写真家 ENOさんインタビュー - 自身の写真を形づくる、デザイン、SNS、カメラとの出会い

写真家ENOさんインタビュー - 自身の写真を形づくる、デザイン、SNS、カメラとの出会い

国内外から注目を集め、広告を中心に活躍しているフォトグラファー・ENO SHOHKI(イイノショウキ)さん(@eeeno1218)。彼が自身のカメラをはじめて買ったのは、2015年11月26日。今からちょうど4年前のことです。もともとデザイナーだった彼が、どのように写真に目覚め、なぜフォトグラファーの道に進んだのか? カメラに出会って人生が大きく変わったENOさんのストーリーに迫ります。

 

写真家ENOさんPHOTO STORY - 自身の写真を形づくる、デザイン、SNS、カメラとの出会い

 

ENOさん略歴

  • 2010年 多摩美術大学入学
  • 2013年 L.A.留学
  • 2014年 美術大学卒業
  • 2015年 自身初のカメラ購入
  • 同年   L.A.のデザイン事務所でインターン
  • 2016年 帰国後フォトグラファーとしてスタート

 

写真家ENOさんPHOTO STORY - 自身の写真を形づくる、デザイン、SNS、カメラとの出会い

ENOさんが撮影した作品。(右上/Model: Kanna Oyama)

 

スマホとカメラの写りの違いに驚愕

―デザイナーを目指す中で、もともと写真には興味があったんですか?

ENO:デザインを勉強している頃は、写真にまったく興味がなかったです。大学の友達は、僕がフォトグラファーになってめちゃくちゃびっくりしてますね。「写真、興味あったっけ?」って(笑)

写真との接点を思い返すと、Instagramだと思います。6年前のL.A.留学で、みんなInstagramを使っていて興味を持つようになったんです。帰国すると、ちょうど日本でもブームになって。「スマホ写真に見えないように撮ってやろう」といろんなアプリを駆使して、「何のカメラ使ってるの?」というリアクションを楽しんでいました!

 

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―では、カメラに興味を持ちはじめたのはいつ頃から?

ENO:5年くらい前ですね。親がミラーレスを持っていて、借りて撮ってみたんです。スマホとは全然違ってボケ感がすごくて、「これはやばい」と! 一通りいじって…遊びながら覚えていきました。
そのうち、親がDXフォーマットの一眼レフD5300 を買うことになったんです。「一眼レフとミラーレスで何が違うんだろう」と思うじゃないですか? やっぱり画質や操作感がすごくよくて、自分の中で“一眼レフ=かなり気になる存在”になりました。

 

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D5300で撮影した写真。「いつも見ているこれは撮ってみたらどうなるだろう?」と、気になったものは撮っていました。当時から色やグラフィックの線的な事柄には反応していましたね。

 

―そこから、「カメラを買おう」となるきっかけは何だったんですか?

ENO:「L.A.に行く」という環境の変化が大きな要因だったと思います。
大学卒業後、どういう方向に進んでデザイナーになるか悩んでいたんですが、留学時にお世話になった教授から「デザイン事務所を立ち上げたから、インターンで来ない?」と誘われて、行くことに決めました。そこで、「L.A.に行くなら」と自分のカメラが欲しくなったんです!

―初の自分専用カメラですね! そのときは何を買われたんですか?

ENO:知人のプロフォトグラファーの方に相談してみたら、「せっかくならフルサイズを買ったほうがいい! 暗い場所にも強いから」と言われて。価格との相談で「D610」を買うことにしました。キットレンズじゃなくて、安価でもいいレンズがあるからと、50mm F1.8の単焦点に。これが自分にとってはじめてのカメラです。

 

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2015年11月26日、D610を購入してすぐに撮った写真。

 

―新天地に持っていって、どんなものを撮ったんですか?

ENO:新しいカメラにテンションが上がって、何でも撮りましたよ! その頃は本当に写真のことばかり考えていて、24時間撮っていても苦にならないほどでした。

―一番楽しい時期ですね! L.A.で思い出深い写真ってありますか?

ENO:L.A.で服の通販をしている会社からいきなりInstagramでDMがきて、アパレルの写真を撮ったことがあるんです。

 

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―その頃から、撮影依頼を受けていたんですか?

ENO:いえ、あくまで趣味で。Instagramにも人を撮った写真をアップしていたわけじゃないんですが…。「こういう服を作ってるけど、暇だったら撮らない?」と連絡がきて、とりあえず行ってみようと。いまだに声をかけられた理由はわからないんですが、すべてが新鮮で純粋に撮ることを楽しんでいました!

インターン中に「写真」のおもしろさが「デザイン」を大きく越える

―写真はかなり充実していたんですね! デザインのほうはいかがでしたか?

ENO:大学卒業後約2年間はデザインにほぼ触れていない状態でインターンに行ったんですが、久しぶりにやってみるとおもしろさを感じられず…。写真がめちゃくちゃ楽しかったので余計にですね。やっていたのは「プロダクトデザイン」で、プロトタイプを大量に作り、少しずつ少しずつ詰めていく作業で果てしなくゴールが遠いんです。

 

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ENO:その点、「写真」は撮ってすぐにいいか悪いかわかりますよね。プリセットを持っていれば、5分以内にはアウトプットが出て、SNSにアップすればすぐにリアクションが返ってくる。そのスピード感、訴求の速さが自分の性格とすごく合っていたんです!
そんなジレンマを抱えながら過ごしていたある日、会社のボスから「つまらなそうだね」と…。

―まわりにも伝わってしまったんですね。

ENO:僕すぐ顔に出ちゃうんで(笑)それが27歳の頃。ボスから「俺が27歳のときには、建築に命を注ぐように没頭していた。そういう“何か”をやったほうがいいんじゃないの?」と言われて…。「自分はデザイナーになる」という思い込みがあったんですが、ボスの言葉で「 “写真”かもしれない」と思うようになったんです。
そこからは自分の中のスイッチが切り替わったように「はい、写真!」となって、帰国後すぐにフォトグラファーとしてのホームページを作りました。

―そこがターニングポイントなんですね!

ENO:フォトグラファーとして売り出していこうかと思っていたら、インドネシア人の友達から「こないだカメラ買ったよね?」と聞かれて、その人の卒業制作を撮ることになりました。後日その人がInstagramに写真をアップすると、インドネシアからの観光客向けツアー会社の方から声をかけてもらったんです。

 

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この写真は、その会社のポートフォリオ用に撮影した1枚。それまで撮っていなかったポートレートを、仕事で撮るようになっていきました。

 

ENO:インドネシアでは旅行中に専属フォトグラファーがそのツアーの様子を撮っていくという文化があるそうで、それが仕事としてのスタートです。 旅行客の方はハイスペックなカメラやレンズを使っていて、交流しながらレンズを使わせてもらったり、貪欲にやっていましたね。

 

フォトグラファー1年目、SNSを軸に大きく動き出す

―Instagramがきっかけで、フォトグラファーとして動き出したんですね!

ENO:さらに大きく動き出すのも、実はInstagramがきっかけでした。下の写真は2016年4月に撮った、交差点とタクシーの写真です。三次元が平面っぽく見えるのが好きで、こういう光景を探して歩いて、見つけては撮っていました 。

 

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―グラフィカルで、車の配置もおもしろいです!

ENO:今見返してみると、ピントが全然甘いなって思いますけどね(笑)
これをInstagramにアップした翌朝のこと。起きるとものすごい通知の数で、スマホの電源が落ちていたんです。Instagram公式ブログでフィーチャーされたのが理由でした!

 

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ENO:それまでフォロワーは全然いなかったんですが、一気に3000人くらい増えましたね。多くの人に知ってもらう意味では大きな分岐点だったと思います。

 

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ENO:上も2016年の写真ですが、Instagramにアップすると韓国のギャラリーの方の目に留まり「個展をやらないか?」となったんです。 わからないことだらけの中で急ピッチに進めた個展は、プリントのクオリティーなど納得の出来ではなかったところもありました。その悔しい思いは、最近の個展に生かされたり、いい経験になっています。

―激動の1年目だったんですね!

ENO:やるって決めたので、何も躊躇しなかったです!

 

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スポンジのように、撮影スキルをどんどん吸収

―帰国後すぐに仕事がスタートした一方で、撮影スキルはどのように身に付けていったんですか?

ENO:完全に独学なのでひたすら撮っていました。スタートが単焦点レンズだったおかげもあって、距離感は早くに身に付きましたね。「ここだったら何mm」と感覚的にわかるんです。ズームレンズは楽ですけど、画角を自分のものにするためには、まず単焦点レンズからはじめることを強くオススメします!
そして、単焦点を味わい尽くして望遠レンズを使ってみると、また新しい表現に驚いてひたすら撮ってみる…ということを繰り返して、アップデートしていきました。

 

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左は一番最初に購入したD610。右は2年前に購入し、現在使用しているD850。下のレンズは70-200mm F2.8。

 

ENOさんのレンズ遍歴

  • 50mm F1.8
  • 24mm F1.8
  • 35mm F1.4
  • 70-200mm F2.8
  • 50mm F1.4
  • 14-24mm F2.8

 

―今まで試してきた中で、ご自身のスタイルにぴったりのレンズはありましたか?

ENO:50mm以上の焦点距離が好きですね。理由は歪まないから。性格的にまっすぐであるべきところはまっすぐにしたいんです。
その中で、遠くのターゲットを切り取れる70-200mmは重いけど好きで、スナップ撮影によく持っていきました。下の写真は、買ったばかりの70-200mmをN.Y.に持っていったときのものです。マンホールから工事の湯気が何本も吹き出ている光景に出くわして、とっさにシャッターを切りました。距離があるところから望遠の切り取りと圧縮効果がうまくはまった、望遠のおもしろさを実感した1枚です。

 

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―写真を撮る上で、誰かを参考にすることはありますか?

ENO:基本的に誰かに教えを乞うことはないんですが、「いいな」と思うものは見様見真似で吸収してきましたね。
これもSNSがきっかけの転機なんですが、1年目のときSNSで有名な香港のフォトグラファーedwardkbさん(@edwardkb)が日本にいるということで、DMを送ってみたんです。

―積極的ですね! 普段からすぐコンタクトを取るんですか?

ENO:そんなにないんですが、本当に会いたくてそのときは迷わず。そうしたら「写真を撮ろうか」となったんです! 「ものすごいチャンスだから」と後輩のフォトグラファーを誘って、安全でいい撮影スポットを徹底的にリサーチしてアテンドしました。

 

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アテンドした場所から撮った思い出深い夕景。

 

ENO:その方はポートレート撮影をしていたんですが、撮り方が独特で…。「ああやって撮ったのが、こうなるのか!」と、カルチャーショックでした。

―どんな撮り方をしていたんですか?

ENO:一つは、壁に自分の体を密着させてスレスレで狙う撮り方です。下の写真のように前ボケを作れて、「こういう撮り方があるんだ」という新しい気づきでした。その方はプロではないんですが、天才気質というか。未知のテクニックを目の当たりにして、見て学ばせてもらった貴重な機会でしたね。

 

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そのとき習得した、壁に体を密着させて前ボケを作る撮り方。(Model: Rei Suehara)

 

「撮ること」に対する考え方の変化

―撮影スキルがアップしていくと、また撮りに出かけるのが楽しくなりますね!

ENO:1~2年目は特にいろんなところに撮りに出かけていました。思いもしなかった光景に出会えるのも、やっぱりカメラを持っていたからだと思います。

 

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ENO:この写真は京都に行ったときのものですが、赤い傘を持つ人を撮影している外国人観光客に遭遇して、声をかけて僕も撮らせてもらいました。

―竹林の緑と、傘の赤の対比が目を引きますね!

ENO:補色対比や明暗対比を生かした視線誘導はデザインをやっていたからかクセになっていて、そういう光景に自然と惹かれるんです。構図にしても、性格的に左右対称のものやきっちりしているものが好きな傾向にありますね。

 

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ENO:これはL.A.の桟橋の下で撮った写真です。ここに日が沈むことを知らなくて、うそみたいな光景に感動して、シャッターを切りました!

―行動あってこその出会いですね! 常にこういう出会いを求めて出かけているんですか?

ENO:最初は撮影スキルを身に付ける意味で撮り歩いていましたが、最近は「どんな写真を撮るか」を考える時期だと思っています。こういうイメージのものを撮るんだったら、このレンズで、この天気がいいとか、狙いうちしていく感じです。下の横断歩道の写真がその最たる例ですね。

 

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―横断歩道のパターンと、傘の配置が絶妙です!

ENO:実は、練りに練って半年くらい時間をかけて何回もトライして撮影した写真なんです。カラフルな傘を撮りたい場合は1日中雨の日が確率が高くて、そういう日を狙っていくんですよ。そして、普段はしないんですが、複数カットをツギハギして思い描いた写真を作り上げました。
投稿するとSNS上で拡散されて、服のデザインや機内誌の表紙に使われたり、展開が大きく広がりました!

―今はアウトプットを構築していくスタイルなんですね。

ENO:ずっと住んでいる東京に少し飽きてきたというのもあるんですよ(笑)なので、先にイメージを固めるようになったんだと思います。光や天気は重要なファクターなので、かなり敏感になりました。
2018年1月に東京で大雪があったと思いますが、その予報が出たときは「絶対撮る」と意気込んで繰り出しましたね!

 

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2018年1月、ネオンを写し入れるために新宿をターゲットに絞り撮影。

 

自分しか気づかないことに徹底的にこだわる

―イメージしたものをアウトプットする上で、光や天気以外にこだわることはありますか?

ENO:それは、フィニッシュワークです。

 

 

ENO:僕にとってのフィニッシュワークは「編集」ですね。まず一つは、水平垂直を徹底しています。広角レンズで撮って歪んでも、まっすぐであるべきところはまっすぐに調整するんです。

 

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―ラインがきれいだと、より美しさを感じますね!

ENO:さらに色味やトーン、モデルさんの肌の感じだったり。自分の中のイメージに合うまで突き詰めていますね。「う~ん?」と少しでも違和感を覚えたら、1日見ないようにして寝かせて、次の日改めて確認する、ということをやっています。これはあくまで僕の中の問題なので、見る人に伝わらなくてもいいんです。そこは最初から妥協しない…性格上妥協できないポイントですね。

―仕上げる上で、画像編集の自分ルールはありますか?

ENO:横断歩道の写真は特殊ですが、あくまで自分がいいと思ったイメージへ自然に仕上げる…ということです。絵も描けますし、Photoshopも使えるほうなので、やろうと思えばいくらでも加工できるんですが、そうならないようにしています。
とはいえ、昔編集したものと再編集したものを比べてみると違いはありますね。

 

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左:2年前に編集した写真、右:今回再編集した写真。

 

―再編集した写真のほうが、目を引きますね。

ENO:当時も右のようなイメージがあったんですが、スキル面からこのときはこれでよかったんです。今は白から黒のトーンの幅が広くなって、よりイメージした写真に仕上げられるようになったと思います。

人とのつながりが写真をさらに楽しくする

―SNSを介していろんな縁が生まれたと思いますが、現在のSNSとの関係はいかがですか?

 

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ENO:今はTwitterが最高に楽しいです! 実はずっと様子を見ていて、はじめたのも2017年と最近。「お腹すいた」とかはつぶやかないように、「読んでもらうには」を考えて、写真+αでどんな考えで撮影や編集をするかなどの思想を書いたりしています。はじめてみると拡散が断然速くて、最初はびっくりしました。

 

 

ENO:それに、僕のことを知ってもらえる機会が圧倒的にTwitterのほうが多いと思います。自分が書いたことはすぐ忘れちゃうんですが、「この前、伝統芸能に興味があるって言ってたけど、能を撮ってみない 」とかまわりの人の頭の中には残っていて。それって、すごくおもしろいですよね!

―Twitterで新しい接点が生まれているんですね! 仕事上でも多くの人と関わると思いますが、いかがですか?

ENO:クライアントワークでは、アートディレクターやコピーライター、デザイナーなどチームで一つのビジュアルを作っていきます。
例えば、ロッテさんの「クーリッシュ」のビジュアル制作は、10人ほどのチームで行いました。「エモくしたい」という要望に対して、「クーリッシュが夏休みをとる」というアートディレクターのコンセプトを基に、“擬人化して旅をしている”ようなイメージアイデアをみんなで出し合っていったんです。その中で僕は、どこにクーリッシュがいれば見ていて心地いいのか、すんなり見てもらえるのかなどを考えていました。コンセプト自体がおもしろくてワクワクしましたし、自分一人で撮る写真以上のものになったときはやっぱり大きな喜びがありましたね!

 

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2019年に撮影した、ロッテ クーリッシュ「#クーリッシュのちょっと遅い夏休み」のビジュアル。

 

ENO:昔は「100%自分の色を出したい」という気持ちもあったんですが、 関わる人それぞれの力を集結させることでよりよいものが生まれるおもしろさを知ったので、今は「自分ができる100%を出し切ろう」という考えでやっています。

Next Story これまでの自分が、今の自分の写真を形づくる

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―カメラを手にしてから4年が経ち、「自分の写真」の特徴は何だと思いますか?

ENO:「写真」に何を掛け合わせるかが大事で、一つでも複数でもいいと思うんですが、僕の場合は確実に「写真×デザイン」です。水平垂直や構図、視線誘導などデザイン的思考がクセになっていて、自分の写真の特徴になっているじゃないかなって。デザインを勉強してきてよかったとすごく思っています。

その持ち味を生かして、“自分にしか撮れないような写真”をこれからも追い求めていきたいですね!

 

インタビュー写真:浜村菜月(LOVABLE)
Supported by L&MARK

 

ENO SHOHKI

ENO SHOHKI

プロフォトグラファー。東京都在住。多摩美術大学に入学し、2014年卒業。 在学中に、プロダクトデザインを専攻すると同時に、以前より興味があったグラフィックデザインの知識も習得。 スナップショット・風景・ポートレートを中心とした、ユニークな視点で切り取ることを得意とする。