連載企画『写真家と学ぼう! カメラ初心者ガイド』。カメラ初心者のナツキちゃんと一緒に、カメラや撮影の基本を学んでいきましょう!
Step14は「光の向き」です。光は写真の印象を左右する重要な要素。前からの光・後ろからの光・横からの光など、光の向きとそれぞれの特徴を、フォトグラファーの鎌田風花さんに教えていただきます。
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とついにカメラを購入。選んだのはAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。鎌田風花さん
ナチュラルな風景や人物写真を得意とするフォトグラファー。家族写真の出張撮影や広告撮影なども行っている。
おうちでスイーツの写真を撮ったんですけど、美味しそうに撮れないんですよ…。
ナツキちゃんが部屋で撮影したスイーツの写真
もしかしてこれ、ナツキちゃんの影で被写体に光が当たってないんじゃない?
あ…れ…、そうかも。
写真は、被写体への光の当たり方がすごく大事なんだよ。
被写体の印象を左右する光
光が当たると、こんなふうに被写体の中に明るい部分と暗い部分ができて、さらに影ができるでしょ。光が当たった部分は色がしっかり出て、暗い部分や影があることで立体的に感じるんだ。
左は光が被写体に当たって影ができている写真、右は弱い光で撮った写真で明るさを左にそろえたんだけどどうかな?
左:被写体に光が当たり影ができている写真、右:光が弱く影ができていない写真
左の影がある写真のほうが立体的ですね!
この「光」が、どの向きから被写体に当たるかによって印象が大きく変わるんだよ。
光の向き…?
光の向きによる写りの違い
光には、被写体の前方から当たる「順光」、後方から当たる「逆光」、横から当たる「サイド光」があります。
光の向きを変えて、同じ被写体を撮ってみたよ!
【3方向の光の特徴】
- 順光:全体が明るく、色がはっきり写る。
- 逆光:被写体の手前に陰影ができて、暗い部分が多く写る。
- サイド光:影が横にできて、立体的に写る。
わー、全然違いますね! 今までまったく意識してなかった…。
色がはっきり写る「順光」
「順光」は、風景とかで色をはっきり出したいときによく使うよ。青空もしっかり青く写せるんだ。
順光で風景を撮影した写真
色を出したいときは順光がいいんですね!
ただ、陰影が出にくいから、平面的に写りやすいという注意点はあるよ。
料理を順光で撮った写真
たしかに、影が少ないと立体感が薄まるかも…。
それと、撮る人の影が被写体に落ちちゃうこともあるからね。
あ、私がしちゃった失敗ですね。自分の影も気をつけます!
被写体が暗く写る「逆光」は、明るさ調整でソフトに仕上がる
次は「逆光」だけど、被写体の手前側が暗く写るんだ。あえて被写体をシルエットとして写すこともできるよ。
逆光で人をシルエットにした写真
被写体が暗く写っても、素敵な写真は撮れるんですね!
被写体はそのままだと暗いんだけど、露出を調整して明るくするとこんなふうに写るよ。陰になるとメリハリが少ない分、明るくするとソフトな印象になるし、輪郭が光で輝いてきれいだと思うんだ。
左:逆光で撮影、右:露出補正で明るくして撮影
明るくすると、やさしい雰囲気になりますね!
背景の明るい部分と被写体の暗い部分の差が大きくなって、明るい部分が真っ白になったり、暗い部分が黒くつぶれてしまう場合もあるから、その点は注意しておこう。
わかりました!
立体的に写る「サイド光」
3つ目は「サイド光」だね。これは被写体の明るい部分と暗い部分、影もしっかり写って、立体的に撮れるよ。
サイド光で撮影した写真
まわりの影も横に伸びるから、写真のアクセントとして生かすこともできるんだ!
サイド光でまわりの影を生かした写真
影がいい味を出してますね!
やさしいイメージの被写体でも、影でかっこよく写りやすいから、そこは注意だね。
3方向の間の光
光の向きの特徴がわかってきたんですけど、この3つの間だとどうなるんですか?
いいところに気がついたね!
斜め前からを「斜光」、斜め後ろからを「半逆光」と呼ぶんだけど、明暗の調整がしやすいから実は使う頻度が多いんだ。
順光・逆光・サイド光と同じ被写体で撮ってみたよ!
【斜めからの光の特徴】
- 斜光:順光とサイド光の特徴を合わせ持つ。色がはっきり出て、影により立体感もある。
- 半逆光:逆光とサイド光の特徴を合わせ持つ。被写体自体に暗い部分ができ、影により立体感もある。
たしかに、さっきの3つとは印象が違いますね。
私が料理を撮るときはよく「半逆光」を使うんだけど、逆光と同じように明るく調整すると、立体感を出しながら、やわらかい印象で撮れるんだ。透明な器だと光を透過してきれいだよ!
半逆光で料理を撮影した写真
わぁ、素敵! 料理は斜め後ろからの光…ですね。
上からの光
水平方向について話したけど、実は垂直方向の向きによっても印象が変わるんだ。
まだ「向き」があったんですね…。
こんなふうに、「真上からの光」「斜め上からの光」があるんだ。
太陽が昇って、沈んでくイメージですか?
そう! 太陽なら日中は真上、朝早くや夕方になるほど角度が低くなってくるよね。
【上からの光の特徴】
- 真上からの光:被写体全体に光が当たり、より明るい印象に。影は真下にできて短い。
- 斜め上からの光:影が横にでき立体感が出る。光の角度が低いほど影が伸びる。
立体感を考えると、斜め上からの光が撮りやすいんですか?
そうだね。真上からは光が強すぎる印象もあるから、斜め上からのほうが扱いやすいと思うよ。部屋で窓からの光で撮る場合は、自然と斜め上からの光になるしね。
たしかにそうですね!
光の強弱による写真の印象
「料理は斜めからの光がいい」って話したけど、光がすごく強い場合は注意が必要だよ。
え!?
光が強い場合と弱い場合で撮ってみたから、見比べてみよう!
左:光が強い状態、右:光が弱い状態
右の光が弱いほうが、ソフトな印象ですね。左はかっこよく感じます。
光が強いと、明るい部分と暗い部分の差が大きくなって、メリハリが強くなるんだ。
ソフトに撮りたいのに、光が強いときはどうしたらいいんですか?
レースカーテンを引くだけでも、光は抑えられるよ!
そんなワザが、やってみます!!
時間帯による光の色
最後になるけど、実は太陽の光は時間によって色の印象が変わるんだ。
!? …そういえば、夕方って赤っぽいですよね。
そう! 朝・日中・夕方でこんな特徴があるよ。
【時間ごとの光の特徴】
- 朝:透明感があり、やわらかい印象。
- 日中:忠実な色を表現できる。
- 夕方:赤みのある、あたたかい雰囲気。太陽が傾くため、陰影が強くなりドラマチックな印象。
それぞれよさがあるんですね!
特徴からすると、透明感のあるやわらかい印象にしたいときは、午前中がいいってことですか?
そうだね!
早速、明日撮ってみます! 新しい朝活だ~!!
NEXT STEP!
次は「スマホとの連携」です。スマホに「SnapBridge」というアプリをインストールすると、ニコンのカメラからスマホに写真を簡単に送ることができます。「SnapBridge」を活用したスマホとの連携について、フォトグラファーの嵐田大志さんに教えていただきます。
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK
※一部、Z 7で過去撮影した写真を掲載しております。