日常にホッとする時間を生み出す、おうち喫茶の楽しみ方と撮り方

日常にホッとする時間を生み出す、おうち喫茶の楽しみ方と撮り方みなさん、はじめまして。SNS上で空想喫茶「トラノコク」を営む、もうそう店長(@toranocoku)です。いつもは「ホッとひと息つける喫茶店」をコンセプトに、「いつか食べてみたい」と妄想したレシピや懐かしさがよみがえる光景を、写真や動画を通して提供しています。

 

 

今回は、忙しい日々の中でもホッと癒やされる手軽な「おうち喫茶」の楽しみ方と、その雰囲気を写真の中で味わうコツを紹介します。

 

手軽に「喫茶」の世界観をつくる秘訣

お気に入りの喫茶空間を思い浮かべる

おうち喫茶を楽しむ上で大切なのは、想像(妄想)を膨らませることです。私はよく行くいくつかの喫茶店をイメージして空間をつくり上げていきます。雰囲気や世界観を大事にしていて、こだわりを持った店長さんとの会話も楽しい、そんな大好きなお店です。

 

イメージする喫茶空間のポイント

「いつも変わらない安心感」

ゆったりとした時間の流れを感じる店内でいつもの店員さんが迎えてくれる…そんなもう一つの帰る家のような落ち着ける空間がテーマです。

 

「自分のお気に入りの席」

人々が行き交う道や揺れる木々など、街の雰囲気と店内の空気を両方楽しめる、お気に入りの窓際の席をイメージしました。

 

「右側の窓から光が入る時間」

お気に入りの席は右側に窓があり、写真でも再現。ランチタイムを外したお昼過ぎや夕方頃に行くことが多いので、その時間のお店の空気感や西日が差しこむ暖かい雰囲気を思い浮かべます。

 

Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

想像するのは喫茶店じゃなくてもOK

以前Twitterに「幼稚園の頃から大好きな『ぐりとぐら』のカステラを作ってほしい」とメッセージをいただき再現したところ、とても多くの反響がありました。

 

自分では気づけなかったノスタルジーの形を教えていただいた経験です。それぞれが持っている懐かしい記憶を呼び起こして、喫茶空間を想像してみてください。

イメージした空間に合うメニューを決める

 Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

喫茶店ならナポリタンやオムライス、クリームソーダ、トースト、サンドイッチ、プリン、そしてブレンドコーヒー…などなど、王道のメニューが雰囲気にマッチします。カフェをイメージした方は、ケーキやスイーツなどでもいいですね。

 

ここでは、喫茶店でよく注文するデザートとコーヒーセットを市販の焼きプリンで再現してみました。

 

本日のメニュー

「おなかも心も満たされる。喫茶の王道プリン」

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

高さのある器に盛り付けてクリームとサクランボをトッピングするだけで、子供の頃に憧れた理想のプリンの完成。サクランボを最初に食べるか最後までとっておくか迷うのも楽しく、このときだけは忙しい日常を忘れられるのです。

雰囲気にマッチするアイテムをそろえる

メニューが決まったら、使う道具や食器、材料を用意します。

 

日常にホッとする時間を生み出す、おうち喫茶の楽しみ方と撮り方

 

用意するもの

  1. 市販の焼きプリン
    (固めのプリンが型から外れやすく、形もくずれにくいです)
  2. プリンの器とシルバーのスプーン
  3. ホイップクリーム
    (100円ショップでも売っている振るだけで作れるボトル ※絞り口付きがオススメ)
  4. サクランボ
  5. 白いカップ&ソーサー
    (コーヒーは、コンビニやスーパーで買える手軽なものを使います)
  6. コーヒーサーバー
  7. 角砂糖
    (2色使うことで、脇役ながら少し存在感をプラス)
  8. カメラ+レンズ
    (これで撮るので欠かせませんね! )

 

テーブルは、木製の暗めな色のものがぐっと雰囲気が出ますが、もちろんみなさんが今お使いのテーブルでも大丈夫です!

 

カメラとレンズの選び方

【カメラ】
一眼レフとミラーレスを使っていて、片手で撮るときは軽いミラーレスをよく使います。

【レンズ】
今回は24-70mmのズームレンズと50mmの単焦点を使いました。ズームレンズは画角を細かく調整できるので、一つの料理でいろんなシーンやアングルを撮るのに便利です。単焦点はボケ味が好きで、背景をぼかして料理の美味しそうな姿を写したいときに使います。

喫茶気分が高まる食器に盛り付ける

市販のものや簡単に作ったものでも、コンセプトに合う食器に盛り付ければぐっと雰囲気が出てきます。特に喫茶の場合は、懐かしいテイストにマッチするものがふさわしいのですが、実はシンプルなお皿と、シルバーのカトラリーがあれば十分です!

 

Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

どういう組み合わせがいいかイメージが湧かないときは、まず食器だけ並べてみて印象を確認してみましょう。主役の器を決めた後、遊びを出すために模様のあるスプーンやコップにしてみるなど、全体のバランスを見ながら調整します。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

今回はプリンが主役なので、アンティーク風のデザインがお気に入りの器を選びました。背が低いプリンと皿だけだと単調になってしまいますが、この器は高さが出て俯瞰気味の目線でもしっかりと画になるんです。

 

もっとおうち喫茶を深めたい方は

お気に入りの器やカトラリーを探し求めるのも楽しみ方の一つです。喫茶店をめぐったときに見かけた器、実家で使っていた持ち手に模様のついたスプーンなど、記憶や思い出の引き出しを開けながら探し当てたもので盛り付けると、より一層ノスタルジーを感じる料理写真が撮れると思います。

引き立て役の配置で、お店の雰囲気を演出

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

次に、お店感を出すために、引き立て役を配置していきます。
今回は「喫茶店でデザートとコーヒーセットを注文したシーン」をイメージして…

  • 主役のプリンを中央手前に配置
  • セットのコーヒーに、角砂糖とスプーンを添えて
  • 空間を埋めるため、おかわり用のコーヒーサーバーを配置

「コーヒーセット」ではプリンとコーヒーが横並びのイメージがあるかもしれませんが、プリンを手前に置くことで主役をはっきりさせ、魅力が伝わりやすくなります。

 

日常にホッとする時間を生み出す、おうち喫茶の楽しみ方と撮り方

 

このとき、要素は3つ程度にして「逆三角形の配置」を意識すると、主役が引き立ちバランスを整えやすいです。後ろの引き立て役は、写真で見たときに主役と重なりすぎないような距離感に。また、主役が他より小さすぎたり、背が低すぎると存在感が出ないので、合わせる引き立て役とのバランスも大切です。

 

主役の主張が強いときは、引き立て役は控えめに

Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

こちらは、ホットケーキとコーヒーセット。重ねたホットケーキの上に四角く切ったバターでお店のような演出にしています。主役の主張が強いので、合わせる小物は花瓶に入れたお花に。主張しすぎず、茶色が多い空間にさわやかさをプラスしてくれて、全体の印象が明るくなりました。

 

このように配置を考えることで、見る人が世界観を感じながら写真の中で見る優先順位をつけることができます。なおかつ主役単品よりもボリュームを出すことで、SNSの中でより目に留まりやすくなると考えています。

 

 

ランチの定番ナポリタンの場合は…

お惣菜コーナーに売っていたものを、レトロなデザインの器に盛り付けました。太めの麺を選ぶとザ・ナポリタンという感じがします。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

お店感を出すために意識したポイントは、

  • 主役のナポリタンにパセリを添えて、発色のいい緑でグッと引き締める
  • カトラリーを紙ナプキンの上に置く
  • 粉チーズやタバスコ、ナプキンスタンドを用意して雰囲気アップ
  • お水は来店したときにいただくものをイメージ

ナプキンやスタンドなどの小物類は、100円ショップや通販でよくそろえています。

 

配置する要素が多い場合

日常にホッとする時間を生み出す、おうち喫茶の楽しみ方と撮り方

 

「要素は3つ程度じゃないの?」と思われるかもしれませんが、今回は赤丸でかこんだ部分を1エリアとして、3エリアにまとめています。

 

ちなみに、過去に喫茶店でナポリタンを注文したとき、「どんっ」と粉チーズとタバスコを置いてくれて、すごくうれしかったんです。普通は自分で取りに行ったり、すぐ下げられたりするのに…。そんな淡い思い出をこめてみました(笑)

見た人がお客さん気分を味わえる写真の撮り方

写真を見た人にお客さん気分を味わってもらうために、以下のポイントを意識しています。

  • 基本的にはお客さん目線を意識して“斜め上”から撮影(メリハリを出すため、俯瞰や真横も織り交ぜる)
  • 主役に寄った写真と、引いて飲み物など全体を入れた写真を撮る
  • カトラリーを持って、実際に一口目をすくい取る様子を撮る

運ばれてきたときのワクワク感や一口目のドキドキ感を味わってもらえればと思っています。

 

また、窓際の席をイメージして自然光で撮影します。自然光は料理の色が鮮やかになりますし、斜めから当たるようにすると影で立体感も出せます。

料理の全体像をとらえるときも、動きをつける

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S


まずは、主役のプリンとセットのコーヒーを撮ります。

このとき、真正面からではなく少し斜めにして立体的に見えるように。また、サーバーのコーヒーが黒く重いので、光が当たっている部分を広くして全体に明るい印象になるように意識します。右側をあけたのは抜け感を出すためで、他の写真と緩急をつけやすくなりました。

 

テーブルの様子を伝えるために、ぼかしすぎない

上の写真では、飲み物もしっかり写すため、F5.6程度に。目線の高さから撮る場合は、だいたいF4~6くらいです。そうすることでミニチュアのようなかわいらしさも表現できます。

手元を入れて臨場感やワクワク感を表現

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

一口目をすくう際は、自分目線で見ているようにしつつ、手もしっかり入れます。光をさえぎらないほうの手を使うのがポイントです。寄りたい場合は片手でカメラを持ち、引きで手を入れたい場合は三脚を使用するか、家族や友人がいれば手伝ってもらいます。

すくうシーンは、料理を視覚で楽しんだ後に「これから食べる」という最初のシーンでもあるので、心の変化を感じやすい大事なポイントです。

思い切り寄って、シズル感をとらえる

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

アップで写すカットはシズル感が重要です。ピント位置はすくった部分の中心になるようにし、開放気味にして寄れるところまで寄ります。そこから、お皿の向きを動かしてツヤが出る角度を探します。

すくったところにカラメルがたまって美味しそうです!

シロップをかけるシーンは、連写で!

Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

ホットケーキやワッフルにシロップをかけるシーンも、動きが出るシャッターチャンスです。シャッタースピードは1/320秒程度で、1人の場合は三脚にカメラを固定して。構図を決めてセルフタイマーの連続撮影機能を使うと失敗が少なくなります。

1回注ぐとやり直しがきかないので、グラスに水を注ぐ様子で1回練習して、そのときの撮影状況でシャッタースピードを把握するのがオススメです。

写真4枚で、料理が提供されてからのストーリーを表現する

「空想喫茶店」はSNS上で発信しているということもあり、Twitterでは4枚の写真(縦写真を入れて3枚の場合もあります)、Instagramでは1列3枚を使って、一つのメニューを発信するようにしています。

一口目のドキドキ感や至福感を演出

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

こちらが、今回撮影したプリンの写真で、Twitter投稿をイメージして組んだ4枚です。

スプーンを入れてすくう瞬間の2枚、一口目が食べられた後のプリン写真を4枚目に入れることで、一口目のドキドキ感や実際に食べて味わっている至福の瞬間を想像してもらえればと考えました。

料理を提供するときの手を入れて、お店の人の存在を出す

先ほどは一口目に重点を置きましたが、今度は提供するときのシーンを増やしました。ナポリタンのように一口食べたかどうかがわかりにくいメニューの場合にオススメです。

 

「お待たせいたしました」口に運ぶまでの幸せの一瞬。

Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S(左上・左下)、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S(右上・右下)

Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S(左上・左下)、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S(右上・右下)

 

1枚目のテーブルに置く瞬間は、2枚目と差をつけるために俯瞰で撮影したのがポイントです。4枚もあるとどこか似通ってきてしまうので、出されてから食べるまでの段階ごとに、おもしろいアングルがないか常に探しながら撮影しています。このときは友人に手伝ってもらい、手持ちで自分が動いたりお皿の向きや光の向きを変えたりして、表情を変化させていきました。

 

写真に添える言葉も大切

ナポリタンの写真に【「お待たせいたしました」口に運ぶまでの幸せの一瞬。】という言葉を添えました。何より自身が感じていた些細な感情や気持ちを言葉にすることが大切で、それが共感を生み、誰かにとっても大切な記憶だったと通じ合うきっかけにもなったりします。

お店の雰囲気を強調する写真編集

最後は編集です。

レトロ感を出すため、フィルム調に編集して仕上げています。趣味のカメラの延長線でフィルムカメラを使っていたことがあり、この喫茶店のコンセプトであればフィルム調が合うなと考えました。

 

日常にホッとする時間を生み出す、おうち喫茶の楽しみ方と撮り方
日常にホッとする時間を生み出す、おうち喫茶の楽しみ方と撮り方

左:編集前、右:編集後

 

編集はスマホアプリ「VSCO」を使っています。プリセットは料理によっても変えますが「E2」などで温かみのある色味にしてから、フェードをかけたり、周辺光量を落としてレトロ感を出します。

さらに「Photoshop」を使って、飛び散ったソースやゴミなど目につくものを消したりしています。有料ではありますが「TouchRetouch」という指先で簡単にゴミを消せるスマホアプリもオススメです。

Photographer's Note

喫茶店めぐりをはじめたのは大学生の頃。カメラも同じくらいの時期に、旅の記録や思い出を残すために持ち歩くようになりました。

それから社会人になり、慣れないことばかりで不安にかられる日々。いろんな情報が飛び交うSNS。気の休まるところのない日常の中でふと思い出したのは、昔に癒やしを求めてめぐっていた「喫茶店」でした。

 

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

「楽しかった夏休み、子供の頃に食べた味…。そんな思い出がよみがえる喫茶店があったらいいな」と、会社の同僚3人で話したのがきっかけで空想喫茶店をスタート。同じように不安やモヤモヤを抱える方々に、ひと息つける懐かしさで少しでも心があったかくなる瞬間を届けられたらと日々営業中です。

 

普段過ごしている空間は演出次第で、日常とは異なる楽しみをつくり出してくれます。料理も暮らしもスパイスが大切。人生にちょっぴり彩りを加えてくれるような「おうち喫茶」には、そんな魅力が詰まっている気がするんです。

いつもの料理を少し丁寧に盛り付けてテーブルに着けば、あなただけのおうち喫茶店のOPEN。そのときだけは忙しい日々を忘れて、どうぞごゆっくり…。

 

 

Supported by L&MARK

 

 

 
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製品ページ ニコンダイレクト
もうそう店長/トラノコク

もうそう店長/トラノコク

SNS上で空想喫茶店を営み、「いつかの夏休み」「食べたかった絵本のおやつ」など、どこか遠くにしまってある記憶の中の料理や光景を、写真や動画で提供している。いつかは本当の喫茶店を開くのが夢。