連載企画『写真家と学ぼう! カメラ初心者ガイド』。カメラ初心者のナツキちゃんと一緒に、カメラや撮影の基本を学んでいきましょう!
Step13は「構図」です。フォトグラファーの鎌田風花さんに、被写体を魅力的に写すための切り取る範囲や被写体の配置について、ポイントを教えていただきます。
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とついにカメラを購入。選んだのはAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。鎌田風花さん
ナチュラルな風景や人物写真を得意とするフォトグラファー。家族写真の出張撮影や広告撮影なども行っている。
花を撮ったんですけど、きれいな花の存在感がいまいち出てないんですよね。
ナツキちゃんが撮影した花の写真
何が主役かわかりにくいかもしれないね。まずは風景の中で「主役」を決めるのが大事なんだ。
主役…か。
この2枚の写真を見てみて。左がたくさん咲く花を撮った写真、右がその中から主役の花を決めて撮った写真だよ。
左:たくさん咲く花を写した写真、右:その中の一輪を主役にした写真
右のほうが、真ん中の花が主役だってわかりますね!
まず主役を決めること。そして、主役を際立たせるために、目の前の風景をどこまで写すかの「フレーミング」を考えてみよう!
フレーミング?
フレーミングを考えよう
ファインダーや液晶モニターに映る、写真として写す範囲を決めることを「フレーミング」と言います。
自分が主役の被写体に近づいたり、離れることで「どこまで写すか」を変えられるよ。レンズの焦点距離でも調整できるけど、ナツキちゃんは単焦点レンズだから自分で動いてみようね。
どういうときに近づいたり、離れたりするといいんですか?
近づいて撮ることを「寄り」、離れて撮ることを「引き」と言うんだけど、こんな特徴があるんだ。
寄りと引き
- 寄り:情報量が減り、主役の被写体が強調されます。
- 引き:情報量が増え、状況や空間の雰囲気が伝わりやすくなります。
じゃあ、花を撮るときはもっと寄ればよかったんですね。
数輪を際立たせたいときはそうだね。
人を撮る場合には、表情をしっかり写したいときは寄り、風景を一緒に写してスケール感を伝えたいときは引きという使いわけもしてるよ。
左:人を寄りで撮影、右:人を引きで撮影
それぞれによさがあるんですね!
横位置と縦位置
フレーミングは、カメラを「横に構える(横位置)」か「縦に構える(縦位置)」かでも大きく違ってくるよ。
まだ縦に構えて撮ったことがないんですけど、どう違うんですか?
私はこういう使いわけをしてるよ。
- 横位置:広がりを表現したいとき
- 縦位置:高さや奥行きを表現したいとき
横位置はより多くの情報を写せるんだけど、縦位置にすると要素を絞って主役を際立たせることもできるんだ。
左:横位置で撮影、右:縦位置で横の要素を絞って撮影
たしかに、縦のほうが真ん中の花の存在感が強まりますね!
構図を考えよう
「どこまで写すか」を話してきたけど、それにプラスで「主役をどこに写すか」も大切だよ。この主役の位置や画面の構成のことを「構図」って言うんだ。
構図? 特に意識したことはなかったですけど、私は真ん中に写すことが多いと思います…。
真ん中に写すと主役を際立たせやすいよね。じゃあ、下のように真ん中から右に主役の位置をずらしてみるとどうかな?
主役の被写体(手前の花)を右側にずらしていった写真
被写体がずれるほど、後ろの風景にも目がいくようになりました!
主役を左や右に寄せると、その場の雰囲気が伝わりやすくなるよ。
ちなみに、人が被写体だと顔や体の向きがあるよね。実は向きと主役の位置によっても印象が違うんだ。
左:顔の向きのほうをあけた写真、右:顔の向きと反対側をあけた写真
顔の向きに自然と目がいくから、左の写真のほうが背景も目に入ってくるんじゃないかな?
ほんとですね!
位置や向きで主役とまわりの風景にどれくらい目がいくかが変わるから、何をいちばん見せたいか考えながら撮影してみてね!
はい、やってみます!
あ…でも、主役の位置を決めるのって難しそう。どこにでも配置できるから悩んじゃいそうです。
“こう配置すればバランスがいい”という定番の構図があるから、それを覚えておくといいよ!
定番…知りたいです!
定番の構図を覚えよう!
特に出番の多い定番の2つがこれだよ。
【汎用性の高い構図】
- 日の丸構図:被写体を画面中央に配置することで、その存在感が強調できます。周囲になるべく余計なものを入れないほど、効果が強くなります。
- 三分割構図:画面を縦横に三分割してできたライン、また交差する部分に被写体を配置。主役と背景をバランスよく写せます。
主役を中央に配置する「日の丸構図」はすでにナツキちゃんやってるね!
知らずにやってました!
主役を強調できて、使いやすい構図だよね。それと、中央から被写体を外すときにバランスをとりやすいのが「三分割構図」だよ。
このラインや交差する部分に配置すればいいんですね! でも実際に撮るときに頭の中で三分割するのは大変ですね…。
厳密じゃなくても大丈夫だよ。それに、Z fcなら撮影画面に格子線を出せるから、活用してみてね!
※ Z fcで格子線を表示する方法はこちら
これは便利ですね。やってみます!
それと、変化をつけられる構図もあるから参考にしてみてね!
【変化をつけられる構図】
- 対角線構図:画面の対角線上に被写体を配置。動きや奥行き感を出すことができます。
- 額縁構図:画面の中でさらに枠(額縁)を写すと、その中の被写体が強調されます。
「対角線構図」は「斜線構図」とも言うんだけど、必ずしも対角線上でなくても、斜めの線を意識すると動きが出るよ。
斜線を意識して橋の欄干を撮影
無意識にまっすぐ水平に撮ろうとしてました。斜めでもいいんですね!
そうなんだ!
それと「額縁構図」は、花や葉とかまわりを囲むものなら何でも大丈夫だよ。
桜の木でロープウェイを囲み、額縁構図にした写真
すごく素敵ですね。額縁もやってみたいです!
まわりをよく観察すると、構図に生かせるものは結構あるよ。
自分の好きにフレーミングするのがいちばんだけど、それを見つけるための近道として今回紹介した構図を試してみてね!
わかりました! 撮るのがまた楽しみになってきましたよー!!
NEXT STEP!
次は「光の向き」です。光は写真の印象を左右する重要な要素。 前からの光・後ろからの光・横からの光など、光の向きとそれぞれの特徴を、フォトグラファーの鎌田風花さんに教えていただきます。
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK
※画面キャプチャ―や機能名は Z fcのものを記載しております。