東京タワーを愛する写真家ENOさん直伝!ドラマチックに撮影する秘訣とオススメスポット5選

東京タワーを愛する写真家ENOさん直伝!ドラマチックに撮影する秘訣とオススメスポット5選

2021年4月27日現在、東京都は緊急事態宣言区域ですので、時期を選んでの撮影をお願いいたします。それまでのおうち時間に、東京タワーの写真の数々と撮影の考え方を盛りこんだENOさんの記事をお楽しみください!

NICO STOP編集部

 

 

こんにちは、フォトグラファーのENO(@eeeno1218)です。普段は、スナップや風景、ポートレートを中心に撮影しています。

僕は写真をはじめてから、生まれ育った東京を撮り続けてきました。その中でも好きなのが「東京タワー」です。

 

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

D610、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

D610、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

オレンジと白のカラーリングが空に映え、夜にはライトアップでドラマチックになります。また、周囲の建物や自然との組み合わせやリフレクションなど、取り巻く環境に注目することで東京タワーのさらなる魅力に気づきました。

今回は、東京タワーの魅力や新たな表情をとらえるためのポイントを、撮影スポットとともに紹介していきます。

 

知っておきたい東京タワーのこと

東京タワーを撮りに行く前に、どこからならタワーが見えるかを知っておきましょう。

 

 

タワーから約1.5km圏内が撮影しやすい

 

東京都港区の芝公園近くにある東京タワー。周囲の環境にもよりますが、約1.5km圏内からよく見えます。中でも撮りやすいのが、「六本木」「芝」「浜松町」「東麻布」エリア。また、展望台であれば、タワーから距離が離れていても望遠で狙えるスポットもあります。

 

日中の撮影では、順光になる場所を選ぶ

東京タワーのカラーリングを生かしたい場合は、色がはっきり出る順光で撮影しましょう。アプリで太陽の位置を調べ、撮る方向も考えるようにしています。

 

 

ライトアップは季節で変わる

東京タワーの特徴の一つでもあるライトアップ。いくつかの点灯パターンがあります。
※東京タワーのライトアップの種類についてはこちら

東京タワーと言えばの定番「ランドマークライト」には2パターンあり、7~9月(7月7日から)の夏バージョンは白が基調な涼しげなイメージ、10~7月(10月初旬から)の冬バージョンはあたたかみのあるオレンジのライトが特徴。僕個人としては冬バージョンのドラマチックな雰囲気が好きなので、この期間に撮ることが多いです。

 

D610、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR
Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
(左)D610、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR、(右)Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

左:夏バージョン、右:冬バージョン

オススメ撮影スポットと撮り歩き方のコツ

ここからは東京タワー撮影のスポットとポイントについて、撮りためてきた写真とともに紹介していきます。特に今回は、“手持ち”で撮影できる場所をピックアップしました。

展望台から、タワーと街並みを切り取る

東京タワー方向に面した展望台では、じっくりと撮影に集中できるので、はじめての方も撮りやすいです。

①【六本木】東京シティビュー  タワー全貌をとらえる

その中でも、六本木ヒルズの展望台「東京シティビュー」は東京タワーに近く、先端から足元まで見られるスポット。屋上のスカイデッキは窓がないため、反射を気にせず夜景を撮りやすく、標準50mmでも十分です。

なお、屋上に上がる際は手荷物や三脚などの持ちこみができないため、レンズ1本に絞り手持ちで撮影します。

 

D610、AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G

D610、AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G

 

展望台で撮るときは、日没前後を狙って行きます。上の写真では淡い空模様をバックに、オレンジに染まる街並みと東京タワーを撮影しました。

撮りやすいスポットだからこそ、「自分らしく撮るには?」「おもしろい瞬間に出会うには?」ということを常に考えています。

 

D610、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

D610、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

こちらは別日に撮影した夜景写真。焦点距離116mmですが、ここまで大きく写せます。

 

撮影ポイント

この写真で意識したのは、東京タワーのオレンジの明かりと周囲の濃紺との補色対比です。
※補色とは、色相環で正反対に位置する色の組み合わせで、メリハリが出る配色です。

 

東京タワーを愛する写真家ENOさん直伝!ドラマチックに撮影する秘訣とオススメスポット5選

 

あたたかみのあるオレンジのライトアップ時期(10~7月)に、日没直後のブルーアワーを狙うことで、補色関係が際立ちます。日没直後は周囲のビル明かりも少ないため、タワーがさらに強調されます。

 

六本木ヒルズ展望台 スカイデッキ(屋上展望台)
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
https://tcv.roppongihills.com/jp/
※2021年4月25日からの緊急事態宣言に伴い、現在休館中です。(東京シティビューのリニューアルオープンは延期となりました)(4月27日現在)。最新の情報はHPをご確認ください。
※なお、スカイデッキを利用する際の注意事項は下記をご確認ください。
https://art-view.roppongihills.com/jp/info/faq/index.html

②【渋谷】SHIBUYA SKY 望遠で街並みを圧縮

渋谷スクランブルスクエアの展望施設SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)の屋上SKY STAGEは、360度の眺望が圧巻です。こちらも手荷物や三脚は持ちこめず、ネックストラップがついたカメラかポケットに入るカメラのみ持ちこみできます。

 

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

撮影ポイント

六本木ヒルズより3倍ほど東京タワーとの距離があるため、200mmまでカバーできる望遠レンズがいいでしょう。上の写真は焦点距離135mmで撮ったもので、離れた分だけ街並みを圧縮でき、近くで見る景色とは印象が変わります。

なお、東京タワー方向はソファ席で背の高い透明パネルがあるため、このときは撮影の自由度がある屋上中央の高い位置から撮影しています。パネル上部が写りこんできますが、前ボケにして東京タワーに目がいくようにするのがコツです。

 

SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)
東京都渋谷区渋谷2-24-12
https://www.shibuya-scramble-square.com/sky/
※2021年4月25日からの緊急事態宣言に伴い、現在休館中です。(4月27日現在)最新の情報はHPをご確認ください。

※なお、屋上SKY STAGEを利用する際の注意事項は下記をご確認ください。
https://www.shibuya-scramble-square.com/sky/ticket/#sec-note

道路から、タワーと街の組み合わせを探す

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

東京には東京タワーが目の前に見える道路がいくつかあり、歩きながら街並みとの組み合わせを探してみると、さまざまな光景に出会うことができます。

③【芝】三田通り 車でタワーの足元を照らす

田町駅を出てすぐの札の辻交差点からタワーに向かう三田通りは交通量が多く、夜には車のライトでタワーの足元が彩られます。

 

撮影ポイント

望遠ズーム70-200mm1本で、夜のためF3前後と明るめに。シャッタースピードは1/40秒程度まではブレずに撮れ、手すりなどにカメラ底面を固定できる場合はさらに遅くすることもできます。

 

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

こちらは、札の辻歩道橋の上から道路を真ん中に配置して、オレンジに染まるタワーの足元を200mmで切り取りました。行き交う車がアクセントになるため、タイミング違いで何度か撮り、左右の車線のバランスがいい瞬間を選んでいます。

 

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

三田二丁目の交差点まで進むと、100mm以下でも画面いっぱいにとらえられる距離に。横断歩道を渡った際に中央分離帯への光の反射を見つけ、生かしてみました。

構図と設定をあらかじめ決めておき、周囲の邪魔にならないように注意しながら、渡るときにカメラを低く構えてスナップ。反射をアクセントにしながら、放射線構図による東京タワーへの視線の流れがポイントです。

 

三田通り
東京都港区芝 札の辻交差点~三田二丁目交差点
※歩道での撮影は、安全を確保した上で、周囲の邪魔にならないよう注意しましょう。

④【浜松町】駅周辺 ビル群を生かす画づくり

オフィス街の浜松町駅付近。北口を出るとビル群の隙間から東京タワーが顔を出していて、おもしろい光景に出会えるチャンスが多いエリアです。

 

Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

 

駅近くには歩道橋や歩行者デッキがあるので、高い位置から東京タワーを撮ることができます。

 

撮影ポイント

上の写真は歩行者デッキへ続くエスカレーターの踊り場から望遠で撮影しました。左右と下をおおうことで額縁効果を狙い、加えて床面へのビル群の明かりの反射をアクセントにしています。

 

Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

 

今度は駅から東京タワーに近づき、ビルへの反射を見つけて切り取りました。オフィス街を生かした、ドット絵のようなおもしろい光景です。撮影者の立ち位置やアングルによって反射する建物や位置が変わるので、いい反射を探しながら歩いてみましょう。

 

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR、AF-S TELECONVERTER TC-14E III

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR、AF-S TELECONVERTER TC-14E III

 

上の2枚とは打って変わって、日中に駅近くの歩道橋から撮影した写真です。

200mmに1.4倍のテレコンバーターをつけ、焦点距離を280mmにしてタワー先端と空を切り取りました。APS-Cサイズのカメラであれば、200mmのレンズで35mm判換算300mmになります。

 

撮影ポイント

なんと言っても飛行機です。スマホのフライトレーダーアプリを使うと航路をチェックでき、機体の大きさまでわかります。経験上15~16時頃によく通過するのですが、大きい機体を待って撮影。時期としては夏が入道雲などで空の表情が豊かになり、日が長いため露出を確保しやすくなります。

設定は、タワーと飛行機の両方にピントを合わせるためF6.3まで絞り、1/8000秒とかなり速いシャッタースピードに。空の白とび、タワーと飛行機の黒つぶれがないように仕上げます。

 

浜松町駅周辺
東京都港区海岸1丁目付近

雨は、新たな光景に出会えるチャンス

D610、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

D610、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

 

東京タワーの撮影は、雨の日の夜こそ絶好のチャンスです。ライトアップしたタワーのリフレクションなど、予想もしない現象に出会えます。

なお、傘をさしながら片手での撮影になるため、軽量な単焦点レンズが露出も確保できてオススメです。

⑤【東麻布】桜田通り 間近で反射を狙う

東京タワーにかなり近い東麻布。桜田通り沿いを歩いていると、建物と建物の隙間からタワーが見え隠れします。晴れている日に撮るのもおもしろいですが、雨の日にもぜひ行ってみてください。

 

D850、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

D850、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

 

東京タワーの明かりが反射している建物の壁を発見しました。雨によって壁がぬれたことで出会えた光景です。気温が低い日は特にもやが発生しやすく、先端がぼやけてどこか不穏な雰囲気が漂います。

 

D850、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

D850、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

 

ふと視線を地面に落とすと、水たまりに東京タワーが反射しています。東京タワーのすぐ近くだからこそ撮れる水たまりリフレクションです。

 

撮影ポイント

水面反射ではピント合わせが大切です。F1.4ではボケやすくなるため少し絞り、鉄骨1本1本がクリアに写るように水面の像にピントを合わせます。AFが迷う場合は、MFに切り替えましょう。

 

桜田通り
東京都港区東麻布1丁目付近

東京タワーの撮影&編集ポイント

スポットごとに撮影のポイントを紹介してきましたが、改めて東京タワー撮影の基本ポイントと編集について解説します。

 

【機材と設定】望遠ズームで夜も手持ち撮影できる設定に

  • レンズ:70-200mmの望遠ズームが1本あれば、東京タワーを寄りでも引きでも撮れます。雨で傘をさしながらなら、機動性重視で単焦点に。横方向をもっと広くとらえたいときは広角を試してみるのもありです。

 

Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

左:200mm、右:70mm、下:24mm

Z 7、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

Z 7、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

 

  • F値:F3前後を目安に、周辺の明るさやぼかしたいかで調整します。
  • シャッタースピード:夜に手持ちであれば1/40秒程度まではブレなく撮れます。手すりなどを活用できる場合はさらに遅いシャッタースピードが設定可能です。
  • ISO感度:夜はISO2500を上限目安に、極力低く設定してノイズ発生のリスクを下げます。

なお、夜景では特にハイライトがとばないように、少し暗めに撮影するのがコツです。

 

 

【編集】白とびや黒つぶれを抑え、自然な色味に

日中も夜も共通しているのは、自然に仕上げることです。

暗めに撮っているため明るく補正し、白とびや黒つぶれを防ぎながら階調豊かに仕上げます。色味は、見たときのイメージを再現するのが目的で、いじりすぎは禁物です。

なお、建造物ですので、水平・垂直になっていることは撮影時点からしっかりチェックします。

 

編集後
編集前

左:編集前、右:編集後

 

夜はハイライトがとばないように注意しながら明るさを調整し、ライトアップのオレンジを再現するように色味を仕上げます。

 

編集後
編集前

左:編集前、右:編集後

 

日中は空の表情が大事なので、白とびしないように空に露出を合わせて撮影し、編集で空や雲の色味を戻します。

Photographer's Note

東京タワーは同じ場所にあり続ける被写体ですが、撮る位置や角度、周囲の環境によって常に発見があり、撮り続けていても飽きることはありません。

 

Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

Z 7、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

浜松町駅近くで撮影した写真。工事中のシートのゆがみで東京タワーの反射にも変化が生まれました。

 

また、天気や空模様で雰囲気を一変させながらも、唯一無二の存在感を放つのが、東京タワーの魅力だと感じています。

 

D850、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

D850、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

 

さまざまな顔を持つ東京タワー。その豊かな表情に出会えるのは写真を撮っているからこそ。ぜひ自分だけの東京タワーに出会いにカメラを持って出かけてみてください。もちろん、東京タワーから見える景色も格別です!

 

 

※新型コロナウイルスの感染症対策に十分にご留意いただくとともに、政府、自治体など公的機関の指示に従った行動をお願いいたします。

Licensed by TOKYO TOWER
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Z 7

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NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

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NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

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ENO SHOHKI

ENO SHOHKI

プロフォトグラファー。東京都在住。多摩美術大学に入学し、2014年卒業。 在学中に、プロダクトデザインを専攻すると同時に、以前より興味があったグラフィックデザインの知識も習得。 スナップショット・風景・ポートレートを中心とした、ユニークな視点で切り取ることを得意とする。