幻想的なリフレクションの撮り方 - 水の反射を生かして反転世界を描く!

幻想的なリフレクションの撮り方 - 鏡のような反転世界を描く!

みなさん、はじめまして。東京を中心に風景やポートレートを撮影している、フォトグラファーのKoichi(@Kfish1882)です。

写真をはじめた頃は都内の夜景や花火の写真などがメインでしたが、自分の持つ機材で何が撮れるのかさまざまなジャンルを試すうちに今のスタイルになりました。

その中で大好きになった「リフレクション」を、基本の撮り方からご紹介したいと思います。

 

反転世界を写し出す「リフレクション」

そもそもリフレクションが何かというと「光の反射」です。実際の鏡はもちろん、水面やガラス面などに鏡のように反転した世界が映ります。

 

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/撮影地:SKY CIRCUS サンシャイン60展望台

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/撮影地:SKY CIRCUS サンシャイン60展望台

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

特に自然が作り出す不思議な世界「水面のリフレクション」に私は強く惹かれます。「水鏡」という美しい言葉でも呼ばれていますね。

その中でも「水たまり」は雨上がりにしか撮れないこともあり、Instagramをはじめた頃は水たまりを見つけては、しゃがみこんで水面に映る逆さまの景色に興奮していました。水たまりに手を伸ばせば反対側の世界に行けるのではないかとワクワクしていたほどです。

今回はこの「水面のリフレクション」に着目して、反転世界の撮り方を紹介していきます。

基本編:まずは道端の水たまりから

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/14mm・F8・6秒・ISO100

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/14mm・F8・6秒・ISO100

 

では「リフレクション」はどう撮るのか?
上の水たまりの反射を撮った写真を例に、説明したいと思います。

いいリフレクションを撮るための条件

  • 大きな水面を探す

水たまりをはじめ、水面が大きいほど反射する世界が広がります。

  • 地面は暗いほどきれいに反射する

浅い水たまりは下が透けて見えるので、地面が暗いほどきれいに反射します。上の写真では地面の質感が水たまりに出ていますが、地面の質感と反射が相まって思わぬ画になるのもおもしろいところです。

  • できる限り風がない日を狙う

風が強いと、水面が波立ってきれいに反射しなくなります。そのため、風がない日を狙いましょう。風が強くて水面が乱れる場合の対処法についても、記事の中でご紹介します。

  • 雨上がりの夜や夕方を狙う

最近の舗装された道路は水はけがよく、すぐ乾いてしまうので雨上がり直後を狙うのがコツです。特に夜や夕方、街の光が強い場所では、くっきりとしたリフレクションが撮りやすくなります。

反射面を際立たせるカメラ位置と焦点距離

  • カメラは地面スレスレに構える

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

水面にレンズが近いほど遠くの風景が反射して映るので、地面スレスレにカメラを構え、可動式モニターで確認しながら撮ります。カメラを水の上には置けないので、手を地面についてしっかり固定。レンズが下向きになりやすいので、少し上を向ける意識で構えると、空までしっかり写せます。

  • 最適な焦点距離は14~30mm

D810、AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G EDで過去に撮影した写真

D810、AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G EDで過去に撮影した写真

 

東京駅前の写真もこちらの田んぼの写真も14mmで撮影したものです。広角になるほど、空や高いビルなど普段の視界とはまったく違う世界が広がり、撮れた写真を見たときの感動が全然違います!

反射面をきれいに写すための設定

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/14mm・F8・6秒・ISO100

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/14mm・F8・6秒・ISO100

 

  • F値:実像と反射の両方を写すため、F値を高く設定してボケを抑えています。目安としてはF8~11。今回はF8で撮影しました。
  • ISO感度:高感度にすると編集時に高感度ノイズと呼ばれるざらつきが発生してしまうため、ISO感度は極力低くなるように設定します。日中であればISO400程度を上限にしています。今回はISO100で撮影しました。
  • シャッタースピード:F値を高く、ISO感度を低く設定するため、シャッタースピードを遅くすることで調整しています。今回は、地面についた手で固定して6秒で撮影。ブレないように手でしっかりカメラをホールドして、息を止めてシャッターを切りました。三脚が使えない場面では手や爪先、リュックや身のまわりのものを駆使して撮影しています!
  • 露出とホワイトバランス:編集する前提で、画角内の明るい部分に露出を合わせて、白とびしないように全体的にやや暗めに撮ります。色味も後から調整するため、ホワイトバランスはオートです。
  • フォーカス:全体を写しつつも、ピントの中心を駅の建物にマニュアルで合わせます。このとき、より詳細に合わせるため、ライブビューで拡大して微調整。オートフォーカスではせっかく合わせたピントがずれてしまうので、マニュアルになっていることを必ず確認しましょう。

実像と反射面を二分割構図で写す

水平垂直を意識して、上下二分割で両方をしっかり写すことで、よりダイナミックで非現実感の強い描写ができます。特徴のある建物がある場合は、ど真ん中に配置するとインパクトが出ます。

 

幻想的なリフレクションの撮り方 - 鏡のような反転世界を描く!

 

水たまりで美しい反転世界を描くポイントは

  • 実像と反射面の境界線を少なくする(黄色で囲んだ部分)
  • 反射面の左右を画角いっぱいに入るようにする(赤で囲んだ部分)

地面スレスレに構えることで境界線を少なくでき、カメラ位置を調整して反射面の左右が画角いっぱいに入るようにします。カメラを構えながら動くので、まわりの迷惑にならないように注意しながら撮影しましょう。

編集は自然な青で透明感のある仕上がりに

編集後
編集前

左:編集前、右:編集後

 

ハイライト部が白とびしないように暗めに撮影した写真を、自分のイメージに合わせて明るくします。この写真では、撮影時の印象より少し明るめにして、空の美しさを際立たせました。色味は寒色寄りに。透明感のある写真を意識して、極端に寒色・暖色にならないようにホワイトバランスと色かぶり補正を調整します。夜空など暗くしずんだ色の場合は、さらに輝度調整をすることもあります。

また、反射面を部分補正で若干明るくすることもあります。違和感が出ないようにあくまで自然に。

中級編:広い水面で風景や人の反射を写す

自然風景では、海や湖などリフレクションの発生する場所があり、水たまりよりも広い水面でのリフレクションが楽しめます。

長時間露出で湖面を滑らかに描く

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

水面のリフレクションを撮影する場合、環境が大きく影響してきます。風が弱く水面が落ち着いている場合はシャッタースピードが速くてもしっかりリフレクションを撮れますが、風で水面が乱れている場合にシャッタースピードが速いと、下の写真のように乱れがそのまま写りきれいなリフレクション写真にはなりません。

 

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/シャッタースピード2秒

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/シャッタースピード2秒

 

そんなときの解決策が「長時間露出」です。

 

三脚に固定して、20~30秒のシャッタースピードで撮影

幻想的なリフレクションの撮り方 - 鏡のような反転世界を描く!

 

長時間露出では、カメラを三脚に固定してブレのない写真に仕上げます。

早朝や夕方、夜など暗い場合はシャッタースピードを20~30秒に。F値はこれまで同様F8~11、ISO感度は三脚でぶれにくいため極力低くします。シャッターボタンを押すときに振動でぶれてしまうこともあるので、リモートシャッターを使うと安心です。

今回は早朝撮影で暗く、風が強かったので25秒にし、風景全体を隅々まで写すためF11に、ISO感度は80にしました。後から編集するため少し暗めに撮影しています。これだけシャッタースピードを下げれば、水面の乱れはかなり抑えることができます。

 

広い水面の場合は、目線の高さでもリフレクション撮影が可能

水たまりのときは地面スレスレにカメラを構えましたが、湖や池など、水面の奥行きが十分にあり、実像と水面が近い場合は、目線の高さでもリフレクションを撮ることができます。

なお、今回は水面の乱れを三脚に固定して長時間露出撮影で対処しましたが、岸に近い水面をローアングルで狙うという対処法もあります。岸に近く、水辺に草が生えていると風の影響を受けにくいため、水面が落ち着いている場合があるんです。

波が引いた後の砂浜で人と空の反射を狙う

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

上の写真は、日の出直前の朝焼けが美しい海で撮影しました。とても幻想的に仕上がったと思います。

 

オススメな時間帯は、日の出・日の入り

海では、空がグラデーションになる日の出・日の入りのタイミングに、きれいなリフレクションをとらえることができます。日の出は太陽が出る約5分前、日の入りは沈んでから数分間の、太陽が隠れているギリギリが優しい光で一番きれいです。太陽が出てしまうと光が強すぎて、明暗差が激しくなってしまいます。

 

撮るタイミングは、波で砂浜がぬれた状態のとき

海で撮るときは、波打ち際を狙います。波が来て、引き切って砂浜が滑らかにぬれた状態がシャッターチャンスです。

 

矢印をタップすると、砂浜の状態ごとに反射の仕方が変わります。

 

一連の写真を見ると、砂浜の状態による反射の変化がよくわかると思います。事前に波がどこまで来るか確認して、モデルさんには確実に安全な場所に立ってもらって波を待ちます。

 

 

構図は日の丸で、雲の広がりを生かしてダイナミックに

幻想的なリフレクションの撮り方 - 鏡のような反転世界を描く!
幻想的なリフレクションの撮り方 - 鏡のような反転世界を描く!

 

日の丸構図で人を主役にし、実像と反射面が上下二分割構図になるように。人と空と反射、すべてにピントを合わせるためF8にしています。雲の広がりや反射面が対角線の流れになるような構図にし、ダイナミックに表現しました。

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

反射がきれいな部分を画面手前いっぱいに配置するには、自分自身も波打ち際に立ちます。機材がぬれないように気をつけながら、しゃがんで可能な限り低い位置から撮影。ちなみに、服を犠牲にしてうつぶせ状態になることも(笑) その瞬間のベストを撮るためならどんな姿勢でもします!

撮れる時間が短い場合は、ファインダー撮影

ピントはライブビューで拡大して合わせるのが確実ですが、日の出・日の入りの刻々と光が変わる条件+波が引いた状態という撮れる時間がわずかの場合はファインダーでピントを合わせます。日の光で明るさを確保できるため手持ちでISO80にし、光の状況に合わせてシャッタースピードは1/80~1/250秒で露出を調整しながら撮影しました。

発展編:バリエーションの作り方と見せ方

水面のリフレクションを生かした上下対称の撮り方を説明してきましたが、ここからはさらに表現の幅を広げるアレンジの仕方を紹介します。

現実感のある要素をミックスする

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/撮影地:あけぼの山農業公園
Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/撮影地:あけぼの山農業公園
Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S/撮影地:あけぼの山農業公園

 

こちらの2つは長時間露出で撮影したものです。30秒のシャッタースピードでクリアな夜空のリフレクションを撮影できました。

2つの違いですが

  • 左:きれいな上下対称の写真
  • 右:道や木の要素を手前に入れた写真

 

幻想的なリフレクションの撮り方 - 鏡のような反転世界を描く!

 

上下対称のリフレクションは平面的に見えるのですが、くねくねした道や大きな木を右側に入れることで、奥行き感を出しました。また、道のカーブによって2本の木の反射が見えないようにし、かつ右の木と道で画面を囲み、風車とそのリフレクションが際立つようにしています。

きれいな上下対称は、幻想的に写せるのが魅力です。一方で、立体感のある現実的な要素と平面的なリフレクションが混在した写真には、不思議な感覚を抱くと思います。これもリフレクション表現の一つなんです。

 

リフレクションを風景のアクセントにする

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

こちらは、水面の中央に橋を写し入れました。水面のリフレクションが主役ではなく、風景のアクセントにしています。ダイナミックな空とそれを映した水面で放射線状の流れが生まれ、橋の先にいる人に目がいくような構図にしました。

反射面にもう一つリフレクションを作る

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

こちらは上下二分割の構図の中、空の上のようなイメージで、水面に立ってもらいました。空を反射した水面にさらに人の実像と反射が写り、リフレクションの“多重”になっています。このとき、人の位置が反射面の中心になるようにし、さらに反射面より上に顔が出ないようにします。

 

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

今度は足で波を作ってもらい、波紋でより幻想的な雰囲気に仕上げました。先ほどは空を生かすため縦位置にしましたが、波紋の横の広がりを生かすため横位置で撮影。大きく動かすとリフレクションが消えてしまうため、モデルさんとタイミングを合わせ、掛け声とともに足を少しだけ動かしてもらい、一番いい状態でシャッターを切ります。もちろん連写でもOKです。

 

このように、反射面に人を入れると、画に変化を出すことができます。

地面の凹凸を生かしたリフレクション

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

海でリフレクションを撮る際、波打ち際では滑らかな反射を写せますが、波打ち際から離れると砂浜のでこぼこ形状で反射の仕方が変わります。私はこれを「ウェーブリフレクション」と呼んでいます。反射がゆがんだり、とぎれたり。思いもしない世界を描けるのが醍醐味です。

上下を反転させ、非現実感を強める

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

上の写真は全身が写っているのが反射面、足だけ写っているのが実像です。上下を反転させることで、より非現実感が強まります。

 

反転前
反転後

左:反転前、右:反転後

 

反転前後で比較すると、いかがでしょう? 反転前は実像のほうにも視線がいきますが、反転させると反射面が真っ先に目に飛びこんできます。モデルさんには手を上げてもらっていますが、反射面だけにその姿を写しているのも視線を誘導するポイントです。また、砂浜の起伏の影響で体が少し変形して見え、不思議な世界の中…という印象が強まります。反転世界だからこそ写せる不完全さを表現してみました。

スマホの画面や窓ガラスで反射を作る

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

リフレクションは、スマホやガラスなどでも起こります。上の写真は水面反射にプラスして、スマホ画面に目の前の景色を反射させました。水たまりなどに比べて面積が限られるので、どこを反射させるかがカギになってきます。

スマホはレンズと水平にした状態から、山の頂上と形のおもしろい木が映りこむように傾きを調整しました。スマホとカメラを手で持つので手ブレには十分気をつけて。暗かったのですが、F4・ISO800にしてシャッタースピードを1/5秒まで稼ぎました。

 

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

こちらは、ガラスの反射を生かした写真です。反射をより多く写すには、ガラスにカメラを極力近づけて撮影します。

夜だったためモデルさんにライトを持ってもらい明るさを確保し、三脚にカメラを固定して30秒の長時間露出で湖面も滑らかに描写。空が反射している光景を、さらにガラスで左右反転させた世界を描きました。

 

スマホ画面やガラスだけの反射もいいのですが、いろんな要素の組み合わせを考えていくと、リフレクション撮影のおもしろさが倍増します!

Photographer's Note

リフレクションは、反転した景色が別世界のようで、とても幻想的な写真に仕上がります。

写真をやるまでは道端の水たまりを避けて歩いていましたが、リフレクションを知ってからは雨の日でも外を歩くのが楽しくなりました。

 

広角レンズが1本あるとさらに楽しくなる!

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

ダイナミックに反射を描ける広角ズームレンズがあると、リフレクション撮影のバリエーションが広がります。今回使用した「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」は、軽い上に圧倒的な高画質に驚きました! 細かい部分までしっかりと、ゆがみも少なく描写できます。

 

リフレクションは水面だけでなく、床や壁やガラスなど身のまわりのものでも、ひと工夫するだけで簡単に楽しめる撮影方法なので、たくさんの方に挑戦していただきたいです。生活の中に潜むリフレクションポイントを見つけ、ぜひ楽しんでいただけたらと思います!

 

Supported by L&MARK

 

 

Z 7

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製品ページ ニコンダイレクト
NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

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Koichi

Koichi

岐阜県高山市出身のフォトグラファー。東京を中心に風景とポートレートをメインで撮影。「心に響く写 真」をコンセプトに、日常を切り取る。デジタルカメラでの作品づくりに加え、フィルムカメラやオールドレンズも収集し、常に新しい写真の楽しみ方を模索している。