NICO STOP写真展 #3　酒井貴弘「ポートレートと記録の世界」WEBギャラリー

人気フォトグラファー７名が「Z fc」で撮り下ろした写真展「伝えたい、わたしの世界」を2021年9月14日～11月10日、ニコンプラザ東京・大阪で開催しました。この記事では酒井貴弘さん（＠sakaitakahiro_）の展示をWEBギャラリーとしてお届けします。展示に込めた想いや、Z fcというカメラの存在についてもお聞きしました。

酒井貴弘
「ポートレートと記録の世界」

今回の展示で被写体になってくれた友人のはなちゃん。普段はモデル活動もしてない子ですが、彼女は僕の中でポートレートにおいて新しい感覚を教えてくれた人です。それは「撮りたい」というより「残したい」という感覚でした。

写真には記録としての側面と、表現の手段としての側面があると思います。普段は表現の手段として写真をとらえることが多いのですが、彼女には表現としてではなく、写真で「残したい」という衝動を持ちました。自分にとってそれはとても新鮮な感覚でした。

彼女の真っ直ぐに生き、無邪気に笑い、ガムシャラにもがくその姿の中に、どこか生命が燃える煌めきのようなものを感じ、今の姿やそこに流れる時間や空気を残したいと思ったのかもしれません。

Z fcというカメラは「記録」を残したくなるカメラだと思っています。この展示も記録的な側面に軸を置いた展示にしたいと考え、残したいと思った彼女を被写体に撮影を行いました。

自分にとっても現時点の写真と向き合う自身の姿の記録でもあります。みなさんの視点でもこの記録を楽しんでいただければ幸いです。

NICO STOP写真展 #3　酒井貴弘「ポートレートと記録の世界」WEBギャラリー

Photographer's Note

僕の中で、ポートレートを撮るときには、「記録」というより「表現」が主軸となっています。モデルさんと一緒に作品を創り上げる感覚です。ですが、今回被写体になってくれた友人に感じたのは「撮りたい」よりも「残したい」でした。その感覚が僕にとって新しく、「ポートレートと記録の世界」をテーマに撮影を行いました。彼女の今の記録であり、僕自身の写真と向き合う今の姿の記録でもあります。

Z fc、NIKKOR Z 28mm f/2.8（Special Edition）

場所は以前から撮ってみたかった熱海に。レトロな街並みがかわいく、東京からもほどよく離れていて“どこかに出かけた”ような空気感も出るといいなと思いました。レンズはNIKKOR Z 28mm f/2.8（Special Edition）をメインに使用しています。室内や外でも、一緒に過ごしながら記録していくのちょうどいい距離感です。

展示はいろいろな表情や表現が見えるようにセレクトし、物語が展開するように構成しています。

無邪気に笑い、ガムシャラにもがく真っ直ぐな姿の中に感じる、生命が燃える煌めきのようなもの。彼女の中の「残したいと思わせる何か」を写真から少しでも感じてもらえればうれしいです。

写真展を通して感じたこと

見た方から「写っている人の表情のバリエーション」についてや「女優さんのように見える」などコメントをいただけて、記録として撮りながらも表現につなげられていたのかなと思えてよかったです。

展示のように一つの場所で一度に見ることで、そこに物語が見えてきたり、関係性が見えてきたり、そういうところが展示のおもしろさだと改めて感じました。また、同じカメラで撮っていてもまったく違う表現になっています。カメラはその人の視点がそのまま表れると思うので、“その人の世界”が写真を通して垣間見れるのも興味深かったです。

「わたしの世界」を記録する Z fc

Z fc、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

Z fcは、Z シリーズらしいきれいな描写、再現性の高い色味で、安心して撮影できます。28mm以外にNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR（35mm判換算24～75mm）も使用しましたが、こちらは広く周囲の環境を入れたい場合や望遠気味で使いたいときなど１本あると便利です。

そして、Z fcは形がかわいく、お出かけに持っていきたい気分にさせてくれて、ダイヤルもアナログ感があって楽しい。そんなところも「記録を残したくなるカメラ」だと感じるポイントです。