ホタルの撮影ガイド - 種類・生息地・活動時期などの基本情報と、幻想的に写す撮影・合成のポイント

ホタルの撮影ガイド - 種類・生息地・活動時期などの基本情報と、幻想的に写す撮影・合成のポイント

こんにちは。フォトグラファーのsaizou(@saizou4)です。普段は風景や自分の興味のあるものを撮影していて、特に四季の移り変わりを楽しんでいます。

これまで、星の撮り方、地元・島根のオススメスポットなどを紹介してきましたが、今回は「ホタル(蛍)」です。

 

写真をはじめるまでは、ホタルは限られた場所にしか生息しないと思っていて、「見に行こう」という考えもありませんでした。ですが、あるフォトグラファーのブログに掲載された美しいホタルの写真に魅了され、カメラを購入した2012年からホタルを撮りはじめました。ホタル撮影でいちばん楽しいのは、真っ暗な夜に淡い光を放ちながら、たくさんのホタルが飛び交う光景を目にするときです。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D5500、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G
D5100、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G
(左上)D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED、(右上)D5500、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G、(左下)D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G、(右下)D5100、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

 

この記事では、ホタル撮影で知っておくべきこと、撮影の基本ポイントを紹介します。

 

撮影前に知っておくべきこと

まずは、ホタルの種類や生息地、見られる時期や時間帯を知ることからです。

ホタルの種類ごとの特徴と生息地

日本にいるホタルで代表的なのが、「ゲンジボタル」「ヘイケボタル」「ヒメボタル」の3種類です。

ゲンジボタルとヘイケボタルは水辺に、ヒメボタルは森など陸地に生息し、生息地としては大きく2パターンにわかれます。

 

水辺に生息する「ゲンジボタル」「ヘイケボタル」

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

川のまわりを飛び交うゲンジボタル

 

  • 特徴:ゲンジボタル・ヘイケボタルは数秒光りながら飛ぶため、線を描くような光跡を写すことができます。ゲンジボタルはヘイケボタルより一回り大きく、光も強いため、撮影しやすいです。

 

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

ゲンジボタルの生息地の例

 

  • 生息地:特にゲンジボタルは、水がきれいで流れが激しすぎない、かつ、エサのカワニナが生息している清流に生息します。そして、ホタルは明るい場所を嫌うため、明かりが少なく暗いところです。
    生息地は、各自治体が場所や見頃などを公開しているため、比較的探しやすいと思います。ただし、有名な場所は人も多いため、私はその近くで生息していそうな場所を探すことが多いです。

 

陸地に生息する「ヒメボタル」

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

山の中で飛び交うヒメボタル

 

  • 特徴:ゲンジボタルより一回り小さく(ヘイケボタルよりさらに小さい)、黄金色の光の点滅が特徴です。発光間隔が短く、瞬くような光を放ちながら飛ぶため、光は丸く写ります。
  • 生息地:明かりを嫌うため、月明かりも届かないような真っ暗な場所、杉林や竹林など森の中にいることが多いです。

 

今回は、生息地を見つけやすく、撮りやすい「ゲンジボタル」をメインに紹介していきます。

ホタルが現れる時期・時間

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

  • 時期:気候や標高などで変わりますが、5~7月がメインシーズンです。
  • 天気や気候:風の弱い日や蒸し暑い日によく飛ぶ姿が見られます。これまで雨の日に飛んでいる姿を見たことはありません。
  • 時間:早くて19時半頃から飛びはじめ、20時~21時頃に活動が活発になる傾向。地域によってはもっと遅い時間に飛ぶことがあり、明かりが強い場所は弱まった頃から飛ぶ可能性もあります。

 

「月明かり」には注意!

月明かりの影響が大きいため、新月の夜などが狙い目です。

 

D750、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

D750、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

 

こちらは満月の日に撮影した写真です。ホタルの光より明るい月の光が木々を照らし、ホタルの光より目立ってしまいました。真っ暗な場所で撮影するため、現地では気づかないような淡い光でも写真では明暗差が大きくなります。

ホタル撮影のための機材や持ち物

  • カメラ:ISO感度を上げて撮影するため、高感度に強いカメラがオススメです。

 

Z fc


なお、暗闇ではアクセスランプの光が非常に気になるため、テープでふさぎます。

 

  • レンズ:暗所撮影で、できるだけ開放F値の小さいレンズが有利です。特に光が弱いヒメボタルまで考えると、少なくてもF2.8以下で、F1.8以下の単焦点がオススメ。焦点距離は24~70mmが撮りやすいです。

 

  • 三脚:画角を変えずに長時間シャッターを切り続けるので、できるだけしっかりとした三脚を用意しましょう。
Z fc


反射テープなどをつけておくと撤収の際に見つけやすく、他の方が気づかずひっかけるなどを未然に防げます。

 

  • レリーズ:指でシャッターボタンを押すと振動でブレてしまうため、レリーズにより遠隔でシャッターを切ります。レリーズがなくても、カメラ内のインターバルタイマーでも撮影可能です。

 

その他の持ち物

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  • マスキングテープ:フォーカスリングを固定するために使います。
  • 長袖・長ズボン:季節的に蚊やブヨなどの虫がたくさんいるため必須です。
  • 防水靴:水のそばが多いので、ぬかるみを歩いても平気な長靴に。
  • 腕時計:非常に明るいスマホでの時間確認は避けましょう。蛍光塗料が塗ってあるような、明かりのきつくない腕時計があると便利です。
  • ライト:明るいうちに到着して準備をすませ、撮影時はライトをつけません。ホタルは光が嫌いで、他の撮影者とも光のせいでトラブルになることもあります。ただ、生息地は足もとがぬかるんでいる場所が多いため、撤収時は両手がふさがらないヘッドライトがあると安全です。その際も、生息地のルールを守り、他の撮影者に向けない、近くに人がいる際は点灯の際に一声かけるなどの配慮が必要です。
  • 折り畳み椅子:撮影は1~2時間ぐらいかかるので、コンパクトな折り畳み椅子があると楽です。

ホタル撮影のポイント

ホタル撮影は真っ暗な中で行うため、その場の風景も生かした写真に仕上げるには、ホタルの光跡と背景を別で撮影して、後で合成するのがベーシックな方法です。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

左:ホタルの光跡、右:背景

 

ホタルの嫌うライトをつけなくてすむように、明るさが残る時間(19時頃まで)に現地に到着し、

  • 設定
  • 背景を撮影
  • ホタルの光跡撮影

というステップで進めます。

Step.1 長時間露出撮影の設定

  • 撮影モード:長時間露出撮影のためマニュアルに。
  • F値:背景はF8~16程度に絞り、光跡は開放気味で撮ります。なお、開放で撮ると光跡が太くなりますが、気になる場合は少し絞りましょう。
  • ISO感度:状況によりますが、ゲンジボタルはISO800~1600程度でも十分に写ります。ヒメボタルは光が弱いので最低でもISO1600、上限はISO3200~6400程度を目安に。なお、暗めに撮影して後から持ち上げるとノイズが出やすいため、撮影時に思い切って上げてしまったほうが結果的にノイズが出にくいです。

 

D5100、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR
D5100、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR
D5100、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

左:ISO2000(F3.5・20秒)で撮影したが露出不足、右:そのまま編集で持ち上げた結果ノイズが出てしまった失敗写真。

 

  • シャッタースピード:長時間ノイズが出にくいよう10~15秒程度がオススメですが、最近のカメラは長時間ノイズがかなり抑えられているので、30秒で撮影することもあります。

 

その他の設定ポイント

  • 画質モード:後で画像処理しやすいRAWがオススメです。
  • 長時間ノイズリダクション:撮影時間が倍かかり、光跡の撮影できる枚数が減るためオフに。
  • アクティブD-ライティング:露出が撮影中に変わるためオフに。
  • 手ブレ補正:三脚固定時は予期せぬブレの要因となるためオフに。
  • AF補助光:AFは使用せず、余計な光が出るので切ります。
  • ホワイトバランス:オートでは設定がコロコロ変わるので固定に。経験上「晴天」がベターです。

 

  • ピント合わせ:何かの拍子にフォーカスが動かないようMFに。

 

D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G

D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G

AFでピント合わせに失敗した写真。何かの拍子でシャッターボタンに触ってしまい、AFが動いてしまいました。

 

Z fc


暗くなってしまうとピントの再調整はできないので、マスキングテープなどで固定しておきます。

 

ホタルの撮影ガイド - 種類・生息地・活動時期などの基本情報と、幻想的に写す撮影・合成のポイント
ホタルの撮影ガイド - 種類・生息地・活動時期などの基本情報と、幻想的に写す撮影・合成のポイント

 

ピントは、背景を撮影するときに合わせた位置に固定して、そのままホタルの光跡を撮影します。上の写真では、手前の川の部分にホタルが飛ぶと予測して中央付近の岩にピントを合わせました。

 

注意! 撮影中はモニターをつけない

モニターの光もホタル撮影ではネックになります。ミラーレスであればモニターモード切り換えボタンで「ファインダーのみ」にしておき、ファインダーで撮影写真の確認や設定の変更を行います。基本は撮影がはじまったらカメラを動かさない・触らないが鉄則です。

Step.2 背景となる風景撮影

通常の風景撮影のように、ISO感度を低く、F値を絞って撮影します。

 

事前にホタルが飛ぶ時間に下見しておく

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

構図決めですが、実際にホタルが飛ぶまでは、どこに飛ぶか・どのような光跡が撮れるかはわかりません。ですので、まずは飛んでいる時間に下見をしておきましょう。何度か訪れると「このあたりを飛ぶだろうな」と予想がつくようになります。

その予想をもとに、背景の構図を決めていきます。上の写真では、奥行き感を出し、視線を誘導させるために右下からCの字を描くような構図にし、その上をホタルが飛び交う様子をイメージしました。

ただし、予想通り飛ばない場合もあり、それがホタル撮影の難しさであり、おもしろいところでもあります。

 

背景撮影は「薄暮」の時間帯

明るい時間帯に撮ると不自然なコントラストが出てしまうので、薄暮の時間帯に撮るのがオススメです。

 

D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G

D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G

背景が失敗した写真

 

上の写真を撮影したのは20時頃でしたが、背景としてはまだ少し明るい時間帯でした。構図としても奥側の木の隙間から光が入ってしまい、ホタルが目立たなくなってしまっています。

Step.3 ホタルの光跡撮影

ゲンジボタルであれば、F1.8・ISO800・15秒程度で光跡は十分に写せます。これをベースに状況に応じて設定を調整するのがよいでしょう。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

設定:F4・ISO800・30秒(光跡を16枚合成した写真)

 

上の写真では、

  • F値:撮影位置から少し距離がある位置にホタルが飛んでいたため、ホタル全体にピントが合うようF4に。
  • ISO感度:ノイズが出すぎないようにISO800に。
  • シャッタースピード:長時間ノイズは気温が高いほど出やすいと考えられており、このときはそこまで気温が高くなかったので、長時間ノイズもあまり出ないだろうと30秒に設定しました。

 

ヒメボタルの場合

D5500、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

D5500、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

設定:F2.8・ISO3200・20秒

 

ヒメボタルの場合、点光源として輝きを強調するためF値は1.4~2.8に、ISO1600~6400程度、長時間ノイズが出ないように15~30秒で撮影します。

 

光跡写真は、枚数が多いほど合成に使える写真が確保でき、完成写真の仕上がりが変わるので、同じ設定のまま撮り続けます。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

左:光跡1枚、右:光跡を16枚合成した写真

Step.4 ホタルの光跡と背景を「比較明」合成

ホタルの光跡写真と背景写真は、編集ソフトで「比較明」合成します。「比較明」とは合成する写真を比較して明るいほうのピクセルを選んで合成する方式で、光跡写真でよく用いられます。
※合成はPhotoshopで行っています。

なお、合成の前に、他人のライトの明かりや車のヘッドライトなど、余分なものが写っているものは間引いておきましょう。

 

背景写真の調整

  • 露出:背景が明るすぎるとホタルの明かりが目立たないため、背景の露出を下げて調整します。
  • ホワイトバランス:設定ごとに印象が変わるので、好みの色味にしましょう。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED  

左:調整前の背景写真、右:調整後の背景写真

 

比較明合成

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

左:光跡写真(16枚合成)、右:背景と光跡を「比較明」で合成

 

光跡の量でイメージが変わってくるので、撮影したもの全部を合成するのではなく、イメージに合わせて間引くなど調整を行います。

撮影後の比較明合成で複数枚の写真を重ねる際に、思い通りの構図で飛んでくれていたかどうかを見るのも楽しみの一つです。

 

重ねすぎに注意!

D5100、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G
D5100、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G
D5100、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

左:重ねすぎ、右:ある程度間引いた写真

 

はじめのうちはたくさん光跡を入れたくなると思いますが、ゲンジボタルは光跡になるので、個人的には多すぎるとうるさく感じてしまいます。ホタルが生きていて、飛んでいっている様子がわかるくらいの光跡の数がちょうどいいと思っています。

 

D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G

D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G

ヒメボタルの写真

 

ただし、点光源のように見えるヒメボタルでは、たくさん重ねたほうが仕上がりがよくなる場合もあるので、実際に撮影した写真をもとに、好みに合うよう調整していくのがよいでしょう。

最後に、これまで撮影してきたホタルの写真をご覧ください。ホタルの光と自然風景や歴史の深い建物が織り成す光景は格別です。

 

D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G

D5100、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G

低いアングルから撮影し、森が輝いているような雰囲気に。現像時に色温度を黄色寄りにすることで黄金のようなイメージに仕上げました。

 

D750、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

D750、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

坂を降りてくるようなホタルの光。大きな光跡を撮影でき、それを生かすような合成枚数に調整しました。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

趣ある建物とホタルが織り成す光景。合成でホタルの数は多く見えていますが、数の少ない場所だったため光の数を稼ぐため3時間ほど撮影しました。

 

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

参道沿いに飛ぶホタル。視線を誘導できるようにカーブを生かしてC字構図にしています。

 

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

森の中をひそやかに飛ぶ雰囲気に。そのため、光跡の合成枚数を少なくしています。

 

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

川の上を舞うホタル。川の上は開けて明るくなっているのでホタルが飛びにくい環境でしたが、ホタルが飛びやすい奥の暗い部分を構図に入れてバランスをとりました。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

ホタルと星の輝き。以前、ホタルを撮影していた際に北極星が見えたため、後日その北極星を構図に入れホタルと星を同時に撮影しました。

Photographer's Note

存在は知ってはいたもののどこか遠い存在だった「ホタル」ですが、カメラを買って撮影に出ることで「こんなにも身近にいるのだ」と知ることができました。

淡い光を放ちながらゆっくりと飛翔する姿はとても幻想的で、彼らの儚くも美しい一瞬の命の輝きを写真に収められるのが、ホタル撮影の魅力です。

 

これからホタル撮影にチャレンジする方へのアドバイスとして、どんな撮影でもそうですが、まずは撮ってみることが大事です。どんな場所でも状況でもいいので、とにかくホタルにレンズを向けてシャッターを押してみましょう。Z システムのように新しいカメラであれば、光跡を収めることはできると思います。最初は拙い出来かもしれませんが、それでも自分のカメラにホタルの光が写ったという経験はかけがえのないものです。

私も最初に撮影した一筋の光跡にすごく感動したのを今でも覚えています。

 

ホタル撮影に適したNikon機材

  • カメラ:ホタルの撮影では暗い中でセッティングをしていくことになります。Nikonのカメラはボタン類の配置や操作性が非常によく、暗くて見えない場所でもしっかりと操作することができます。もちろん、機材への慣れも必要ですが、それでもボタンの位置や大きさ、高さなどが細かく違って作られており、どこのどのボタンなのかが触ってわかるようになっているのです。また、暗部を持ち上げたときにノイズが出にくく、しっかりと粘ってくれるので、暗所での撮影が中心のホタル撮影には非常に役立ちます。
  • レンズ:ホタルの光は瞬間光のため、シャッタースピードを上げて光跡を伸ばすことはできても、それ自体の光を強めることはできません。ですので、絞りかISO感度で調整していくことになります。ISO感度を上げればノイズが出やすくなるため、F値の小さい50mm f/1.2や85mm f/1.2というラインナップがある Z レンズは心強いです。

 

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct

Z 7、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct

 

私は Z システムに移行してから、ヒメボタルの撮影ではNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctを使うことが多いのですが、これまでのレンズでは考えられなかった素晴らしい描写をしてくれます。

 

ホタル撮影のマナー

  • ホタルを採らないでください:羽化したホタルの寿命は短く、とても儚い命です。決して採ったりせず観賞するのみにしてください。
  • 住民の迷惑になる行為は慎んでください:ホタルが発生する周辺には住宅などがありますので大きな声で騒いだり、田んぼや畑など私有地に無断で入ったりしないでください。ホタルの有名な場所では一般の方も観賞にいらっしゃるので、三脚や機材で道をふさいでしまうことがないように。また、ゴミは必ず持ち帰りましょう。
  • 懐中電灯やカメラのフラッシュをホタルに向けないでください:ホタルは明かりを嫌います。懐中電灯などはホタル発生場所には向けないでください。通常の撮影方法ではホタルを撮ることはできませんので、カメラのフラッシュはたかないようにしましょう。携帯電話の使用も禁物です。また、車のヘッドライトやテールランプなど灯火類が影響するため、ホタルが飛翔しているそばまで車を乗り入れないよう注意をお願いします。

 

 

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saizou

saizou

島根出身の写真家。全国各地の美しい風景を撮影する他、ポートレートなどさまざまなジャンルの撮影を行う。Zマウントシステムで作品づくりを楽しむフォトグラファーをピックアップする「Zcreators」にて、インタビュー記事が掲載中。