はじめまして。のりまい(@_norimai_)です。「sui.」という自身の偏愛品を集めたオンラインのセレクトショップを運営しています。
仕事の日と休日のどちらも外出せずに自宅で過ごすことが多いため、家の中の心地よさは何よりも大切にしています。
私は実家で暮らしている頃(すべてのものがそろっていて、これ以上何かを買い足す必要のない状況)から、本当に気に入ったものだけは買い集めてしまうほど、うつわや暮らしにまつわるものが好きでした。
今の夫と同棲をはじめようと実家を出るタイミングで、「ながく愛で続けたいと思えるもの」だけを買い集めていこうとこころに決め、「とりあえず」や「妥協」した買い物をしないように改めて意識してもの選びをするようになりました。
この記事では、心地いい暮らしのためのもの選びや空間づくりのポイント、好きなものや暮らしの魅力を写真で伝えるためのコツを、私なりの視点でご紹介したいと思います。
そして今回は、以前より気になっていたミラーレスカメラ「Z fc」で撮影する機会をいただきました!
もの選び・空間づくりのMYルール
まずは、私が意識している「もの選び」と「空間づくり」のポイントをご紹介します。
自分の「好き」を妥協しないもの選び
一番は「自分がながく愛せるか」を考えることを大切にしています。「とりあえず」と軽い気持ちで買ったものでも、「手放す(捨てる)」というストレスの生じる意思決定をしない限り、自分の暮らしにずっと関わってきます。なるべくはじめから、ながく愛で続けられるものだけを集めていくほうが結果的に合理的・経済的だと考えています。
そして、実際にものを買う際には、すでに持っている他のものや家との相性が合うかを見極めるために、置く場所をシミュレーションした上で、色や素材がマッチするか考えるようにしています。
私は、あまり人工的な色のないもの、素材感が渋かったり古めかしいもの、雑貨では経年変化を楽しめる素材に惹かれるのですが、デザインに関しては、シンプルで合理的な形にひとひねり加えたものが魅力的だなと感じます。うつわに関しては、「しのぎ」が入っていたり、「貫入」(ヒビのような線)が入っていたり。食器や花器、ポット、お香立てなどは、アート作品ではなくあくまでも用途のある道具なので、見た目だけでなく使い勝手も重視します。
ここからは、その中でも特に気に入っている私の偏愛品を紹介したいと思います。
【うつわ・カトラリー・グラス】シンプルで美しい佇まい
- co+feさんのコンポート皿:プリンや小さなクッキーなどの焼き菓子を乗せるのにぴったり。手作りお菓子でもこの皿に乗せるだけで華やかに見せてくれるので来客時も大活躍です。まるでフランスアンティークのようなデザインと経年変化した金属を思わせる素材感。実際にはアルミ製で軽くて手洗いもできるので、使い勝手がよく重宝しています。
- 竹俣勇壱さんのスプーン:ステンレス製で実用的なのですが、鍛金という金属を叩いて鍛えていく工程で生まれた「鎚目模様」と、あえて焼きを入れることで出された色合いによりアンティークな雰囲気に。華奢なシルエットなので使う所作まで美しく見せてくれます。
- 木村硝子店のゴブレット:脚付きで華やかな雰囲気でありながら、高さが低めなので安定感があり実用的。直線的なデザインなのが大げさすぎず、それでいてごく普通のお茶やアイスコーヒーも特別に見せてくれるので、ハレとケどちらでも使えます。
いずれも、見た目に惹かれたことはもちろんですが、使い勝手や洗いやすさなども重視して選びました。「パッと見て、なんかいい感じだから買おう!」と即決するのではなく、実際の暮らしの中で何を乗せるか・どう使うかまで具体的にイメージしてから購入しています。この3点は特に購入前のイメージも具体的にできたこともあり、長期にわたって使用頻度が高く、とても気に入っています。
【ガラス瓶・お香立て】アンバーやゴールドで色味を統一
- アンバーのフラワーベースと薬瓶:花を入れたフラワーベースは、一目惚れしたエリック・ホグランさんというガラス作家のもの。それ以外の薬瓶はフリマアプリなどで数百〜千円程度で購入した古道具です。形や大きさはそれぞれ異なりますが、色と素材を合わせることで統一感が生まれるので、このように並べて使うのがお気に入りです。ガラスは夏のイメージを持つ方も多いですが、アンバーカラーは秋〜冬らしい季節感も出せるのでおすすめです。
- OBJTのお香立て:お香が燃えるときに落ちる灰が飛び散らないように、逆さまに燃やすように設計されているお香立て。シンプルで合理的なデザインが気に入っています。素材は真鍮製で経年変化を楽しめるのもうれしいポイントですね。
お香立ては高さもあるため出しっぱなしにすることを前提で購入しましたが、隣に置いている時計の針がゴールドなので統一感が出ています。最初はピカピカのゴールドだった真鍮の色が経年変化で落ち着いた色合いになり、アンティークキャビネットやアンバーガラスともなじんできて、さらに愛着が湧きました。
【カメラ】愛用品と並べてもなじむ Z fc
今回お借りした Z fcを我が家の愛用品と一緒に並べてみました。
アンティークの家具や古材を使ったテーブルなど比較的やわらかい印象のものが多いため、ガジェット類はどうしても浮きやすいのですが、Z fcはレトロでフィルムカメラのような見た目なので、あまり違和感がありません。
また、ロゴは今のNikonロゴではなく、あえて1970~80年代のカメラに使用されていたNikonの刻印文字を使っていると聞き、そのこだわりようにびっくり。どうりでアンティーク家具や古道具などの隣に並べても相性がいいわけだと納得しました。
今までNikonのカメラは男性的でごつい、どちらかというと「かっこいい」イメージが強かったのですが、Z fcはかわいらしくファッショナブルな見た目。そのため普段から棚の上などの見えるところに飾っておけば、きれいな光が入る朝やかわいい愛犬の仕草など、ふとしたときに自分が惹かれた瞬間を逃さずに撮れるのでいいなと思いました。
色数や余白を意識した空間づくり
続いては空間づくりについてですが、ポイントは以下の3つです。
- 本当に気に入ったものしか置かない
- 一度に視界に入る色数を3色ほどに絞る
- 余白を大切にする
1.本当に気に入ったものしか置かない
まず徹底したいのは、「本当に気に入ったもの」しか置かないということです。特に飾り棚には、本当に気に入っているものだけを季節に合わせて並べるようにしています。
花が好きなのですが、どんな色の花でも生けやすいようにナチュラルな白の花器を愛用しています。色がない分、デザインや質感に個性があるものを選びました。ダイニングは家族やゲストの居心地のよさも大切にしたいので、圧迫感を出さないように、空間に余裕を持って並べるようにしています。
2.一度に視界に入る色数を3色ほどに絞る
視界に入る色を3色ほどに絞ると空間がまとまって見えやすいです。個人的には3色のうちの1〜2色を黒や白、グレー、茶色など彩度の低いものをメインにするとバランスが取りやすいと感じています。
こちらは私の仕事スペースですが、濃いブラウン・明るいブラウン・ダークグレー(黒)の3色をメインにしています。木材の種類や色はバラバラですが、アンティーク家具や古材などの「使い古したくすんだ色合い」でそろえているのがポイントです。
また、ダークグレーの壁紙を貼ることで、パソコンのモニターやワークチェアなど存在感の強い黒いものが悪目立ちせず、シックな雰囲気にまとまりました。
一方、キッチンは白・シルバー(グレー)をベースに、アクセントとしてウォルナットを入れています。もともとアイランドキッチンやパントリーが白だったのと、冷蔵庫や電子レンジなどの調理家電も白ならどのメーカーも出していること、料理をする場所は清潔感があったほうがいい…という理由から、キッチンだけは白をベースにまとめることにしました。
ただ、白とシルバーでは自分の好みよりも無機質すぎてしまうため、コーヒーサーバーの持ち手やブラシなどの持ち手の素材にウォルナットの木材を取りこんだり、白でも温かい雰囲気を持つアンティークのガラス棚や手動のコーヒーミルを置くことでバランスを取っています。
部屋ごとに異なる雰囲気やテーマ色にしたい場合、隣り合う部屋同士に共通の色やグラデーションになる色を入れると違和感が大きくなりません。
先ほどの仕事スペースとキッチンは雰囲気が異なりますが、グレーやダークグレーという共通色があるので、実際にはそこまでの違和感はありません。テーマ色が異なっても、家具や雑貨のブランドや素材などの共通点をちりばめることで一体感を出すことも可能です(我が家の場合、“アンティーク”がどの部屋にも置いてあるのが共通点です)。
3.余白を大切にする
一つ一つのものを美しく見せるためには、余白が必要だとも考えています。
飾り棚に雑貨を飾る際などは、無意識にぎゅうぎゅうに並べてしまうこともあるかもしれませんが、せっかく一つ一つがお気に入りのものなら、余白を確保したほうがよりよく見せられます。
こちらは仕事スペースにある引き出し。上部のスペースに余裕があるのでいろいろ飾りたくなりがちですが、あえてアンティークのデスクライトと存在感のある花を生けた一輪挿しだけを置いています。このくらいが花にぱっと目がいきますし、バランスが美しいと感じました。花の生け方も、枝を長めに残して縦にも余白をつけています。
前述した色の組み合わせや色数も大事ですが、余白も空間の印象を大きく左右します。これは写真も同じで、画角いっぱいにものが写るより、ある程度の余白があるほうが空気感まで写し出せるような気がします。
愛用品の魅力を伝えるための撮り方のコツ
ここからは、愛用品を撮影するときに大切にしていることや私なりのコツを紹介したいと思います。
1.もの単体だけでなく、実際に使っているところを撮る
まずは愛用しているうつわの写真を撮るとき。プロダクトとしての情報よりも、実際に使っている場の空気や使用しているシーンを想像してもらいたい場合には、飲み物や食べ物を一緒に写したり、人の手を写すのがポイントです。
このときに大切なのは、光の向きとアングル。私は主に以下の3つの撮り方をどう伝えたいかによって使いわけています。
- 立体感や実際の空気感を写したい場合:半逆光気味で斜めから
- 手を入れたり、うつわやテーブル全体の様子を写したい:サイド光で上から俯瞰
- 高さや側面を見せたいとき(ケーキなど):サイド光で正面から
そうすることで被写体に陰影がつき、立体感を出すことができます。
愛用品を撮る際の設定のポイント
絞り優先オートにし、主役を引き立たせるためにボケ感を強めたいときはF2.8以下に。室内のためISOは400程度にしています。
そして、落ち着いた雰囲気を出すために、アンダー気味に撮ることが多いです。アンダーにするのは手ブレやノイズ発生を防ぐ役割もあり、露出補正で-1前後とアンダーにして速いシャッタースピード・低ISO感度を確保するようにしています。
2.スタイリングはせず、自然光で「日常のひとコマ」を切りとる
写真を通してその場の空気感を伝えたいと思っているので、スタイリングはあえてせずに、自然にありのままを写せる自然光で撮ることが多いです。あくまで「日常のひとコマ」を切りとりたいという思いからです。
上の写真は、日の光とベランダで育てているオリーブの影が美しかったので、折り畳みのテーブルを窓際に置いて朝食を食べたときのひとコマです。
ありのままの状況を空気感ごと写したいと思ったので、イチジクジャムやクリームチーズなどもあえて出しっぱなしにしました。
光もありのままにとらえる
撮影する時間などは特に決めず、ありのままの時間の光で撮るようにしています。その上で、直射日光のように強い光が差しこむ場合には、レースカーテンなどを介したやわらかい光で撮影しています。
こちらは、二人暮らしの雰囲気をより伝えようと引きで撮影しました。
引きで撮ると情報量が多くなり、時計を見た人には「午後のおやつタイムかな?」、レースカーテン越しの光を見た人には「気持ちのいい晴れた休日の午後かな?」など、その場の空気感を想像してもらいやすいのではないかと思います。
3.空間を撮る場合も、何を見せたいかを決める
「本当に気に入ったものしか置かない」と決めているので写るすべてが愛用品なのですが、部屋を広く撮るときは視界の中のどこを見せたいかを決めると切りとり方が定まってきます。
上の写真では、斜めに差しこむ光がきれいだったので光と影をアクセントに、一輪挿しの花とアンティークの引き出しが中心にくるように私の仕事スペースを撮影しました。
こちらは、ダイニングテーブルのガラスポットにピントを合わせ、抜け感を出すためにあえてリビングのソファや奥の机を入れて撮影しました。よく見るとクッションの上にいる愛犬がこちらを見ていて、人は写っていないにもかかわらず、まさに“私たちの暮らし”の雰囲気や空気感がありのままに伝わる写真なのではないかと思います。
引きで撮るときのポイント
全体にピントを合わせると散漫な印象になるため、F2.8程度で少しぼかすと、自分の見せたいところに目がいきやすくなります。今回お借りしたNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)の35mm換算42mm相当の画角は、実際に目で見ているような自然な距離感のため、暮らしの中のワンシーンを撮るのに非常に使いやすくおすすめです。
Navigator's Note
私たち夫婦は在宅で仕事をしていることもあり、自宅で過ごす時間がとっても長いので、「どんな雰囲気か」「どんなものが目に入るか」は心地よさや日々ご機嫌でいられるかに直結します。何でも安価で手軽に手に入る時代ですが、ただ消費するものではなく、「ながく愛で続けたいもの」だけを少しずつ集めて暮らすことで、こころや気持ちまで豊かになるような気がします。
私は「本当に好き!いい!」とこころの底から思えたものを、写真というカタチで記録することの延長でSNSでの発信をしてきました。投稿頻度もあまり高くないですし、本当に個人的な趣味で楽しんでいる感覚なのですが、いつの間にか多くの方にご覧いただけるようになって、自分なりの「好き」をたくさんの方と共有できているような気持ちで、とてもうれしいです。「本当にいいと思ったもの」しか載せないことを徹底しているからか、ありがたいことに信頼して見てくださっている方が多いとも感じています。
これからも自分のこころに正直に、惹かれるものとの出会いを楽しみ、SNSでみなさんとも共有しながら、ながく愛で続けたいと思っています。
Z fcを使ってみた感想
Z fcはフィルムカメラのようなレトロな見た目がかわいらしく、インテリアやファッションにもなじみやすいのでとても気に入りました。
写りは、見たままに近いナチュラルな描写で、編集も好きなように行うことができました。現像後のテイストを選ばないカメラだと思います。そして、何よりこの軽さ。あまりの軽さに、何度もバッテリーが入っているか確認してしまうほどでした(笑) 軽くてコンパクトなので、片手でぱっと“撮りたい瞬間”を逃さずに撮影できるのがうれしいですね。
見た目は重厚感・高級感があるので、デザインと利便性が両立したカメラだと感じました!
Supported by L&MARK
※機材名のない写真は、Z 5で撮影しています。
Navigator
のりまい
自身の偏愛品だけを扱うオンラインの小さなお店「sui.」店主。日々の暮らしやお菓子のレシピ、リノベーション賃貸の自宅などをInstagramやYouTubeをはじめとした各SNSで発信。ほどほど丁寧で合理的、心地いい暮らしと日々向き合っている。