朝日撮影のポイントとオススメ撮影スポット7選

初日の出までに覚えておきたい、朝日撮影のポイントとオススメ撮影スポット7選

はじめまして、おおたに。(@ohtani_tani25)です!

城や鳥居などの日本の歴史と自然が融合した風景が大好きで、撮影したい場所を見つけたら全国どこでも飛んでいきます。

 

カメラを購入したきっかけは、学生時代に留学したオーストラリアの美しい風景を、きれいに残したいと思ったからです。「風景を撮るならNikonがいい」というアドバイスを受けて、最初にD3200を選んでからずっとNikonを愛用しています。

 

D780、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D780、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D780、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D780、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
D780、(左)AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED、(右)AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

 

この記事では、基本と応用の朝日の撮り方と、これまでに撮影した中で特に印象的だった朝日撮影スポット7選を紹介します。日々の撮影はもちろん、初日の出撮影を予定している方も参考にしてみてください!

 

朝日撮影の事前準備

はじめに、朝日撮影で重要な事前準備について紹介します。

【リサーチ】日の出の時刻と天候を調べる

まずは、日の出の時刻と撮影に適した天候の基本知識を頭に入れておきましょう。オススメの調べ方も参考にしてみてください。

 

  • 日の出の時刻:日の出の時間は時期や場所によって異なるため、いつも「Sun Surveyor」という有料のアプリで調べています。私は日が昇る位置も把握するためにそのアプリを使用していますが、日の出の時刻や角度は「日の出・日の入りマップ」でも知ることができます。
  • 天候と雲の流れ:朝日撮影に適しているのはもちろん晴れ。晴れていても太陽に雲がかかってしまう場合もあるので、撮影場所に向かいながら風向きや雲の動きが見られるサイト「Windy.com」で、こまめに現地の状況をチェックします。

 

D750、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

D750、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

朝日は季節を問わず撮影できますが、空気が澄んでいて風景がクリアに写る冬が特にオススメです。さらに、快晴の朝に地上との温度差で水面に発生する蒸気霧が加わると、より幻想的な風景に。とても寒い地域で起こる現象ですが、私の故郷・長崎でも見られました。

【撮影地】朝日が映えるロケーションを探す

感動的な朝日の写真を撮るには、“どんな風景と組み合わせるか”が重要です。私は、SNSや旅行雑誌の絶景特集、写真仲間の口コミを参考に撮影地を決めています。

次に撮影場所を考えますが、日が昇るのが「水平線」からか「街並みや山」からかによって、撮影に適した条件が変わります。

水平線ははじめての撮影にオススメ

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

太平洋側の海岸では、水平線からの日の出を撮ることができます。水面に反射する光が美しく、障害物がなくて撮りやすいので、はじめての朝日撮影にぴったりです。

 

D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

 

水上の被写体を撮る場合は、干潮時に風景の印象が変わることが多いので、日の出の時間帯に満潮に近い日を狙って訪れましょう。潮位の予測値は、気象庁ホームページで検索可能です。上の写真は、海の中に佇む様子が印象的な三重・二見興玉神社の夫婦岩ですが、干潮時には手前の海岸から陸続きになってしまいます。

街からの日の出は見晴らしのいい場所で

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

街並みや山から顔を出す朝日を撮る場合は、展望台などの高所や河川敷など、朝日が昇る東側の空に高い建物がない見晴らしのいい場所を選びましょう。朝日と重ならない場所に特徴的な建物などを入れるとアクセントになります。

【持ち物】逆光に強い機材と防寒対策は必須

せっかく早起きして行くからには、後悔のないように準備を万全に整えます。機材はもちろんですが、予備バッテリーや防寒対策が意外と重要です。

 

  • カメラ:明暗差の激しいシーンを階調豊かに写すため、フルサイズがオススメです。薄暗い時間帯でもクリアに撮れる高感度性能も重視しています。今回使用した Z 7IIは、逆光状態でも美しいグラデーションを表現できました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 7II、(左)NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR、(右)NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

左:焦点距離200mm、右:焦点距離14mm

 

  • レンズ:24~200mmの焦点距離域があれば十分です。さらに14mmの超広角があると、風景全体をダイナミックに表現することができます。撮影時は基本的に絞りますが、開放F値が小さいレンズの方が日の出前の撮影で有利です。また、逆光に強いコーティング、Nikonであればアルネオコートやナノクリスタルコートが施されたレンズがよりオススメです。
  • 三脚:日の出前など、シャッタースピードが手ブレしない目安「1/焦点距離」以下になる場面や、長時間露光時は三脚を使用します。朝日が昇る様子を撮る際は、シャッタースピードが稼げるので手持ちでもOKです。
  • レリーズ:三脚使用時のカメラブレを防ぐために使用します。特に、水辺で長時間露出をする際には必須です。
  • 予備バッテリー:冬など寒いときはバッテリーの持ちが悪くなるので、予備を3個は持っていくようにしています。
  • 服装:冬の朝は放射冷却で非常に冷えるので 、しっかりとした防寒対策が必要です。ただし撮影しながら動いていると汗をかくので、吸湿性にも優れた登山用のウェアが◎。

【場所】太陽の昇る時間・方角・位置を把握する

撮影で大切なのは、朝日が昇る「時間」「方角」「位置」を事前に把握しておくこと。同じ場所でも時期によって太陽の昇る位置が異なるので、朝日と鳥居を重ねて撮るなどピンポイントで狙いたい画がある場合は、事前の確認が特に重要です。アプリ「Sun Surveyor」は、撮影場所のどこから朝日が昇り、どんな軌道を描くかまで知ることができるので重宝しています。

 

初日の出までに覚えておきたい、朝日撮影のポイントとオススメ撮影スポット7選

 

撮影当日は、遅くとも日の出の1時間前には現地に到着します。明るくなりはじめた東の空にカメラを向けて、アプリを頼りに朝日が顔を出す位置を予測。モニター越しに前景や地上と空の境目の位置を確認して、撮影場所を決めて大体の構図を考えておきます。

失敗しにくい設定のコツと構図の決め方

朝日が昇りはじめると風景はどんどん変化していきます。特にはじめての撮影では焦ってしまうので、失敗しにくい設定と素早い構図の判断が大切です。

【設定】白とびを防ぐために露出違いで撮影する

朝日風景は明暗差が大きく、撮影時は適正露出だと思っても後で見返すと白とびしていた…ということがあります。失敗をなるべく避けるために、露出違いの画像を自動で撮影するAEブラケティングを使うのがポイントです。
※ Z 7IIのAEブラケティングについてはこちら

 

  • 撮影モード:絞り優先AEで、朝日に露出を合わせて白とびを防ぎます。
  • F値:F8~13程度で風景全体にピントを合わせます。
  • AEブラケティング:補正ステップ0.7(2/3段)、撮影コマ数3コマに設定した場合、-0.7補正・±0(補正なし)・+0.7補正で3枚記録されます。私は、補正ステップ0.7か1.0、撮影コマ数3~7に設定することが多いです。ただし、すべてこの方法で撮影すると撮影枚数がかなり多くなってしまうので、ここぞという時に使用しています。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

 

  • ピント:三脚撮影時はMF、手持ち撮影はAFで、朝日ではなく前景の一番見せたい部分に合わせます。上の写真は、鳥居に合わせてシルエットをシャープに写しました。周囲に何もない海では、朝日の手前の海面に合わせます。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

左:オート、右:曇天

 

  • ホワイトバランス:曇天で撮影すると赤みがプラスされて、朝日の色味を強調できます。撮影時から色がイメージに近いと、この後の編集作業が楽になります。

【構図】基本の構図パターンを頭に入れておく

カメラの設定がすんだら、次は構図です。太陽が顔を出してから約10分間は、特に美しい朝日風景が狙えるので集中して撮影します。しっかりとカメラを水平に構えて、基本の構図パターンで撮影してみましょう。

 

 

日の丸構図

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

 

特に日の出がはじまってすぐは、画面の真ん中に太陽を配置する「日の丸構図」がオススメです。太陽を中心にすることで、空と地上をバランスよく写すことができます。

 

 

空と地上で画面を分割

D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
(左)D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、(右)Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

画面を3分割したラインを基準に、空と前景のどちらを見せたいかで画面を分割する比率を決めます。太陽の位置は中央付近にすると構図が決まりやすいです。

左の写真は、空のグラデーションを生かすために「空2:地上1」に。右の写真は、海に反射する光と砂浜の人を入れるために「空1:地上2」で切り取りました。

オススメ朝日撮影スポット7選

朝日自体は身近な場所でも撮影できますが、私が大切にしているのは風景とのコラボレーションです。朝日と風景の相乗効果で絶景が生まれるスポットを紹介します。

【愛知・太平洋ロングビーチ】物語を感じる朝日風景

私が住んでいる愛知県で、一番オススメなのは太平洋ロングビーチです。釣り人がたくさんいて船も行き来しているので、物語を感じる朝日風景を撮ることができます。

 

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/2021年11月、6時30分頃撮影

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/2021年11月、6時30分頃撮影

 

海面に反射した光と人が重なる位置でカメラを構えて、船が光に差しかかる手前でシャッターを切りました。穏やかな1日のはじまりを感じる光景です。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/2021年11月、6時30分頃撮影

Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/2021年11月、6時30分頃撮影

 

海岸を斜めからとらえて波が引いた瞬間を狙うと、濡れた砂浜と波のきらめきがきれいです。朝日は小さく写しても風景のアクセントになってくれます。

 

撮影のポイント

  • 構図:1枚目は海面の反射と人を中心にして切り取りました。空のグラデーションが印象的な場合は、空と海面を2:1にします。また、風景の奥行きを表現したい場合は、2枚目のように画面の中に収束点をつくり、そこから広がるように直線的な要素を写す放射線構図が効果的です。
  • 焦点距離:1枚目のように朝日を強調する場合は焦点距離80mm程度、2枚目のように風景の広がりを出す場合は14mm程度に。なお、砂浜でのレンズ交換は内部に砂が入りこむ可能性があるので、カバンの中で行うなど十分に注意しましょう。

 

潮の満ち引きにかかわらず年中撮影できて、砂浜のどこからでも美しい日の出を見られるので、ぜひ一度訪れてみてください。

 

太平洋ロングビーチ

撮影場所:愛知県田原市赤羽根町大石
https://www.taharakankou.gr.jp/spot/000009.html

 

【茨城・大洗磯前神社】鳥居×朝日の神々しい風景

日本らしさを感じる鳥居はとても好きな被写体で、朝日と組み合わせると神々しさが増します。大洗磯前神社の「神磯の鳥居」は岩礁に立っていて、満潮に近いときには岩礁に波が打ちつける迫力のある風景をとらえることができます。

 

D750、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR/2019年10月、6時30分頃撮影

D750、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR/2019年10月、6時30分頃撮影

 

周辺の駐車場に車を止めて、鳥居と朝日を一緒に写せる場所まで移動します。撮影時期は、鳥居の正面から朝日を重ねて写せる10月頃が特にオススメで、日の出時刻は6時30分頃が目安です。この日は波が穏やかですが、蒸気霧によって岩礁がベールをまとったようでとても幻想的でした。

 

撮影のポイント

  • 構図:鳥居と朝日を中心にした日の丸構図が定番です。ゴツゴツした岩礁と明るい空、暗さの残る空で画面を3分割して安定感を出し、鳥居の堂々とした佇まいを強調しました。
  • 焦点距離:焦点距離70mm程度で鳥居と朝日を大きく切り取ることができます。
  • 設定:手前から鳥居の向こうの岩礁までピントを合わせるために、F18まで絞って撮影しました。

 

この場所での注意点は、砂浜より鳥居に近づかないこと。激しい波に足を取られたり、岩礁から落下するなど事故が発生する危険があります。無理せず、安全に撮影を楽しみましょう。

 

大洗磯前神社

撮影場所:茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6890
https://www.oarai-isosakijinja.net/

 

【静岡・白濱神社】巨岩の迫力と朝日の美しさのコラボ

白濱神社は、伊豆半島の先端近くにある伊豆最古の神社で、その歴史は2400年以上。縁結びにご利益があるパワースポットとしても有名です。白濱神社の裏には白浜海岸が広がり、海にせり出した巨岩の上に鳥居が立つ風景は、何度見ても心打たれます。

 

D780、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2021年2月、6時30分頃撮影

D780、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2021年2月、6時30分頃撮影

 

巨岩の間から朝日が見えるように撮影位置を調整して日の出を待ちます。水平線から朝日が顔を出すと岩の間から光が差しこみ、あたり一帯が神聖な雰囲気に包まれました。この位置からの日の出が撮れるのは2月頃の6時30分前後が目安です。なお、干潮時には岩の先まで歩いて行けるほど潮が引くので、上の写真のような風景を撮りたい場合は、日の出と満潮のタイミングが重なるときを狙いましょう。

 

撮影のポイント

  • 構図:海面と空を1:1でフレーミングし、朝日を中心にした日の丸構図で撮影。中心に向かう岩の流れによって、朝日に視線を誘導する効果もあります。
  • 焦点距離:超広角14mmで遠近感を強調し、中心へ視線誘導する効果を高めます。左右の岩のラインが左から右へ流れるように、最も美しく見える画角で切り取るのがポイントです。

 

D780、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2021年2月、6時30分頃撮影

D780、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/2021年2月、6時30分頃撮影

 

上の写真は、日の出の約10分前に撮影しました。巨岩に登ることもできるので、朝焼けで染まる空を背景に、岩の上で鳥居を正面からとらえるのもオススメです。
※濡れた岩は大変滑りやすいので、足元に十分注意してください。

 

白濱神社

撮影場所:静岡県下田市白浜2740

https://www.shimoda-city.info/tourism/shirahamajinja.html

 

【三重・夫婦岩】岩の間に朝日が昇る人気スポット

二見興玉神社の境内にある夫婦岩。大小の岩が寄り添う様子を夫婦に例えて名づけられました。日の出撮影スポットとして大人気で、岩の間から昇る朝日を拝める5~7月の日の出の時間には、特に多くの人が訪れます。

 

D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/2021年7月、5時頃撮影

D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/2021年7月、5時頃撮影

 

私も大好きな場所でこれまで4回ほど撮影していますが、毎回違う表情を見せてくれるので飽きることがありません。上の写真は、特に美しく撮影できたお気に入りの1枚です。雲から朝日が顔を出すのを待ってシャッターを切りました。

 

撮影のポイント

  • 構図:太陽を中心にして、夫婦岩の間に光のラインができるように撮影位置を調整。空のグラデーションもきれいだったので、空と海面を2:1の比率で切り取りました。
  • 焦点距離:焦点距離60mm程度で夫婦岩全体を画面に入れて、海岸が写らないようにフレーミングすると、岩が海上に佇む様子を表現することができます。

 

干潮時は風景の印象が変わるので、潮の満ち引きの確認を忘れずに。最も人気な夏至の前後は梅雨と重なるので、天候のチェックも重要です。

 

夫婦岩

撮影場所:三重県伊勢市二見町江575
https://futamiokitamajinja.or.jp/

 

【岐阜・墨俣一夜城】歴史を感じる城×朝の情景

1566年に木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)が一夜で築いたと伝えられる墨俣一夜城。現在はその城跡に、天守閣の形をした大垣市墨俣歴史資料館が建っています。周囲に高い建物がなく東の空が開けているため、朝日と城を一緒に写すことができ、春の桜や梅雨のアジサイなど美しい自然風景も有名なスポットです。

 

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/2021年11月、6時30分頃撮影

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/2021年11月、6時30分頃撮影

 

近くを川が流れていて、その河川敷に広がるさい川さくら公園から、天守と朝日のコラボを撮ることができます。オススメは城の近くに朝日が昇る11月~1月頃の6時30分前後。本来の墨俣城と今の建物は形が異なりますが、朝日を眺めてこの土地の歴史に思いを巡らせると、とても感慨深いです。

 

Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/2011年11月撮影
Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/2011年11月撮影
Z 7II、(左)NIKKOR Z 14-30mm f/4 S、(右)NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR/2021年11月撮影

左:日の出の約30分前、右:日の出の約15分後

 

この場所で日の出前後に見られる朝焼けの風景も気に入っています。

左の写真のように、風のない日は川のリフレクションを生かした画づくりも楽しめます。秋は、朝日で輝くススキを前景に入れて撮るのもいいですね。

 

撮影のポイント

  • 構図:画面の中央に城と朝日が写るように、撮影位置とアングルを決めます。
  • 焦点距離:手前に木や家など目立つものが写らないように画角を調整。城と朝日を写した写真は、焦点距離200mmで写したい部分だけを切り取り、川のリフレクション写真は14mmでダイナミックに表現しました。城とススキは120mmで圧縮して、両方の存在感を強調したのがポイントです。
  • 設定:リフレクションは2秒の長時間露出で撮影しました。日の出前の暗い状況でしたが、空と水面のグラデーションが明るくクリアに描写されています。

 

普段はゆったりと撮影できますが、元日は撮影者がたくさん訪れます。初日の出を狙いたい方は、早目に向かって撮影位置を決めておきましょう。

 

墨俣一夜城

撮影場所:岐阜県大垣市墨俣町さい川堤外地(さい川さくら公園)
https://www.city.ogaki.lg.jp/0000000723.html

 

【長崎・西海橋】地元の暮らしを感じる日の出

私の故郷・長崎の西海橋は幼い頃から何度も訪れていた場所ですが、日の出の風景が美しいとは写真をはじめるまで知りませんでした。

 

D750、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR/2020年1月、7時30分頃撮影

D750、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR/2020年1月、7時30分頃撮影

 

1月の7時前後に、針尾瀬戸にせり出した道から撮影すると、新西海橋・西海橋と朝日を一直線にとらえることができます。上の写真は、帰省した際に撮影した初日の出。蒸気霧が沸き上がり、風景全体がきらきらと輝く様子は心が洗われる美しさです。

 

撮影のポイント

構図:橋の端を写さないことで、見る人にその先を想像させることができ、風景に広がりが生まれます。また、上から順に新西海橋、西海橋、太陽、海面と層になるように写すのもポイント。トラックが走って来た瞬間をとらえて日常の中の絶景を表現しました。

焦点距離:焦点距離185mm程度の望遠で、風景を圧縮して迫力を出します。

 

撮影場所の道沿いには民家があるので、周囲の迷惑にならないようマナーを守って撮影しましょう。

 

西海橋

撮影場所:長崎県西海市
https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/60856

 

【奈良・浮見堂】紅葉と朝日がつくる絶景

D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/2021年11月、7時30分頃撮影

D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/2021年11月、7時30分頃撮影

 

浮見堂は、奈良公園内の鷺池に浮かぶお堂です。年間を通して人気の撮影スポットですが、11月中旬以降の7時前後には、紅葉と奥の山から昇る朝日を一緒に撮ることができます。

 

撮影のポイント

  • 構図:紅葉を利用した額縁構図。前景に紅葉を写して余白を埋め、浮見堂と池のリフレクションを切り取りました。朝日を直接写すのではなく、葉を被せて光条を出して輝きを表現したのもポイントです。
  • 焦点距離:焦点距離24mmで紅葉をたくさん写しこみ、風景の奥行きを強調しています。

 

撮影場所には木が2本しかなく撮影者が集中するので、アングルやポジションを調整して額縁構図で撮れる位置を探しましょう。

 

浮見堂

撮影場所:奈良市春日野町ほか(奈良公園)
https://narashikanko.or.jp/spot/structure/ukimido/

 

朝日風景をより魅力的にする撮影法と編集

ここからは、さらに朝日風景を魅力的にするための、撮影方法と編集のコツをお伝えします。基本の撮り方に慣れてきたら、ぜひ試してみてください!

長時間露出で波をなめらかに描写する

海辺のスポットでは、長時間露出で波をぶらして撮るのがオススメです。海面がなめらかな質感になり、目には見えない世界を表現することができます。

 

D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

D780、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

 

上の写真は、日の出の30分程前にNDフィルターを使用せず、13秒の長時間露出で撮影しました。静かでなめらかな水面に対して、ゴツゴツとした岩の質感が際立っています。

超広角+前景で風景のスケール感を表現する

Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7II、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

砂浜で水平線から昇る朝日を撮るときは、似たような構図ばかりになりがちです。変化を出したい場合は、砂浜にある流木や浮きなどを前景にして、超広角で写すのがオススメです。

上の写真は焦点距離14mmで撮影しました。遠近感が強調されて風景の広がりが感じられます。もし、流木などが見つからない場合は、ペットボトルなど透明なものを朝日に透かして撮るのもいいですね。

人のシルエットを入れて撮影する

自然の中に人の姿が加わると、物語を感じる風景になります。

 

D780、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

D780、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

ポイントは、人と朝日を重ねて視線を一点に誘導すること。日の丸構図にするとその効果が高まります。望遠で主役の人と朝日を圧縮するので、被写体からある程度離れて撮れる場所で試してみてください。

上の写真は、白濱神社の鳥居の前に立ってもらい撮影しました。ポーズは特に指示していませんが、自然な方が風景にマッチしていいと思います。腕を広げると体との隙間から漏れた朝日が光条を描き、よりドラマチックです。
※濡れた岩は大変滑りやすいので、足元に十分注意してください。

編集で朝日風景の魅力を引き出す

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

編集前

 

朝日風景の編集をする際、はじめに考えるのは「朝日以外の要素をどのくらい生かすか」です。今回は、墨俣一夜城を写した写真を例に、前景も生かす編集方法をお伝えします。なお、ホワイトバランスは撮影時から曇天にしているので、色味はほとんど調整しません。AEブラケティングで撮影している場合は、太陽付近が白とびしていないカットを選んで露出量の調整は最小限にします。
※編集ソフトはLightroom Classicを使用しています。

 

  • 露出量:少し上げて風景全体を明るくします。
  • シャドウ・黒レベル:プラスにして城や前景のディテールを出します。
  • ハイライト・白レベル:マイナスにして太陽の白とびを抑えつつ、前景に差しこむ光が見えるように調整しました。
  • 色味:朝日にとって重要な「レッド」「オレンジ」を調整します。彩度と輝度を微調整して、好みの色に仕上げましょう。

 

初日の出までに覚えておきたい、朝日撮影のポイントとオススメ撮影スポット7選
初日の出までに覚えておきたい、朝日撮影のポイントとオススメ撮影スポット7選

左:編集前、右:編集後

 

前景をシルエットにするのも朝日が強調されていいですが、シャドウ部を持ち上げることで城の装飾や街の様子が浮かび上がり、日の出とともに動き出す暮らしを表現できました。

Photographer's Note

2021年も残すところあと少し…。そろそろ初日の出を見に行く計画を立てている方もいるのではないでしょうか? 私は感動的な朝日の風景がとても好きで、初日の出に限らず撮影しています。人気スポットでは、大勢が同じ方向へカメラを構えて日の出を待つ一体感も醍醐味です。

 

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

上の写真は、今回撮影した中で一番のお気に入りです。朝日からまっすぐ伸びる光に包まれるような釣り人と、海をゆっくりと進む船。穏やかな1日のはじまりを感じるシーンになりました。

 

今回はじめて Z の機材を使いましたが、カメラもレンズも驚くほど軽いのに、写りはしっかりとした印象です。ピントが「ピタッ」と合うのが気持ちよく、明暗差の激しいシーンでも、朝日や空の色を階調豊かに表現することができました。

 

天候の条件がそろえば、年中どこでも撮影できる朝日風景。中でも特別な初日の出を撮りたい方は、まず身近な場所で予行練習をしてみてください。最初は白とびしてしまったり、うまく撮れないかもしれませんが、何度も挑戦するうちにイメージ通りの1枚が撮れようになるはずです!

 

 

※こちらに掲載している情報は、2021年12月21日現在のものです。
Supported by L&MARK

 

 

 

20190523173955

Z 7II

製品ページ ニコンダイレクト
NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

製品ページ ニコンダイレクト
NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

製品ページ ニコンダイレクト

※上記以外の機材で撮られた写真は、過去に撮影されたものです。

おおたに。

愛知県在住のフォトグラファー。日本の歴史と自然が融合した風景を求めて、全国を巡り撮影している。鮮やかな色彩とスケール感のあるダイナミックな風景写真が魅力。