ライフスタイルに溶けこむテーブルフォト〈後編〉- アングルとスタイリングで魅力を際立たせよう!

ライフスタイルに溶けこむテーブルフォト〈後編〉- アングルとスタイリングで魅力を際立たせよう!

みなさん、こんにちは! ユータ(@yutaokashi)です。「素朴でいつまでも愛され続けられるような焼き菓子や料理」を、Instagramをメインにアップしています。

「ライフスタイルに溶けこむテーブルフォト」前編の“世界観のつくり方”はいかがでしたか?
後編では、実際の撮影時のポイントについて紹介していきたいと思います。

 

テーブルフォトのポイントは「アングル」と「光」

アングルごとにスタイリングの仕方を変える

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

撮影するアングルは、大きくわけて3パターンです。

  • 斜めから(実際の目線に近い)
  • 真上から(俯瞰)
  • 横から

アングルごとにテーブルの広がりや奥行きなどの写りこむ要素が変わり、それに伴って組み合わせるものの配置などスタイリングの仕方も変わってきます。

今回はこの3パターンのアングルごとに、スタイリングを含めた撮り方のポイントを紹介していきます。

光は斜めから、少し弱めに被写体に当たるように

テーブルフォトは自然光のみで撮るので撮影時間は基本的に日中で、夏は午前6時頃、冬は日が昇る時間が遅くなるので午前8時頃に撮っています。ただし、朝の撮影は仕事に行く時間とのせめぎ合いです(笑)

僕の家には天窓があり、2階で撮ることで斜めからの光を取り入れやすい環境にあります。天窓がない場合でも、横の窓からの自然光が斜めから入るように意識するといいと思います。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

光の強弱は天気によって違いますが、日差しが強い日のダイレクトに届く光よりも、日差しが弱い日の1枚フィルターを介したような光のほうが、白とびなどせず撮影しやすいです。光が強い場合は、窓のレースカーテンなどを閉めて撮影すると白とび防止につながります。

基本の“斜め”からの撮影では、テーブルの広がりと奥行きを生かす

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

斜めからのアングルは実際の目線に近く、横方向と奥行き方向、物のフォルムなど立体的な要素が入ってくる、基本の撮り方です。まずはここを押さえましょう!

 

画角決めのコツ

  • レンズはズームで、仕上がりの画角に調整

被写体が目に飛びこんでくるように、ズームレンズを使ってお菓子との距離感を調整します。このスタイルは、ほぼ仕上がりの画角で撮影できるので気に入っています。

  • 奥行きを生かしたいときは縦写真に

奥行き要素が入る撮影では、縦写真にするとバランスが取りやすくなります。

対角線を意識した配置&四隅のどこかをあけて抜けをつくる

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

この写真は、「2人で楽しむおやつ時間」をイメージしました。カップを手前と奥に置くことで奥行き要素を生かしつつ、「誰かと食べるんだな」というシチュエーションを思い描けるようにスタイリングしています。

 

ライフスタイルに溶けこむテーブルフォト〈後編〉- アングルとスタイリングで魅力を際立たせよう!

 

「誰かと食べているシーン」をイメージすると、コーヒーマグなどは対角線に配置するとより自然です。そして、対角線配置は広がりと奥行き方向を効果的に使うことができ、そのライン上に主役のお菓子を置くことで、視線の流れもつくることができます。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
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左の写真はコーヒーマグが2つとも左側にありますが、右の写真に比べると少し窮屈に感じませんか? 右の写真のように対角線配置、かつ写真の四隅のどこか(今回は左下)をあけることで、すっきり感とゆとりを持たせています。

前ボケを加え、主役への視線誘導と奥行き感の強調

斜めのアングルは空間のバランスを取るのが意外と難しく、要素が増えがちです。そのときも、色やトーンをそろえることでゴチャゴチャした印象をなくすことができます。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

  • 同じ色と質感でそろえるとゴチャつかない(特に透明であれば)
  • 対角線配置&四隅の一つはあける

さらに、配置した要素を生かして前ボケにすることで、奥行き感が強調され、かつ主役が目に飛びこんできやすくなる…という視線誘導の効果もあります。

 

ライフスタイルに溶けこむテーブルフォト〈後編〉- アングルとスタイリングで魅力を際立たせよう!

 

要素が多い場合でも整然と並べると、知的でもの静かな雰囲気に。抜け感や奥に向かう視線の流れをつくることで、イメージが写真のフレームを超えて外へと広がりが生まれます。

 

より現実感のある写真にするために

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

器の上は商品撮影のようにきれいすぎるよりも、お菓子の細かい一部などがのっているほうが、より自然な雰囲気が伝わる写真になります。

“真上”からの撮影では、料理や食卓の広がりを生かす

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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斜めからの撮影では一つの料理、もしくは一つの器の中でも手前側が主に写りますが、真上からの撮影では全体が均等に写ります。そのため、食卓全体の雰囲気を広く撮りたいときや、平面的な盛り付けを見せたいときに効果的。器の形状も生かすことができます。

器などはあえて見切らせ、広がりをつくる

基本は、斜めからの撮影同様、

  • 対角線などの配置を意識して、視線の流れをつくる
  • 写真の四隅のうち一つはあけることで、抜けをつくる

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
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ただし、写りこむテーブルに対して要素が少ないと、味気ない写真になりがちです。そこで大事なのが、器や布、カトラリーの大小や配置でリズムをつけること。特に、サブの器などはあえて見切らせることで、広がりが生まれます。

このとき、高さがあるものはその影が主役のお菓子に重ならないように注意。また、自分の影が写りこまないように、光との位置関係に気をつけましょう。

 

モニターで必ず被写体同士の距離を確認

真上から撮るときは、実際の目視とモニター越しで見る距離感が結構異なります。モニター越しで確認しながら、被写体同士の距離を近めにするのがバランスよく仕上げるコツです。

床や椅子を入れると、立体感を出せる

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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真上からの撮影は、「背景がすべてテーブルの状態で撮る」という先入観があるかもしれません。実は、「テーブルの端」もいい撮影スポットなんです。床が入ることで自然と奥行きと明暗差が生まれ立体感が出ますし、椅子などでストーリーを感じさせることができます。

“横”からの撮影では、高さと前後の奥行き要素を生かす

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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パフェやドリンク、重ねたお菓子など高さのあるものを撮影するときに便利なアングルです。見せたいものをはっきり写しつつ、インパクトのある写真が撮影できます。特にローポジションから撮ると、お菓子の高さと空間の奥行きを生かせます。

布や食材の一部で、手前の空間をほどよく埋める

このアングルでは、「壁」も要素の一部です。理想は「壁を含めて3色程度にまとめる」ですが、そこまでシビアではなく、実際の壁や所持している壁紙や天板の中からイメージに合ったものを選んでいます。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

また、テーブルの端にお菓子を置いてテーブルと壁を区切ると画づくりがしやすくなります。そうすると、お菓子の手前にスペースがあいてきますが、布や食材の一部などでほどよく埋めていきます。布などを前ボケにすると奥行き感を強調できてオススメです。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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写真の間のびを防ぐために

お菓子を積み上げたり、高さのある食器や小物を要素に取り入れると、写真の上部が間のびするのを防げます。

光は横から入れて、被写体の陰で立体感を出す

ライフスタイルに溶けこむテーブルフォト〈後編〉- アングルとスタイリングで魅力を際立たせよう!

 

先ほどの写真を見ると、お菓子の左側に陰ができているのがわかると思います。横から光を当てると、メインの被写体自体に陰ができて、明暗差が生まれて立体的に写るんです。

順光では背面が陰になり写真に写る部分はのっぺりしてきますし、逆光では手前全面が陰になって立体感が薄れてしまいます。

※僕の場合、被写体自体にできる暗い部分を「陰」、被写体が光をさえぎりテーブルなどにできる暗い部分を「影」と呼んでいます。

“温もり”や“リラックス感”など、あえて生活感を伝えるスタイリング

人の存在を入れて、温もりを伝えるコツ

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

料理撮影には、人の存在も大事だと考えています。

手やカトラリーを添えたり、ソースをかけたり、人が写りこむことで“静”から“動”の写真になり、見る人に何かストーリーを感じてもらえるような仕上がりになるからです。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

1枚目の写真は、「誰かと向き合って食べているのかな」と想像も膨らみますよね? 2枚目のサーブしているシーンを切り取った写真は、テーブルの風景やお菓子の香りまで感じられます。

 

“2人”を感じられる構図に

自然な雰囲気を出すポイントは、対面で向き合っているような構図にすること。また、奥行き要素など周囲の環境を取り入れると、見た人がいろんなシーンを想像できます。ただ、現実感を出しすぎないよう、ぼかすようにしています。

ソファやベッドで、リラックス感を連想させる

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

テーブル以外に、ソファやベッドの上にお菓子を置くと、リラックスしているシーンや優しい印象の写真を撮ることができます。

 

ファブリックで、「ソフト」で「無造作」な世界観をつくる

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

リラックス感を出すには、「ソフトさ」と「無造作」がポイントです。

  • ベッドやソファのファブリックをうまく取り入れて、ソフトで優しい印象に
  • ファブリックをあえてくしゃっとしわをつくることで、無造作でナチュラルさを演出

このとき、素材や色、柄などが違う2種類以上を使うことで、布団やクッションに包まれている雰囲気が出ます。

そして、自然な雰囲気を表現するため“斜め”のアングルで撮影。ただし、あくまで落ち着いた雰囲気を心がけて、色数の多用や小物の盛りこみすぎは禁物です。

Photographer's Note

日々の記録をより美味しく、美しく

僕の撮影目的は日々の記録です。いつ、どんなお菓子や料理を作ったのか、何を楽しんだのかということが、後から感じられるように撮影をしています。

光の取り入れ方や配置など、直感で手が動くときもあれば、なかなかうまくいかずに時間がかかってしまうこともありました。その積み重ねが、知らず知らずのうちに自分にしか出せない表現や世界になっていくのではないかなと思って楽しんでいます。

今回掲載したポイントが、みなさんの感性を引き出すことに少しでも役に立てばうれしいです。自由に楽しみながら取り組んでみてくださいね!

 

 

Supported by L&MARK

 

 

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Z 6

製品ページ ニコンダイレクト
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NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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ユータ

ユータ

「serve!!!」を合言葉に、素朴でいつまでも愛され続けられるような焼き菓子や料理のテーブルフォトを投稿している。ELLE gourmet Foodie's Club、REGALO公式アンバサダー、フーディーテーブルアンバサダー。