月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア

月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア

こんにちは、宵月 絃(@__yoii_to)です。オールドレンズでの夜の撮影について紹介した、前回の記事はお楽しみいただけたでしょうか?

普段から家の近くを散歩して、すきなものを見つけては写真に収めているのですが、特によく撮るものの一つに「月」があります。

 

月の形は日に日に変化し、見る場所や時間帯によっても雰囲気が大きく変わるところが魅力です。やさしく寄り添ってくれるような月や、置き場のない感情をなだめてくれるような月など…きっと見る人の心によっても見え方が変わってくるのではないでしょうか?

 

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z 50、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 50、(上)NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR、(下)NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

今回は、「月」のいろんな表情に出会うための、私なりの撮り方のコツと表現についてお話ししたいと思います。

 

知っておきたい月の特徴と手持ち撮影のコツ

月の撮影は「難しそう」と感じている方が多いと思いますが、基本を覚えれば意外と簡単です。ここでは、 APS-Cサイズ(DXフォーマット)の Z 50で、お散歩しながら手持ちで月を撮る方法を紹介します。

月の特徴を理解して撮りたいイメージを考える

月は、目に見えない「新月」から約29~30日かけてどんどん姿を変えていき、その形すべてに名前がついています。なじみ深い「三日月」は新月から3日目の左側が欠けた月、「満月」は15日目の月。新月から26日目の「二十六夜月」は、右側が欠けた三日月のように細い月です。それぞれの特徴を知ると、撮りやすい時間帯がわかってきます。

 

 

形が美しい三日月は小さく写しても目に留まる

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

左:三日月、右:二十六夜月

 

三日月の前後や二十六夜月の前後に見られる細い月は、小さく写しても目を引く美しい形がすきで、一番よく撮ります。

三日月の前後は、日没後に空の低い位置に見えるため、マジックアワーやブルーアワーなどのグラデーションを生かして撮るときれいです。また、二十六夜月の前後は、夜明け前に低い位置に見えるので、朝焼けなどと一緒に撮ることができます。

 

 

明るい満月は暗い時間帯でも撮りやすい

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

満月前後の丸みを帯びた月は、とても明るいので空が暗い時間でも撮影しやすく、はじめての月撮影におすすめです。小さく写すと月だとわかりにくいので、ズームしてクレーターを写したり、雲の表情を生かして撮るのもいいと思います。

 

月の形や昇る時間はアプリで事前に確認

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

月の形によって撮影できる日や時間帯が違うので、アプリやWebサイトで事前に調べておくことが大切です。

私は、撮りたい月が見られる日付と時刻を「月の出・月の入りマップ」で確認してから、当日「Moon Book」で月の位置や方角を確認するようにしています。

月撮影に必要な機材と設定

入門機+キットレンズでOK

月の写したいサイズによりますが、APS-Cサイズ(DXフォーマット)のデジタルカメラの場合、焦点距離200mm(35mm判換算300mm)までカバーするズームレンズがあれば十分です。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Z 50、(左)NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR、(右)NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

Z 50ではキットレンズのNIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VRで、左の写真まで大きく写すことができました。

なお、風景の中に月をポツンと写したい場合は光源が小さくなるので、F値の小さい単焦点レンズを使って明るさを補うと撮りやすいです。

 

 

ピント合わせがしやすい大きいF値に設定

空と月の明るさに合わせて、F値→ISO感度→シャッタースピードの順で設定します。あとで編集することを考えて、少し暗めに撮影するのがポイントです。

 

  • 撮影モード:マニュアル。オートで合わせると月が白とびしてしまいます。
  • F値:F5~8とピントを合わせやすくするため少し絞ります。満月ではクレーターを写すためにF11まで絞ることも多いです。
  • ISO感度:明るさに応じてISO1600を上限に調整。満月は明るいのでISO100~400程度でOKです。
  • シャッタースピード:ISO感度で明るさを決めて、ブレない速さに調整。Z 50のキットレンズの望遠端250mm(35mm判換算375mm相当)で1/80秒程度が目安です。
  • フォーカス:MF。AFではピントが合いにくいので、モニターで拡大してMFで合わせます。

 

シャッタースピードを遅くすると目には見えない地球照が写せる

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

左:1/80秒、右:1/8秒

 

地球照(ちきゅうしょう)とは、月の欠けて影になった部分が薄く見える現象のこと。肉眼ではあまり見えませんが、露出を明るくすることで写真に写すことができます。

左の写真は、F6.3でISO感度を1600まで上げて、1/80秒で撮影した月。F値とISO感度はそのままで、シャッタースピードを1/8秒にすると、右のように地球照を写すことができました。手ブレしやすいので、脇を締めて腕を体に密着させるか、しゃがんでひじを脚で支えると安定します。

編集で月と空の印象を表現する

月の表情をイメージ通りに表現するには、編集も大切です。私はスマホ版の「Lightroom」で、見たときの月と空の印象を再現するように編集していきます。

 

1.コントラスト・明瞭度・かすみの除去を少しずつ上げて、月と空の明暗差を抑え、一度フラットな状態にします。

2.白レベルを少し上げて月の明るさを調整し、ハイライトを少し下げて空と月の光がなじむようにします。

3.空の色に応じて、カラーグレーディングでシャドウとハイライトに色味を加えます。このときは、冷たい印象になりすぎないようにシャドウに青を、ハイライトに黄~赤の色味を足してみました。

 

月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア
月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア

Lightroom「カラーグレーティング」調整画面

 

4.彩度を上げて全体を好みの色味に調整します。

 

編集後
編集前

左:編集前、右:編集後

 

月の存在感を出しつつ、夜空に月の光が溶けこむようなやわらかい雰囲気に仕上げました。

最後に全体のバランスを見て、やさしげなイメージに寄せたい場合にはコントラストとハイライトを下げて、月をくっきりと際立たせたい場合は上げる…というように、そのときの空の印象によってさらに微調整します。

空や被写体との組み合わせでより表情豊かに

ここからは、空や地上の被写体、シルエットなどと組み合わせて、月を表情豊かに表現する方法を紹介します。

空の色で月の感情を表現する

三日月前後の月は、日没頃に低い位置に見えるので空のグラデーションと一緒に撮影しやすいです。組み合わせる空の色によって、静けさやかわいらしさ、少しさみしげ…など、月の印象も変わります。

下の写真は、空の色と月の雰囲気の変化がわかりやすいように、三日月を同じ日に同じ場所で撮影しました。縦構図で写すと、水彩絵の具をにじませたような空のグラデーションを生かすことができます。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

左から:日没10分後、日没20分後、日没30分後

 

日没後10分くらいの深みのある青い空は、月を中心より少し上に置くことで静寂を感じる雰囲気に。

さらに10分経った頃からは、数分ごとに空が変わっていくので、撮る間隔を短くするといろんな表情を写すことができます。この時間帯は特に色の層がきれいなので、電線などで色わけするように撮ってみるのもおすすめです。

日没30分後の空はかなり暗く、手持ちでブレもノイズも出さずに三日月を撮れるのは、この時間までだと思います。明るさが残る部分に家の屋根などを重ねてシルエットで写しました。

 

Z 50、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 50、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

二十六夜月の前後の月は、夜明け頃に低い位置に残っているので、朝方の空の色と一緒に撮影できます。夕暮れ時とは違う、淡く曖昧な雰囲気が出せるので、この時間帯もとてもすきです。

雲の質感や星のきらめきを生かす

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

月と雲を一緒に撮ることで、ふんわりとした雰囲気になります。夕暮れ色に少し染まった雲の流れを生かして、右下に雲、左上に月がくるように画づくりしました。空全体の雰囲気がすきだったので、焦点距離75mm(35mm判換算112mm)で月は小さめにしています。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

設定:F5.6、1/5秒、ISO1600

 

月が細く光量が少ないときは、月と星の明暗差が減るので、明るい星も写すことができます。F値をできるだけ小さくしてISO1600まで上げて、地球照が写る程度にシャッタースピードを遅くするのがポイントです。画角全体に星をちりばめて、寄り添うように月を入れると、かわいらしい雰囲気で撮ることができます。

植物の影を入れて物語を感じる写真に

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

冬は空気が澄んでいるので月は撮りやすいですが、自然の彩りが少ない季節です。なので、月と一緒に枯れ木や植物をシルエットで写した写真をよく撮ります。手前の植物との対比で、はるか遠くの月に触れられない切なさを表現しました。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

上の写真は、自分より背丈のある木の下から月を見上げて、遠くの月を恋しそうに見つめる視点をイメージしました。夜の枯れ木は少し不気味な印象もありますが、そばに月があるだけで、そっと見守ってくれているような、やさしさを感じる写真に変わります。

 

月の光をスポットライトにする

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

左のように月にピントを合わせて撮るのもいいのですが、2枚目のように手前の被写体を月に重ねてピントを合わせると、スポットライトのような役割を果たします。月のやわらかい光のおかげで、枯れ木に1枚だけ残った葉を、やさしく儚げな印象で描けました。

人工物と合わせて月の存在を際立たせる

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

電線などのシルエットでフレームをつくり、中に月を写すと存在感が際立ちます。右の写真のシルエットは、看板が取り外された後の鉄骨。月が収まる位置に移動して額縁のようなイメージで切り取りました。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

屋上の柵のシルエットと月を組み合わせてみました。日常的に見ているものと一緒に写すと「屋上に行けば月に手が届くかも…」と想像が膨らんでわくわくします。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

カーブミラーに月を映すと、カメラを向けた側の空が背景になり、ミラーの中は反対側の空と月が入るので、少し不思議な印象になります。空の色の違いが大きいほど効果的なので、低い位置にある月を狙い、ミラーの中はほのかに太陽の光で染まる空を、背景には濃い青の空が写るようにアングルを調整するのがコツです。

 

スマホの画面越しに月を撮る

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

「月を見つけたけど、持っているレンズではうまく写せない…」というときは、スマホのカメラ越しに撮影するのもありだと思います。スマホ画面の明るさを少し抑えて月にピントを合わせ、その画面をカメラで撮影。月を探して散歩した思い出がよみがえる1枚になりました。

合成で月の表現をさらに広げる

月写真は複数枚重ねると、夢の中のような風景など想像したイメージをそのまま形にすることができて、さらに楽しくなります。ここでは、カメラの「多重露出」機能を使った表現と、合成アプリを使った表現についてそれぞれ紹介します。

なお、どちらにも共通する「イメージ通りに仕上げるポイント」は以下の2つです。

  • ベースの写真は月を重ねる余白があるものにする
  • 重ねるのは月だけが写ったシンプルな写真にする

Z 50の「多重露出」機能についてはこちら

多重露出で撮影中のイメージをすぐ形に

カメラの「多重露出」機能を使うと、「現実には叶わない位置に月を写す」ということも、撮影中に浮かんだイメージのままにできます。

 

 

明るい月を水面に浮かべる

月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア

 

水たまりや川に映る月を探して歩いていた日。風が強くて反射した月の形は撮れませんでしたが、水面と月をそれぞれ撮影して重ねると、月の光が溶けだしているような不思議な写真になりました。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

先ほどの写真は、上の2枚を重ねています。ベースの画像は川に映った月の光を少し暗めに、2枚目は月を少し明るめに撮るのがポイント。写真の明るい部分が優先される「比較明合成」で重ねると、主役の月を際立たせることができます。

 

 

太陽と一緒に月を写す

月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア

 

沈む太陽と月が一緒にあるという普通は見ることができない風景も、多重露出でつくり出すことができます。違和感に自然と引きつけられる、幻想的な雰囲気になりました。

 

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR

 

雲の陰影がきれいな光景をベースにして、月が夕陽と雲の間に入るように撮影した写真を合わせました。このようにとても明るい空をベースにするときは、それぞれの明るさを合わせて適正露出にする「加算平均」を使います。

合成アプリで撮影後に世界観をじっくり創る

合成アプリを使うと、撮影後に相性のいい写真の組み合わせをいろいろ試しながら、イメージを自由に創り上げることができます。私がいつも使っているのは「Snapseed」というスマホアプリです。

 

 

朝の被写体と夜の月の出会いを表現

Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
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月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア

 

朝露がついた花を、ピントをずらして淡く切り取った写真をベースに、真夜中の月の写真を重ねました。おぼろげな世界の中で、月が静かに息をしているようなイメージを表現できたと思います。

 

月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア

Snapseed「二重露出」画面

 

アプリの「二重露出」の機能を使って、朝と夜に撮った写真を「明るく」で重ねています。「明るく」は重ねた写真が明るくなって目立つので、ベースの写真の暗い部分に月がくるように、月の大きさと位置を微調整しました。

 

 

静と動が同居する世界を創り出す

 Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
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 Z 50、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
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次は、3枚の写真を重ねてみました。1枚目は街明かりや車のライトなどを、空に明るさが残る時間に撮ったもの。シャッタースピードを遅くしてシャッターを切るときにあえてカメラを動かしました。2枚目は、結露した窓越しに空のグラデーションを写した写真。3枚目は、他の写真を邪魔しないように、空との明暗差が強いシンプルな月の写真を選びました。

 

月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア

 

ブレた光とそのままの形を保つ月という、合成ならではの不思議な世界。窓越しに撮ったグラデーションを重ねることで、懐かしい記憶のような曖昧な雰囲気が増しています。

 

「本当の世界ではない」そう思うかもしれませんが、「こんな世界だったら…」を叶えられるのはなんだか魔法のようで、素敵だと思いませんか?

Photographer's Note

月の満ち欠けは単純な動きなのですが、その日の天候や時間帯によって見え方が違って、日々いろんな表情を見せてくれます。月が雲に隠れて見えないときも、変わらずそこにある…そう思って見上げるだけで、すっと心が落ち着くから不思議です。

 

これから月の撮影をはじめるなら、まず毎日空を見ることを習慣にしてみましょう。月が出ていなくても、その日の空模様を記録していくと、自然と撮りたいイメージが膨らんでいきます。明け方や昼間、夕暮れから夜の間など、いろんな時間帯に出会える月があるので、想像した風景と答え合わせするように撮影していくと楽しいですよ。

 

月を撮り続けるフォトグラファーの「月夜の散歩」– 手持ち撮影の基本のコツと表現のアイデア

 

そうして撮りためた空や月の写真を重ねると、出会うはずのない過去の空が繋がり、たまらなく愛しい世界が現れます。上の写真は、日々記録している空の写真を組んで、そこに別々の日に撮った月を重ねたものです。空の写真を組んだだけでも物語を感じるのですが、そこに月があることで、もっと自由に世界を表現できると感じます。みなさんも、月の写真を撮って重ねて、すきを形にしてみてください。

 

 

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宵月 絃

宵月 絃

デジタルカメラで身近な四季の花や月、星、空など「すき」と感じるものを写真に収めてSNSを中心に発信。淡く儚い雰囲気や、静寂の中にやさしさを感じる光景など、見る人の気持ちに寄り添うような写真が人気を集めている。