春本番!桜のオススメ撮影スポット9選 – 絶景・夜桜・穴場…カテゴリ別ベスト3と魅力的に写すポイント

春本番!桜のオススメ撮影スポット9選 – 絶景・夜桜・穴場…カテゴリ別ベスト3と魅力的に写すポイント

みなさん、こんにちは。長野県出身のフォトグラファー、Daisuke Uematsu(@daisukephotography)です。普段は「四季の美しさ」をテーマに、さまざまな地で風景を撮影しています。

 

前回は富士山の撮影ポイントとオススメスポットを紹介しましたが、今回は日本の春の象徴である「桜」です。歴史ある地に咲く桜から、野山や街中に咲く一本桜までさまざまな桜がありますが、咲き具合や時間帯によって桜の色や感じ方は変化します。

この記事では、私がこれまで撮影した中からオススメの桜スポット9選と、その桜をより魅力的に写すためのポイントを紹介します。

桜撮影のオススメスポット9選

桜の撮影場所は、ネットやSNSでリサーチすることはもちろんですが、現地の情報が最も有益です。今回は、3つのカテゴリでそれぞれベスト3のスポットを紹介します。オススメの時間帯や撮り方を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください!

 

桜撮影の持ち物

  • レンズ:標準ズーム24-70mmを軸に、広角ズーム14-24mm、望遠ズーム70-200mmの3本を必ず持っていくようにしています。
  • 三脚:日中は基本手持ちですが、夜は三脚を使うときもあります。

 

一度は行きたい圧巻の桜風景ベスト3

①【青森・弘前公園】水の上に浮かぶような桜景色

弘前公園では、広大な園内にだけでなく、公園西濠の両岸にも桜が咲き誇ります。歩きながら楽しむのはもちろん、ボートで水辺から桜を鑑賞することもでき、夜にはライトアップされ日中とは違った美しさを堪能できます。

 

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

この写真は日没前に、西濠にある春陽橋から撮影したものです。薄暗くなりつつある水面と岸を染めるように咲く桜が、人々をやさしく見守っているようなイメージを抱きます。


撮影ポイント

  • レンズと焦点距離:園内は上下左右に桜が広がるため、桜の密度により広角具合を調整します。今回は、華やかな左側の桜が画面半分を占めるように焦点距離を設定しました。
  • 構図:縦構図にし、左側の桜が手前から右奥へ流れるラインで奥行きを感じる画づくりをしました。なお、下のように横構図にすると、両岸の咲き誇る桜を写し取ることができます。

 

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

  • 設定のコツ:夕方のため、シャッタースピードを遅くして露出を確保しました。桜が揺れたときにブレないよう、遅くしすぎないのがポイントです。

 

弘前公園は桜の花びらが堀に舞い落ちると、一面花いかだになり水面がピンク色に染まります。あえて桜が散る時期を狙ってもいいかもしれません。

 

弘前公園

青森県弘前市下白銀町1

  • 例年の見頃:4月下旬〜5月上旬
  • オススメ時間帯:夕方〜夜(ライトアップ)・朝
  • 撮影位置:園内にはいくつもの赤い橋があり、桜と絡めて撮影することができます。

https://www.hirosaki-kanko.or.jp/web/edit.html?id=cat02_spring_sakura
※橋の上は混雑することが多いため、三脚使用は現地のルールに従いましょう。
※最新情報はHPをご確認ください。

②【愛知・五条川】川を埋め尽くすほどの桜並木

愛知県岩倉市を流れる五条川は、両脇にびっしりと桜の木が並び、満開になると桜の花びらで川の奥が見えなくなるほど。アクセスしやすく遊歩道もあるため、カメラ片手に散歩しながら気軽に撮影を楽しめるスポットです。

 

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

ここは、朝はやさしい光が入り、桜本来のきれいな色を見ることができます。

 

撮影ポイント

  • レンズと焦点距離:橋の上からでは少し離れた位置に桜があるため、70mmの望遠で切り取り、川幅いっぱいに咲く桜の密度を上げました。
  • 構図:川の中心から右寄りに立ち、川の流れと桜の流れの曲線が重なるようにフレーミング。光が差す手前の桜から奥に視線が抜けるような構図にしています。
  • 編集のコツ:ハイライトを抑え自然な暗部にした上で、朝の時間帯で一番美しい花びらの薄紅色を再現します。

 

運がよければ強い風が吹いた際に桜吹雪になることがあります。一斉に川に舞い落ちる花びらは息をのむ美しさです。

 

五条川

愛知県岩倉市 五条川河畔

  • 例年の見頃:3月下旬〜4月上旬
  • オススメ時間帯:朝
  • 撮影位置:一定間隔にある橋や遊歩道

https://www.city.iwakura.aichi.jp/category/3-11-0-0-0.html
※2021年の岩倉桜まつりは中止となりました。最新情報はHPをご確認ください。

③【京都・東寺】五重塔と桜が織り成す趣ある風景

京都にある東寺のライトアップは、大勢のフォトグラファーが集まるほど有名ですが、日中の東寺と桜の風景も格別です。境内には数多くのソメイヨシノが咲き春の色を添えます。

 

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

 

京都では着物の方がとても多く、風情を感じます。このときは、赤い和傘を差す着物の女性を桜風景に入れるため、桜の木の後ろから五重塔をバックにして撮影しました。桜に近寄って撮るときは、枝や花に触れないように注意しましょう。

 

撮影ポイント

  • レンズと焦点距離:境内からの撮影では、五重塔との距離が近いためレンズは超広角にします。
  • 構図:桜の枝と枝の間に女性を入れることを優先しました。五重塔に桜が重なりますが、存在感を生かすために、塔の上部には桜を重ねないように。また空の抜け感を生かす構図にしています。
  • 編集のコツ:青空とのコントラストを生かしながら、光に照らされた桜の花びらの自然な色を再現します。

 

東寺は、「不二桜」と名付けられた八重紅しだれ桜や、瓢箪(ひょうたん)池に映る桜など、見どころに溢れています。

 

東寺

京都府京都市南区九条町1

  • 例年の見頃:3月中旬〜4月中旬
  • オススメ時間帯:日中・夜(ライトアップ)
  • 撮影位置:五重塔周辺や瓢箪池など

https://toji.or.jp/
※最新情報はHPをご確認ください。

 

夜桜が美しいスポットベスト3

①【京都・蹴上インクライン】春にだけ現れる夜桜トンネル

「インクライン」とは傾斜面にレールを敷いた鉄道で、京都にある蹴上(けあげ)インクラインは全長約582mの傾斜鉄道跡です。左右の桜並木がトンネルのようで、レールの上を歩きながら桜を楽しむことができます。

 

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

D850、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

 

すぐ横には道路があり、街明かりでほのかに桜が照らされます。インクラインの中間くらいに下から撮れる場所があり、三脚を立てて長時間露出で撮影しました。

 

撮影ポイント

  • レンズと焦点距離:立ち位置の真上に桜の枝が伸びていたので、超広角14mmを選択しました。
  • 構図:位置によって桜に隙間があるため空と桜のバランスがいい場所を選び、縦構図で見上げるように撮ると、桜のトンネルとレールで奥行きを強調できます。なお、縦構図を三脚で安定して撮るために、L型プレートを使用しています。
  • 編集のコツ:街明かりで明暗差ができ、オレンジの色かぶりがあるため、明るさと色味を補正します。

 

2021年に予定していた初のライトアップは見送りになりましたが、実施される際にはぜひ行ってみたいです。

 

蹴上インクライン

京都府京都市左京区粟田口山下町~南禅寺草川町

  • 例年の見頃:3月下旬〜4月上旬
  • オススメ時間帯:夜・早朝
  • 撮影地:中間くらいの桜並木が奥まで続く場所

https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/category/173-7-0-0-0-0-0-0-0-0.html
※多くの人が行き交う場所のため、他の通行者や撮影者等への注意が必要です。
※最新情報はHPをご確認ください。

②【奈良・又兵衛桜】一本桜から空に昇る天の川

奈良にある推定樹齢300年のしだれ桜。月明かりがなくなる新月期と美しい枝ぶりが満開の花を咲かせる時期が重なると、“天の川”と桜を一緒に撮影できる、写真を撮る人たちにとって憧れの存在です。

 

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

例年4月上旬頃から満開になるため、月の満ち欠けを事前にネットで調べ、新月前後のタイミングを狙って行きます。なお、街灯などはないので空の明るさを生かして撮影します。

 

撮影ポイント

  • レンズと焦点距離:星空を広く入れるため広角寄りにしますが、桜と天の川の位置によって焦点距離は調整します。標準ズームがちょうどいいです。
  • 構図:桜と天の川の両方の美しさを際立たせるため二分割構図としました。天の川は時間によって位置が変わるので、自分がイメージする桜と天の川の角度に動きます。狙ったタイミングで撮れるように、前もって設定しておきます。
  • 設定のコツ:露出確保のためF2.8以下にし、ISO感度はノイズを考慮し上限ISO3200を目安に。星が流れないようにシャッタースピードは30秒以下に調整します。上の写真では8秒で撮影しました。
    なお、風がある場合は花がブレてしまうので、風が弱まったときを狙ってシャッターを切るとよいでしょう。
  • 編集のコツ:桜と天の川を強調するようにレタッチします。全体の明るさを上げすぎるとノイズが出てくるため、桜と天の川を部分補正で調整します。

 

ここは、朝日の時間帯も非常に美しく、夜から朝にかけて歴史ある一本桜の魅力を堪能できます。なお、夜は冷えるため防寒着は必須です。長時間の撮影の場合は結露によってレンズがくもるため、レンズヒーターなど結露対策もしておきましょう。

 

又兵衛桜

奈良県宇陀市大宇陀本郷

  • 例年の見頃:4月上旬〜4月中旬
  • オススメ時間帯:深夜〜明け方にかけて、新月期に天の川との撮影が可能
  • 撮影地:駐車場近くにある遊歩道

http://www.city.uda.nara.jp/sin-kankou/guide/flower/f01.html
※最新情報はHPをご確認ください。

③【東京・目黒川】魅惑的に輝く光と桜の競演

東京の夜桜スポットとして、ライトアップが美しい目黒川の桜並木がオススメです。光で浮かび上がる桜は宝石のように美しく、日中に見る桜とは違った雰囲気を堪能できます。

 

D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

 

目黒川は、何と言っても桜並木と川に映し出される光彩が見どころです。上の写真は、橋の上から川を真ん中に配置し、桜と水面の美しさを際立たせるように切り取りました。

 

撮影ポイント

  • レンズと焦点距離:圧巻の桜並木を写すため広角に。橋の上では桜との距離があるため24mm程度にし、空を桜で埋め尽くすようにしました
  • 構図:桜と水面の両方を際立たせるため、縦構図で二分割に。奥行きを強調するため、川のラインの始点が画面隅にくるように意識しました。また、右手前の桜を添えたのも奥行き感を出すポイントです。
    なお、左下の写真のように横構図で撮影すると、桜のアーチの絢爛さを写し出すことができます。桜と水面のどちらを際立たせるかで構図を使いわけます。

 

D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

 

  • 設定のコツ:混雑時は三脚を使えないため、手すりなどを利用してカメラをしっかり構え、手ブレしないギリギリのシャッタースピードにし、ISO感度を上げて露出を確保します。
    このとき横構図のほうがブレを抑えられるので、撮った後に右上の写真のようにトリミングすることも想定しておきましょう。人が多いときは、近くで試し撮りをして設定や構図を決めておき、空いたらピントを合わせて連写するのがコツです。

 

目黒川は場所によっても、同じ橋でも角度によって桜の見え方が変わるので、自分だけの構図を見つけるのが楽しいスポットです。日中の桜風景もとても美しいので、お近くの方はぜひ行ってみてください。

2021年は、残念ながらライトアップが中止になりました。またこの光景を見られることを願っています。

 

目黒川

東京都目黒区中目黒

  • 例年の見頃:3月下旬〜4月上旬
  • オススメ時間帯:夕方~夜(ライトアップ)・朝
  • 撮影地:奥に桜が続く中間くらいにある橋

https://www.nakamegu.com/
※2021年は桜まつりが中止になりました。最新情報はHPをご確認ください。

 

穴場の桜スポットベスト3

①【山梨・わに塚の桜】富士山と桜を一度に望む

山梨県韮崎市にあるこの桜は、富士山と合わせて撮れる魅力的なスポットです。田園の中に佇む立派なエドヒガンザクラは、近くで見るととても大きく迫力があります。

 

D850、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

D850、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

実体験として、朝や夕方は空が染まりきれいな上に、富士山が雲で隠れる確率が低く、特に早朝は人も少ないです。

 

撮影ポイント

  • レンズと焦点距離: 桜と富士山はかなりの距離があるため、200mm程度の望遠で引き寄せます。
  • 構図:富士山と桜が重なる位置を探し、田んぼ/桜/富士/空とバランスよく切り取ります。手前は田んぼで、桜が咲く場所は少し高くなっているので、すっきりと画づくりできます。なお、桜のすぐ右にある鉄塔が写らないようにフレーミングするのがポイントです。
  • 編集のコツ:朝日に照らされた桜と富士山をドラマチックに仕上げるため、光の当たっている部分は太陽光を生かすよう暖色寄りに、暗部はシャドウを強調し、さらに富士山の彩度を落とすことで手前の桜を強調しています。

 

今回は、望遠での切り取り方を紹介しましたが、桜の近くまで寄れるので、立ち位置によって超広角から望遠まで振り幅があるスポットです。また晴れた日には八ヶ岳が見られます。ぜひ、富士山や八ヶ岳と桜のコラボを楽しんでください。

 

わに塚の桜

山梨県韮崎市神山町北宮地624付近

  • 例年の見頃:3月下旬〜4月上旬
  • オススメ時間帯:早朝・夕方
  • 撮影位置:桜の南東に富士山があるため、桜の北西

https://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/spot/p1_4881.html
※周囲の田んぼに立ち入っての撮影は禁止です。
※最新情報はHPをご確認ください。

②【長野・松本城】桜の額縁で彩る城の優雅な表情

私の地元・長野にある松本城は、内堀沿いの松本城公園が入場無料で出入り自由なため、撮影しやすいスポットです。私の体感ですが、桜の規模はそこまで大きくないので、混雑なく撮ることができます。

 

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D850、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

ここでは、公園内に咲く桜を額縁にして、松本城を彩る写真が撮れます。

 

撮影ポイント

  • レンズと焦点距離:標準レンズの手持ち撮影で気軽に撮れる場所です。圧縮効果で桜と城を引き立たせるには、望遠70mmで少し離れた位置から狙うときれいに収まります。
  • 構図:天守のアングルと桜のアーチや内堀をバランスがよく撮れるのが、天守の南西の位置。空を桜で埋め尽くすように画面いっぱいにフレーミングしているのがポイントです。

 

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

上の写真は、同じ場所から朝方に撮影した写真ですが、朝の静けさと相まって、幻想的な雰囲気になりました。自由に出入りできる場所だからこそ、時間ごとの表情を楽しむことができます。

 

松本城

長野県松本市丸の内4-1

  • 例年の見頃:3月下旬〜4月上旬
  • オススメ時間帯:朝・日中・夕方〜夜
  • 撮影位置:松本城公園

https://www.matsumoto-castle.jp/
※最新情報はHPをご確認ください。

③【山梨・徳島堰沿い】幾重にも続く古木のアーチ

山梨県にある旧甲州街道の桜並木は、地元の知っている人しか訪れないような穴場スポットです。水路に沿って約1.8kmにわたる桜並木があり、古木の桜のアーチは見事のひとこと。

 

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D800、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

この日はもやがかったような空でしたが、夕日と相まって春らしいやわらかい光に包まれました。

 

撮影ポイント

  • レンズと焦点距離: 空をおおうほどの桜を生かすため広角に。超広角ではフェンスや民家が写りこむので、標準ズームの広角端にしています。
  • 構図:桜のアーチを際立たせるため、上をかなり多めに入れました。特に左側の木の枝の伸びが印象的だったので、そこが強調されるように左側から撮っています。さらに、同行した人に並木を歩いてもらうことで、奥へと視線を誘導でき、桜並木の魅力をより堪能できます。
  • 設定のコツ:風による桜の揺れに加えて、人がブレの要因となるためシャッタースピードは速めに設定。ブレが気にならないスピードに調整し、夕方で少し暗いのでISOを上げて露出を確保しました。

 

オススメスポットの8か所目までは美しい“桜のある風景”でしたが、人との関わりを写すことで“日常に彩りを与えてくれる桜”の魅力を改めて感じることができます。

 

徳島堰沿いの桜並木

山梨県韮崎市円野町

  • 例年の見頃:4月上旬〜4月中旬
  • オススメ時間帯:夕方
  • 撮影位置:国道20号線から旧甲州街道に入ってすぐ

https://www.nirasaki-kankou.jp/kankou_spot/shizen_outdoor/shizen_dousyokubutsu/4213.html
※最新情報はHPをご確認ください。

桜の撮影と編集のポイント

オススメスポットを紹介してきましたが、ここからは桜撮影と編集のポイントをご紹介します。

 

撮影場所の決め方

市や観光協会のHPの開花情報やSNSで直近の開花具合を見た上で、自分の行けるタイミングとエリアから撮影場所を決めています。近場であればまず開花前に行ってみると予測がつきやすいですし、過去に撮った場所であればそれも参考になります。

 

【撮影】どんな風景を写したいかが大事

  • レンズと焦点距離:標準ズーム24-70mmを基本に、奥行きのある桜並木を圧縮したい場合は望遠レンズ、上下左右の広がりを生かしたい場合は広角と切り替えます。まずは標準ズームでファインダーをのぞいてみて、どんな風景を写したいか考えると決めやすいです。

 

Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR
Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR
Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

左:100mm、右:200mm

 

100mmで切り取った左の写真は、散歩する人を小さく写したことで桜の木の並びやスケール感が表現できました。一方で200mmで切り取った右の写真は、ズームすることで散歩する人が引き立ち、日々の暮らしの中にある桜というイメージが強くなりました。望遠域でも、撮りたいイメージで焦点距離を調整します。

 

  • F値:風景全体をとらえるときはF8をベースに。スポット紹介では風景を広くとらえた写真が多かったですが、下のように花びらの美しさを収めるときは開放F値にして花びらを際立たせて撮ります。

 

Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

  • シャッタースピード:日中であれば露出はシャッタースピードで調整します。このとき、1/200秒以上であれば、風で桜が多少揺れてもブレなく撮ることが可能です。
  • ISO感度:極力低くしますが、シャッタースピードで露出をカバーできない場合は上げていき、夜ではISO800程度を上限目安にしています。
  • ホワイトバランス:イメージや光の状態と合っているか確認しながら設定します。カメラが優秀なため、ホワイトバランスをしっかり合わせこむと、撮影後の大幅な色味調整は必要ありません。
  • 構図:見せたい部分を際立たせ、さらに視線の流れを意識します。

 

Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

こちらは土手におおいかぶさるように咲く桜の広がりを伝えるため、土手と桜だけで画面を構成。単調にならないように、右下に階段部分が入る場所を選びました。左上から右下への桜の流れと傾斜のラインで桜の広がりを、左下から右上のラインで桜並木の奥行きが際立つように意識しています。

 

Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

同じ場所ですが、湾曲した土手に沿って咲く桜並木を際立たせるため、前の桜→奥の桜までのラインを決めました。その中で道を歩く人が手前の桜より上に来る瞬間を待ち、桜並木のスケール感と奥行き感を表現しています。

 

風景にメリハリを出すコツ

風景にメリハリを出すには光と影がカギです。とは言え、見頃のタイミングで晴れになるとは限りません。

 

Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 6II、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

上の写真を撮ったときはあいにくのくもり。光が弱いため、明暗のメリハリがつきにくいのですが、奥行きのある構図を歩いて探し、桜で天井をつくりその影を生かした表現を心がけました。さらに、手前の桜を前ボケにするなど、撮る側の工夫でメリハリを出すことはできます。

 

【編集】明るさで本来の美しさを引き出す

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

編集前

 

右奥へカーブしながら連なる桜並木を撮影した写真。こちらを、見たときの印象に近づけるためLightroomで編集していきます。

 

Lightroom編集画面

Lightroom編集画面

 

  • 色味:ホワイトバランス「自然光オート」で撮影しました。イメージする色と一致していたため、今回は色の補正をほとんどしていません。
  • 明るさ:露光量を上げて全体の明るさをイメージに近づけ、白とびしないようにハイライトを抑えます。黒つぶれがある場合は、黒レベルを上げ全体的な暗さを解消。暗部のメリハリがなくなるので、シャドウをマイナスにして本来の影を残します。

 

Lightroom編集画面

Lightroom編集画面

 

  • トーンカーブ:コントラストはトーンカーブで調整。緩やかなS字を意識して、明部の明るさを少しずつ上げて、自然に仕上げます。

 

編集後
編集前

左:編集前、右:編集後

 

以上のプロセス+微調整で仕上げたのがこちらです。見たときに感じた、桜本来の美しさを表現できました。

Photographer's Note

春になり、美しく咲く桜を見ると気分が上がりますよね!
桜は古くから人と関わってきた歴史があり、今を生きる私たちにとっても毎年の楽しみです。桜を見て気分が上がること自体が大きな魅力だと思います。

今回はオススメのスポットを9か所紹介しましたが、私自身まだ見ぬ桜がたくさんあります。県外移動ができるタイミングには、香川県三豊市にある「紫雲出山」の瀬戸内海を望む桜を撮りに行ってみたいです。また、名所ではなくても、身近にも素敵な桜が咲く場所はあります。見慣れた風景でも自分の立ち位置や視点、カメラのレンズを通して見ると景色は変わります。晴れの日だけでなく、雨の日にはしとやかな桜を堪能できたり、その時だけの風景を楽しむ気持ちが大切です。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

ぜひ自分の心に残る桜を探しに、カメラを持って出かけてみてください。自然がつくる素敵な光景に出会えるかもしれません!

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

※こちらに掲載している情報は、2021年4月2日現在のものです。
※本記事のオススメスポット9選の写真は、過去に撮影されたものです。
※新型コロナウイルスの感染症対策に十分にご留意いただくとともに、政府、自治体など公的機関の指示に従った行動をお願いいたします。
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20190523173955

Z 6II

製品ページ ニコンダイレクト
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NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

製品ページ ニコンダイレクト
20190523173943

AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

製品ページ ニコンダイレクト

※Z シリーズカメラでNIKKOR Fレンズをご使用するにはマウントアダプターFTZを装着する必要があります。

Daisuke Uematsu

Daisuke Uematsu

長野県在住のフォトグラファー。「四季の美しさ・自然と人の繋がり」をテーマとし、光と影が織り成す美しい瞬間を追い求めている。「二度と同じ写真は撮れない」という考えから、出会った景色の最も美しい瞬間をとらえることを目標としている。