紅葉に魅せられたフォトグラファーのオススメ紅葉絶景撮影スポット7選 – 東海地方の個性豊かな魅力を引き出すコツ

紅葉に魅せられたフォトグラファーのオススメ紅葉絶景撮影スポット7選 – 東海地方の個性豊かな魅力を引き出すコツ

はじめまして、まちゅばら(@mpmb7)です。“風景を見たときの感動や迫力をたくさんの人に伝えたい”という思いで、岐阜県を拠点に四季の風景を撮影し、SNSで発信しています。カメラは、はじめての一眼レフでD5000を買ってからずっとNikonを使っていて、今はZ 6を愛用しています。

 

1年中で一番自然の彩りが豊かになる秋は、特に楽しみにしている季節です。景勝地はさらに美しく、何気ない場所も紅葉によって画になる風景に変化します。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
(左)Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR、(右)Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
D5500、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G
Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
(左)D5500、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G、(右)Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

今回は、Z 6IIで地元・岐阜の紅葉を撮りおろしてきました! 過去に撮影した写真も含めて、東海地方のオススメ紅葉撮影スポット7選と、美しさを引き出す撮影のコツを紹介します。

東海地方は日本のほぼ真ん中に位置する地域で、比較的どこからでもアクセスしやすいところも魅力です。別のエリアにお住まいの方も、これを機にカメラを持って訪れてみてください!

 

紅葉撮影のオススメスポット7選

紅葉は、風景とのコラボレーションでより美しさが際立ちます。滝・雲海・リフレクションなど、周囲の環境を生かして、紅葉をバリエーション豊かに撮影できるスポットを紹介します。自然に囲まれた場所が多いので、車で巡るのがオススメです。

 

紅葉撮影の持ち物

紅葉に魅せられたフォトグラファーのオススメ紅葉絶景撮影スポット7選 – 東海地方の個性豊かな魅力を引き出すコツ

 

  • カメラ:夜や朝方など、暗い環境での撮影も考慮して、高感度耐性の優れたものを選びます。
  • レンズ:焦点距離24~70mmのズームレンズで大体のシーンに対応できます。24mm以下の超広角レンズもあれば、風景のスケール感を生かした撮影が可能です。さらに70mm以上の望遠レンズがあれば、遠くの景色を引き寄せたり、身近な紅葉を印象的に写すことができます。
  • フィルター:紅葉本来の色味を写すために、水面や被写体の光の反射を抑えるPLフィルター(円偏光フィルター)を常につけています。レンズに入る光の量を減らせるNDフィルターは、日中に長時間露出をするために用意しておきます。
  • 三脚:日中は手持ちでも問題ありませんが、夜や長時間露出をする際には三脚を使います。軽量コンパクトで丈夫なカーボン製がオススメです。
  • レリーズ:三脚使用時にカメラブレを防ぐために使用します。

 

【紅葉×滝】鮮やかな紅葉と滝の躍動感が魅力

静岡県・白糸の滝「連なる滝と紅葉が迫力満点」

名瀑として名高い白糸の滝は、幅150mほどの湾曲した絶壁から、数百の滝が流れ落ちるのが特徴です。秋は崖の上の木々や周辺の植物が紅葉し、滝の迫力と相まって華やかな風景が広がります。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

駐車場に車を止めて、徒歩10分ほどで滝が見えてきます。滝つぼへ続く階段を下りて歩経路を進むと、滝を間近で撮影できるスポットに到着です。真正面に立って全体をとらえると平面的になり、滝も小さく写ってしまうので、崖の手前から奥に向かってフレーミングしましょう。この日は晴れていたので、空を入れて滝を中心にした放射線構図で切り取り、奥行きと迫力を表現しました。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

滝つぼに向かう途中の展望スペースからは、滝を俯瞰することもできます。周囲をおおう紅葉とエメラルドグリーンが美しく、近くで見るのとはひとあじ違う華やかさを感じます。

また、滝に光が差しこむ時間帯には、このように虹が発生することも。時間は季節によって前後しますが、晴れた日の午前中は見られる確率が高いです。狙って訪れてみてください!

 

撮影のポイント

  • 焦点距離:30~32mm程度にすると、滝がきれいに収まります。
  • 設定:滝の近くで撮る場合、シャッタースピードは目で見た印象に近い描写になる1/60秒程度に。F8まで絞ることで、すみずみまで解像感のある迫力満点の1枚になります。展望スペースなどで離れて撮るときは、F22まで絞りこんで奥の滝までしっかりとピントを合わせましょう。

 

白糸の滝

静岡県富士宮市上井出273-1
例年の見頃:11月中旬~下旬
http://www.city.fujinomiya.lg.jp/kankou/llti2b00000018ez.html

 

岐阜県・白水の滝「紅葉に囲まれた白色の直瀑」

高さ72mの崖から、しぶきを上げて勢いよく流れ落ちる白水の滝。名前の由来でもある白色の水が特徴で、色づいた木々とのコントラストがとても美しいです。滝に近づくことはできないので、展望台から撮影を楽しみます。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

駐車場から遊歩道を5分ほど歩くと、展望台に到着します。滝を囲む紅葉と、奥に連なる山々が印象的です。ここでは、滝を真ん中にして紅葉で額縁構図をつくって切り取るのがオススメ。滝つぼと奥の山がどちらも画面に入るように焦点距離とアングルを調整します。手前の木をあえて入れることで、奥行きと臨場感のある写真になりました。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

さらに、滝つぼをクローズアップしてみましょう。美しい水の流れとさわやかなブルー、鮮やかな紅葉、ゴツゴツした岩肌…。さまざまな自然の色と質感を収めることができました。

 

撮影のポイント

  • 焦点距離:1枚目のように風景全体をとらえる場合は24mm程度。滝つぼをアップで撮る場合は70mm程度で、葉の色づきが鮮やかな部分と大きな岩全体が入るように調整します。
  • 設定:まっすぐ落ちる水の勢いと美しさを表現するため、1~2秒の長時間露出で撮影。絞りはF11~13程度に絞って、背景の山や紅葉、岩の質感をとらえます。

 

白水の滝

岐阜県大野郡白川村平瀬
例年の見頃:10月下旬
http://kankou.shirakawa-go.org/guide/805/

 

【紅葉×雲海】物語の世界のような幻想的な光景

岐阜県・苗木城跡「紅葉に囲まれた天空の城跡」

標高432mの高森山に築かれた苗木城の跡。秋には山の木々が鮮やかに色づき、より風情ある光景が広がります。この時期の早朝には高い確率で雲海が発生して、まるで城跡が天空に浮かんでいるような光景に出会えますよ。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

天守跡と雲海を撮影するには、城山大橋から撮影するのがオススメです。付近の駐車場に車を止めて、歩いて橋まで向かいます。天守跡が中央になる位置でカメラを構えて、雲海と青空がバランスよく写るように撮影しました。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

くもりの日は、山にかかる雲海を中心に、紅葉した斜面を広く入れて撮影します。晴れの日とは違った落ち着いた色合いで、ミステリアスな雰囲気を表現できました。

 

撮影のポイント

  • 焦点距離:70mm程度で天守跡を引き寄せると、周囲の山と雲海、空がバランスよく写ります。24mm程度の広角にすると、山の斜面と雲海が立体的に描写されて、臨場感のある写真になります。
  • 設定:雲海が白とびしないように、少し暗めに撮るのがコツ。そうすることで、おぼろげでしっとりとした雰囲気も出すことができます。上の2枚は、どちらもF5.6、シャッタースピード1/400秒、ISO100に設定しました。風が強い日は、NDフィルターをつけて5~10秒程度の長時間露出で撮影すると、雲海がなめらかに写るので試してみてください。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

こちらは、天守跡の展望台から城山大橋方面を撮影した1枚です。焦点距離50mm程度で、目で見た感動をそのまま切り取るイメージでシャッターを切りました。山の斜面で対角線構図をつくることで、雲海が流れているような動きを表現できます。

 

苗木城跡

岐阜県中津川市苗木
例年の見頃:11月上旬
https://www.city.nakatsugawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kankoka/5/2/749.html

 

【紅葉×リフレクション】紅葉の彩りと感動も2倍に

愛知県・名古屋城「水面に映る紅葉と名古屋城」

日本三名城に数えられる名古屋城は、庭園の木々が色づく秋がひときわ美しいです。敷地内での撮影ももちろんオススメですが、やはり人気スポットだけあって混雑がつきもの。「落ち着いて撮影したい」という方は、水堀を挟んだ正門横の歩道から、水面に反射する石垣と紅葉と名古屋城を写せます。

 

D5500、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

D5500、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

 

特にオススメなのが夜。道沿いの建物の明かりや街灯に照らされた紅葉と、ライトアップされた天守閣が幻想的な光景をつくり出します。リフレクションをきれいに写すため、風がやむのを待ってシャッターを切るのがポイントです。

 

D5500、AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR

D5500、AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR

 

こちらも同じ歩道で、位置を少し移動して撮影したもの。水面と地上を二分割構図で切り取ることで、闇の中に浮かんでいるような不思議な世界を描けます。

 

撮影のポイント

  • 焦点距離:1枚目は40mm(35mm判換算60mm相当)で天守閣を引き寄せて、三分割構図の交点に配置。縦位置で紅葉の色づきがいい部分を切り取りました。2枚目のように二分割構図で撮る際は、11mm(35mm判換算17mm相当)の超広角で、天守閣と右端のライトを写しこんでアクセントにします。
  • 設定:奥の天守閣までピントを合わせるためにF8~18まで絞り、10~30秒程度の長時間露出で明るさを確保。三脚が必須なので、通行する人の邪魔にならないように気をつけて撮影しましょう。

 

名古屋城

愛知県名古屋市中区本丸1-1
例年の見頃:11月中旬
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/

 

岐阜県・曽木公園「ライトアップされた鮮やかな紅葉風景」

曽木公園は、岐阜県内で特に人気の紅葉スポットで、私もカメラをはじめる前から毎年見頃の時期に行われるライトアップを楽しみにしていました。2020年と2021年のライトアップは残念ながら中止になってしまいましたが、2022年以降に実施された際には、ぜひ見てほしい絶景です。

 

D5500、AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR

D5500、AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR

 

一番の魅力は、鮮やかにライトアップされた紅葉と池に映る“逆さもみじ”。風のない日にはとてもクリアに映し出され、まるで水中に木が生えているようです。園内はとても混雑しますが、池が複数あるので人の少ない場所を選ぶと撮りやすいです。リフレクションが映える二分割構図をつくるには、池の幅が広い部分を探して対岸から狙ってみましょう。

 

撮影のポイント

  • 焦点距離:10mm(35mm判換算15mm相当)の超広角で撮影すると、パース効果で紅葉に包まれるような迫力のある写真になります。
  • 設定:紅葉を明るく写すために、三脚を使ってシャッタースピード15秒程度に設定しました。

 

曽木公園

岐阜県土岐市曽木町
例年の見頃:11月上旬~中旬
http://sogimomiji.sakura.ne.jp/index2.html

 

【紅葉×里山】時間がゆっくり流れるのどかな風景

岐阜県・白川郷「温もり溢れる日本の原風景」

豊かな自然に囲まれ、合掌造りの集落が残る白川郷は、まさに日本の原風景。世界遺産にも登録されていて、年間を通じて多くの観光客が訪れます。中でも紅葉シーズンは、周囲の山や木々が鮮やかな赤や黄色に染まり、いっそう風情豊かです。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

もちろん散策しながらの撮影もいいですが、荻町城跡展望台からの合掌集落を一望する風景が特にオススメ。道を中央にして、紅葉した山と地上を1:1で切り取ると、バランスのいい構図になります。15時過ぎには日が傾いてやわらかい光が差しこみ、よりのどかな雰囲気に包まれます。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

集落をズームして縦構図で撮影すると、より暮らしの温かみを感じる写真に。山と地上を1:1にして、特に家が集まっている部分をフレーミングするのがポイントです。

 

撮影のポイント

  • 焦点距離:50mm程度にすると、横位置で集落全体が収まります。縦位置の場合は、70mm程度の望遠にすると、圧縮効果で山の迫力と集落が密集している様子を表現できます。
  • 設定:山の紅葉までしっかりと写るように、F8~10に絞ります。シャッタースピードは明るさに合わせて調整しますが、このときはやわらかい光を生かすために、1/10秒程度と遅めに設定し、少しオーバー気味に撮影しました。

 

白川郷

岐阜県大野郡白川村荻町
例年の見頃:10月下旬~11月中旬
https://shirakawa-go.gr.jp/

 

岐阜県・飛騨の里「自然と暮らしを感じる癒やしの空間」

飛騨の民俗文化を伝える集落博物館・飛騨の里は、ノスタルジーを感じる農村の風景と大きな池が特徴です。秋は集落の草木や周辺の山が色づき、紅葉に包まれるような癒やしの風景が広がります。高山市の中心部に近く、バスなど公共交通機関でのアクセスがしやすいところも魅力です。

 

Z 6II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 6II、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

出入口のすぐ目の前にある池越しに、合掌造りの集落をダイナミックにとらえるのが、特にオススメの撮り方です。撮影時は紅葉しはじめでしたが、見頃のときは赤や黄色に色づいた木々がとても華やかで、タイミングがよければ池にすんでいる生きものも一緒にとらえることができます。

 

撮影のポイント

  • 焦点距離:大きな池と青空の清々しさと、手前を泳いでいたコイを写すために、14mmの超広角で撮影しました。
  • 設定:絞りはF10程度で全体にピントを合わせます。池に光が反射してとてもきれいだったので、シャッタースピードを1/800秒に設定して揺れる水面を写し止め、きらめきを表現しました。

 

飛騨民俗村・飛騨の里

岐阜県高山市上岡本町1-590
例年の見頃:10月下旬~11月上旬
http://www.hidanosato-tpo.jp/top.html

 

【番外編】身近な風景も紅葉で華やかに

身近で楽しめるのも紅葉のいいところです。近所の公園などで撮影をする場合は、アングルや切り取り方を工夫すると魅力的に表現できます。周囲をぼかしながら一部に寄って写したいシーンもあるので、ボケ味が美しい中望遠単焦点レンズがあるとより撮影が楽しくなりますよ。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

木が1本しかない場合は、紅葉を見上げて空を背景に切り取るのがオススメです。葉の密度が濃い部分をフレーミングして、一枚一枚がしっかりと写るようにF8程度に絞ります。紅葉の隙間から太陽がのぞくようにすると、光芒が伸びてより華やかです。

 

D5500、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G

D5500、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G

 

色づき具合がまばらでも、きれいな部分だけクローズアップすれば美しさを引き出せます。上の写真は、色づきのいい枝を対角に配置して、開放F値で背景を大きくぼかしました。夜は街灯や車のヘッドライト、昼なら木漏れ日などの点光源を画面に入れると、玉ボケになって幻想的な雰囲気を演出できます。

 

D750、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G

D750、AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G

 

散ってしまった葉にも注目です。上の写真は、苔むした石段と紅葉のコントラストに惹かれて撮影しました。画面を四分割したラインに階段を合わせてバランスを整え、階段の端を斜めに入れることで奥行きも表現しています。開放F値のボケと、段差による色の濃淡で立体感を出したのもポイントです。

紅葉撮影の事前準備と撮影のコツ

美しい紅葉風景を撮るためには、事前の準備や撮影方法にも工夫が必要です。しっかりと備えて、期間限定の絶景を魅力的に残しましょう。

 

【事前準備】撮影地をリサーチして見頃をチェック

行きたいスポットの自治体のサイトや、見頃の情報を発信しているサイトで時期を調べて撮影日を決定。地元の場合は、ドライブがてらロケハンして自分の目で色づき具合を確認することもあります。その途中で、サイトには載っていない隠れた名所が見つかることもあるので、紅葉の時期は地元を積極的に散策してみてください!

 

【機材】フィルターで見た目以上の魅力を表現する

記事のはじめに使用するカメラやレンズなどについて解説しましたが、紅葉撮影で特に重宝するのがレンズに装着するフィルター類です。風景の魅力を強調する効果があります。

 

 

色鮮やかに写すPLフィルター

特に試してみてほしいのはPLフィルターです。水面や被写体への反射光をコントロールして、紅葉本来の鮮やかさを引き出してくれます。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

左:PLフィルターなし、右:PLフィルターあり

 

上の写真はどちらもカメラの設定は同じですが、PLフィルターをつけている右の写真の方が、木々の色がより感じられると思います。

 

 

長時間露出で役立つNDフィルター

レンズに入る光の量を調整できるNDフィルターは、日中に滝や雲海などを長時間露出で撮影する際に活用します。目には見えない水や雲の動きを表現することができますよ。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

左:NDフィルターなし、右:NDフィルターあり

 

左右どちらも日中の白水の滝で、シャッタースピードを1秒に設定して撮影しました。左は全体が白とびしているのに対して、フィルターをつけた右は風景のディテールや色がしっかりと描写され、滝の流れがなめらかに写っています。

【設定】天候と光の向きでホワイトバランスを変更する

天候や風の強さによって変わりますが、露出は以下を目安に設定しています。ファインダーで明るさを確認しながら、数値を変えて数枚撮影しておくのがオススメです。

 

  • F値:風景全体にピントを合わせるためにF8を基準にして、さらにピントを深くしたい場合はF10以上に。暗い+手持ちでシャッタースピードを下げられないときは、開放F値で撮ることもあります。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 6II、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

左:1/20秒、右:2秒

 

  • シャッタースピード:手持ちで撮る場合は、手ブレしない目安の「1/焦点距離」を確保して、明るさによって調整します。三脚を使って長時間露出をする場合、滝や雲海をなめらかに写すときは2~10秒、夜間は15~30秒程度に設定します。
  • ISO感度:解像感を大切にしたいので、基本的にはISO100。露出が足りない場合は、ISO1000を上限に調整しています。

 

Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
Z 6II、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

左:ホワイトバランス「オート」、右:ホワイトバランス「曇天」

 

  • ホワイトバランス:晴れていて紅葉に光が当たっている場合やライトアップ時は、「オート」で撮影して編集で色味を調整します。くもりや日陰になっている場合は、色が沈みがちなので「曇天」に設定すると、紅葉の色が鮮やかに写ります。

【構図】風景の特徴を生かして切り取る

目で見た感動を写真で伝えるためには、風景の特徴を生かした構図で切り取ることが大切です。ここでは、私がよく紅葉撮影で使う構図法を紹介します。慣れるまでは、モニターに格子線を表示すると画づくりがしやすくなりますよ。

 

 

二分割構図でリフレクションを生かす

D5500、AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR/撮影地:名古屋城

D5500、AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR/撮影地:名古屋城

 

水面のリフレクションや、地面の落ち葉を入れて撮影するときによく使う構図で、画面を二分割するように水平線や地平線を合わせます。上の写真は、上下対称のおもしろさを表現するために、石垣の幅で正方形にトリミングしました。

 

 

放射線構図で迫力や奥行きを強調する

D5500、AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR/撮影地:曽木公園

D5500、AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR/撮影地:曽木公園

 

画面の中に収束点をつくり、そこから放射状に伸びるように道や並木を配置します。上の写真は中央の街灯を収束点にして、池の角になった部分を合わせることで上下に並んだ紅葉の迫力を表現しました。さらに、手前に岩を入れて奥行きも強調しています。

 

 

額縁構図で主役に視線を誘導する

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S/撮影地:白糸の滝

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S/撮影地:白糸の滝

 

主役を囲むように要素を配置して、視線を主役に誘導する構図。滝など見せたい風景を引きで撮影するときによく使います。上の写真は、紅葉と色づいた地面で額縁をつくり、滝に目がいくように切り取りました。手前の紅葉と滝の上の紅葉は距離が離れていますが、立ち位置を調整してつながるように写しています。

【編集】ロケーションに合った色味を引き出す

紅葉の編集は鮮やかにするだけではなく、風景の特徴に合わせて色合いを調整することが大切です。

ここでは、雲海におおわれたミステリアスな紅葉風景を例に、おぼろげでしっとりとした雰囲気に仕上げるコツを紹介します。
※編集はLightroomを使用。

 

紅葉に魅せられたフォトグラファーのオススメ紅葉絶景撮影スポット7選 – 東海地方の個性豊かな魅力を引き出すコツ
紅葉に魅せられたフォトグラファーのオススメ紅葉絶景撮影スポット7選 – 東海地方の個性豊かな魅力を引き出すコツ

左:編集前、右:編集後

 

  1. まずは、この風景の特徴である雲海を強調します。ハイライトを上げて白色をより強く、シャドウを下げて雲海が風景から浮き上がるように調整。このとき、白とび・黒つぶれがないか全体を確認して、ある場合は白レベルや黒レベルを微調整して解消します。
  2. 次に紅葉の色味です。奥にある赤い橋とマッチするように、カラーミキサーのオレンジの色相をマイナスにして赤みを強めます。さらに、グリーンの彩度をマイナスにすることで、全体が秋らしい色合いになります。
  3. テクスチャと明瞭度を少し上げて、雲海や紅葉の質感を強調してメリハリをつけます。最後に露光量を微調整して全体の明るさを整えますが、今回のようにしっとりとした雰囲気の場合は明るくし過ぎないのがポイントです。雲海が白とびしないように様子を見ながら仕上げましょう。

 

雲海の存在感が増し、橋と紅葉の色味を近づけることで統一感が生まれました。紅葉風景では紅葉の色味を強調しがちですが、周囲とのバランスを意識することで風景全体の美しさを引き出せます。

Photographer's Note

私の住む岐阜県は、自然豊かで季節ごとに美しい風景を楽しむことができます。はじめは眺めるだけでしたが「私の好きな景色を多くの方に見てもらいたい」と思うようになり、写真をはじめました。

 

いつもはZ 6を愛用していますが、今回Z 6IIをお借りして紅葉を撮影し、描写力はもちろん高感度耐性がさらによくなっていると感じました。暗い状況での手持ち撮影や夜間の撮影で、ISO感度を上げてもノイズがほとんど気にならず、クリアに写せてうれしかったです。

 

近くにいい紅葉スポットがない…という方もいると思いますが、近所の公園や神社でも十分に紅葉撮影を楽しむことができます。“素敵な景色”は、有名な絶景だけではありません。好きだと思った光景を自分なりに撮って楽しんでいただけたらなと思います。

 

 

※こちらに掲載している情報は、2021年10月26日現在のものです。
Supported by L&MARK

 

 

20190523173955

Z 6II

製品ページ ニコンダイレクト
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

製品ページ ニコンダイレクト
20190523173950

NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

製品ページ ニコンダイレクト
NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

製品ページ ニコンダイレクト

※上記以外の機材で撮られた写真は、過去に撮影されたものです。

まちゅばら

まちゅばら / Hiroki Matsubara

岐阜県を拠点に、四季の自然風景や都市風景を撮影している。印象的な光を取り入れた色鮮やかな光景や、物語のワンシーンをとらえたような作風が注目を集めている。