みなさん、はじめまして! フォトグラファーのひらゆい(@yuiphoto2)です。
私は旅行が好きで、訪れた場所の感動や空気感が伝わるように撮影することを大切にしています。
これまで旅してきた中で、特に反響が大きかったのがこちらです。
茨城にある神秘的な池 pic.twitter.com/QhZ3uFcT6J
— ひらゆい (@yuiphoto2) 2021年8月23日
茨城にある神秘的な池。今回はこの池について、どこにあるのか? どのように撮影したのかを紹介したいと思います。
「神秘の池」はどこにある?
この池は、茨城県鹿嶋市の「鹿島神宮」内にある「御手洗池」です。
茨城の旅先をInstagramで調べていたときに知り、こんな場所があるんだと驚きました!
透き通る水と優雅に泳ぐ鯉、池の中に立つ鳥居の力強さ。美しく神秘的な光景を目の当たりにし、感動したのを今も覚えています。
ここで撮影した写真をTwitterに投稿すると、多くの反響をいただき、私自身にとっても大切な写真になりました。
鹿島神宮・御手洗池
茨城県鹿嶋市宮中2306-1
https://kashimajingu.jp/
実際に撮影してきました!
8月の終わり、少しでも人がいない時間にと9時頃に着きました。
入口の大鳥居から10分ほど歩くと、御手洗池に到着です。境内にはすでに人が結構いましたが、御手洗池にはいませんでした。
この池は、実はそこまで大きくはなく、鳥居は一般男性より少し大きいくらいです。
その鳥居の奥には巨木があり、神秘性を感じられます。
鳥居の奥側から撮影したのがこちらです。池の中に立つ鳥居を中央にし、鳥居におおいかぶさる巨木の迫力も伝わるように。ちょうどいい位置に鯉が来たので、存在感を際立たせるように構図を決めました。
鯉は活発に動き回っています。どこを泳ぐかは読めないため、鯉が来るのを待って撮るよりも、追っていくととらえやすいです。
この日は、くもりで光はあまり入らない状況でしたが、厳かな雰囲気を写し出すことができました。
「神秘の池」を魅力的に写すためのポイント
季節によらず、光が弱くても撮れる御手洗池は、撮影チャンスの多い被写体です。
【時間】光が入り出す朝がオススメ
左:9時、右:10時(8月下旬撮影)
雰囲気は明るさでがらっと変わり、光が入り出す朝はより神秘性を感じます。朝は人が少なく撮影しやすいというメリットもあります。光の入る時間は時期や天気によりますが、くもりのこの日は9時半頃から明るくなってきました。
雨が降っていると水面が揺れてしまうため、水面のリフレクションも写したい場合は、雨の日以外を狙います。
【機材】手持ちできるカメラ+広角レンズ
- カメラ:御手洗池は美しく見えるアングルやポイントがたくさんあり、自由に動き回って撮りたくなるので、軽量なカメラがオススメです。今回は機動力の高いミラーレス Z 5で手持ち撮影しました。
- レンズ:池全体をスケール感たっぷりに撮るには広角レンズが適しています。24mm程度が鳥居と池をバランスよく写せ、それ以上であれば鳥居の存在感を強調できます。開放F値は、F4あれば十分です。
左から14mm、24mm、38mm
【設定】ブレないシャッタースピードを確保
朝早い時間はまだ暗いため、ブレには注意が必要です。特に手持ちで撮影する場合には手ブレしないシャッタースピードに設定しましょう。
- 撮影モード:マニュアルで、F値とシャッタースピードを調整します。
- F値:池全体にピントを合わせるため絞りますが、早朝は暗いためF4程度に。
- シャッタースピード:手持ちで撮る場合は、手ブレしない速さに。鯉を入れる場合は、1/50秒より速くします。
1/50秒
- ISO感度:暗めのため、ISO200程度と少し上げます。
【構図】スケール感と神秘性を表現する
角から撮りスケール感を出す
池の周囲は歩けるようになっているため、さまざまなアングルから撮影でき、角から斜めに撮るとスケール感を出せます。特に鳥居と池をバランスよく写せるのは、赤丸をつけた鳥居の奥右手側。多くの撮影者もここから撮るため、人の写りこみを避ける意味でも撮りやすいポイントです。
【鳥居の奥右手側から撮影】
赤丸の場所から撮った写真がこちらです。おおいかぶさる木の迫力や奥行き感を出したいときには縦構図で、周囲の木々を広く入れたいときは横構図に。個人的には縦構図が好きです。
縦構図で撮る際は、もっとも目を引く鳥居を中央に。手前の池から後ろの森までを入れ、鳥居の後ろの柵のラインを生かすことで奥行き感を強調できます。池手前の草木を入れるのもポイントです。
【鳥居の手前左手側から撮影】
手前左手側からは背景に緑が増え、自然に囲まれた光景を切り取れます。個人的に鳥居の水面反射がいちばんくっきり写りました。また、暗い部分が多くなり、白とびしにくく撮影・レタッチがしやすい利点もあります。
ただ、撮影者が多い場合、奥に人が写りこむ可能性もあるため、注意が必要です。
【鳥居の手前右手側から撮影】
手前右側からは日の光がよく入るため、明るい写真が撮れます。池の質感をもっともリアルに表現できると感じています。
神秘性を表現する構図
この池が醸し出す神秘性を表現するには、下側は水面だけが写るようにし、常に穏やかな池のリフレクションを生かすのもポイントです。ローポジション・ローアングルで構えると、おおいかぶさる木の迫力を出しながら、反射面をきれいに写し出せます。そして、赤い鯉が入ることで、緑の多い風景のアクセントになります。
【編集】神秘性を際立たせる色調整
この日はくもりで光が少なかったこともあり露出を持ち上げた上で、神秘的な雰囲気を出せるように編集していきます。
明るさを適正にする
左:編集前写真、右:Lightroom編集画面
- 露光量:池・鳥居が見やすい明るさに調整。
- コントラスト:光や鯉の存在感を強調するためにはコントラストを上げます。
- ハイライト/白レベル:露光量を上げて明るくなりすぎた部分をハイライト・白レベルでバランスを見ながら調整。
- シャドウ/黒レベル:池の周囲は木々があり暗くなりがちなので、影になってしまった部分を明るくします。
イメージした色や質感に調整
Lightroom編集画面
- 色温度:神秘性を際立たせるため、青に寄せます。
- テクスチャ/明瞭度:鳥居の存在感を際立たせるためにプラスに調整。
左:編集前、右:編集後
明るさ・色・質感の調整で、現地で感じた雰囲気を表現できました。
御手洗池のある「鹿島神宮」も散策してみよう!
「鹿島神宮」は紀元前660年がはじまりとされる、日本最古の神社の一つ。広い敷地を生かした建造物は迫力があり、緑の豊かさで神聖な空気を感じられます。御手洗池はもちろん、神宮内をぜひ散策してみていただきたいです。
入口にある大鳥居。かなり巨大で、圧倒されます。
大鳥居を過ぎると見えてくる、朱色の楼門。日本三大楼門の一つに数えられています。
存在感があり、これを見るだけでも「この先にどんな世界が広がっているのだろう」と惹きつけられる魅力がありました。
楼門をさらに過ぎると、奥宮に続く奧参道へ。この奥に御手洗池があります。300mほどの長い参道は、巨木におおわれ、神聖な空気を感じました。
帰りに立ち寄りたい「西の一之鳥居」
鹿島神宮の周囲には4つの鳥居が立っています。その中でオススメしたいのが、神宮から車で7分ほどの場所にある「西の一之鳥居」。水上鳥居として日本最大で、美しい夕景スポットでもあります。
この日は、日の入りの30分ほど前に着きました。30分前でも十分青空を撮影できます。この鳥居を撮るのは2度目ですが、水面の揺れは日によって大きく違うように感じます。
日没間際、威風堂々とした鳥居の姿と、夕日で染まっていく美しい空、水面の反射に思わず見入ってしまいます。
Photographer's Note
茨城にある「神秘の池」はいかがでしたか?
御手洗池、そして鹿島神宮は、何度訪れても神秘性を感じ、その不思議な雰囲気に惹きつけられています。
今回はくもりでしたが、次は晴れの光の美しいタイミングに撮影に訪れたいと思います。
Nikon機材を使ってみて
Z 5を使用しましたが、フルサイズとしてコンパクトで軽量感もあり、手持ちで動きながら撮影するのも楽でした。グリップはかなり握りやすく感動しました。ボタン配置がよく操作にもすぐ慣れ、大きなファインダーで撮影中の確認もしやすかったです。描写性に関しては、今回はかなり暗い状況でしたが、編集して明るさを持ち上げるとディテールがしっかりと描写されていました。
レンズはNIKKOR Z 14-30mm f/4 SとNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sを使いましたが、収まりのよいサイズで持ち運びやすく、ズームリングなどの操作フィーリングもよかったです。西の一之鳥居では夕日撮影でしたが、逆光への強さも感じました。
神社で撮影する際の注意点
- 境内は神様がお鎮まりになっているところなので、撮影する前には神様にお参りをしてから、撮影に臨みましょう。
- 神様の通り道をさえぎらないよう、鳥居や本殿は正中(正面)から撮影しない。
- 肌の露出が多い服、派手すぎる服装、サンダルなどは避ける。
- 小さなお子さんやお年寄りが参拝に訪れるので、ぶつからないよう三脚を使用する際は必ず手元におき、境内・参道へ放置しない。
※場所によっては三脚が禁止の場合もあります。事前に確認しましょう。- 場所を占有しない。
他の方の迷惑にならないよう、ルールやマナーを守って写真を楽しみましょう。
※こちらに掲載している情報は2022年11月8日現在のものです。
ひらゆい
旅行好きが高じて、写真をはじめる。日本各地を旅し、絶景を中心に風景写真を撮影・発信している。モットーは「見ていただけた方が、旅行した気分になれること」。