5ステップで夕焼け空を鮮やかにレタッチ!撮影時の感動を伝えるLightroom現像テクニック

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はじめまして、長崎在住のフォトグラファー・ざきphoto(@zaki_3_0257)です。空の写真を中心に撮影していて、少しでも多くの方にその魅力や感動を伝えることができればと活動を続けています。

今回は僕なりの視点で、空…特に「夕焼け空」の魅力と、その魅力を引き出すレタッチのコツを紹介したいと思います。記事の最後には、夕焼け空を撮影するときのポイントも紹介しますね。

 

 

癒やしを与えてくれる「夕焼け空」を撮る理由

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

空には「青空と迫力のある雲」「夕焼けに染まる空」「夜の星空」「夜明けの朝日」など、さまざまな表情があります。その中で僕が最も好きなのが「夕焼け空」です。

昼と夜が混ざり合い、雲が色づく…。1日の終わりのほんのわずかな時間に見ることができる、美しくて優しい景色は僕にとっての癒やしで、「明日も頑張ろう」と元気にもなります!

 

実は、夕日を見る習慣が昔からあって、特に中学校の帰り道の夕焼け空を今でも覚えています。特別な空ではないのにいつまでも記憶に残っているんです。それが癒やしや感動になっていることに気づいたとき、「この景色を形に残したい」「見てくれた誰かも同じように感動してくれたら」と思い、夕焼け空を撮り続けています。

 

 

夕焼け空の編集プロセス

僕にとって写真は「その日の空を記録する場」であり、「そのとき自分が感じたイメージを表現する場」でもあります。編集によって、美しさや懐かしさなど、空に自分が感じたイメージを重ねて何かを表現しようといつも心がけています。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

そんな感情を重ねる編集のコツを、上の写真を例に説明したいと思います。なお、編集ソフトはPC版のLightroomを使用しています。

※今回使用したものは、Lightroom Classic バージョン9.3です。

 

  • ステップ1:露出調整で写真の全体像を把握し、方向性を決める
  • ステップ2:トリミングで、「空」が主役の構図に
  • ステップ3:空≒雲にコントラストをつけて立体的に
  • ステップ4:「青」を意識しながら夕焼け空の色味調整
  • ステップ5:微調整の繰り返しで、自分のイメージにさらに近づける

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

目指す完成形がこちらです。

 

普段、編集で意識していることは2つで、

  • コントラストを強めにする
  • 前景や人物をシルエットで表現する

僕の写真を見てくれた方からは「癒やされた」「なぜか懐かしい気持ちになった」というコメントを多くいただきます。それは、シルエットになってはっきりとは見えない部分に想像の余地が生まれるからなのでは…と考えています。

ステップ1.露出調整で写真の全体像を把握し、方向性を決める

Lightroom編集画面

Lightroom編集画面

 

 

全体像をつかむため、明暗をフラットな状態に

まずは、どんな写真になっているのか把握するために、基本補正で写真をフラットな状態にします。

 

Lightroom「基本補正」編集画面

Lightroom「基本補正」編集画面:露光量、シャドウ、白レベルを調整(ホワイトバランスは撮影時の初期値)

 

夕焼け空を撮る場合、白とびしないように「暗め」に撮影しているので全体的に明るくします。

  • 露出:写真全体の構成がわかるように上げますが、明るい部分のディテールが残るように今回は+0.45に
  • シャドウ:暗くなっている部分を把握するため、思い切り上げる
  • 白レベル(最も明るい部分):夕陽の状態も確認するため、思い切り下げる

シャドウと白レベルは、まず100にしてみて、全体像を十分把握できる数値に戻していくと決めやすいです。なお、最後に微調整するので、厳密でなくて大丈夫です。

 

露出調整後
露出調整前

左:露出調整前、右:露出調整後

 

 

完成形をイメージして、編集の方向性を決める

基本補正を終えたら、どのように編集していくかをイメージできると、迷子にならずにすみます。

今回の写真は、雲が散って晴れてきたときに撮影した、少しにじみがありつつ暖かみのある夕方の空です。前景が田舎の風景であることも踏まえて、完成イメージを「全体的にオレンジ寄りの“暖かみのある田舎の夕空”」に決めました。

 

編集の方向性

完成形がイメージできると、編集の方向性も決まります。

  • 懐かしさや暖かさを表現したい場合は、ホワイトバランスを暖色寄りに設定
  • 風景の場合、影になる部分もある程度ディテールが見えるように調整

ホワイトバランスは必ず調整するわけではなく、撮って出しの写真が持つ色味次第では無調整の場合もありますし、少しさびしいイメージにしたいときは寒色に寄せることもあります。

ステップ2.トリミングで、「空」が主役の構図に

次にトリミングで写真の構図を調整していきます。

 

露出を調整した写真

露出を調整した写真

 

暗部を明るくした写真で構成内容をあらためて見返すと…

  • メインの夕陽と雲
  • 前景として田舎の町並み
  • 奥行きを出すための道路
  • さらに水田のリフレクション

要素を多少詰めこみすぎた写真になっています。そこで、「空」が最も際立つように構図を調整していきます。

 

 

空と地上の比率を「2:1」に&Twitterを意識して「16:9」にトリミング

Lightroom「トリミング」編集画面

Lightroom「トリミング」編集画面

 

中央の雲の広がりを考慮して、前景部分を切り取ります。三分割構図に当てはめるとバランスがとりやすく、空と地上の比率を「2:1」にしました。電柱を目安に垂直・水平を合わせて角度も調整しています。

また、写真の横と縦の比率は「16:9」にしました。Twitterの投稿時にぴったりはまる比率で、写真の全貌を見せることができるんです。

 

トリミング前
トリミング後

左:トリミング前、右:トリミング後

 

こちらが、トリミング前後の比較。道路やリフレクションをアクセントにしつつ、メインの空を際立たせることができました。

 

夕陽の理想は、中央や三分割構図配置

夕陽は写真の中でまず目に飛びこんでくるので、撮影時に中央や三分割構図の交点に配置するのが理想です。ただ、その構図以外のほうが、空がきれいに見える場合ももちろんあります。

  • まずは定番の構図に当てはめて
  • どの雲まで画角に入れ/どの雲を外すか
  • 広角寄りで撮るので、余計なものが画角に入っていないか
  • 前景をどう組み合わせるか

…という流れで、空が最もきれいに写る構図を探していきます。

ステップ3.空≒雲にコントラストをつけて立体的に

構図が定まったら、空にコントラストをつけます。このとき、最も着目するのが「雲」です。

僕は「空の表情=雲の表情」だと思っていて、雲の明るい部分と暗い部分をよく観察し、それぞれが際立つように以下の順番で編集していきます。

 

 

テクスチャ・明瞭度・かすみの除去で、ディテールを強める

Lightroom「外観」(ディテール)編集画面

Lightroom「外観」(ディテール)編集画面

 

雲の立体感や繊細さを表現するために、3項目で写真のディテールを強めていきます。

  • テクスチャ:人の肌などは上げすぎると不自然になりやすいですが、空の写真なら+80程度に上げても、自然にディテールを強めることができます
  • 明瞭度:上げすぎ注意な項目。写真の雰囲気が損なわれないようにコントラストを調整し、強めるときも+20以内を目安に(状況によって下げたい場合も-20を下限に)
  • かすみの除去:この写真は雲が全体的に残っている空だったので、少し強めの+25に(かすみが少ない場合は+10以内で、+1や+2など+5以内にすることが多いです)

 

ディテール調整後
ディテール調整前

左:ディテール調整前、右:ディテール調整後

 

自然な印象のまま、全体的にディテールがくっきりしました。

 

 

トーンカーブで、雲の明・暗部をそれぞれ強めて立体的に

次にトーンカーブです。雲の明るい部分と暗い部分をそれぞれ強調して、コントラストを強めます。

 

Lightroom「トーンカーブ」編集画面

Lightroom「トーンカーブ」編集画面

 

具体的には、

  • 右上の明るい領域(赤丸):白とびしないギリギリまで雲の明るい部分を明るく
  • 左下の暗い領域(青丸):雲全体が重くならない程度に雲の影の部分を暗く

暗い領域を変えすぎないのがポイントです。

 

トーンカーブ調整後
トーンカーブ調整前

左:トーンカーブ調整前、右:トーンカーブ調整後

 

いかがでしょう? 空で重要な雲を立体的に美しく表現できました。

ステップ4.「青」を意識しながら夕焼け空の色味調整

いよいよ色の調整…空の編集の最重要ステップです。

夕焼け空の色味調整では「とにかく暖色に」と思われるかもしれませんが、実は「青」がカギを握っています。 オレンジのイメージが強い夕焼け空ですが、よく見てみると「青」の占めている面積がまだまだあって、この「青」を強調することで夕陽や色づいた雲が際立つと考えています。

 

 

ホワイトバランスは、青を残しながら暖色寄りに

Lightroom「ホワイトバランス」編集画面:(左)調整前、(右)調整後

Lightroom「ホワイトバランス」編集画面:(左)調整前、(右)調整後

 

まずは、ホワイトバランスを暖色に、色かぶり補正をマゼンタに寄せます。このとき、空上方の青が残るように、暖色にしすぎないのがポイントです。

 

ホワイトバランス調整後
ホワイトバランス調整前

左:ホワイトバランス調整前、右:ホワイトバランス調整後

 

ステップ1でイメージした「暖かみのある田舎の夕空」のために暖色を強めつつも、しっかり空の中に青が残ることで、美しく壮大な写真になります。

 

 

HSL(色相/彩度/輝度)で青とオレンジを強調

Lightroom「HSL/カラー」編集画面

Lightroom「HSL/カラー」編集画面

 

【青(ブルー)】

特に時間をかけたのが色相「ブルー」の調整です。1目盛りずつ微調整しながら、最も美しく見える青を探しました。先にホワイトバランスを暖色に寄せたので、色相をマイナスにして青緑に寄せています。

また、彩度と輝度をプラスにすることで、青が重くならないようにし、抜けた気持ちのいい空を目指しました。

 

【オレンジ】

オレンジに加えてイエローの色相を調整しました。夕陽とその周辺の雲をよく見ると複数の色で構成されていて、この2色の色相を離して鮮やかさをプラスすることで、暖色部分がよりきれいに見えるんです。

 

HSL調整後
HSL調整前

左:HSL調整前、右:HSL調整後

ステップ5.微調整の繰り返しで、自分のイメージにさらに近づける

ステップ1~4が一度で終わることはなく、何度も微調整しながら仕上げていきます。

 

実際に微調整をしたポイントは、

  • シャドウ:あくまで空がメインなので、前景はうっすら見える程度に(ステップ1では思い切りプラスにしたので下げていきます)
  • ホワイトバランス:「暖かみのある田舎の夕空」の追求
  • 色相「ブルー」:空に残る青色を際立たせる

…などです。

 

左:微調整前、右:微調整後

左:微調整前、右:微調整後

 

微調整後
微調整前

左:微調整前、右:微調整後

 

前景の主張を抑えることで空を強調して、青や暖色が自分のイメージしたものになるまで微調整、微調整…。青をわずかにプラスすることで、空がよりきれいになりました。

 

では、編集前と完成写真を比較してみましょう。

 

編集後
編集前

左:編集前、右:編集後

 

雲が散ってにじんだ色の空を残しつつ、撮影時に感じた「暖かみのある田舎の夕空」を表現できました。

少し誇張していると感じる方もいるかもしれませんが、風景は見る人が変われば見え方も変わるはずで…。撮影時に感じた想いや表現したいイメージがあるなら、多少誇張しても写真の中で自由に表現していいと僕は思っています。

同じ場所の風景でも、何をメインにするかで編集も変わる

下の2枚の写真は、先ほど紹介した写真と同日・同場所で撮影したものですが、同じ空の写真でも切り取り方や何をメインにするかで、編集の仕方も変わります。コツとしては、空の中で面積を多く占める色を強めることです。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

こちらは、空と地上を1:1に近い構図にして、「リフレクションの表情」を生かしました。

編集のポイント

  • リフレクションをしっかり見せるためにシャドウを大きく上げる
  • 空とリフレクションでオレンジの面積が大きくなっているので、先ほどよりオレンジを強める

 

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

こちらは、より雲の表情に着目して見上げるように撮影した写真です。

編集のポイント

  • 空の青い部分の面積が増えるので、青を強める

 

それぞれ編集のポイントも変わって難しいところではあるのですが、それが空の写真のおもしろさでもあります!

【おまけ】夕焼け空の撮影のポイント

最後に、夕焼け空を撮るときのポイントもご紹介したいと思います。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

【撮影状況】

くもりが続いていた日の夕方、雲が晴れてきたので急いでカメラを持って撮影に行きました。まだ明るさが確保できていたので手持ちで撮影しましたが、日没直前には三脚を使用してシャッターチャンスを待ちます。

 

ベストな撮影時間は、日没前後1時間

理想は「日没直前の夕日=青とオレンジのグラデ―ション+日没前の太陽が見える瞬間」ですが、雲の状態や日没後に夕焼けになることも考えると、どの時間が一番きれいなのかはその日にならないとわからないのが実際のところ…。なので、普段から日の出・日の入りの時刻をスマホで確認し、日没時間の前後30分~1時間の幅を持って撮影しています。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

【各種設定】

  • 焦点距離:14~35mmの範囲が多いです。基本は「24~35mm」で、見上げるほどきれいな雲が広がっている場合は「超広角」と、一番きれいに切り取れる画角がどこか判断して焦点距離を決定します。
  • 露出:風景全体をとらえるためにF16程度に絞り、シャッタースピードを遅くして明るさを保ちつつ、白とびしないように暗めに設定。日が落ちるほど光量は減るので、その都度シャッタースピードで調整します。
  • ISO感度:ノイズができるだけ出ないように、昔からISO100程度に。フルサイズならISO800くらい上げて手持ちでも十分です。
  • ホワイトバランス:撮影時は「オート」に。最初からイメージを決めてしまわず、帰り道や編集時に撮影時に感じた印象や光景を思い出して調整するためです。
  • フォーカス:「AF」に設定し、ファインダーをのぞいて目で見るように空や雲をとらえます。ライブビューでは仕上がりが見えてしまって、どうしてもシャッターを押した後の感動が薄れる気がするんですよね…。

Photograper's Note

空は見る人によって感じ方やとらえ方もさまざまです。その分、編集で迷子になってしまいやすいテーマですが、自分なりの方向性や意図を持って編集することが大事だと思います。

これまで、空のいろんな表情に魅了されて写真を撮り、SNSで投稿してきましたが、スマホの小さな画面を通して、そのときにしか見られなかったはずの…自分一人が見たはずの空を誰かと共有できるということは、本当にすごいことだといつも感じています。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

紹介した作例と同じ日に撮影した写真ですが、時間や場所でこんなにも空の表情が異なります。

 

今回の記事で、少しでも空の魅力や美しさを知っていただけたらとてもうれしいです。最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 

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ざきphoto

ざきphoto

長崎県在住のフォトグラファー。見たときの感動が伝わる夕陽や雲、空の情景を撮影している。SNSでの作品の発表に加えて、写真集の制作も行っている。