この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント

この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント

こんにちは。長野県出身のフォトグラファー、Daisuke Uematsu(@daisukephotography)です。「四季の美しさ」をテーマに、さまざまな地で風景を撮影しています。

これまで、桜や富士山などの撮り方を紹介してきましたが、今回は「花火大会」です。

「日本の夏」のイメージは人それぞれあると思いますが、私は花火大会に行くことで「今年も夏が来たなぁ~」と実感するほど、花火は特別なイベントだと感じています。印象的な花火が打ち上がり、ドーンと広がった瞬間に誰もが「おぉぉー!」「わー!」と歓声を上げる瞬間が大好きです。

 

D850、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

D850、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

私が花火撮影を本格的にするようになったきっかけは、地元・長野県の諏訪湖の花火です。小さい頃から見ていた花火大会ですが、一眼レフカメラではじめて撮影したときに、流れ落ちる花火の光が美しく写し出されていることに感動しました! それ以来、さまざまな地域の花火大会を撮るようになったのです。

今回は、これまで撮影してきた中からオススメの花火大会を、撮影のポイントと合わせて紹介します。

 

この夏行きたい花火大会7選

今年から徐々に花火大会が再開されます。活気ある花火大会が日本に戻ってきたことがとても喜ばしいですし、日本各地で素晴らしい花火と共に歓声が上がると思うと本当にうれしい気持ちです。

どの花火大会も開催地や職人さんの想いの力を感じるのですが、これまで見た中から特にオススメの7つの花火大会をピックアップしました。

 

花火大会撮影の基本ポイント

花火をきれいに写すには、シャッターボタンを押している間シャッターを開くバルブ撮影を行い、「花火が打ち上がる瞬間~尾を引き消えるまで」の長時間露出が基本となります。三脚の使用可否や使用の仕方は大会や場所ごとにルールがあるので、そちらを守って撮影しましょう。

【長野・諏訪湖祭湖上花火大会】体に響くほどの轟音と光の共演

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

48mm・F20・20秒・ISO100

 

まずは、私の地元・長野県の諏訪湖で行われる花火大会です。湖を利用した水上スターマイン(連射連発花火)や、音楽とシンクロしたスターマインが見どころ。そしていちばんの魅力は音と光の共演です。四方を山に囲まれた盆地にあるため、花火の音が周囲の山と反響し合い“自然のスタジアム”のようになり、体の芯にまで鳴り響くかのような迫力ある音の花火を楽しむことができます。
※花火の演出は年によって変わる可能性があります。

 

撮影ポイント

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

48mm・F14・9.2秒・ISO100

 

  • 位置:立石公園から諏訪湖と諏訪の夜景を一望できます。花火との距離が比較的近く、高い位置にあるため花火全体をとらえることができます。
  • 構図:標準域で花火と夜景の両方を収められます。ロケーションを生かすため夜景をC曲線で入れ、三分割構図で花火を右側に配置し、花火のトップが収まる位置を想定して決めました。
  • 設定:9~20秒の長時間露出、F14~22で露出を調整します。※設定するISO感度によります。

 

諏訪湖祭湖上花火大会

開催日:2023年は8月15日
会場:長野県諏訪市 上諏訪温泉諏訪湖
https://suwako-hanabi.com/
※開催詳細はHPをご確認ください。
※8月15日の大会当日、立石公園付近は交通規制により、車両で通行することができません。徒歩での移動になります(上諏訪駅より約30~40分)。

注意点:以下のルールを守って、他の方の迷惑にならないようにご注意ください。カメラマン席以外は三脚禁止です。
https://suwako-hanabi.com/usage-notes/

【新潟・長岡まつり大花火大会】見どころ満載の日本三大花火大会

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2018年

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2018年

 

長岡まつりの前身である「長岡復興祭」は、空襲から1年後の昭和21年に慰霊・復興の想いで開催されました。日本三大花火の一つで、大型花火の数々に、はじまりから終わりまで目が離せない花火大会。特にオススメしたいのが「復興祈願花火フェニックス」・「天地人花火」・「正三尺玉」です。
※花火の演出は毎年変わります。

 

撮影ポイント①「復興祈願花火フェニックス」

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2018年
D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2018年
D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2018年

左:14mm・F11・26秒・ISO160、右:14mm・F11・17秒・ISO160

 

「復興祈願花火フェニックス」は長岡でしか見られません。開花幅全長約2kmは圧巻。復興祈願花火に寄せられた想いを知り、見た後に心に残るものは何にも変えられない感動があります。

 

  • 位置:場内観覧席(左岸会場)から。
  • 構図:超広角レンズが望ましいです。観客が見上げる空に咲くフェニックスを写したくて、14mmで地上:空を1:2の三分割で撮影しています。
  • 設定:17~26秒程度の長時間露出、F11~22で露出を調整します。※設定するISO感度によります。

 

D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2017年

D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2017年

14mm・F22・20秒・ISO80

 

こちらは、右岸のフェニックスエリア席から撮影したものです。フェニックスの全容をバランスよく見られます。

 

撮影ポイント②「天地人花火」

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2018年

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2018年

14mm・F11・7.1秒・ISO64

 

スターマインでありながら、一つ一つの花火が位置もタイミングも緻密に計算された素晴らしい完成度です。

 

  • 位置:場内観覧席(左岸会場)から。
  • 構図:超広角域で花火全貌を写します。打ち上げがはじまると花火と花火の間にインターバルはほとんどありません。打ち上がる前にアングルを天地人花火の方向に修正して臨みましょう。
  • 設定:7~10秒の長時間露出、F11~20程度で露出を調整します。※設定するISO感度によります。

 

撮影ポイント③「正三尺玉」

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2017年

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2017年

38mm・F11・22秒・ISO100

 

日本でも限られた場所でしか見られない30号玉。爆音で打ち上がる瞬間から、約600mの上空で直径約650mもの大輪の花を咲かせる瞬間まで、全員が釘付けで長岡の空を見上げます。

 

  • 位置:場内観覧席(左岸会場)から。正三尺玉は打ち上げ場所が他とは違い長生橋上流側となるため、はじめての方はとまどうかもしれません。場所がわからない場合、打ち上がってから落ち着いてカメラを合わせれば、花火が開くのに間に合います。
  • 構図:標準域で画角いっぱいに花火を写せます。
  • 設定:20秒程度の長時間露出、F11~14程度で露出を調整します。※設定するISO感度によります。

 

長岡まつり大花火大会

開催日:毎年8月2日~3日
会場:新潟県長岡市長生橋下流信濃川河川敷
https://nagaokamatsuri.com/
※詳細はHPをご確認ください。

注意点:2023年は花火会場内が全席有料席となっています。三脚は座高の高さが上限で、自分の席から離れての撮影は禁止されています。以下、会場のルールに従ってください。
https://nagaokamatsuri.com/beginner/manner/

【山梨・河口湖花火】夏と冬に楽しめる富士山と花火のコラボ

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2019年

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2019年

 

河口湖では、夏と冬に花火大会が開催されます。湖面に反射する光が美しい花火。天候に恵まれれば富士山との共演を楽しめるのが大きな魅力です。

 

撮影ポイント①夏「河口湖湖上祭」

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2018年

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2018年

34mm・F16・49秒・ISO160

 

山梨県内最大級の花火大会です。ミュージカル花火、打ち上げ花火、スターマインなど、約1万発の花火が夜空と湖面を華やかに染め上げます。
※花火の演出は年によって変わる可能性があります。

 

  • 位置:産屋ヶ崎駐車場付近の遊歩道は、車道とは高さが違うため安全に撮影でき、天気がよければ富士山がよく見えます。この日は霞んでいたこともあり、富士登山者のライトがうっすらと写りこんでいます。
  • 構図:標準域で花火の湖面の反射を画角いっぱいに収められます。富士山が見えるかは天候と月明かり(月齢)にもよりますが、この写真では富士登山者の明かりと花火が撮影できました。
  • 設定:花火自体は10秒程度の露出時間で十分ですが、このときは、霞の中の富士山を写そうと花火が打ち上がり消えてからも露出を続けました(霞がひどく富士山は写りませんでしたが)。

 

撮影ポイント②冬「河口湖冬花火」

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2019年

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2019年

58mm・F9・12秒・ISO160

 

雪景色の富士山を背景に、澄み切った夜空を花火が鮮やかに彩ります。期間中、1日約1800発が打ち上がります。
※花火の演出は年によって変わる可能性があります。

 

  • 位置:河口湖北岸の古賀政男記念公園付近から、富士山と花火を撮影できます。
  • 構図:標準域で富士山と花火の全貌を写せます。風が穏やかな際は湖面に反射し、水面と空を二分割にするのがポイントです。
  • 設定:10秒程度の長時間露出、F9程度で露出を調整します。※設定するISO感度によります。

 

河口湖湖上祭

開催日:2023年は8月5日
会場:河口湖湖畔
https://fujisan.ne.jp/pages/396/
※詳細はHPをご確認ください。

河口湖冬花火

開催日:2024年は未定
メイン会場:大池公園
https://fujisan.ne.jp/pages/403/
※詳細はHPをご確認ください。

注意点:開催日は近隣が大変混雑するので、マナーを守り、周囲の迷惑にならないようにしましょう。

【山梨・神明の花火】二尺玉の大花火が空を埋め尽くす

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

 

江戸時代には日本三大花火の一つとして数えられていた神明の花火。いつしか歴史が途絶えてしまいましたが、平成元年に復活し、現在では約2万発打ち上がる山梨県内最大規模を誇ります。二尺玉を含む超特大スターマインが打ち上がり、夜空に花開いてからキラキラと輝く花火が印象的です。
※花火の演出は年によって変わる可能性があります。

 

撮影ポイント

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

50mm・F13・3.1秒・ISO100

 

  • 位置:無料観覧席より撮影。多種多様なスターマインが次々と打ち上がり、色彩豊かな花火の表情が楽しめます。
  • 構図:それぞれスターマインの全景をできるだけ大きく写せるように、50mmで画角いっぱいに花火を撮影しています。
  • 設定:輝きが強いため、白とびしないように3~7秒程度の短めの露出で、F13~22で露出を調整します。※設定するISO感度によります。

 

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2016年

50mm・F20・7.3秒・ISO100

 

神明の花火

開催日:2023年は8月7日(雨天決行、荒天時8日、9日に延期)
会場:山梨県西八代郡市川三郷町地内 三郡橋下流笛吹川河畔https://www.town.ichikawamisato.yamanashi.jp/shinmei/
※詳細はHPをご確認ください。

注意点:マナーを守り、周囲の迷惑にならないようにしましょう。

【三重・きほく燈籠祭】想いを乗せた花火が海を染める

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2018年

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2018年

32mm・F14・14秒・ISO100

 

紀北町で7月に開催される夏の風物詩。たくさんのボランティアスタッフが携わり製作する巨大燈籠と、約3000発の鮮やかな花火の共演が見どころです。入り組んだ海岸線になっており、海に美しい花火が反射します。
※花火の演出は年によって変わる可能性があります。

 

撮影ポイント

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2018年

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2018年

70mm・F14・6.8秒・ISO100

 

  • 位置:みえ熊野古道商工会の駐車場付近は、打ち上げ場所と湾を挟んだ延長線上にあるため花火のリフレクションを撮影できます。
  • 構図:通常の花火の大きさであれば70mmでほぼ収まりますが、花火に合わせ広角を選択できると◎。リフレクション撮影をする際は、水面:空を二分割にします。
  • 設定:7~14秒程度の長時間露出、F14程度で露出を調整します。※設定するISO感度によります。

 

ここでしか見られない仕掛け花火「彩雲孔雀千輪」が人気なのですが、タイミングが難しい花火として有名です。記事で掲載した花火の年は撮ることができず、周囲の何人かも撮り逃して笑ってしまいました。

 

きほく燈籠祭

開催日:2023年は7月22日予定
会場:三重県紀北町 長島港
https://touroumaturi.com/
※詳細はHPをご確認ください。

注意点:場所のルールに従い、周囲の迷惑にならないようにしましょう。撮影で駐車場など敷地に立ち入る際は、事前に所有者や係員の承諾を得てください。

【神奈川・みなとみらいスマートフェスティバル】横浜夜景を彩る鮮やかな花火

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2019年

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2019年

 

クイーンズスクエアや観覧車、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルなど、煌びやかなみなとみらいの夜景に、鮮やかな花火が華やかさを添えます。25分間で約2万発と首都圏最大級です。
※花火の演出は年によって変わる可能性があります。

 

撮影ポイント

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2019年

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2019年

17mm・F16・22秒・ISO64

 

  • 位置:横浜ランドマークタワー69階展望フロア「スカイガーデン」から、花火と横浜みなとみらいの夜景が一望できます。
  • 構図:できるだけ夜景を入れるため、超広角で撮影(1枚目はトリミングもしています)。1枚目は、さらに船の光跡を別で撮影し、比較明合成しています。船を入れられるのはここならではです。
  • 設定:20秒程度までの長時間露出、F16~20程度で露出を調整します。※設定するISO感度によります。
    三脚が使用禁止のため、他の方の邪魔にならないようにしゃがみ、カメラを置いた状態でスマホなどの身の回り品でカメラの角度を調整して撮影しました。

 

みなとみらいスマートフェスティバル

開催日:2023年は7月31日予定
会場:みなとみらい21地区臨港パーク・耐震バース・横浜ハンマーヘッド9号岸壁・カップヌードルミュージアムパーク ※全会場有料です。チケットのない方は入れません。
https://www.mmsf.jp/
※詳細はHPをご確認ください。

注意点:横浜ランドマークタワー69階展望フロア「スカイガーデン」では、場所取りや、混雑時・イベント開催時・近隣周辺のイベント(花火含む)は三脚・一脚・自撮り棒の使用禁止です。ルールを守り、周囲の迷惑にならないようにしましょう。

【静岡・熱海海上花火大会】大迫力な花火が年10回以上開催

Z 6II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/2023年

Z 6II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/2023年

 

熱海の花火は、年に10回以上開催され、1年を通して楽しめる花火大会です。

打ち上げ場所となる熱海湾は三面を山に囲まれているため、周囲の山に音が反響して迫力ある音と花火を楽しむことができます。
※花火の演出は年によって変わる可能性があります。

 

撮影ポイント

Z 6II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/2023年

Z 6II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/2023年

14mm・F22・15秒・ISO100

 

  • 位置:親水公園では、花火を正面から見ることができます。
    ※7~9月の花火大会は、撮影位置や三脚の使用に制限があります。
  • 構図:リフレクションが美しく、超広角で花火の全景と反射まで写し入れ、海と空を二分割に。14mmでも入り切らないことがありますが、迫力のあるシーンを再現することができます。左にクルーザー、右側にライトアップされた熱海城を入れることで、熱海らしさを表現しました。
  • 設定:15~20秒程度の長時間露出、F11~22で露出を調整します。※設定するISO感度によります。

 

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2017年

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/2017年

24mm・F9・6.5秒・ISO100

 

  • 位置:熱海城展望台は、山の上にあり、熱海市街の煌びやかな夜景と花火を撮影することができます。
    ※7~8月は三脚の使用が一部不可または禁止となっています。それ以外の月は三脚の使用が可能です。
  • 構図:24mmが花火と夜景をバランスよく写せます。熱海サンビーチから熱海港までの曲線と左下の稜線のつながりを、S字カーブを意識して取り入れました。
  • 設定:6秒程度の長時間露出、F9程度で露出を調整します。※設定するISO感度によります。

 

熱海海上花火大会

開催日:春・夏・秋・冬と合計10回以上
会場:熱海湾
https://www.atamispa.com/hanabi/
https://www.ataminews.gr.jp/event/8/
※詳細はHPをご確認ください。

注意点:いずれの花火大会においても、事前の場所取りや私有地などに入っての撮影は禁止です。
https://www.atamispa.com/hanabi/info/

親水公園での観覧については、上記のルールを守りましょう。7~9月に開催される花火大会については、「渚親水公園」内に宿泊者専用の観覧エリアが設けられており、組合に加盟している宿泊施設の宿泊者のみで一般の方は立ち入りできません。また、エリア内では大変混雑が見込まれるため、三脚を立てての撮影は禁止です。

熱海城での観覧については、夏季(7~8月)はすべて事前にネットでの予約が必要な有料席となり、三脚の使用や後列で立っての撮影が禁止です。

花火大会の撮り方のポイント

ここからは、花火大会全体を通じての撮影のポイントを紹介します。

【機材】暗所撮影に強いカメラ+広角レンズ

  • カメラ:「暗所での直感的な操作による扱いやすさ」「AF/MFの精度と合わせやすさ」を重視しています。今回使用した Z 6IIはこの2点において、非常に満足できる性能を有しています。また、暗所のディテールの描写性、AFの低輝度限界も優れているため、花火撮影に適しています。
  • レンズ:花火会場で撮影する場合、14~30mmをカバーするレンズが重宝します。絞って撮影するため、開放F値は小さい必要はなく、コンパクトで前面が重くないレンズがブレにくくオススメです。

 

Z 6II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 6II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

  • 三脚:しっかりと固定できるものであれば大丈夫です。なお、三脚使用禁止や高さ制限のある花火大会もありますので、撮影前に必ずチェックしましょう。
  • レリーズ:長時間露出で手ブレを抑えるために欠かせません。

【設定】打ち上げ~尾を引くまでをとらえる露出時間

カメラは明るいうちに設定を済ませます。構図を決め、打ち上げ場所が目視できる場合はMFで事前にピント位置を固定しておきます。撮影完了後は、花火写真を拡大してピントが合っているか確認することも大事です。

また、花火は露出時間と白とびさせない露出調整も重要です。

  • シャッタースピード:基本的には花火が打ち上がる瞬間から尾を引き消えるまでが露出時間です。最大は20秒が目安。それ以上長くすると花火が重なりすぎたり、白とびの原因になります。スターマイン(連射連発花火)は途切れることなく打ち上がるため区切りが難しいですが、構成の中で尺玉など大きな花火を入れるように意識します。
  • ISO感度:64~160程度の低感度でノイズを抑えます。
  • F値:花火はかなり明るいため、花火の種類により白とびしないように調整します。
    以下は参考の目安値です。
    ・単発の花火 F9~13程度
    ・スターマイン(連射連発花火) F13~18程度
    ・クライマックスや超大型スターマイン F18~22程度
D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
(左)D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED、(中央)D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED、(右)D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

左:F9、中央:F14、右:F22

【編集】花火を見たときの感動を再現

花火を編集する際は、この目で見た感動を伝えることを大切にしています。そのため、花火を自分の目でしっかり見ることも大事です。

 

ポイント①明るさと色味を調整

D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

編集前

この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント
この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント

Lightroom編集画面

 

  • 露光量:撮影時点でハイライトが白とびしないように暗めに撮影しているため、露光量を上げる。
  • コントラスト:花火を際立たせるため、全体のコントラストを上げる。
  • ハイライト:白とびがなくなるよう、ヒストグラムを見ながらハイライトを下げる。
  • シャドウ・黒レベル:上げて花火以外の暗部を持ち上げ、黒つぶれがなくなるように。
  • テクスチャ:少し上げて、花火の細部の質感を出す。
  • 明瞭度:少し下げて、花火の光のやわらかさを表現。
  • トーンカーブ:暗部の黒つぶれを補正(左下を上に)し、コントラストを整えるために中間をややアンダーに補正。

 

この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント
この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント
この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント

Lightroom編集画面

 

  • カラー:花火のイメージに合わせて暖色系の彩度と輝度を上げる。寒色系は空と暗部にも影響するため、花火の色味と見比べながら少し下げる。パープル・マゼンタは彩度を上げすぎると色かぶりの原因になるため、注意しながら色相と輝度を調整。
  • カラーグレーディング:ハイライト部を暖色のオレンジ寄りに調整し、中間部は補色である青寄りに補正し全体の色味バランスを整える。

 

この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント
この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント

Lightroom編集画面

 

明るさと色味を調整したら、シャープネスを少し上げ、カメラのレンズ補正(特に超広角の場合)と色収差の除去を行い、仕上げます。今回はノイズがほとんど気にならなかったのですが、気になる際はノイズ除去(輝度・カラー)をさらに行う場合もあります。

 

D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

左:編集前、右:編集後

 

ポイント②比較明合成で花火の魅力を表現

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

合成前の写真

この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント

比較明合成後の写真

 

ほんの数秒差であれば1回のシャッターで撮り切ることを意識しますが、違う場所からタイミングがズレて打ち上がる花火の場合は合成することがあります。実際は連続に上がり華やかな印象の花火も、写真で瞬間を切り取るとそう見えないことがあり、そういう場合は比較明合成で実際に見た感動を表現しています。

 

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

合成前の写真。左:花火、右:船の光跡

 

また、花火以外の光跡などを入れたい場合にも合成をします。上の写真では、花火と船の光跡をそれぞれ撮影し、比較明合成しました。

 

この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント

比較明合成後の写真

Photographer's Note

日本の夏の風物詩である花火大会は、コロナ禍で中止が相次ぎましたが、徐々に開催するところが増えてきました。

 

D850、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR/2021年

D850、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR/2021年

 

こちらの写真は2021年に撮影した長野えびす講煙火大会です。通常は真ん中2か所から打ち上げられますが、2021年は特別に4か所で打ち上げられました。

コロナ禍で数年花火が見られない期間がありましたが、久しぶりに花火を撮影してみて改めて感じたことは、「日本の花火は最高」です。やはり日本には花火が必要だと再認識しました。

どの花火も、職人さんたちの想い・技・個性といった魂がこめられた1発限りの花火で、撮り直しができないことが難しさでもあり、魅力やおもしろさだと思います。緊張しながら撮影した花火が、きれいに撮影できると、うれしくなりますよね!

そして、想いのこもった花火大会では、撮影に夢中になり実際の花火をほとんど見ることなく写真だけ撮って終わってしまうのはもったいないことです。カメラは花火開始前か序盤に設定しておき、F値を変更する程度でしっかり花火を自分の目でも見て楽しみましょう!

 

花火撮影に強いNikon機材

この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント
この夏行きたい花火大会! 風景写真家が教えるオススメ花火7選と、感動を伝える撮影のポイント

 

  • カメラ:新撮で使用した Z 6IIは、大口径の Z マウントにより暗所でも高解像度の撮影ができ、-4.5EVまで高精度なAFが可能です。より暗いシーンでの撮影には「ローライトAF」機能を使えば-6EVの暗さまでAF撮影ができる、暗所に非常に強いカメラです。また、カスタムボタンの割り当て(フォーカスピーキング、拡大画面への切り替え)によって、元々操作性がよい Z シリーズのカメラがさらに直感的に操作できます。難しい花火でもピント合わせがしやすく、タッチモニターでの操作もしやすくなり、撮影とデータの確認が行いやすいことは花火撮影で大変助かります。
  • レンズ:Z マウントでオススメなのはNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sです。S-Lineの描写力や色再現は素晴らしく、14~30mmの焦点距離域は花火撮影で重宝します。超広角レンズとして軽量コンパクトで、フロントヘビーになりにくいためブレにくいのも大きなメリットです。

 

Z 6II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 6II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

 

※こちらに掲載している情報は、2023年7月6日現在のものです。
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Daisuke Uematsu

Daisuke Uematsu

長野県在住のフォトグラファー。「四季の美しさ・自然と人の繋がり」をテーマとし、光と影が織り成す美しい瞬間を追い求めている。「二度と同じ写真は撮れない」という考えから、出会った景色の最も美しい瞬間をとらえることを目標としている。