2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!

2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!

こんにちは、NICO STOP編集部(@nicostop_editor)です。秋も深まりつつありますが、みなさん写真を楽しんでいますか!

ところで、近所や公園、街並みなどの風景を撮るとき、どんなところに目を向けていますか? 注目するポイントは人それぞれですが、どういう意識で探すか・撮るかで写真は大きく変わってきます。

そこで今回は、2人のフォトグラファーのフォトウォークに同行して、視点や構図の考え方、編集まで意識した撮り方に迫りたいと思います。

 

同行したのはこの2人のフォトグラファー

2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!

 

嵐田大志さん(@Taishi_Arsashida):家族写真の他、都市光景やミニマル写真を撮影している。

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

Ken Tanahashiさん(@kentanahashi):ストリートを中心に日常スナップを撮影。ミニマル写真も得意としている。

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

SNS上では交流のある2人ですが、直接会うのははじめて。一緒に撮るのをとても楽しみにしていたそうです!

 

今回は代々木公園に集合し、原宿駅から北参道駅までの1駅間を散歩しながら撮影をしてもらいました。2人が使うのはZ 50とキットレンズNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR。同じ場所で、同じカメラとレンズで、それぞれどんなところに注目してシャッターを切るのか…とても楽しみです!

スタートは代々木公園! 木漏れ日や訪れる人に着目

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― この日はくもり予報でしたが、奇跡的に青空に。2人とも晴れ男のようです! 公園に着くと早速…。林の中で2人とも何を狙っているんでしょうか?

編集部:嵐田さんは何を撮ってるんですか?

嵐田:都会のど真ん中にもかかわらず、森林の中にいるようないい雰囲気なので、望遠端にして木と木の距離感を圧縮にしてみようかなと。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:ところどころ差しこんでいる木漏れ日がきれいだったので、地面が多めに見えるアングルで撮りました。編集でグリーンの彩度を抑えて、落ち着いた雰囲気にしようと思います。

編集部:撮っている段階から仕上がりをイメージするんですね!

Ken:僕も撮ってみました。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

編集部:嵐田さんとは違って、地面よりも木のほうを多くフレーミングしていますね。

Ken:特にいいなと思ったのは木々の枝の重なりです。それと、地面に落ちる影。秋の暖かい空気感を出すためにホワイトバランスを暖色寄りにして、トーンカーブで明暗を調整して木漏れ日のやわらかい光を表現しようと思います。

 

photo by 嵐田大志
photo by Ken Tanahashi

左:嵐田さん撮影、右:Kenさん撮影

 

編集部:目の付けどころ次第で、同じ林でも印象がまったく違いますね!

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― 今度はかなり寄って撮るKenさん。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

Ken:木の一部だけに光が当たっていて、そこの木の質感や苔が生えている様子がよくわかっておもしろいなと思いました。その部分を際立たせるために素直に日の丸構図にして。編集で周辺を落とせば、この部分が際立ちます。

普段は特に光と影を追い求めることが多いです。今回撮った写真のように光がスポット的に当たるところに注目したり、ストリートであれば光の部分に人物を配置したり。光と影を意識すると、何気ない風景でも見え方が変わってきます。

編集部:一つの場所でも寄り引きしたり、光や影に着目すると、違った魅力に気づけますね。

 

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― 嵐田さんは、ライブビューで画を確認していますが、シャッターは切らず…。

 

嵐田:僕はしっかり観察してから撮るかどうか決めるので、シャッターを切る回数は多くないかもしれません。

― 対照的に、動いてはシャッターをバシバシ切るKenさん。瞬発力がすごいです!

 

2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!
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編集部:今は何を撮ってるんですか?

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

Ken:ベンチの手前と奥でそれぞれの世界観があるのがいいなと思って。子供が主題で、奥の車から荷物を出している人が副題で、斜めのラインで配置してみました。そうすると、1枚の写真の中に複数のストーリーが生まれます。上半分の奥が暗くて、光が主題と副題を照らしているように当たっているのがポイントですね。

ベンチは、そこで過ごす人の物語を感じられるので、結構待って撮ることが多いんです。

編集部:「ベンチはストーリーが生まれやすい場所」いいことを聞きました!

 

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― 公園を後にする前に、入口付近をハイアングルで狙いすます嵐田さん。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:地面の丸いパターンに着目して、ちょうど人が歩いてきたので、サークルの真ん中に来た瞬間にシャッターを切りました。

編集部:模様のおもしろさが際立ちますし、視線も中心に集まりますね。…そういえば何で高い位置から撮っていたんですか?

嵐田:手前の花壇が入らないように、そしてサークルだとわかるように極力ハイアングルで狙いました。

 

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編集部:たしかにアイレベルで撮ると、花壇や杭が入っちゃいます。

嵐田: 写真を撮るときは「色や形」に注目していて、それが際立つように画角整理することも大事なポイントです!

歩道橋では路面標示や行き交う車で画づくり

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― 公園を出て、近くの歩道橋にやってきました。嵐田さんは、眼下の道路に向かってカメラを構えています。

編集部:カメラを縦に構えて、何を狙っているんですか?

嵐田:制限スピードが書かれた路面標示のところで、車がいなくなるのを待ってるんです。

編集部:2車線に「50」と書かれたところですね。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:そこに木の影が整然と並んでいて、人工物と自然のバランスがいいなと。このレンズでは35mm判換算で75mmまでなので、トリミング想定で撮りました。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:トリミングするとこんな感じです。

編集部:左右対称な道路と並んで入っている木の影との組み合わせのおもしろさが際立ちますね。

 

2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!
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― 今度は、2人とも同じ場所で何かを狙っています。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:歩道橋の上から道路をのぞきこむと、かっこいいクルマが信号待ちをしていて、路面標示とのバランスがグラフィカルでした。

Ken:嵐田さんの写真のイメージと違いますけど、すごく好きです!

嵐田:普段はあまり撮らないクールなタイプの写真を撮ってみました。編集で彩度を落として、モノクロ写真に近づけてみようと思います。

 

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― Kenさんは、自転車が通るのを待っているようです。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

Ken:歩道橋の影と自転車の組み合わせを狙いました。平面的にとらえて、自転車の影が斜めのラインの影を上っているように見せたかったんです。明部と暗部をそれぞれ強調して編集すると、影がより際立ちます。

嵐田:たしかに、影が坂を上っているみたいですね!

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

Ken:違うタイミングの写真と比べるとよくわかると思います。

編集部:左のほうが影により目がいきます! こういう場合は、やはり連写ですか?

Ken:構図を決めて、納得のいくタイミングで主題が配置できるまで待ちます。何枚も撮りますが、狙いうちするので連写はあまり使わないです。

街中では、道行く人や特徴的な建物にフォーカス

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― 原宿駅前まで出てきました。いよいよ街にくり出します。

 

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― 路地を曲がっていくピンク色の装いの人を発見して、急いで構える2人。Kenさんは、こちらが追えないほど素早く駆け出して、歩道ギリギリで構えていました。

編集部:Kenさんは歩道の端でかがんで撮っていましたね?

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

Ken:道端にピンク色の花を見つけて、洋服の色とシンクロしてるなって! 足元の花を前ボケにするためにかがんで近づいて、人を花で挟むような構図を作りました。

嵐田:いやー、反射神経がすごいですね!

 

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編集部:この花を前ボケにしたんですね。あの一瞬でそこまで考えて画づくりしているとは…!

 

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― 大通りに出てきました。信号待ちをしていると、嵐田さんが動き出します。

 

編集部:来た道に向かって、縦に構えていましたが?

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:歩いているときは気に留めなかったんですが、振り返ってみると、トンネルのような並木が目を引いて。あえて誰も写らないようにして、風景を楽しめるようにしました。明るくて爽やかに編集するのがポイントです。

編集部:右上の標識の色味もアクセントになってますね!

 

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― さらに横断歩道で、構図を決めはじめる嵐田さん。

 

嵐田:ちょっと渡ってもらっていいですか?

― 言われるがままに渡ってみます。どんな写真になったんでしょう?

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:路面標示だけだと静的な印象ですが、人の足で動的な要素を加えました。プログラムオートで撮っていたので、シャッタースピードは意識しませんでしたが、足元がちょうどいいブレ具合になりました。青や白がグレーがかっているので、「かすみの除去」を調整すると白と青をパキっと見せられます。

編集部:足だけでしたが、お役に立ててよかったです(笑)

― 信号を渡り、今度は路地に入っていきます。

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― Kenさんが、壁にできた植物の影を撮りだしました。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

編集部:葉の影がきれいですね。

 

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Ken:左側の影と右側の葉の形が中心ラインに向かって似た曲線を描いていたので、そこにおもしろさを感じて構図を作りました。

編集部:たしかに、左右反転させたような形! 出会い頭でそこまで考えるんですね…。

 

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― 後ろを振り返ると、こちらの建物を見上げている嵐田さん。

 

編集部:どの部分を撮っているんですか?

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:突き出た階段部分です。規則的に並んでいるのが好みだったので、ラインが対角線上になるようにフレーミングしました。無彩色なのでよりパターンとして見えます。

編集部:すごくグラフィカルです! こちらから見えている電線は入っていませんね。

嵐田:画角に入らない位置まで移動しました。今回はズームレンズで撮りましたが、自分で動いて構図を決めるのが大事です。

 

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― 歩き進むと、特徴的な建物を発見。まずは寄ってみますが、引いて道路の端から人が通るのを待つようです。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

Ken:暗い吹き抜け部分に、白い服の人が通りかかったのでそこを強調するように構図を決めました。白い壁に囲まれた曲線の暗い吹き抜けと人の服との明暗の対比によって、人をより強調しています。右の写真は、建物の大きさと人の大きさの対比を使って、建築のスケール感を伝えています。形状のほうに目がいくように、人は特徴的な吹き抜けよりも前にいるときにシャッターを切りました。

編集部:どう見せたいかで、何色の服か、どの位置がベストかが変わるんですね!

 

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― この道の反対側では、嵐田さんが見上げて建物を撮っています。これはまたミニマル写真が期待できそうです。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:規則的なバルコニーはミニマルに仕上げやすいんです。今日は青空もきれいだったので、バルコニーと対比させつつ、境界線にグリーンが来るようにフレーミングしました。編集はちょっと抽象的ですが、ハワイのような明るくてハッピーな空気感をイメージして、ハイキーなテイストに仕上げようと思います。

Ken:嵐田さんらしさ全開ですね!

多重露出のような写真を楽しめるリフレクション

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― ショップが並ぶエリアにやってきました。
オシャレな洋服を身にまとったマネキンをローアングルで狙うKenさん。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

Ken:マネキンと周辺のビルの反射の重なりがよくわかるようにフレーミングしました。空も入れたかったのでローアングルで撮ったのがポイントです。

編集部:パースがついて、遠近感も強調されていますね! 反対側から撮っていた嵐田さんはいかがですか?

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:ショーウィンドーの中のマネキンがメインと見せかけて…。実はサブで、惹かれたのはガラスに映りこんだ木です。人工物と自然との重なりを狙いました。

編集部:同じ場所でも、どこに着目するかで全然違いますね。

嵐田:反射は角度によって見え方が大きく変わるので、自分が動いていろんな角度から撮ってみるのがコツです。

 

反射での画づくりはアイデアとアングル次第

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

Ken:道路の白線などのガラスへの映りこみと、ガラス内のシャツの重なりが多重露出みたいで惹かれました。自分が映りこまないようにしながら、反射の重なりがいい位置になるように斜めから撮影しています。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

嵐田:人をかたどった、見るからにおもしろい被写体を見つけました。後ろのドライフラワーが臓器のように見えたので、ドライフラワーが人の形に収まる角度から撮っています。それだけだと少し不気味だったので、アルファベットやグリーンのハンガーもフレームインさせて、バランスを取りました。

編集部:アルファベットの「S」やハンガーが、反射した空に浮かんでいるみたいでおもしろいです!

Ken:ストリートスナップのテクニックの一つとして、反射はよく使います。ガラスの他にも車や金属の手すり、カーブミラー、雨上がりの水たまりなどで、反射しているところを見つけようと常に意識することが大事です。

間もなくゴール! 環境と偶然を生かした撮影はさらに続く

2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!

― いよいよ、ゴールの北参道駅前にやってきました。
目の前には特徴的なタワー。嵐田さんは、代々木公園近くからも狙っていましたが、ついにここでシャッターを切ったようです。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

編集部:嵐田さんが撮りそうな被写体だとずっと思っていました。

嵐田:このタワーは、実は東京タワーと同じくらい撮り続けている建造物です。ニューヨークの「エンパイアステートビルディング」を彷彿とさせる造形は、ストレートに撮って十分に画になります。今回は、アイレベルで見た印象のまま撮りました。もう少し望遠気味の焦点距離で、ビルの先端と空だけを切り取るように撮影する場合もありますが、道路のオレンジ色の中央分離帯がアクセントになるので、道路も写しこみました。

編集部:目の前の環境をどう生かすかが大事なんですね!

2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!

― 高架下では、Kenさんが人や車の通りをじっと見極めています。

 

編集部:どんなタイミングを狙っていたんですか?

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

Ken:手前のタクシーのオレンジ色と、奥のレンガ、標識のカラーのシンクロを狙いました。そして、ちょうど光が当たっている部分があったので、通行人が来るのを待って、光と影にも注目しています。編集では、色や明暗のメリハリを出すのがポイントです。

編集部:偶然をとらえるのも、ストリートスナップの醍醐味ですね!

 

2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!
2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!

 

― 代々木公園から北参道駅前までの、約1時間半のフォトウォークは終了です。太陽が雲に隠れる時間も多い中、少ないチャンスを生かす2人の視点、画づくりの仕方はとても参考になるものばかりでした。

今日のベストショット!

2人にそれぞれ、今回のフォトウォークの中のベストショットを選んでもらいました。

嵐田大志さん

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

最後に撮ったタワーの写真です。自分が撮りたい「今なのに懐かしい」というテーマに一番合っていて、アングルや構図に凝りすぎずストレートに撮っているのが自分らしいなと思います。

 

Ken Tanahashiさん

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

実は、路地に入る前から注目していて、どう画づくりすれば被写体が際立つかを考えていました。路地で赤やピンク色の花を見つけたときは「これだ」と思いましたね。全体的な色味もハイライトとシャドウに赤系の色を加えています。

 

お互いが選ぶ相手の好きな1枚

2人の写真家のZ50フォトウォークに密着!同じ場所で何を撮る?視点の違いに注目!

お互いの写真のお気に入りも選んでもらいました。

 

Kenさんが選ぶ嵐田さんの1枚

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

円形模様、背景の木々のバランスと少しだけアクセントで空のブルーを入れる。そしてサークルの中心に通行人を配置する完璧な構図に魅入ってしまいました。

嵐田さんは広く俯瞰的に撮ることも、寄ってディテールに注目することもしていて、自分が持っていない視点をたくさん見ることができてとても楽しかったです!

嵐田さんが選ぶKenさんの1枚

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

噴水をのぞきこむ子供たちの写真が特に好きです!

Kenさんは瞬発力があって、おもしろい被写体があるとダッシュしたり、躊躇なくシャッターを切っている印象でした。この子供たちの写真もほんの一瞬の出来事だったので、さすがだと思いました。共通して興味を惹かれていたところ、Kenさんだけが反応していたところなど、共通点や違いが見えておもしろかったです。

Photographer's Note

 

嵐田大志さんとストリートスナップ

意識するのは、シンプルに「色と形」。また今回は「人工物と自然」もテーマにしていました。街中ではこの対比につい目がいくんです。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by 嵐田大志

 

ストリートスナップは「宝探し」です。最近はあらゆる情報をスマホやPCで取得していますが、カメラを構えているときはスマホから目を離し、本物の世界と向き合っている感覚があります。普通に歩いているだけでは絶対にありえないような集中力を街に向けている、もうこれだけで十分魅力的なんだと思います。

 

 

Ken Tanahashiさんとストリートスナップ

カメラを持っているときはまわりを注意深く見るクセがついていて、とにかく歩き回って、いろんなアングルから決定的瞬間を探します。そして、おもしろい瞬間やものを見つけたら、考えるよりも先にシャッターを切るようにしてます。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi
Z 50、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/photo by Ken Tanahashi

 

ストリートスナップには、普段見落としているかもしれないものや場面に気づける、意図せず決定的瞬間に遭遇するワクワク感に魅力を感じます。複数人で同じ日に同じ場所を歩いたとしても、同じ写真にはならない…それぞれの個性が写真の中に現れるのもおもしろいですね!

 

 

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嵐田大志

嵐田大志

本業の傍ら、東京をベースにフォトグラファーとして活動。LightroomやVSCOを活用し、フィルム風の空気感を表現。家族や身近なものを中心にしつつ、頻繁に旅する海外でのスナップを撮り続けている。


Ken Tanahashi

Ken Tanahashi

ストリートスナップをメインに撮影し、SNSを中心に写真活動を行う。日本のストリート写真をフィーチャーする「Street Photography Japan」主催。写真コミュニティ「DopeZineLab」などを運営する「DopeZine」に携わる。