はじめまして、2児の母でフォトグラファーのtommy(@tommy_coconarq)です。
北海道で暮らしながら、子供たちと過ごす何気ない日々を記録しています。
以前からカメラは持っていましたが、写真にハマったのは子供を撮るようになってから。何でもない日常を写真に残すと、それが「かけがえのない大切な日々」だったと改めて気づかされます。今を大事にしようという思いから親子で楽しめることを積極的に探すようになり、家族の思い出が増えました。
撮りたい瞬間を逃さないように、外ではコンパクトフィルムカメラを持ち歩き、家ではすぐ手に取れる場所にデジタルカメラを置いておくのがいつものスタイルです。フィルムの淡く温かみのある写りが好きなので、デジタルのデータもフィルムの雰囲気を意識して編集しています。
今回は、そばにあるとうれしくなる、かわいい見た目のZ fcとNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)で、子供たちとの日常を記録しました。日々の撮影で心がけていることと、何気ない瞬間を印象的に残すコツをお伝えしたいと思います。
また、最後に簡単にできるフィルムライクな編集方法も紹介しているので、参考になればうれしいです。
自然な表情を引き出すための3つの心がけ
子供を撮影するとき、まずはカメラに親しみを持ってもらうことが大切です。そのために心がけていることが3つあります。
1.“写真=愛情表現”だと言葉で伝える
子供からすると、どうして写真を撮られているのかわからないかもしれません。「かわいくて、大好きでたまらないから撮っているんだよ」と伝えれば、撮影をポジティブにとらえてくれると思います。
愛情を伝える方法として、「すごくかわいく撮れたよ」とその場で子供に見せるようにしています。後で見返すときには「この写真はお母さんの宝物なんだよ」「このときよりすごく大きくなったね」などと、思いを言葉で伝えることが大切です。
そのうちに、子供のほうから学校や保育園で作ったものを持ってきて「一緒に撮って!」とお願いしてきたり、私がカメラを構えていても気にせずリラックスしてくれるようになりました。
2.撮られるのを嫌がる場合は撮らない
当たり前ですが、撮られるのを嫌がるときには撮りません。一緒に遊んでほしいときは「写真撮ってないでこっちに来て!」と言われたりするので、カメラをしまってしっかり遊びます。
あくまで子供との時間を楽しく過ごすことが優先で、まずは心にしっかり刻み、余裕があれば写真にも残すという心構えでいたいです。
どうしても撮りたい場面では気分転換を
写真を嫌がっていても、七五三などどうしても撮りたい場面もありますよね。そんなときは、一度カメラを置いて遊んだり、おやつを食べたりして楽しい気分になるまで待つといいかもしれません。
ただ、ニコニコ楽しそうにしている姿じゃなくても、その時のありのままの姿を残すことが大切だと思います。もし撮らせてくれるなら、不機嫌な様子もそのまま残しておきたいです。
3.カメラの存在を日常にする
普段から写真を撮り続けていると、カメラが特別な存在ではなくなり、子供もあまり意識せずに過ごしてくれます。シャッターを切るときは少し離れたところからそっと撮ったり、何気ない会話をしながら自然な流れの中で撮影することが多いです。
それでも、年齢が上がるにつれてカメラを「まったく意識しない」というのは難しくなります。「自然な姿を撮る」と意気ごみすぎず、その時々の子供たちを残したいと考えています。
手元や足元も感情を写す大切な要素
子供にカメラを向けると変顔ばかりしてしまう…という悩みをよく聞きます。それも子供らしい姿なので残してほしいと思いますが、そればかりという場合は、手元や足元などパーツだけを撮るのもオススメです。顔が写っていなくても、手や足からストーリーが感じ取れて写真のバリエーションも広がりますよ。
日常を印象的にする撮影のコツ
技術面で大切にしているポイントは「機材」「アングル」「光」です。これらを意識すると、シャッターチャンスを逃さず、撮った瞬間の気持ちまで思い出せる写真になります。
【機材】小型軽量な標準単焦点1本で撮影
一緒に遊びながら片手で撮影したり、子供と出かけるときは大荷物になるので、機材はコンパクトで軽いものを選んでいます。
Z fcは、小型軽量な上にフィルムカメラのようなクラシカルな外見がとにかくかわいくて、持っているだけで気持ちがウキウキしました。また、表情をのぞきこむようにローアングルでとらえたいシーンも多いので、バリアングル式のモニターが活躍します。
レンズはコンパクトで、子供との距離感をそのまま写せる標準域の単焦点がオススメです。今回使ったレンズは35mm判換算で42mm相当の標準域に。F2.8程度で寄ると背景がほどよくボケて表情が際立ち、離れれば景色も広く写せるなど幅広いシーンに対応できました。
細かい設定は気にせず絞り優先オートで撮る
さっと撮れることを第一に考えて、撮影モードは絞り優先オートに。やわらかい写りが好きなので、基本的には開放F値に設定しています。何人か一緒にいるところを写すときは、F4程度に絞るとピントが合いやすいです。
昔はピントが外れていたり、ブレている写真は失敗だと思っていましたが、今はそんな写真もすべて愛おしく感じます。「あのときもっと撮っておけばよかった」と後悔するのが一番の失敗なので、細かい設定は気にしすぎずシャッターを切っています。
【アングル】目線のバリエーションを意識する
アングルもシャッターを切った瞬間の状況を伝える大切なポイントです。
水平アングル:なるべくいろんなアングルを意識していますが、会話をしながら撮ることが多いので、子供の目線に合わせた水平アングルが基本になります。リラックスした表情を引き出しやすいです。
喜怒哀楽だけではなく、ぼーとしていたり、家での素の表情もあります。こうした何気ない表情も同じ目線で向き合って、見逃さないようにしています。
ローアングル:きれいな空を背景にしたいときや、うつむき気味の表情を撮りたいときなどはローアングルで撮影します。
上の写真は、指切りしながら笑い合う2人がかわいくて、つないだ指と表情がきれいに見えるアングルで撮影しました。背景が木漏れ日になり、さわやかな雰囲気になりました。
ハイアングル:寝転がっている様子や手元を写すときは、ハイアングルが効果的です。子供を見守っている親の目線を表現できます。
【光】光の向きと影の形に注目する
印象的な光や影の形に注目すると、シャッターを切ったときの感情や空気感まで思い出せるような写真になります。
あくまで子供の自然な姿を優先
なるべく自然な姿を撮りたいので、光を優先して子供の立ち位置を指定することはありません。撮れたらラッキーくらいの感覚で、いい瞬間が来たら逃さずシャッターを切ります。
- 逆光:被写体の後ろから照らす光を「逆光」と言い、風景全体や子供の輪郭が光に包まれて、何気ない風景がドラマチックに写ります。一番好きで、意識的に取り入れている光です。
特に夕方の光は、1日の終わりの充実感や切なさが感じられ、子供の成長に喜びと少しのさみしさを感じる親心も投影できます。ただの帰り道の後ろ姿も、逆光に照らされてどこか儚げです。
この日は夕日がとてもきれいだったので、明るい部分に露出を合わせて子供たちをシルエットに。空のグラデーションが際立ち、子供たちの仕草から2人の関係性も感じられる写真になりました。
日中の室内では、照明を消して窓の近くなど自然光が入る場所で撮ることが多いです。季節によって光が入る場所や時間が変わるので、暮らしの中で常にいい光を探すようにします。
上の写真は、半逆光で透ける細くてやわらかい髪の質感を写したものです。「半年ほど伸ばしている髪は、いったいどこまで伸びるのか。突然飽きて切ってしまうかも…」と思いながらシャッターを切りました。
- 斜光:被写体を斜めから照らす「斜光」は、影の形が印象的になるので、光と影のコントラストに注目しています。引きでとらえて光と影の中にいる子供を撮ってみましょう。
きれいな木漏れ日と秋の気配を感じる落ち葉に惹かれて撮影した1枚。光の当たっている場所に子供が来るのを待ってシャッターを切りました。この日の気温や木の葉が揺れる音を思い出します。
- 順光:被写体を正面から照らす「順光」は、色が鮮やかに写るので、目の前の風景や子供の服装などを主役にします。
子供がまぶしそうな顔をしているときは、表情が写らないようにアングルを調整します。
上の写真は、かわいい遊具で遊んでいる様子を、足元と遊具をメインに写しました。このとき、意図しない場所に自分の影が入らないように注意します。
いい表情が撮れるシチュエーション
ここからは、いい表情を写せるチャンスが多いシーンを紹介します。日常の中で注目してみてください!
毎日違う寝相や寝顔をこっそり記録する
子供たちより先に起きて、寝ている様子を毎日撮影しています。寝相が悪くていつも違うかっこうで寝ているので、観察日記のような気持ちで記録すると楽しいですよ。
起こさないようにこっそりと、一緒に寝ているぬいぐるみを写したり、近づいてまつ毛を写してみたり…。ファインダーをのぞきながら、朝から癒やされて笑顔になれます。
上の写真は、起こした後に寝ぼけている様子。寝起きもおもしろい表情や動きをすることが多いです。
食事中は距離感やアングルを工夫して写す
食事に夢中な様子や、美味しそうな顔をしている瞬間もシャッターチャンスです。口のまわりやテーブルを汚しながら食べる姿も今しかないもの。特にハマっているおやつや大好物を食べているときはいい表情をしますし、見返すと「これよく食べてたなぁ」と思い出すきっかけになります。
引きで表情を撮るのもいいですが、食卓の向かい側に座って口元や手元をアップで撮ると、夢中さがより伝わる写真になります。食事中は同じようなポーズや構図になりやすいシーンでもあるので、距離感やアングルを変えてバリエーションを増やすのがポイントです。
車内で寝ている様子をバックミラー越しに撮る
運転中にチラッと後ろを見て寝ていたときのほほ笑ましい気持ちを残しておきたくて、駐車場でバックミラー越しに撮ることがあります。バックミラーに映った子供を画面の真ん中にすると、ミラーの額縁効果も相まって、かわいい寝顔に目がいく写真になりました。
子供たちが大きくなると、車で寝ることも少なくなってきます。寝てしまうのはたくさん遊んで疲れたときなので、1日楽しんでくれたかなとホッとする気持ちでシャッターを切ります。もちろん、撮影するのは駐車場に止めてからです。
遊んでいる様子はノーファインダーで
公園で遊んでいる様子を撮るときは、かわいい遊具を探して撮ってみましょう。一緒に遊びながらノーファインダーでサッと撮ってしまう場合も多いです。ブレたりピントが合っていなくても、その曖昧さがおもしろいと思っています。
公園で遊んだ帰り道、転んで泣いてしまった弟を姉がおんぶしていた姿が愛おしくて…。こっそりノーファインダーで撮りました。ピントは甘いですがお気に入りの1枚です。
思い出がよみがえる撮り方のアイデア
何でもない日常の様子の中にアクセントになるような1枚があると、振り返ったときにより家族との会話が弾んだり、いろんな出来事を思い出すきっかけになります。そんな親子の写真をさらに楽しくする撮り方のアイデアを紹介します。
鏡越しに撮る月1回の親子写真
「子供の写真はたくさんあるけど、自分が写った写真がぜんぜんない」というのは親あるあるですよね。できるだけ親子の姿も残して、将来家族で見返しながら昔話をしたくて、月1回鏡越しに親子写真を撮ることを習慣にしています。鏡越しなら三脚を出す必要もなく、慌ただしい日々の中でもさっと撮影できて続けられます。
洗面所などの備えつけの鏡でもいいのですが、移動できる鏡があると背景や光の当たり方を調整できて撮りやすいです。わが家では丸い鏡を使っていて、手前や背景に余計なものが写らない場所に設置しています。さらに、窓の向かい側だと自然と逆光状態になってふんわりと写せるのでオススメです。
いつもは、服の色合いを親子でそろえてお出かけ前に撮影したり、花など季節感がわかるものを鏡に映る場所や手前に飾っておきます。今回はせっかくなので、Z fcがポイントになるように服装を白で統一しました。Z fcがとてもフォトジェニックなので、カメラと一緒に写れるこの撮影がより楽しくなります。
子供と日常を過ごす自分も残す
月1の親子写真以外にも、子供たちといる自分の姿もできるだけ残すようにしています。窓の反射や一緒に遊んでいるときの影などは、日常の中で気軽に撮れますよ。
季節の要素を取り入れる
春の桜・夏の花火・秋の紅葉など、季節を象徴するものを取り入れると、見返したときに子供たちの成長や変化をより感じられます。
撮影時期は8月だったので、夏を感じるものと撮りました。2021年は、楽しみにしていたイベントが軒並み中止になってしまったので、子供たちに少しでも季節を感じてほしくて、家族だけで花火をしました。花火の光に照らされた、子供の笑顔が残せてよかったです。
一緒に見た風景も撮影する
子供ばかりにカメラを向けがちですが、一緒に見た風景も撮るようにしています。後でアルバムにまとめたときに見慣れた景色や思い出の場所の写真があると、写っているもの以上にいろいろなことを思い出しますし、家族との会話も弾みやすいです。
フィルムライクに仕上げる編集の方法
フィルムの質感や色合いが好きで、デジタルのデータもフィルムのような懐かしい雰囲気になるようにLightroomで調整しています。今回は、実家でかわいがっている小さな家族を写した日常の一コマを例に、素朴さと温もりを感じる仕上がりにする手順を紹介したいと思います。
左:編集前、右:編集後
- 露光量を少し上げて全体を明るくします。
- コントラスト・明瞭度・自然な彩度を下げて、優しい印象にします。
- 粒子を上げるとフィルムのようなざらっとした質感が表現できます。
上の写真はほとんど色を変えていませんが、写真によってはハイライトにオレンジやイエローを、シャドーにグリーンを足して、全体を温かい雰囲気にします。また、かたい印象の場合は、黒レベルをプラスにすると淡くやわらかい色合いになるので試してみてください。
Photographer's Note
子供の成長は本当にあっという間です。ぷにぷにのほっぺやサラサラの髪の感触、こんな言葉を話していたとか、どんな些細なことも全部覚えておきたいのに記憶はどんどん薄れてしまいます。だから、“今しかない子供たちの姿”を思い出せるように、写真に残しておきたいと思って撮っています。家族で見返す楽しみもありますが、写真を撮るのは自分のため。これまでの写真は本当に私の宝物です。
子供の撮影にZ fcを使ってみて
Z fcをはじめて見た感想は、とにかくデザインがかわいいということ。持ってみると軽くてコンパクトで、私がカメラに求める条件にぴったりでした!
機能面ではファインダーがとても見やすく、バリアングル式のモニターは子供の動きに合わせて素早くアングルを変えられてとても便利でした。
NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)は、APS-CサイズのZ fcと組み合わせると35mm判換算で42mm相当になり、1本で表情の寄りから風景を広く写したカットまで撮影できました。シャッター音も心地よく、次々とシャッターを切りたくなるので、日常を記録するのにぴったりです。
Supported by L&MARK
tommy
北海道在住のフォトグラファー。子供たちと過ごす日々をフィルムとデジタルで記録して、SNSで発信している。子供の自然な表情や何気ない瞬間をとらえた温もりを感じる写真が、多くの人の共感を呼んでいる。