Z fcと過ごすノスタルジックな日常。レトロ感を表現する「光」「色」「被写体」

Z fcと過ごすノスタルジックな日常。レトロ感を表現する「光」「色」「被写体」

はじめまして、べく(@bec_ilhs)です。

5年ほど前に父のカメラを借りたことをきっかけに写真をはじめ、身近な風景や食べ物など、日常で心惹かれたものを写真に収めてSNSを中心に発信しています。

 

中でも「懐かしさ」を感じるものをよく撮影していて、デジタルカメラで撮った写真もフィルムライクに仕上げて、ノスタルジックな雰囲気を表現しています。レトロなデザインのフィルムカメラもお気に入りの被写体です。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

今回は、フィルムカメラのような見た目のZ fcと、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRで日常を撮影しました。何気ない景色を「懐かしい」雰囲気で切り取るコツと、レトロなカメラを被写体にした撮影のアイデアをお伝えします。

 

日常で“懐かしさ”を感じる要素

何気ない日常のスナップでも、懐かしさを感じる要素を取り入れることで、レトロな雰囲気を表現することができます。ポイントは「光」と「色」です。

【光】午後の光と影を生かして撮る

僕が撮影するのは基本的に青空がきれいな晴れた日で、時間帯は光と影を印象的にとらえられる昼過ぎから夕方がオススメです。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

低い位置にある太陽を逆光でとらえると、光が溢れるような優しい光景に。絞り開放付近で撮ると光がふんわりと写り、その曖昧さが記憶の中のワンシーンのような雰囲気を引き出します。

このとき、太陽を画角に入れてしまうと空が真っ白になったり太陽自体が目立ってしまうので、建物などで遮って光だけを写すのがポイントです。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

伸びた影の表情に注目して、地面をメインに画づくりするのも効果的です。駐輪場の何気ない風景ですが、夕方の光と伸びた影がノスタルジックで少し切ない感覚を呼び起こします。

【色】あせたような淡い色を入れる

身近な風景の中で好きな色を探して切り取り、さらに編集で色あせたような淡い色に仕上げることで、レトロなものに感じる素朴なかわいさや味わい深さを表現することができます。

 

Z fcと過ごすノスタルジックな日常。レトロ感を表現する「光」「色」「被写体」
Z fcと過ごすノスタルジックな日常。レトロ感を表現する「光」「色」「被写体」

左:編集前、右:編集後

 

特に淡い青色が好きなのですが、街中ではなかなか見つからないので、標識など青いものを撮って“ぬりえ”をするような感覚で好みの色に仕上げていきます。基本的には露光量を上げて明るくしてから、カラーミキサーの水色や青色の色相をグリーン寄りに調整すると、イメージ通りの色になりやすいです。
※編集ソフトはスマホ版のLightroomを使用しています。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

青色の他にも、赤色のものをよく撮ります。看板やポストなど赤い被写体は見つけやすく、印象が強いので風景の差し色にぴったりです。編集で赤色の色相を少しイエローに近づけると、フィルムで撮影したような優しい雰囲気を表現することができます。

シーン別の被写体の探し方と撮り方

ここからは僕がよく撮影するシーンごとに、懐かしさを感じる被写体の探し方と、その魅力を引き出す撮り方を解説していきます。

 

設定のコツと機材選び

  • 撮影モード:はじめはプログラムオートやオートでもOK。
  • フォーカス:屋外でスナップするときはAF、料理などテーブルフォトを撮るときはMF。

 

僕は編集作業を楽にするために、マニュアルで撮影時から理想に近い明るさに設定しています。F値は、背景や光をふんわりと写したいときは開放F値、風景全体を撮りたい場合はF6程度に。シャッタースピードは、屋外で1/500〜1/2000秒程度、室内では1/100〜1/250秒が目安で、暗い場合はISO1250を上限に感度を上げて調整します。Z fcは上面のダイヤルで素早く設定を変更できる点がよかったです。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

左:36mm、右:50mm

 

レンズは標準ズームレンズを使用しますが、焦点距離の目安を決めると画角に迷わずスムーズに撮影できます。見たままの印象で切り取れる35mm付近(35mm判換算52mm相当)をベースにして、高い場所や少し離れたところは50mm付近(35mm判換算75mm相当)に設定します。

 

scene1.のどかな道

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

人や車通りが少ない静かな住宅地は一見なにもないように見えますが、どこにでもある風景の中にこそ、懐かしさを感じる被写体が溢れています。高い建物がないので、空の青色を画角に入れやすいところもポイントです。

 

 

【建物】屋根や壁の色に注目する

レトロな建物はのどかな道によくあり、眺めていると時間の流れがゆっくりと感じられて癒やされます。屋根や壁の色にも深みがあり、そこに暮らす人のぬくもりも感じられるところが魅力です。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

撮影するときは、屋根や壁の色が特徴的なものを探すのがポイントです。上の写真は、赤い屋根に惹かれて撮影しました。まわりに高いビルがないこと生かして空を広くフレーミングすると、のどかな雰囲気が引き立ちます。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

建物の近くにある室外機も、実は懐かしさを引き出す被写体。青色やピンク色など淡い色の壁と組み合わせると、レトロで素朴なかわいらしさを表現できます。

 

 

【カーブミラー】シンプルにとらえて色味を強調する

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

細い路地によくあるカーブミラーは、空を背景にしてシンプルに切り取ることで、レトロ感のある淡い色の組み合わせを強調できます。ミラーの中にも空が映るように、バリアングル式画像モニターを活用しながら、少しかがんでローアングルからとらえるのがコツです。

 

 

【暮らし】夕暮れの光が懐かしさと切なさを引き出す

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

住宅地では、人の暮らしを感じるものとの出会いが多く、ぬくもりやノスタルジーを感じます。

上の写真は、倒れた子供用の自転車にかわいらしさを感じて撮影しました。レトロな印象の赤色が懐かしさを感じさせ、夕暮れの光がどこか切ない雰囲気を醸し出します。

 

影で“日常の中の自分”を表現する

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

日常の主人公は僕自身なので、風景の中に自分の影を入れた写真も撮影します。

影を撮影するとき、フェンスなど影の形が特徴的なものを探して一緒に写すようにしています。日が傾き、影が伸びすぎて地面に落ちる影が撮影しにくい状況では、上の写真のように壁に映る影を狙うのがオススメです。

 

scene2.にぎやかな街

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

人や車の多い街を撮影するときは、無機質な印象にならないように風景の中に色を取り入れたり、開放感を出すためになるべく空を入れるのがポイントです。

 

 

【標識】色を取り入れて親しみを感じる風景に

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

道路標識や信号機は、街の中で色を取り入れるための重要な被写体です。少し汚れていたり曲がったりしているほうがレトロな雰囲気を感じます。

上の写真は信号待ちをしているときの1枚です。高い建物に囲まれていたので、空を入れて抜け感を出したいと思いローアングルから撮影しました。空と標識の青色、信号機の赤色が加わることで、知らない街の風景でも親しみを持てる気がします。

 

 

【通行人】光と影、構図を意識して切り取る

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

人や車のいるシーンは街の日常であり、風景に動きをプラスしてくれます。通行人を写す際には、足元や後ろ姿を狙うなど、顔が写らないように気をつけましょう。SNSに投稿する上で大切なポイントであり、顔を隠すことで風景の一部として見せられる効果もあります。

上の写真のように足元を撮影するときは、地面に反射する光と伸びる影に注目。どこにでもあるアスファルトの道ですが、光と影によって表情が生まれて懐かしい光景のように感じます。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

上の写真は、家の影と、光に照らされた白い服の人のコントラストに着目して撮影しました。放射線構図を意識して風景に奥行きを出し、画面を三分割した交点に人が来たタイミングでシャッターを切ることでバランスよく切り取れました。

scene3.レトロな喫茶店

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/撮影地:喫茶 ニカイ

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/撮影地:喫茶 ニカイ

 

レトロな喫茶店の空気感や時間がゆっくりと流れる感覚が大好きでよく訪れます。なるべく光の入る窓側の席を選んで、撮影するときはお店の方にきちんと許可を取りましょう。まわりのお客さんの迷惑にならないように、自分の席からは極力動かず、付近の席の写りこみにも注意します。

 

 

【店内】お気に入りの部分を強調する

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/撮影地:喫茶 ニカイ

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/撮影地:喫茶 ニカイ

 

お店の内装を撮影するときは、自分が特に好きだと感じる部分を強調するように画づくりするのがポイントです。こちらの喫茶店は、青い壁に額縁がたくさんかけられたこの1面が特におしゃれだったので、レトロなライトを中心にして切り取りました。左側に窓を入れて余白をつくることで、心が落ち着く店内の雰囲気も表現できたと思います。

 

 

【料理】盛りつけや店内の個性を生かして撮る

喫茶店で出される料理は、多くの人の思い出に通じるものがあり、自然と懐かしさが感じられます。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/撮影地:喫茶 ニカイ

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/撮影地:喫茶 ニカイ

 

喫茶店といえば、僕にとっての定番はクリームソーダ。こちらは壁とおそろいの爽やかな青色が印象的です。アイスの上の旗がかわいかったので、画面を横に三分割したラインに旗を配置してバランスよく切り取りました。アップにするとソーダの気泡が写って清涼感もプラスされます。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/撮影地:喫茶去 快生軒

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR/撮影地:喫茶去 快生軒

 

こちらのお店のクリームソーダは、鮮やかなグリーンのソーダにアイスクリームがのった王道の見た目。脚のついたグラスとシルバーのコースターが喫茶店ならではです。

「ザ・クリームソーダ」の堂々とした佇まいを表現したくて、日の丸構図で撮影しました。窓から入る光で鮮やかな色と透明感を引き出し、背景を赤いソファとレンガの壁にしてお店の雰囲気も伝えています。

 

注文するときは食べたいものを

お店でメニューを選ぶとき「写真映えするか」を基準にする方も多いと思いますが、僕は素直に食べたいものを注文するようにしています。好きなものだからこそ、一番美味しそうな角度や色・質感を表現できると思うからです。

 

レトロなカメラの撮影アイデア

先ほどまでは、屋外のスナップやお店での撮り方についてお話ししてきましたが、僕は部屋の中でもよく撮影しています。被写体にフィルムカメラを使うと、室内も懐かしい雰囲気で撮れるのでオススメです。

今回お借りしたZ fcは見た目がレトロでかわいいので、撮影機材としてはもちろん、被写体としても活躍してくれました。ここでは、レトロなカメラの雰囲気を生かした撮影のアイデアをご紹介します。

 

基本の撮影ポイント

  • 光:光の色が被写体に影響しないように10~15時の間に撮影。光の向きは、カメラの形が立体的に写る斜光にします。
  • 設定:カメラ全体にピントを合わせるためにF5~6程度に絞ります。手に持ったカメラを撮影する場合は、ブレを抑えるためにシャッタースピードを1/1000秒と速めに設定します。

 

 

日常のワンシーンのように自然な雰囲気で撮る

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

レトロなものを撮るときは、つくりこみすぎず日常のワンシーンのように自然な雰囲気で撮るのがポイントです。6色ある「プレミアムエクステリア」の中で、サンドベージュは優しい雰囲気が印象的なので、背景にナチュラルカラーの布を置いてレースカーテン越しのやわらかい光で撮影。さらに、今回はせっかくなので他のカラーも彩りとして添えてみました。

 

 

カメラの色に合わせて背景を選ぶ

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

カメラの色に合わせて背景を決めるのも楽しいです。

上の写真は、青空を背景にして色合いが似ているミントグリーンを撮りました。撮影場所は部屋の窓辺ですが、カメラの色を強調したかったので周辺の建物や窓枠が写らないように、腕を伸ばしてローアングルで撮影しました。レトロなカメラと青空を組み合わせると、ぬくもりが感じられてよりかわいいです。

Photographer's Note

“日常”は人それぞれで、住んでいる場所や年齢が違えば見る景色も感じることも違いますが、誰にでも過去の記憶があり「懐かしい」という感覚は共通しているのではないでしょうか。僕は自分の日常を写真を通じて楽しみながら、誰かの記憶にリンクするような光景を撮影していきたいです。また、それを続けていくことでなんでもない日が思い出になり、いつか「懐かしいな」と思い返す日がくるのかなと思います。

 

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

 

Z fcと過ごした日常は2週間ほどでしたが、カメラ上面のダイヤルで素早く設定を変更できるところが僕の撮影スタイルに合っていると感じました。NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRは、景色の広がりを出したり、少し離れた被写体を引き寄せたり、近距離で撮影することができたりと、日常の中で必要な撮影が1本でできてとても使い勝手がよかったです。

プレミアムエクステリアの中では、優しい印象のサンドベージュとポップなミントグリーンに特に惹かれました。撮影しやすく被写体としても活躍してくれて、一緒に過ごすのが楽しいカメラです。

 

みなさんもお気に入りのカメラを持って、身近な風景やお気に入りのものを撮影してみてください。ファインダー越しだからこそ見える景色や感じることに出会えて、日常がもっと楽しくなりますよ!

 

 

※お店での撮影はお店の方に許可を得てから、お店や他のお客様の迷惑にならないようご注意ください。また、撮影のみのご利用はご遠慮ください。
※新型コロナウイルスの感染症対策に十分にご留意いただくとともに、政府、自治体など公的機関の指示に従った行動をお願いいたします。

撮影協力:喫茶 ニカイ(@kissa.nikai
Supported by L&MARK

 

 

NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

Z fc

製品ページ ニコンダイレクト
NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

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べく

べく

愛媛県出身、関東在住の写真家。街の風景や暮らしの中にある日常を撮影している。相棒はスーパーカブ。カブに乗って、知らない街へ行ってみたりキャンプへ行ったり。景色の探索をしている。