光跡夜景の撮り方の基本とおすすめスポット7選 – 長時間露出で光の軌跡を写し撮る!

光跡夜景の撮り方の基本とおすすめスポット7選 – 長時間露出で光の軌跡を写し撮る!

みなさん、はじめまして。東京を中心に夜景撮影をしているフォトグラファーのKouki(@kouuki923)です。普段は東京の都市夜景の他に、リフレクションや光跡などを撮っています。

 

過去にD5600で撮影した写真(左・右:AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR、中央:AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G)

過去にD5600で撮影した写真(左・右:AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR、中央:AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G)

 

夜景の中でも特に、車などの光の軌跡を写した「光跡」は、カメラで長時間露出撮影をすることではじめて見える世界で、撮っていてかなり楽しいです!

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

今回は私の好きな「光跡」について、基本の撮り方と、東京のおすすめ撮影スポット7選をご紹介したいと思います。
※夜景の基本の撮り方を知りたい方は、まずこちらをチェックしてみてください!

 

光跡をきれいに撮るための基本ポイント

光跡になる被写体として、車や電車、船などがあります。ここでは、特に狙いやすい車の光跡の撮り方を、順を追って紹介していきます。

光跡を撮るための条件

  • 撮影場所:車のライトを写すので、車通りの多い道路の歩道橋の上がおすすめです。

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

歩道橋の上から光跡を写したのが右の写真です。光跡のありなしで比較すると、同じ画角でもまったく印象が違いますよね!

 

  • カメラのセッティング:光跡を写すには長時間露出で撮影するため、三脚にカメラを固定するのが基本です。まわりの邪魔にならないように極力コンパクトに、また長時間占有しないように十分配慮しましょう。

三脚はコンパクトで利便性に優れたものがおすすめ

愛用している三脚はVelbonの「ULTRA 355」です。コンパクトで持ち運びやすく、ローポジションにもセッティングできます。リフレクションやローアングル撮影をしたいときにも重宝します。

光跡をきれいに写す設定

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

設定:15秒・F14・ISO50・25.5mm

 

  • 露出モード:シャッタースピードを指定するため、シャッター優先オートかマニュアルに。まずはシャッター優先オートからはじめてみてください。慣れてきたらF値も設定できるマニュアルのほうがよりきれいに写せます。私はマニュアルのバルブに設定して、露出時間を自分で決めています。
  • シャッタースピード:10秒を基準に、交通量や車の速度によって微調整します。遅すぎると白とびするので、ご注意ください。
  • F値:光跡全体をしっかり写すため、そして白とびしないように、F13~14を目安に。
  • ISO感度:三脚に固定してシャッタースピードをかなり遅くするため、ISO100以下に極力下げます。
  • 焦点距離:スケール感を表現する上で広角がおすすめ。14~30mmの焦点距離域をよく使います。

 

長時間露出撮影で気をつける設定

三脚に固定して長時間露出撮影をする場合、下記の設定はすべてOFFにします。

  • 手ブレ補正、自動ゆがみ補正:撮影時に補正がかかってしまうと、逆にブレの原因になる
  • ISO感度の感度自動制御:自動にすると高感度になってしまうため
  • 高感度時ノイズ低減:細部のディテールも失われるため、ノイズは低ISO感度にして抑制
  • 長秒時ノイズ低減:露出時間と同じだけ処理時間がかかり、撮影効率が悪くなる

シャッターの切り方とタイミング

  • シャッターの切り方:シャッターボタンを指で押すと反動でブレが発生してしまうため、リモートでシャッターを切ります。リモートコントローラ、もしくは、ニコンのアプリ「SnapBridge」をスマホにインストールすると遠隔操作ができます。
  • タイミング:信号待ちで車がないタイミングに心の準備をすませ、車が走りはじめたらシャッターを切ります。私自身、一発でうまく撮れるわけではないので、何回も車を待ってチャレンジしています。

 

なお、光跡写真で大切なプロセスである、レタッチ・合成については記事の最後に紹介します。

光跡のおすすめ撮影スポット7選

撮り方を覚えたら、いろんな場所で光跡撮影にチャレンジしてみましょう。ここでは、私がこれまで撮影してきて、特におすすめしたい東京の撮影スポットを紹介します。

ちなみに、普段場所を探すときは、Google EarthやGoogle Mapsのストリートビューを利用したり、Instagramで他の方の写真を見たりして、「いいな」と思った場所に実際に行ってみるようにしています。

①光跡がクロスする港区芝・札の辻歩道橋

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

先ほどの写真も、ここで撮影しました。左の写真の中央に写っている歩道橋からは右の写真のような景色が見えます。

Vラインがたまらなくかっこいいですよね! 奥には東京タワーも見えます。ここは、車線が合流していろんな光跡を撮ることができるので、東京で一番好きなスポットです。この日は雲が少なかったのですが、雲があるとかなりインパクトが増します。

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

設定:10秒・F13・ISO50・14mm(7枚合成)

 

こちらがこの場所で撮った光跡写真です。左右から放射状に出る光跡、そして合流地点での重なりがかっこいいですよね! 左右の光跡をできるだけ幅広く写すために、広角端14mmで撮影しました。

 

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

設定:1/20秒・F6.3・ISO2500・185mm

 

ここは光跡だけでなく、東京タワーの存在感を生かした夜景も撮ることができます。「いろんな夜景を撮りたい」という方は、まず押さえておきたいスポットです!

②光跡×ビル夜景が楽しめる東京ミッドタウン日比谷

 

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/撮影地:東京ミッドタウン日比谷 パークビューガーデン

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/撮影地:東京ミッドタウン日比谷 パークビューガーデン

 

東京ミッドタウン日比谷6階にあるガラス張りの空中庭園「パークビューガーデン」は、ビル群の夜景と車の光跡がセットで撮影できるぜいたくな夜景スポットです。三脚も使用できますよ。

 

ガラス反射の写りこみを防ぐコツ

光跡夜景の撮り方の基本とおすすめスポット7選 – 長時間露出で光の軌跡を写し撮る!

 

三脚にカメラを固定すると、レンズをガラスに近づけるのに限界があります。このとき、上の写真のような「忍者レフ」というレンズ周囲を黒い面で覆うアイテムがあると、反射の写りこみを防げて便利です。ない場合でも、上着などをレンズのまわりにかぶせると、写りこみを軽減できます。

 

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/撮影地:東京ミッドタウン日比谷 パークビューガーデン

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/撮影地:東京ミッドタウン日比谷 パークビューガーデン

設定:10秒・F13・ISO50・55mm(9枚合成)

 

ここは交差点を見下ろせるため、光跡の交わりを楽しめます。なお、下の道路までは距離があるため、標準~望遠のレンズがおすすめ。上の写真は55mmで切り取りました。

道路の割合をかなり多くして光跡が目立つ構図にしているのですが、圧縮効果でビル群も強調されています。窓の光と光跡がマッチしていますよね!

③高速を見下ろす品川区八潮の歩道橋

 

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

次に紹介するのは、高速道路を見下ろして撮れる歩道橋です。

 

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

設定:15秒・F14・ISO64・59mm(4枚合成)

 

高速道路の光跡は、きれいな直線になるのが魅力です! 高速道路の両サイドの光跡もアクセントになっています。

 

Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

左:38mm、右:59mm

 

ここでのポイントは、焦点距離です。左は38mmで撮った写真ですが、空がかなり多く、光跡のインパクトに欠けてしまっています。右のように画角を狭くすることで、光跡が際立つ引き締まった写真になります。

④左右の光跡に挟まれる赤坂見附の歩道橋

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

おすすめスポット4つ目は、赤坂見附駅近くにある歩道橋です。ここは空が入らず、また違った印象の光跡を撮ることができます。

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

設定:15秒・F13・ISO50・14mm(8枚合成)

 

左右対称の構図にして、焦点距離14mmでパースをつけました。上の道路に光跡が反射しているのもポイントです。

また、往復の車線がきれいに分離していることで、光跡の色もくっきりわかれているのがわかると思います。車のヘッドライトは白、テールライトは赤やオレンジのため、進行方向によって光跡の色も変わるんです。交差点では色が混ざってしまうのですが、直線部分ではそれぞれの色を出すことができます。

なお、上が高速道路のため揺れて構図のズレが発生しやすいので、後から光跡を合成するためには多めに枚数を撮っておきましょう。

⑤青白い光がクールな六本木三丁目の歩道橋

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

先ほどヘッドライトとテールライトの色の違いをお話ししましたが、片側三車線を見下ろすこの歩道橋からはヘッドライトの光跡を狙います。

ポイントは、上を走る首都高や右側のビルなどの存在感。ここにヘッドライトの青白い光が入ると、クールでかっこよく仕上がるんです。

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

設定:13秒・F14・ISO50・14mm(3枚合成)

 

どうでしょうか? かなり近未来感のある描写になりました! 14mmで撮りましたが、広角になるほどスケール感が出ます。

なお、気をつけたいのが白とびです。暖色系のテールライトに比べ、白いヘッドライトはとびやすいので、露出時間を抑えつつ、ISOも最低値にしています。

ここは駅から近いので、ヘッドライトの光跡撮影にチャレンジしてみてください。

⑥Uターン光跡が狙える世田谷区瀬田の歩道橋

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

次に紹介するのは、少し珍しいスポット。この歩道橋からはUターン部分が目の前にあり、ぐるっと円を描くような光跡を撮ることができます。

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

設定:10秒・F14・ISO50・24.5mm(6枚合成)

 

Uターンの光跡がかっこいいアクセントになりました! 広角すぎると空の部分が多くなってしまうので、左右の光跡がギリギリ収まる24mm程度に画角を狭めています。

ここで撮影するときのポイントは、Uターンする確率が高くなる、交通量の多い時間帯に行くことです。夜遅くになると車が少なくなってしまうので、17~19時の帰宅ラッシュ時を狙います。

⑦路面電車が目の前を通過する飛鳥山駅近く

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

最後に紹介するのは、車ではなく路面電車の光跡が撮れるスポットです。目の前を通過する路面電車によって、迫力のある光跡が生まれます!
三脚を使う際は、確実に安全な場所で、まわりの迷惑にならないように十分注意して撮影してください。

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

設定:13秒・F14・ISO50・27.5mm(2枚合成)

 

いかがでしょう? 上から見下ろす光跡とは違って、かなり迫力があります。ポイントは、電車の光跡だけでなく、路面電車自体も入れることです。

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

比較すると、電車のありなしで光跡の存在感が全然違います。路面電車は毎回信号で止まるため、そこまで難しくはないのでぜひチャレンジしてみてください! 信号で止まって、動き出すタイミングが狙い目です。

光跡を美しく仕上げるレタッチ

光跡写真は、撮影後のレタッチがとても大事です。

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

こちらが、最終状態の写真。かなり光跡が多いですが、実は同じ構図で撮った写真を合計4枚合成しているんです。

 

レタッチの手順

  • 編集ソフトで、各写真の明るさやディテールを調整
  • 加工ソフトで、調整した写真を合成

各写真の明るさやディテールを調整

「Lightroom」編集画面

「Lightroom」編集画面

 

Lightroomで主に以下の項目を調整して、光跡をシャープにかっこよく仕上げます!

  • 明るさ:白とびしないように抑えて撮っているので露光量やシャドウを上げ、ハイライトは下げて明るい部分のディテールを出します。
  • ディテール:一番有効なのが質感の強弱を調整するテクスチャで、基本+100にしています。明瞭度やかすみ除去は0~30を目安に、好みのディテールに仕上げます。
  • 周辺光量:周囲を少し暗くして光跡を際立たせます。目安は0~-40。下げすぎると黒くなってしまうので、今回は-15にしました。

 

編集後
編集前

左:編集前、右:編集後

 

光跡が際立ちながらも、写真全体が引き締まりました。この編集作業を、合成したい各写真についてそれぞれ行います。

調整した写真を合成

明るさやディテールを調整した写真を、合成していきます。スマホでは「Photoshop Mix」というアプリがおすすめです。

 

「Photoshop Mix」編集画面
「Photoshop Mix」編集画面

「Photoshop Mix」編集画面

 

まずはベースになる写真を決め、さらに重ねる写真を選びます。そして、下のメニューバーの「ブレンド」で、合成します。

 

「Photoshop Mix」ブレンド画面

「Photoshop Mix」ブレンド画面

 

合成方法は「比較(明)」をセレクト。「比較(明)」は、写真同士を比較して明るい部分だけがベースに足されるので、同じ画角で撮った写真であれば光跡だけが重なります。

 

合成後
合成前

左:合成前、右:合成後

 

右がさらに写真を重ね、4枚合成したものです。合成前と比べると、道路が光跡で満たされ、見応えのある写真になりました。

合成枚数が多ければいいというわけではなく、道路がまんべんなく埋まるように、違った角度のものをバランスよく重ねるのがコツです。

 

合成する際の注意点

  • 撮影時:ブレや構図のズレがあるときれいに重ならないので、カメラを三脚にしっかり固定して同じ画角に。また、写真同士の明るさに差が出ないように露出時間は同じにします。
  • 編集時:「比較(明)」で合成する際に光跡以外の明るさが変わらないように、同じ調整値で明るさをそろえましょう。

Photographer's Note

夜景の中でも「光跡は難しい」と感じている方は多いと思いますが、基本のポイントさえ覚えればきれいに撮ることができます。道路の形状やまわりの夜景によっても光跡写真の雰囲気は変わるので、まずはみなさんの近くで光跡が撮れそうなスポットを探してみてください。

 

私はもともと、夜景を見るのが好きでスマホで撮りはじめたのですが、「もっとクオリティの高い写真が撮りたい」という気持ちから一眼レフのD5600を購入しました。シャドウの描写や寒色寄りの色味が夜景にマッチして、そこからすっかり夜景撮影にはまってしまい、今では週4日くらいは撮影に出かけています。
今回はミラーレスのZ 5で撮影しましたが、かなり軽い上に、撮って出しのクオリティやシャドウの描写・高感度特性がよくて、夜撮影に強いカメラだなと思いました。

スマホでは撮れない世界をカメラなら撮れるので、ぜひ夜景撮影を楽しんでください!

 

光跡撮影の注意点

三脚を立てる際は安全を確保し、周囲の迷惑にならないように、同じ場所を長時間占有しないようにご注意ください。

 

 

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NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

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NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

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Kouki

Kouki

東京を中心にさまざまな夜景を撮影するフォトグラファー。2017年に写真をはじめ、今では多いときに週4日は夜景を撮影するほどに。特に美しい光跡やリフレクション写真が注目されている。