スペースの広い照明の下に立ってもらいました。照明+人+収束点を中心線上にそろえることで、一体感が生まれます。その中で動きを出すため、スカートのひらっと感を取り入れました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

さきほどの写真から、少しだけ斜めにずれて撮影したのがこちらです。手前の手すりをギリギリまで入れて螺旋形状を強調しながら、立体感も出るように。他同様、人はゆがまないよう、中央付近に立ってもらいます。階段の途中になるため、上っているような動きが自然です。

 

渋谷区立松濤美術館にはこんな場所も!

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

この美術館は中庭が吹き抜けになっていて渡り廊下があり、上の写真は2階から見下ろすように撮影しました。左のように下の噴水池を見せると奥行きが出て、右のように対称構図にすると物語のワンシーンのような世界観で切り取れます。ここは随所に美しいデザインが施されていて、ずっと撮影していられるような感覚でした。

 

渋谷区立松濤美術館

東京都渋谷区松濤2-14-14
https://shoto-museum.jp/
※入館料がかかります。入館料や開館時間など詳細は、HPをご確認ください。

注意点:通行を妨げない、場所を占有しないなど、他の方の迷惑にならないようにしましょう。
また、撮影の際は以下のルールをお守りください。

  • 展示室内、撮影禁止表示がある場所および立入禁止区域に立ち入っての撮影はかたく禁止されています。
  • 階段、回廊、ブリッジなどは撮影可能ですが、展示室内、他のお客様、美術館スタッフが写らないように十分ご注意ください。
  • フラッシュ、三脚、一脚、自撮り棒などの使用はご遠慮ください。
  • 撮影された写真は私的利用に限り、販売・商用を目的とした利用はかたく禁止されています。
  • SNSなどで公開する場合、著作権、プライバシーなどに十分配慮し、ご自身の責任において行ってください。
  • その他、美術館の判断により撮影の中止をお願いされる場合がございます。
  • ご不明な点は美術館スタッフの方へお問い合わせください。

【博品館TOY PARK銀座本店】エレベーターを生かして近未来感を表現

銀座の玩具専門店「博品館TOY PARK」には、1階から4階までつなぐ螺旋階段があります。中央にエレベーターが走り、ひと味違う写真が撮影できます。実際はレトロな階段ですが、SF感のある表現ができるのが魅力です。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

撮影のポイント

  • 場所:4階から見下ろすと、螺旋感がより出ます。
  • 天気や時間:外からの光は入らないため、天気・時間を気にする必要はありません。
  • 設定や構図:室内のため開放F2.8とし、手ブレに気をつけます(写真では1/20~1/40秒確保)。1枚目では、左半分にエレベーターを入れ、反射で線対称にして通常の螺旋とは異なる構図に。2枚目は、階段側面の曲線で渦を巻きながら、エレベーターの角で中心に視線がいくようにしています。放射状に伸びる手すりが効いていますね。このエレベーターのかごは光がかっこいいので、画角に入るタイミングで撮影しました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

2枚目に比べて、縦長に渦が巻くように構図を決めました。撮る位置や構図を少し変えるだけでも印象ががらっと変わります。

 

博品館TOY PARK銀座本店

東京都中央区銀座8-8-11
https://www.hakuhinkan.co.jp/toypark/
※営業時間など詳細はHPをご確認ください。

注意点:通行を妨げない、場所を占有しないなど、他の方の迷惑にならないようにしましょう。特に土日は混雑するので注意が必要です。

【彫刻の森美術館】ステンドグラスに囲まれた神秘的な空間

「彫刻の森美術館」の南東側にある「幸せをよぶシンフォニー彫刻」の中は、360゜ステンドグラスに囲まれていて、中央に展望台へと続く螺旋階段があります。下から撮っても、上から撮っても、ポートレートでも、いろんな楽しみ方ができて、難易度も高くないのでどなたにもオススメです。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

撮影のポイント

  • 場所:下からあおって撮影するのが定番で、360゜どの位置からでもきれいに撮れます。
  • 天気や時間:山に囲まれた場所なので日没がかなり早く、天気のよい10時~14時頃が◎。ステンドグラスに日光が差し込むと、陰影のコントラストや自然の彩度がしっかり出て、一層きれいに撮影できます。
  • 設定や構図:F8以上でパンフォーカスにし、広角にするほどスケール感を出すことができます。放射線状になっているステンドグラスの枠で左右対称を意識しながら、収束点を中央より少し上に配置するとバランスがいいです。

 

螺旋階段×ポートレート

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

下から見上げて撮る際、モデルさんにすぐ上のところに立ってもらうと、人の存在感も生かせます。超広角レンズで人を入れるときは、ゆがみが少ないよう中心線上で、なるべく中央に配置するのが鉄則です。今回は中央よりやや下に入れて足長効果を狙いました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

こちらは上から撮影した写真。1段ごとに貼られた足型がおもしろいですね。奥行きを出すにはいちばん上から少し下りたところがちょうどいいと感じました。見下ろす構図では顔がゆがまないよう、顔が構図中央になるように配置します。

 

螺旋階段だけじゃなく、こんな写真も撮れる!

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

この写真は、ステンドグラスの美しさ・スケール感が伝わるよう螺旋階段のいちばん上から見下ろして撮影しています。幾何学パターンを意識して、半円の放射構図を作るようにしました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

こちらは、背景のステンドグラスを生かした神秘的な世界観のポートレート写真です。狭い空間のため、35mmや50mmでの撮影は難しく、24mmで撮影しました。こういったケースでも広角は重宝します。

 

彫刻の森美術館

神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1121
https://www.hakone-oam.or.jp/
※営業時間など詳細はHPをご確認ください。

注意点:人気の場所なので常に混雑しています。通行を妨げない、場所を占有しないなど、他の方の迷惑にならないようにしましょう。なお、螺旋階段のある「幸せをよぶシンフォニー彫刻」は悪天候などにより一部閉鎖となる場合もあります。

【山下公園】青が基調の爽やかな螺旋階段

最後に紹介するのは横浜の「山下公園」です。東側の外れに円筒状の建物があるのですが、中は螺旋階段になっています。通称「青の螺旋階段」で、Google Mapsにも出てきます。他に比べて奥行きはないですが、青とグレーのコントラストが特徴的です。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

撮影のポイント

  • 場所:上からは、階段を上り切る手前から撮ると、グレーの板を画角いっぱいに収められます。下からは、収束点の真下から撮ると空を入れることができます。
  • 天気や時間:雨でなければ問題なく撮影可能で、晴れていれば爽やかな空気感を切り取れます。
  • 設定や構図:F8以上でパンフォーカスに。上から撮影した1枚目では、グレーの板を手前に大きく写すことで奥行きを強調しました。下から撮る場合、向きによって青やグレーの割合が変わるので、好みのバランスになる位置から撮影します(個人的には左の青がメインの写真が好み)。青空を入れると雰囲気が出ます。空が白とびしやすいので、暗めに撮影して編集で持ち上げます。

 

螺旋階段×ポートレート

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

階の少ない螺旋階段なので、人を入れる場合は下からあおったほうがスケール感を出せます。青空を生かし、ポジティブな雰囲気にするため、右上を向いて空を見上げてもらいました。

 

こんな撮影も楽しめる!

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

ここは青色の壁が印象的で、純粋に背景としても魅力的です。上の写真では、50mmの自然な画角で、ちょこんと顔だけ出してもらいかわいらしさを演出しました。上から入る光で、壁に表情をつくっているのがポイントです。

 

山下公園

神奈川県横浜市中区山下町279

注意点:通行を妨げない、場所を占有しないなど、他の方の迷惑にならないようにしましょう。商業撮影に加え、個人でもモデルさんを伴う撮影には許可が必要です。撮影条件につきましては、詳細は横浜市都心部公園担当HPをご確認ください。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/midori-koen/koen/satsuei/toshinbu.html

螺旋階段の撮り方のポイント

ここからは、「螺旋階段」の全体に共通する撮影のポイントを紹介します。

【機材】手持ちできるカメラ+超広角レンズ

階段は上・下階への移動が本来の目的なので、通行の妨げにならないよう手持ち撮影が基本です。

  • カメラ:軽量で手持ちしやすいミラーレスがオススメ。手ブレ補正があるとさらに安心です。今回はフルサイズの Z 7IIを使用しましたが、手持ちでも苦にならず、手ブレ補正も優秀でした。高画素機であり、隅々まで解像させたい螺旋階段の撮影には非常に重宝します。
  • レンズ:広がりや立体感を出すためには、超広角がオススメです。これまで15mmをよく使っていましたが、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sで14mmで撮影し、1mmの違いを実感しました。外の光が入らない暗い場所もあるため、F2.8などなるべく明るく撮れるほうが好ましいです。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

設定:14mm・F2.8・1/15秒・ISO800

【設定】パンフォーカス+手ブレしないシャッタースピード

手ブレの心配のないシチュエーションでは、A(絞り優先オート)モードで、F値のみの調整でOKです。暗い場所で手ブレがシビアな場合は、マニュアルで撮影します。

  • F値:三脚が使える場合はF11以上まで設定する場合もありますが、手持ちではF8を基本にして全体にピントを合わせます。暗い場合はF2.8まで小さくして明るさを確保します。
  • シャッタースピード:特に暗い場所では手ブレしない数値に設定します。一般的に「1/焦点距離」秒が手ブレしない目安と言われますが、手ブレ補正の性能にもよるので、実際の機材で試しておくことをオススメします。
  • ISO感度:極力低く設定しますが、暗い場所ではISO感度で露出を調整します。

【撮影位置や構図】角に始点、中央付近に収束点を配置

  • 撮影位置:上から見下ろして撮ることで、階段や手すりの形状を生かすことができます。なお、螺旋階段は吹き抜けになっていることが多く、下から見上げるとまた違った螺旋になっている場合もあるため、上と下の両方から見てみましょう。
    上から見下ろす場合は腕を伸ばして極力俯瞰になるように、下から見上げる場合はかがんで撮ることで、螺旋感を強調できます。可動式モニターであれば、構図をしっかり確認しながら撮影可能です。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

左:上から見下ろして撮影、右:下から見上げて撮影

 

  • 構図:写真の角に始点、中央付近に収束点がくるように構図を決め、大きく渦を巻くようにすると、螺旋形状が際立ちます。特に上から見下ろす場合、階段を少し下った位置から撮ることで、画角いっぱいに階段を入れることができます。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

水平を取り、収束点を中心線上に配置する場合、縦方向の奥行きを際立たせるには「縦位置」で撮るのが効果的です。ただし、斜線上に配置する場合、写る要素に応じて縦位置・横位置かを判断します。

上の2枚の場合、左写真の縦位置では右上の階段の主張が強くなってしまっています。その点、右写真の横位置のほうが、収束点への視線の流れがきれいです。

【ポートレート】ゆがまないようモデルさんは中央付近に

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

螺旋階段でポートレート撮影を行う場合、螺旋形状を生かしながら、中心線上に配置してアクセント・視線誘導として生かすのがポイントです。広角での撮影では中央から外れるほどゆがんでしまうため、モデルさんが中央に近い位置にくるよう構図を決めます。なお、下から見上げての撮影では、中央から少し下であれば足長効果が期待できますが、やりすぎないよう注意が必要です。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

【編集】螺旋階段のディテールを際立たせる

最後に編集のポイントです。今回は、撮影時に露出の注意が必要な、青空を入れた写真を例に説明します。
※編集はLightroomを使用しています。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

吸い込まれそうな「螺旋階段」写真の魅力 – 東京近郊のオススメスポット5選と美しく表現するポイント

Lightroom編集画面

 

  • ライト(明るさ):空の白とびを考慮して暗めに撮影しているため、ハイライトを抑えつつ露光量を持ち上げます。
  • 効果:明瞭度をプラスして、ディテールを際立たせます。精細さを高めたい被写体の場合は、テクスチャもプラスに。そして、周辺光量補正を少しマイナスにすることで、中心に視線がいくようにします。
  • ゆがみ補正:超広角で撮影してゆがみが気になる部分については、ジオメトリ機能を使って水平・垂直を調整します。

 

吸い込まれそうな「螺旋階段」写真の魅力 – 東京近郊のオススメスポット5選と美しく表現するポイント
吸い込まれそうな「螺旋階段」写真の魅力 – 東京近郊のオススメスポット5選と美しく表現するポイント

左:編集前、右:編集後

Photographer's Note

「螺旋階段」とひと口に言っても、それぞれデザインや特徴、周囲の環境も異なり、実に個性豊かです。

螺旋階段の情報はネットやSNSなどでもチェックしますが、人と被らないようにするには建築関係の本を見ることもあります。オススメは『いい階段の写真集』や『現代建築家による階段のデザイン』。図書館に行くと、そういった建築関係の本を閲覧可能です。

今回紹介した以外にも、魅力的な螺旋階段はまだまだたくさんあります。意外と身近な場所にもあるので、ぜひみなさんも螺旋階段を探して撮影してみていただきたいです!

 

私自身は、国内はもちろんですが、今後は海外でも撮影をしてみたいと考えています。
自分にしか撮れない作品、自分のストーリーを入れた作品を求めて、これからも写真を続けていきたいと思います。

 

 

Nikon機材を使ってみて

今回、高画素のフルサイズミラーレスカメラ Z 7IIを使用しました。ピント合わせなどの性能がいい上に、手持ちが苦にならないサイズ感も魅力的。手ブレ補正が優秀で、手持ちでもブレなく快適に撮影できました。また、暗めに撮影する場面も多かったのですが、編集で持ち上げてもノイズがまったく気にならず、センサーのよさを実感しました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

メインで使用したレンズは、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sです。普段は15mmで撮ることが多かったため、14mmの広さ・解像感のよさを改めて体感。上の14mmで撮影した写真では、以前に15mmで撮影したときに比べ、ステンドグラスをより多く写し込むことができ、撮影時の画面越しから広さを実感しました。また、超広角レンズはゴーストが発生しやすいと言われていますが、ほぼ発生していないことに驚きました。Z 7IIとの組み合わせにより、螺旋階段をスケール感たっぷりに、精細に表現することができます。

 

螺旋階段撮影の注意点

  • 通行の妨げや、周囲の迷惑にならないように。
  • 撮影禁止の場所、三脚禁止の場所もあるため、その場所のルールを守りましょう。
  • 吹き抜けが多いので機材を落とさないように注意しましょう。

 

 

※こちらに掲載している情報は、2023年1月31日現在のものです。
Model:朝比菜りおな(@asahina_riona)、はるちの(@harutino__
Supported by L&MARK

 

 

mame

mame

国内や海外で撮影を行う。建築や夜景、自然の絶景、SF感のある写真など、独自の視点の作品を発表している。