ライフスタイルに溶けこむテーブルフォト〈前編〉- 世界観のつくり方

ライフスタイルに溶けこむテーブルフォト〈前編〉- 世界観のつくり方

みなさん、はじめまして! ユータ(@yutaokashi)です。

普段は「素朴でいつまでも愛され続けられるような焼き菓子や料理」を作り、記録として残す上で「余韻を残す日常の中の一コマ」をテーマに、そのお菓子が引き立つ写真や構図を考えて撮影しています。

今回は、僕が普段テーブルフォトを撮るときに意識しているスタイリングのポイントや撮り方について、前編と後編の2回にわたって紹介していきたいと思います。

前編は「世界観のつくり方」です。

 

料理撮影をはじめたきっかけ

僕がお菓子作りを本格的にはじめたのは今から6年ほど前です。もともと、学生時代に何度かお菓子作りはしたことがあったのですが、どれも失敗に終わり…。

それから数年後、「もう一度はじめてみたいな」と思って教室へ通いはじめたことがきっかけです。上達していくことにもおもしろさを感じ、すっかりハマってしまいました。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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テーブルフォトを撮るときは、お菓子たちの個性を引き立たせるために洋書の雑誌などを参考に、「かわいい」より「かっこよく」スタイリングしています。写真に関しては、自分好みの世界観で残したいと撮影しはじめ、5年ほど前からカメラを使ってしっかり撮るようになりました。

現在は、「アメリカンベーキング」というアメリカ発祥の素朴な焼き菓子をはじめ、世界のお菓子や料理を、ライフスタイルの一部に溶けこむようなスタイリングで撮影しています。

テーブルフォトの世界観の考え方

「さあ撮影!」…の前に。写真を見てくださった方が食べるシチュエーションを想像できるように、「魅せたいお菓子の世界観をイメージすること」が大切です。僕の場合は、洋書のレシピ本で表現されているような世界観や質感を意識しています。

魅せたいお菓子の世界観をイメージ

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

ここで2つのお菓子とイメージした世界観を例に出したいと思います。

  • 左の写真は、パルミエというフランスの伝統菓子。歴史のある印象なので、「アンティークな雰囲気」をイメージしました。
  • 右の写真のお菓子は、アメリカンコーヒーケーキ。左の写真とはがらっと印象を変え、「アメリカ東海岸のシティな雰囲気」をイメージしました。

 

作るお菓子を決める基準

  • 基本は、自分が今食べたいもの。特に旬の食材を使ったお菓子で季節を感じたいと思っています。
    (春はイチゴ、夏はブルーベリーや桃、秋はカボチャやイチジク、冬はリンゴなど)
  • Instagramを見ていて、海外の方の写真でいいなと思うものがあるとマネしてみたりもします。
  • 新しい食器やカトラリーを選ぶときは「これにどんなお菓子や料理が合うか」イメージするので、購入したら実際に作ってみます。

 

どんなアイテムで世界観をつくっていくか考える

イメージがある程度できたら、撮影したいお菓子や料理を見て、美味しそうな情景や美味しさが引き立つスタイリングを考えます。実際のお菓子(先ほどのアメリカンコーヒーケーキ)の写真で比較してみましょう。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

上の2つの写真では、左がNG、右がOKのスタイリングだと考えています。NGとOKのポイントを比較すると…

【NG】

  • 使用するカラーやトーンに統一感がない
  • かわいい印象のある皿の柄が、植物やテーブルの質感と合っていない
  • 特に茶色の皿は、写したいお菓子が沈んでしまっている

【OK】

  • 主役のお菓子がしっかり際立っている
  • お菓子に合うメインカラーとサブカラーを統一(この場合は白と黒)
  • 皿とお菓子の雰囲気とカラーが調和し、全体で一つの世界観ができている

このように、器や小物の色や質感、テーブル環境によって、お菓子が引き立つ・引き立たないが変わってくるんです。

 

ここからは、スタイリングで重要な2つのポイントについて説明していきたいと思います。

  • カラースタイリング
  • イメージに合う食器やプロップス選び

※プロップスとは、被写体を演出するための小道具類のことです。

主役を引き立てるカラースタイリング

まずは、カラーを3色程度にまとめることから

料理と皿、カトラリーや布など、使うカラーを3色程度にまとめるとスタイリングしやすくなります。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

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上の写真では、お菓子の「茶色」、食器の「白」、敷物に入っている刺繍の「青」の3色に絞りました。お菓子が引き立ちつつ、全体がまとまって見えると思います。

 

色合わせの基準

色の合わせ方は大きくわけて2つです。

  • 料理のカラーを引き立てる
  • テイストを連想させる(冷製なら冷んやりとしたイメージのブルーやホワイトなど)

まずは、料理のカラーを引き立てるところからはじめてみましょう。上の作例も、お菓子の「茶色」とクリームの「白」を引き立てるように色合わせをしました。オレンジ系(茶色を含む)とブルー系は補色関係にあり、お互いに引き立て合う“失敗しない配色”でオススメです。

慣れてきたら、「温かい」テイストや「クール」なテイストを連想してみると、スタイリングの幅が広がりますよ。

写真のトーンも意識

色数だけでなく、トーンも意識しましょう。僕はしっとりした味わいや静的で余韻のある印象を残したいので、写真全体の彩度を落とすようにしています。

 

写真編集前写真編集前
写真編集後写真編集後

 

海外の写真を参考に編集

スマホアプリの「VSCO」や「Snapseed」を使って編集しています。影を強調して、立体感を出すように。また、海外の写真を参考に、シャープネスを少し強めにかけて、主役の存在感を際立たせています。

イメージに合う食器やプロップスを決める

テーブルフォトでは、主役となる料理の他に、サブの食器やプロップスの質感も重要です。

 

お菓子などを撮る場合は、

  • デザートプレート(15~21cm程度の大きさ)
  • デザートフォーク
  • デザートスプーン

をまず用意しましょう。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

はじめての方は、プレートは白などシンプルなものからはじめてみるのがいいと思います。焼き菓子がきれいに引き立ちますよ。慣れてきたら徐々に柄物などを取り入れていくとテーブルフォトの幅も広がります。

 

食器やカトラリーを用意する上で…

まずは、おうちにある極力シンプルな食器やカトラリーからはじめてみるのがいいと思います。

ZARA HOMEやIKEA、RoyalDesignなどオンラインのライフスタイルショップでも、シンプルなものからユニークなテーブルウェアが販売されているので、新たに用意したい方はそこからチェックしてみてもいいかもしれません。また、古道具屋さんで売っている味のある食器やカトラリーを用意すれば、たちまち雰囲気の出るテーブルフォトになります!

イメージした世界観に沿って、料理と食器をペアリング

それでは、「世界観をイメージ」で紹介したお菓子を例に、実際のペアリングの考え方を紹介します。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

パルミエというフランスの伝統菓子は歴史のある印象なので、アンティークなイメージでスタイリングしました。

  • のみの市で購入したプレートやカップ
  • 古材を使った天板

を使うことで、お菓子のアンティークなイメージと統一性を持たせています。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

こちらは、アメリカンコーヒーケーキを、アメリカ東海岸のシティな雰囲気をイメージしてスタイリングしました。

  • 東海岸のシティはビルやアスファルトなどの無機質なイメージがあるため、グレーの背景を使用
  • ワークテイストを持たせたいので、黒縁の皿をセレクト

プレーンな皿よりも差し色や軽い模様のある皿、ヴィンテージのカトラリーを使うのがオススメです。

 

なお、今回の背景には天板を使っていますが、壁紙を敷いて背景にするのも手だと思います。壁紙でオススメなのは、壁紙屋本舗さんです。輸入壁紙など、海外インテリアの世界観を手軽に楽しむことができます。

 

プロップスが主役にならないように

選ぶときに意識するのは、あくまでお菓子が主役ということです。はじめての方だと、どうしても食器単体で選びがちです。撮影の際は「お菓子+プロップス」を基準にして、カラーや形を決めるとうまく仕上がります。

器やプロップスの配置

料理を盛り付ける食器が決まったら、布やカトラリーなどの小物類を含めたスタイリングを考えます。下の写真は、布とカトラリーを入れない場合(左)と入れた場合(右)の比較です。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

それぞれの特徴として

  • リネン生地の布を添えると、温もりを感じられる
  • カトラリーを加えると、ストーリー性や動きが出る

…と、加えることで“人の存在や暮らし”をイメージできるようになると思います。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

続いて、上の2つの写真はどちらがいいと思いますか?
僕は、左がNG、右がOKのスタイリングだと考えています。

NGの左は、先ほど紹介した布とカトラリーの両方を入れていますが、要素が多すぎです。器や小物をスタイリングするときは、なるべく少ない要素で効果的に見せるよう心がけます。SNSにアップする場合はスマホの小さい画面で見ることになるので、なおさらです。

 

スタイリングのポイント

  • 先ほど同様、使用するカラーは3色程度にまとめる
  • 主役のお菓子が一番大きく、目がいくように
  • お菓子の色+皿の色+テーブルの色のメリハリがつくようにする
    (左は温かみのある布を入れていますが、布と皿の色が近いので印象が弱くなっています)

 

なお、カトラリーなどは、カメラアングルを決めてから配置していきます。“物撮り”の無機質な写真にならないように、食べるシチュエーションを感じられるように自然な置き方を意識します。

 

スタイリングのオススメアイテム

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

お菓子の撮影では、アンティークの皿やカトラリーはより一層主役の存在が引き立ちます。僕はよく、海外旅行の際にのみの市や古材店などで、宝探しをするように探しています。今は海外旅行が難しい状況ですが、オンラインショップからも海外のアイテムをチェックできますよ。

<オススメのオンラインショップ>

 

また、撮影のアイデアは外国の雑誌やサイトを見て刺激を受けています。

<オススメのサイト>

 

+ + +

 

…前編はここまで!

後編は「テーブルフォト実践編」として、撮影するアングルごとの撮り方やスタイリングのポイントを紹介していきます。ぜひお楽しみに! 

 

Supported by L&MARK

 

 

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Z 6

製品ページ ニコンダイレクト
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NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

製品ページ ニコンダイレクト

 

 

ユータ

ユータ

「serve!!!」を合言葉に、素朴でいつまでも愛され続けられるような焼き菓子や料理のテーブルフォトを投稿している。ELLE gourmet Foodie's Club、REGALO公式アンバサダー、フーディーテーブルアンバサダー。