突然ですが、猫はお好きですか?
愛くるしい猫ちゃんたちの姿は、見ているだけで癒やされますし、せっかくならかわいく写真に収めたいですよね!
「帽子をかぶった猫たちがかわいすぎる!SNSで話題の猫写真の裏側お見せします」で「抜け毛帽子フォト」をご紹介いただいたrojimanさん・umatanさんご夫婦も、愛猫がきっかけで写真にはまった一組。そこで今回は、猫写真の楽しみ方から、一緒に暮らしはじめて知った猫のさらなる魅力、日々を記録に残すことへの想いまで、愛猫ちゃんたちが見守る中で愛情たっぷりのお話をうかがってきました。
rojimanさん(@rojiman):3匹の愛猫専属フォトグラファー
umatanさん(@umatan):抜け毛帽子作家
3匹の愛猫たち
- 人懐っこい長男ニャア(サバトラ)
- 食いしん坊の次男マル(白)
- ヤンチャで変顔担当の末っ子ムギ(茶トラ)
抜け毛帽子とは?
ブラッシングで抜けた毛をきれいに洗ってよく乾かし、ほぐしてふわふわになったものを材料にした帽子のことです。
最初はシンプルなどんぐり帽子からはじまり、動物、食べ物、建造物、まるで人間のようなウィッグシリーズなど、150点を超える帽子が誕生! 材料である抜け毛の量が限られているので、作った帽子は解体してまた新しい帽子へと、何度も姿を変えています。
ちょっとしたいたずら心が抜け毛帽子のきっかけに
―抜け毛帽子フォトが国内外で人気ですね! この「抜け毛帽子」はどんなきっかけで生まれたんですか?
umatan:もともと、何年も前から抜け毛自体は集めていました。「何かに使えないかな」と思って袋に入れて貯めていたんですけど、結局使い道が思い浮かばなくて…。でもあるとき、これは“飼い主さんあるある”だと思うんですが、抜けた毛を猫の頭の上にふわっと乗せてみたんです。
rojiman:最初はいたずら気分でした。「リーゼントみたい」「芸能人の〇〇に似てるよね」とか言いながら気軽に遊んでたよね。
「換毛街道爆走中っス!」とつっぱるムギちゃん。「かっこかわいい」と評判になったそうです。
umatan:そうそう! それがどんどん大きくなっていって。
rojiman:そのうちの一つがInstagramの公式アカウントに紹介されて、海外のファンが一気に増えました!
無表情なマルちゃんと大きなアフロに「かわいい」の声が。この写真は今でも拡散され続けていて“バズる”を体感されたという1枚。
―抜け毛の集まりを乗せたことがはじまりだったんですね。そこからどうやって帽子に発展したんですか?
umatan:その反応がおもしろくて、また抜け毛を集めはじめたんです。ブラッシングして積み上げていったらどんどん高く…まるでタワーのようになってきて。飛ばないように軽く押し固めて、三角錐の形にしていました。
ブラッシングされるマルちゃん。3匹の中で一番毛が抜けるそう。
rojiman:うちの猫たちは朝に窓際でボーッとしていることが多いんですが、夏でちょうどベランダにアサガオがあって後ろから見るととてもきれいな光景でした。そのときふと横を見たら…抜け毛タワーが3つあったので、ポン!ポン!ポン!と猫の頭に乗せてみたんです。まったく動じることなく、そのままくつろいでいて(笑) その様子がおかしくて、思わず写真を撮りました。
自分の抜け毛の山を頭に乗せた3ショット。はじめて見るシュールな光景に、SNS上では驚きと笑いの嵐が!
umatan:その様子を見て、頭に乗っけても嫌がらないなら帽子もいけるかもって思ったんです。抜け毛は手でこすると形が変えられそうだったので、三角錐を丸いどんぐり帽子に成形したのがはじまりでした。
最初に帽子として作ったどんぐり帽子。「かわいい」「作ってみたい」の声が多く寄せられたそうです。
― 抜け毛タワーはインパクトありますね! ところでumatanさんは手芸がお好きだったんですか?
umatan:いえ、全然やったことがなくて。なので抜け毛帽子も完全に独学で、試行錯誤しながらなんとか作っていました。そうしているうちに、「毛をこすったりねじったり、毛の扱い方次第で細かい表現もできるな」 とか、「耳をつけるには毛を足していくより別パーツを作ってくっつけたほうが簡単だな」とか…自分でテクニックを発見していく過程がおもしろくなって帽子作りにはまっていったんです。
新作のネズミ帽子とテントウ虫帽子。テントウ虫帽子は羽が開くというギミック搭載です。
rojiman:最初の頃は僕も見様見真似で作ってみたんですけど、彼女のほうが器用でいろんな技を編み出していたので、僕は撮るほうに専念することにしました(笑)
これまで数々の抜け毛帽子が誕生。(左:イカ帽子、右:カタツムリ帽子)
umatan:今は、抜け毛を洗ってきれいにしたものを桐の箱にストックして使っています。ちなみに、抜け毛帽子を作るときはマスクが必須です! 抜け毛を触っていると、くしゃみがでたりすることもあります。 なので、これから作る方には注意していただきたいです。帽子自体は手でこねこねしていくだけなので、どんぐり帽子なら30分ほどでできますよ!
抜け毛帽子作成の注意点
- 帽子を作る前に抜け毛をきれいに洗いましょう
- 抜け毛を触るときは、毛を吸い込まないようマスクをしましょう
- 猫の安全のために糊やボンドなどは使いません
- ブラッシングや帽子かぶりは猫の気分に合わせましょう
詳しい作り方は公式サイトで紹介しています。
https://www.rojiman.com/what-t
犬と暮らすはずが…ある猫との出会いではじめるフォトライフ
―今の猫ちゃんたちとはどのように出会ったんですか?
rojiman:実は、最初は犬をお迎えする気満々だったんです。本やWEBで調べたり、ワンちゃんとのお散歩体験をしてイメージトレーニングを重ねていました。
umatan:いろいろ情報を集めていた頃、私が偶然mixiでまん丸な猫を発見して。それが「スコティッシュフォールド」という猫種だっていうことも知らなかったくらいで。
rojiman:はじめて見たとき、「なんだこのまん丸な猫は!」と衝撃でした。ドラえもん好きだったこともあってビビッときちゃったんです。それまで猫と暮らすって想像もしてなかったんですけど、スコティッシュフォールドという生き物がすごく不思議な存在に見えてきて…。いろいろ調べていた頃、ペットショップで突然出会ってしまったのがニャアでした。そこから、マル、ムギと徐々に家族が増えていったんです。
―衝撃の出会いだったんですね! 写真は当時から撮られていたんですか?
rojiman:僕は全然でした。彼女は少しやってたかな?
umatan:コンパクトデジタルカメラでちょこちょこ撮る程度ですよ。ブログをやっていたんですけど、猫と暮らしはじめてから、ときどき猫の写真を載せていたんです。
rojiman:そのうち僕が写真のクオリティーに満足できなくなってきて、「一眼レフの入門機を買ってみよう」と。
―では、猫ちゃんと暮らしはじめたことが写真にはまるきっかけだったんですね!
rojiman:ここまではまるとは思いませんでしたけどね(笑)
僕は昔から「猫は恩知らず」と言い聞かされてきて、“ツンツンした不愛想な生き物”というイメージを持っていました。でも一緒に暮らしてみたら全然そんなことないんですよ! 甘えてくれるし、飼い主にしか見せない顔があるんだなって気づいて。その表情をなんとかカメラに収めておきたくて、写真を本格的にやってみようと思ったんです。
rojiman:まずは写真が趣味の同僚に一眼レフを借りて、試し撮りをしてみました。でも知識もないし思うように撮れなくて…。レンズを借りてみたり、別のカメラを借りたり、いろいろと試してみて自分に合いそうな一眼レフを買いました。そこから、一つずつ撮影の仕方を覚えていった感じです。
umatan:Instagramをはじめたのもその頃だったよね。
rojiman:そうだったね! はじめた当初はジャンルを決めずにいろんな写真をアップしていたんですが、猫写真をアップすると反応がものすごくよくて。それからは猫たちの様子をなるべく一日一回のペースで投稿して、愛猫写真のギャラリーになっていきました。そして、抜け毛帽子によって撮影意欲とSNSの反応が加速していったわけです。
SNSを楽しむコツは、「場づくり」とコミュニケーション
―やっぱり、抜け毛帽子の威力は絶大だったんですね。
rojiman:特にワールドワイドなネタは、海外の方からの反響がすごかったです。
「抜け毛寿司」は海外の方から「OMG!」のコメントがたくさん届き、日本食の認知度の高さにびっくりしたそう。また、ロイター通信で配信されたり、「ねこ休み展 in 香港」の会場では実物が展示されました。
umatan:抜け毛帽子がSNSで話題になってからは、テレビや出版社からお声がかかって、結構トントン拍子でメディアに紹介していただきました。SNSの広がりをいろんなところで感じますね。
rojiman:SNSのおもしろさって、見てくれている方たちとのコミュニケーションだと思っていて。つっこんでもらえるのはやっぱり楽しいです!「○○に似てるかも!」「実際にこんな生き物がいたら、こんなことをしゃべるんじゃないか?」と、みなさんイメージを膨らませてコメントしてくれるんですよ。想像の余地が残っているほうが盛り上がってくれるので、こちらもあまり説明せずにポンと投稿したりして。ここにしかない“ほっこりする場所”が抜け毛帽子一つで演出できるのは、SNSで写真を発表する醍醐味ですね。あとは、夫婦間のコミュニケーションも活発になりますよ。
umatan:アイデアは常に2人で出しているんですけど、季節感も意識しながら、よく「次こんなのどう?」みたいな会話をしていますね。いくら私たちが騒いでいても、猫たちはまったく気にしてなさそうですけど(笑)
クリスマス仕様のニャアちゃん。飾りつけもして、季節のお祝いを記録として残しているんですね。
―SNSだけでなく、写真展でも作品を発表されていますが、きっかけは何だったんでしょうか?
rojiman:「ねこ休み展」の主催者さんから声をかけもらったことがきっかけです。まだ抜け毛帽子をはじめる前で、「三兄弟の日常」がテーマでした。プロの写真家さんやスター猫さんに交じって、多くの方に見てもらえるなんてまたとない絶好の機会だと思って、恐る恐る参加することにしたんです。
umatan:写真展では、Instagramで知り合った猫友さんが見に来てくれたり、会場ではじめてうちの三兄弟を知った人が興味を持ってくれたり。抜け毛帽子の写真を展示するようになってからは、「え?これ全部抜け毛でできてるの⁉」と、生のリアクションを聞けるのがやっぱりうれしいです!
「ねこ休み展」でのパネル展示の様子。
―反応を直に感じられるのは大きいですね!
rojiman:写真展に参加させてもらうようになって、もう一つ気づいたことがあって。何気ない普段の写真が、パネルにすることで別のストーリーを連想させる表情に見えたりすることがあるんです。パネルにした瞬間、とても意味のある「深み」のようなものが足されて作品になる気がします 。
umatan:写真用にきちんと撮ったものでなくても、猫たちの普段の性格やいい表情が隠れたりしていて、パネルにすることでそのよさを再発見できたり、飾って何度も眺めることでより愛おしさが増すんです。
大きくプリントしてパネルにしたものがリビングに、玄関には小さいパネルが飾られていて、猫ちゃんたちがお出迎えしてくれました。
umatan:パネルにした写真はインテリアにもなりますし、部屋の一角がギャラリーみたいになって楽しいですしね! 写真展ではパネルを自分たちで用意したんですけど、スチレンボードを買ってきて家庭用プリンターで印刷した写真を貼るだけで、きれいに作れますよ。
これからの私たちのニャンフォトライフ
―これまでカメラで猫ちゃんたちを撮られてきて、スマホで撮ることとは意味も違ってきますか?
rojiman:いつしか自分の中で、スマホは主に動画での記録用、一眼レフカメラは作品用と住み分けができていました。スマホで撮る写真は「集合写真」的な瞬時にメモをとる感覚に近いのですが、一眼レフは猫と向き合っていい瞬間を探しにいくという点で意識が違います。僕のスマホの中には、スマホで撮影したものと一眼レフで撮影した両方の写真が混在しているんですが、サムネイルの小さい画像で並べて見ても反射的にグッとくる写真は一眼レフで撮ったものが多いですね。
―同じ「撮る」でも大きな違いがあるんですね! 3年前にはじめた抜け毛帽子に関しても、何か意味合いの変化を感じますか?
umatan:私は、最近抜け毛帽子について思うところがあって。最初は“純粋にかわいい”からスタートしたんですが、だいぶ心境が変わってきました。いつかこの子たちがいなくなったとき、この帽子が形見になるんだってことを、強く感じるようになったんです。だから今、抜け毛を集めている方・これから集める方は、きれいにして長く保存できるようにしてほしいなって思います。
最初の抜け毛山連峰がきっかけで、抜ける量に個体差があることがわかったり、毛質や皮膚の状態を、コミュニケーションをとりながらチェックできるようになったんだそうです。
rojiman:写真も同じですよね。ブラッシングして、帽子を作ってかぶってもらって、それを写真に撮ってSNSにアップして…。愛猫たちとのこのやりとりが一つひとつ思い出になりますし、SNSを見返すと豊かな人生を過ごしてきた気持ちになれるんです。猫たちの記憶を形にできるという意味でも、「写真に残すこと」はとても意味があると思いますね。
あと間違いなく言えるのは、「親バカであれ」ということです。みんなうちの子が一番だから、いい表情を発見できると思います。とことんかわいがってあげて、いろんな瞬間を見つけてほしいです。
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rojimanさんが「ねこ休み展」に出展されます。ぜひ、会場で3匹の猫ちゃんたちの写真をお楽しみください!!
「ねこ休み展 in 船橋」
開催⽇:2019年12月19日(木)~12月29日(日)
営業時間:10:00~19:30(最終日のみ18:00)/休館⽇:なし
会場: 東武百貨店 船橋店 6階イベントプラザ
https://tgs.jp.net/event/neko-break-tobu
「ねこ休み展 in 横浜みなとみらい」
開催⽇:2019年12月18日(水)~2020年1月19日(日)
営業時間:11:00~20:00(最終入場19:45)/休館⽇:1月1日(水・祝日)
会場: MARK IS みなとみらい 5F特設会場
https://tgs.jp.net/event/neko-break-yokohama
インタビュー写真:浜村菜月(LOVABLE)
Supported by L&MARK
rojiman
愛猫専属フォトグラファーのrojiman、抜け毛帽子作家のumatan。2011年からInstagramで愛猫写真を公開しはじめ、2016年から抜け毛帽子フォトをはじめる。2017年に『ねこ、かぶり 抜け毛帽子でおめかしコレクション』(宝島社)を出版した他、抜け毛帽子オリジナルグッズの展開や「ねこ休み展」への出展など活躍は多岐にわたる。