【アメリカ】ハリウッドからゴールデンゲートブリッジまで。映画好き父娘の往復1500kmのロードトリップ-side.daughter-

フォトグラファー高橋伸哉さんと娘のひなたさんが、親子でカメラを片手にアメリカ西海岸をロードトリップしました。
父親の伸哉さん視点で書かれた前回に続き、今回は長女ひなたさんの視点から切り取った旅の記録をお届けします。

 

みなさん、初めまして。フォトグラファー・高橋伸哉の娘、高橋ひなたです。
芸術学科に通っている大学生で、版画(シルクスクリーン、メディウム剥がしずりなど)を専攻しています。何かを作ることやアート、アンティークなものが好きで、最近は写真にも興味があります。

今回の旅は、父と2人でアメリカ・西海岸へ。仕事で海外を飛び回っている父に「次に海外へ行くときは連れて行って」と前々からおねだりしていたので、「行く?」と誘われた時はなんの迷いもなくOKしました。

私の父は、一言で言うと究極の自由人です。いつも重たいカメラがたくさん入ったリュックを持って、撮影でいろんなところを転々とし、2週間くらいいないと思えばいつの間にか帰ってきていて、「あ、おかえり」みたいな。小さい頃は写真の良し悪しも分からなかったので、「他のお父さんが撮る写真となんか違う。普通のピースとか、もっとちゃんとした家族写真が欲しい!」なんて思ったりしてました(笑)。

マンガやアニメに出てくるような”THE お父さん”なキャラクターとは真逆で、良くも悪くも父親感はあまりありません。本人も、「おれは反面教師なんだ」とかいつも言ってるし。だけどその分友達のように仲が良く、父のよく行くカフェを教えてもらったり、学校のことや恋のことまで、父には何でも話します。

そして、私と父は、同じ映画好き仲間でもあります。小さい頃から、週末は妹と3人で映画を観ていて、もう500本くらいは観てるかな。

今回の旅はそんな父と一緒に、恋い焦がれてきた映画のロケ地を歩いたり、写真に収めたりしてゆきたいと思います。

 

LA感をひしひし感じたジャンクフード

約10時間の飛行機の中で映画を3本観て過ごし、ロスアンゼルス空港(LAX)に到着しました。入国審査を済まし、まずは今回の旅の足となる車を借りにHertzレンタカーへ。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

受付へ行き車をレンタルしようとしましたが、受付のお兄さんが何を言っているのかさっぱり分かりません。父も私も英語は全く話せないので、こんなこともあろうかと事前に世界74言語以上に対応した通訳デバイスを借りていました。受付のお兄さんも笑顔で対応してくれて無事車をレンタルすることができ、ホッと胸をなでおろしながら車を出発させました。

空港近くのホテルでチェックインを済まし、まずは晩御飯を食べに私の大好きな"IHOP(アイホップ)"へ。慣れない左ハンドルとLAの高速道路にどきどきしている様子の父。余裕をかましながらも「こえええ〜」と心の声はダダ漏れで、2人で笑いながらお店へ向かいました。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR


以前アメリカに来た時に大好きになった"IHOP"。

そのアットホームな雰囲気と、ザ・アメリカン朝食スタイル、ロゴのデザインが気に入り、それ以来また来ることを夢見ていました。定番のパンケーキと激甘オレオシェイクはやっぱり最高!

IHOPとの再会を記念して、今回の旅のお供である Nikon D3500 で撮影。どれも可愛くて、絵になるメニューばかりです。

 

念願の映画の聖地・ハリウッドを堪能

この日は、映画好きなら誰もが1度は憧れるであろうハリウッドにやって来ました。

山に掲げられた「HOLLYWOOD」の文字に、ハリウッドスター達の手形。毎年家族で録画したアカデミー賞作品を観ることが恒例行事となっている高橋家にとって、その舞台へ行くのは1つの夢のようなこと。まさか、本当に自分がここにいるなんて!

英語表記のサインに苦労しながらも、自分たちの好きなハリウッド俳優の手形を探しました。ベタではあるけれど、やはりかなり興奮してしまいます。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

映画の聖地ではしゃいでお腹が空いたので、車を五分ほど走らせてLA発の大人気のホットドッグ店「PINK’S(ピンクス)」で腹ごしらえ。

Z 7 + NIKKOR Z 14-30mm f/4 S / photo by 高橋伸哉

 

可愛いお店やホットドッグにウキウキ。父にアドバイスをもらいながら色々撮影しました。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

お店の周りには観光地ならではのフォトジェニックな壁やボードがあり、 思い出の写真を可愛く撮ることもできます。そんな壁の前で、父をパシャリ。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

観覧車の中から夜のサンタモニカを一望

夕暮れの頃に、人気ビーチスポットのサンタモニカへ。夕日に照らされたビーチを見ようと、浜には多くの人が賑わっていました。

サンタモニカでは、憧れの映画に出てきそうな海外の遊園地を楽しみました。夜になると、アトラクションが光り出し異国の雰囲気が漂います。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR


観覧車に乗り、今にも落ちそうになりながらサンタモニカの絶景をカメラに収めようとする父。ヒヤヒヤしながらも、海外アトラクションならではのスリルの中、この瞬間しか見れない景色を楽しみました。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

ヒッピーの街・ヘイトアシュベリーで古着やレコードを物色

私は運転免許を持っていないので、ナビに目的地を設定し、今夜の宿を確保して、ドライブに欠かせないBGMを選曲するのが車内でのお仕事。

仕事をこなしたり、たまにうとうとしたりしながら、サンタモニカから片道約5時間半。

サンフランシスコの真ん中あたりに位置する、ヒッピー発祥の地ヘイト・アシュベリーに到着しました。お洒落な古着、レコード、たばこ、飲食店が多く立ち並んでいて、お店やストリートを走るバスの個性的なデザインに胸が弾みます。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

お店一つ一つの個性が凄くて、看板や外観もテーマパークの入口みたいで、歩くだけで心が弾みます。折角なので古着を買いたかったけれど、午後からオープンのお店が多く、あまり入れなくて残念。

ヒッピーの原点の街というだけあり、かなり治安の悪そうな感じがしました。父はそういったスリルのある雰囲気が好きなので写真を撮りたがっていましたが、やはり私を心配してくれているようで、私が綺麗で安全そうなお店にいるときだけ自由に撮り歩いていました。ナイフを持ってゴミを漁る人や、道端で剣を持って眠る人など、観光地とは思えないくらいディープな風景を見れました。

続いては、ヘイトストリートから車で約10分程のところに位置するカストロ通りへ。トランスジェンダーカルチャーの象徴であるレインボーフラッグが至る所で目に入ります。私のお目当ては、ショーン・ペンが映画の中で演じた、自らゲイであることを公表した活動家ハーヴィー・ミルクが昔オーナーを務めていたこちらのお店。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR


「ミルク」は父も私も大好きな映画ですし、特に私はトランスジェンダーに興味があるので、ここは念願のお店でした。

お店の前にはハーヴィー・ミルクをたたえるプレートが。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

トランスジェンダーを象徴するオリジナルグッズたちは、どれも欲しくなるくらいカラフルで可愛かったです。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

美しい夕日を堪能したゴールデンゲートブリッジ

この日は、夕暮れにゴールデンゲートブリッジへ。

少し肌寒い風を浴びながら観る夕暮れ時のピンクの空と、橋の上の走る車のライトが美しかったです。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

父と昔一緒に見た映画「猿の惑星:新世紀(ライジング)」で、猿と人間が戦うシーンで出てきたあの橋か!ととても感動しました。

海が近く肌寒いので、父が写真を撮っている間私は車の中で待機。宿や晩御飯を探したり、写真を見返したりして時間を潰しました。頃合いを見て外に出て写真を撮ったりしたけれど、「撮影は1時間くらい」と言った父が3時間戻ってきません。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR


普段の父はとても飽きっぽいイメージなので、「写真のことになるとこんなに集中するんだ…」と驚きました。ここは寒かったし、「3時間も何を待っているんだろう?」と思ったけれど、納得がいくまで撮り続けるのはすごいなと思ったし、あそこまでの集中力は今回の旅で初めて見たような気がします。

アートの街・LAのダウンタウンへ

今回の旅もラストスパート。最後はLAのダウンタウンを回ることにしました。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

いろいろな美術館を回ってとても興奮したけれど、一番テンションが上がったのはダウンタウンの一角にある本屋"THE LAST BOOKSTORE"です。まるで隠れ家のような雰囲気で、ディスプレイもとってもユニークなんです。

このお店は「こんなところまで続いてるの!?」というくらい長くて、秘密基地みたいで本当にワクワクしました。本でできたトンネルがあったり、入り混じった本の中にポツンと椅子が置いてあったり。すごく広くてユニークな空間の中に、自分だけの場所を見つけたくなります。

Z 7 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S / photo by 高橋伸哉

 

有名なフォトスポットで、知らない間に父に撮られていた一枚。こういった瞬間を瞬時に切り取れるのは、やっぱりフォトグラファーだなと思います。

D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

レコードも売っていて安かったのでたくさん購入。治安が悪く、少し緊張感漂うダウンタウンで唯一のオアシスでした。

さて、最後の晩餐は父が私が食べたいものでいいと言ってくれたので、大好きな「IHOP」と即答し、激甘オレオシェイクを噛み締めながら今回の旅の余韻に浸りました。

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D3500、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

今回の旅ではカメラを常に身につけていて、すぐに撮れるってすごくいいなと思いました。いつもはスマホのカメラばかりだけど、これを機にカメラに本格的にチャレンジしてみたいな。ちなみに、今回撮った写真は父がレタッチしてくれました。ありがとう!

そして、たくさんの貴重な経験をさせてくれてとても感謝しています。これほど長い間、そして見知らぬ土地を父と2人だけで旅することはこれが最初で最後かもしれません。

フリーのカメラマンとして好きなことを仕事にして、常に己の人生を全うしている父のことを実は尊敬しています。身近にこんなに自由な人がいると、人間ある程度、周囲に遠慮することなく好きに生きていいのかなと思います。もちろん人に迷惑をかけなければだけど。

自由奔放で趣味優先、危機管理能力ゼロ、とにかくマイペース。認めたくないけど、私たち二人はよく似ています。普通なら見られないような景色を見せてくれる父といると刺激的でとっても楽しいけど、結婚するなら父とは正反対の、一緒にスーパーに行ってくれるような家庭的な人がいいな。

旦那さんにはしたくないけど、父親としては最高のパパだよ。いつもありがとう。

ともかく、人生に残る最高の9日間でした。

 

Edit:Anco Oshita
Supported by CURBON

高橋ひなた

高橋ひなた

フォトグラファー・高橋伸哉の娘。映画、ファッション、カルチャーからインスピレーションを受け日々イラストを制作。大学では版画を専攻。


高橋伸哉

高橋伸哉

旅記事など、海外や国内を旅する写真家。人物撮りや日常写真を得意として、SNSでは総フォロワー41万人。