NIKKOR Z 26mm f/2.8でスナップがもっと楽しく! 二人の写真家が語る魅力と自分らしい撮り方

NIKKOR Z 26mm f/2.8でスナップがもっと楽しく! 二人の写真家が語る魅力と自分らしい撮り方

2023年3月に発売された、スナップに最適なパンケーキレンズ「NIKKOR Z 26mm f/2.8」。
二人のフォトグラファー、三谷飾屋さん(@kazariya330)としふぉんさん(@shiifoncake)にお渡しし、スナップ撮影をしていただきました。

この記事では、スナップの楽しさや撮り方、26mmレンズならではの切り取り方を紹介します。

 

NIKKOR Z 26mm f/2.8


NIKKOR Z 26mm f/2.8の特徴

薄型・軽量なレンズで「パンケーキレンズ」と呼ばれており、携行性がよくスナップ撮影に最適です。また、フルサイズ機では広角26mm、APS-C機では標準39mm相当となり、どのカメラでもスナップ撮影に使いやすい焦点距離になるのもオススメのポイントです。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8/photo by 三谷飾屋
Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8/photo by 三谷飾屋
Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8/photo by 三谷飾屋
Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8/photo by しふぉん
Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8/photo by しふぉん
Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8/photo by しふぉん

 

スナップ撮影とは?

日常の中で、目の前の光景や出来事などの一瞬をとらえることをいいます。

何か特別なセッティングをするのではなく、ありのままを写したもので、撮影場所は屋内外問わず、撮影対象も多岐に渡ります。

フルサイズの Z 5でスナップ×三谷飾屋さん

みなさん、こんにちは。フォトグラファー&ライターの三谷飾屋です。

スナップは、「その一瞬を切り取れる」「撮影者の視点がのぞける」ことがおもしろく、誰もが気軽に撮れるからこそ個性や「好き」「ツボ」「グッとくる」ものが垣間見えることに、魅力を感じています。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

いつでもどこでも撮れるので、目的もなく撮ったり、撮れなくてもよかったり。それくらい肩の力を抜いて撮影している瞬間に「楽しい」と感じます。

 

NIKKOR Z 26mm f/2.8でスナップがもっと楽しく! 二人の写真家が語る魅力と自分らしい撮り方
Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8
(右)Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

今回は、NIKKOR Z 26mm f/2.8をフルサイズ Z 5につけて、スナップ撮影をしてきました。夜景写真では光をほどよく拡散するフィルター「ブラックミストNo.05」を使用しています。このレンズはフードをつけることで、フィルターの取り付けが可能です。
※フィルターの写り方についてはこちらをご覧ください。

被写体探しのポイントは「光」「人」

スナップで何を撮るか? 何を撮ってもいいわけですが、主に以下に惹かれてシャッターを切っています。

  • 光と影
  • そこで暮らす人や動物の息遣いが写るような場面

 

Point.1 光と影

極論を言えば、写真は「光を撮るもの」です。そして、同時に影も写ることになります。まずはお気に入りの「光と影」を、正面からストレートに撮ってみてください。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

こちらは、ビルの隙間からさしこむ光が正面の建物を四角く照らし、そこに木の枝や葉が影を落としている光景に惹かれました。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

また、光と影の中でも、「かっこいい」と感じる基準が光の強さ・影の締まり具合なので、朝焼け・日中の強い光・夕焼け・夜の街のネオンなどを狙うことが多いです。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

日中の強い光に照らされた緑色の窓枠、局所的に照らされたテーブルや椅子の赤い座面。色と光の濃淡が出ていて、お気に入りの1枚です。

 

Point.2 人の息遣い

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

群衆を撮影すると、撮影時に流行っていたファッションや乗り物、色などが記録され、何年か後に見返したときに「そういやこのとき、こんなん流行ってたな」と思い返すことができます。何年か後に見て価値を感じられるのも、写真のおもしろいところです。群衆や街並み、部屋のインテリア・レイアウトなど、「生活の一部」は当事者にしか撮れない最高の被写体だと思います。

自分らしい撮り方は「記録」

私は、「見てきたものを記録している」感覚で、「この瞬間おもしろくなりそう!」「なんでここ、こうなってんねん!」のように感じて撮ることが多いです。記録的な要素についてはノウハウがないので、そこに自分らしさが出ると考えています。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

冬が終わり、少しずつ花が開いてくる季節に街を歩いていて見つけた光景です。大型駐車場の脇で咲く花の赤色と消火栓の赤色がマッチしていることにグッときて撮影しました。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

都会に突如現れる空き地。晴天にさらされた空き地に取り残された車が1台。なぜわざわざそんな奥に停められているのか。ビルの隙間から見える青空、私と車を仕切るオレンジ色のバリケード、ビルを照らす光とその影に、グッときました。

本質的には「理由はわからないし深く考えていないけど、なんかええやん」と思った被写体で、それを好んで撮影しています。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

また、「その時、その場所に、私や誰かがいた記録・記憶」を撮ることに価値を感じています。

上の写真で、京都の夕暮れを背景に観光客がその土地を楽しんでいる様子を残せたことは、この瞬間にシャッターを切った価値であり、自分らしい切り取り方といえるでしょう。

NIKKOR Z 26mm f/2.8ならではの撮り方

このレンズの特徴を生かすポイントを挙げてみました。

  • 広角26mmであえて煩雑とした場所を選ぶ
  • 風景も入れて風情も含める
  • 都市部で、縦構図で高さを強調
  • F2.8で、夜景を広角で
  • 最短撮影距離0.2mと短いので、思い切り寄って撮影

…と、さまざまな撮り方ができます。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

「26mm」という焦点距離は、スナップで定番といわれる28mmより少し広いですが、超広角ほど大袈裟に広いわけではないので、奥行き感やダイナミック感が自然。それが26mmのよさだと感じています。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

この写真は、26mmという広さで街を見上げるとどのように写るのか気になり、撮影したものです。視野より少し広い画角は、ビルの高さをちょうどよく表現してくれています。新卒当時にビルに囲まれて酔っていたような、あの感覚を思い出しました。

ガラス窓に映りこむ壁の模様も美しく、ディテールを残しながら、地面に近いシャドー部から空にかけて段々とビルの造形が浮かび上がる様がかっこいいです。空の明るさとビルの影の明暗差がある中で、見せたい質感を汲み取り維持してくれたように思います。また、見上げる構図はレンズが長く重いと不安定ですが、薄型・軽量なこのレンズなら手持ちでも安定します。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8
Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8
Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

自然物の質感ってたまらないですよね。このレンズは最短撮影距離も短いので、手前にピントを合わせて奥をぼかしたり、寄って質感を細部まで描写するような撮影を楽しめます。右の写真は、ある程度全体にピントが合うようにF4で撮影しましたが、右側にかけてボケていく感覚や、左下側のボケ感から木の立体感も感じられますね。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

26mmという絶妙な画角との付き合い方について試行錯誤し、行き着いた一つの結論は「横16:縦9トリミング」でした。16:9のアスペクト比は、ちょうどスマホの横画面で見るのにも気持ちよさを感じています。Z 5はカメラ内で16:9に調整できるので、撮って出しで自分が気持ちのいい範囲を決めて撮影するのも楽しいです。

APS-Cサイズの Z fcでスナップ×しふぉんさん

はじめまして、フォトグラファーのしふぉんです。

私は元々、広角レンズで都市景観を撮るのが好きなのですが、Twitterをはじめてからさまざまなジャンルの写真を目にし、スナップに興味を覚えました。

実際にやってみると、その時しかない一瞬を切り取れたときや、光と影に魅力を感じる写真、混沌とした世界の中で気持ちのいい構図を見つけられたときに「楽しい」と感じます。

 

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

この写真では、カーブミラーに気づいて近くまで行ったのですが、電線や建物など要素が多く存在しているもののどこか整理された心地よさを感じました。あえてカーブミラーに映る自分を入れることで、記録としても残しています。

 

NIKKOR Z 26mm f/2.8でスナップがもっと楽しく! 二人の写真家が語る魅力と自分らしい撮り方

 

今回は、APS-Cサイズの Z fcにNIKKOR Z 26mm f/2.8をつけて撮影しました。非常に薄いパンケーキレンズで、Z fcのかわいい見た目にもマッチしています。バランスのいいこのセットはかなりコンパクトで、首からぶら下げても、手に持っても苦になりません。

被写体探しのポイントは「光」「色」

スナップでは、まず光と影に注目します。さらに、ワンポイントとなる赤や黄色などの色を探すことも。これらを見つけるには、とにかく周囲を見渡し、いろんな角度で見ることを意識しています。

 

Point.1 光と影

きれいな光と印象的な影、空のくもり具合や時期や時間帯によって、影の濃さや角度が変わるので、同じ場所でも何度も撮影することが多いです。

 

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

少し傾いてきた太陽の光が水面に反射する中、泳いでいる野鳥がちょうど重なるところを撮影しました。野鳥が作り出す波紋と光が特に印象的な1枚です。

 

Point.2 色

赤や黄色など、アクセントになるカラーを探しています。

 

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

こちらは、半逆光でグラデーションがかった青空に、補色に近い黄色のミモザを入れることでお互いの存在を強調しました。

 

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

夕方の優しい空の色合いに、赤い服の人がワンポイントとなって、風景にアクセントを効かせることができました。

自分らしい撮り方は「空模様」

晴れの日、また朝焼け夕焼けが好きなので、雲レーダーやライブカメラで確認したり、朝・夕の時間帯に狙うことが多いです。

 

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

日が沈みかけているタイミングで、太陽とは反対側の空を撮影しました。この時間特有の優しい空の色にふわふわとした雲、薄らと見える月。夕焼けや朝焼けの雲一つないきれいなグラデーションも好きですが、こういった空も好きです。

NIKKOR Z 26mm f/2.8ならではの撮り方

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

NIKKOR Z 26mm f/2.8は、APS-Cサイズのカメラに取り付けると39mm相当の標準域になり、とても扱いやすいです。

以下の特徴を生かすことで、自分の理想とする撮り方に加え、新たな切り取り方もできました。

  • 自然な見え方でありながら、背景の雰囲気を生かせる
  • 開放F2.8で、朝・夕・夜の暗い時間も十分撮影できる
  • ボケを取り入れたスナップを楽しめる
  • 最短撮影距離0.2mでかなり寄れる

 

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

日が昇る前のまだ薄暗い時間。F3.5と少し絞りつつもISO320に抑え、1/250秒で撮影することで、散歩する人のシルエットをきれいに写し出すことができました。

 

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

開放F2.8で背景をぼかして、主題の桜を際立たせました。あえて逆光で撮影し、桜が透けて透明感のある写真に仕上げています。

 

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

いつもはクローズアップして撮影することのない花に、かなり寄ってみました。ディテールまでしっかりと写っていてお気に入りの1枚です。

 

また、39mm相当の標準域の画角は見たままの景色を写し出してくれるため、ゆがみなど気にせず、最低限の編集で写真を完成させることができました。

Photographer's Note

 

三谷さんが感じたNIKKOR Z 26mm f/2.8の魅力

このレンズは、とにかく小さいです!
Z 5はカメラ自体が軽い上にグリップ感もあり手が疲れにくいので、普段はネックストラップをつけていますが、Z 5+26mmの組み合わせに関してはストラップなしでも十分だと感じました。

 

NIKKOR Z 26mm f/2.8でスナップがもっと楽しく! 二人の写真家が語る魅力と自分らしい撮り方

 

そして、使ってみて感じたのは、「魅力を引き出す」よりも「魅力に気づける」レンズだということ。
気軽に持ち出し、気になったところをとにかく撮る。後で整理と現像をすると、自分が好きな共通項が見つかったり、見慣れた景色に「好き」が隠れていたり、そういった「気づき」と出会えるレンズです。描写の色もきれいですし、カメラ内で多少調整して自分好みにすれば、撮って出しでも十分に使えるデータが得られます。

 

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

また、このカメラ+レンズのセットは、夜スナップにも向いています。開放F値にしてISO感度を多少上げても解像感が保たれていたので、シャッタースピードを上げて手持ちで快適に撮影できました。

 

 

しふぉんさんが感じたNIKKOR Z 26mm f/2.8の魅力

NIKKOR Z 26mm f/2.8でスナップがもっと楽しく! 二人の写真家が語る魅力と自分らしい撮り方

 

Z fcとNIKKOR Z 26mm f/2.8の組み合わせは、コンパクトで首からぶら下げても手に持っても楽ちんです。Z fcはオプションでグリップをつけられるので、グリップ感を求める方も安心して使えます。

Z fcは特にブラックがクラシカルな見た目で好みです。カメラのデザインは撮影そのものに関係なくても、気に入った見た目は持ち出す機会を増やしてくれて、撮影中のテンションも上がるので個人的にとても重要です。そして、このセットはかさばらないので、普段使いのバッグにも入れて持ち歩くことができます。

 

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8
Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8
Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

性能面では、色の再現性が高く、特に私の好きな朝焼けや夕焼けのグラデーションがきれいに出ていたのが印象的です。花の撮影では、想像以上に寄れたことにも驚きました。スナップだけでなく、家族や友人との日常を切り取るのによさそうだなと感じました。

 

スナップが好きな方・興味があるみなさんへ

三谷:周囲の評価は気にせず、難しいことは考えず、あなたが「美しい」「かっこいい」「おもしろい」と思ったものをぜひ撮り続けてください。好きなものを撮っているときがいちばん楽しいと思いますし、結果的にそれが、写真の価値にもつながっていくはずです。

しふぉん:スナップは、自分の「好き」を記録として集めていく感覚です。そのとき見た「好き」を自分の切り取り方で写真として残し、編集して自分だけの「好き」を表現できるところが魅力だと感じています。同じ場面に他の人がいたとしても切り取り方が違うのもおもしろいですよね。
正解はないので、日常の中でふと気になったものや、自分が好きと感じた瞬間を気軽に撮影してみると、気負わずにスナップを楽しめると思います。

 

Photo by 三谷飾屋

Z 5、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

Photo by しふぉん

Z fc、NIKKOR Z 26mm f/2.8

 

 

Supported by L&MARK

 

 

三谷飾屋

三谷飾屋

関西在住のフォトグラファー/ライター。祖父から譲り受けた1953年製のオールドレンズで撮影した写真を「from1953」と題してSNSなどで発信。人体の美しさを切り取った作品「生命線」を展示や写真集で発表するなど精力的に活動している。


しふぉん

しふぉん

2018年夏にカメラをはじめる。“なんでも撮りたくなっちゃう人”として、シティースケープやミニマルフォトをメインにさまざまなジャンルに挑戦している。一貫して、“誰が見ても気持ちのいい写真”をテーマとして、構図や色にこだわった写真を撮影する。