はじめまして。ハムスターとの日常を中心に撮影している、ぱる(@gsm_iham2)です。
カメラを購入したのは風景や人を撮るためでしたが、ハムスターを家に迎えたことがきっかけで、いろんな表情を写真に残すことに夢中になりました。
撮影をはじめた当時は、APS-CサイズのD7200とマイクロレンズを使っていて、画面いっぱいに写るハムスターのかわいさに撮るたび感動していました。
今は購入したフルサイズミラーレスカメラのZ 6と、アンバサダー企画でお借りしているAPS-CサイズのZ 50を使っています。両方使ってみた上で、愛用のマイクロレンズAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDと、それを中望遠単焦点として使えるZ 50の組み合わせで、私なりのハムスターの撮り方を紹介したいと思います。
わが家のハムスター
2021年3月にお迎えした「ましろ」くん。ジャンガリアンハムスターのパールホワイトです。食べることが好きなのか、食事をあげると夢中になってうれしそうな顔で食べます。手を出すと寄ってきてくれる人懐っこい子です。
かわいさを引き立てるマイクロレンズ
マイクロレンズの大きな特徴
マイクロレンズは、近距離撮影に最適化されたレンズで、マクロレンズとも呼ばれています。
手のひらサイズのハムスターを画面いっぱいに写すことができ、今まで気づきにくかった表情の変化もしっかりとらえられるところが魅力です。まずは、ハムスターを撮る上で役立つマイクロレンズの主な特徴を紹介します。
1.最短撮影距離が短い
最短撮影距離とは、被写体にピントを合わせることができる最短の撮影距離のことです。愛用の60mmマイクロレンズは最短撮影距離0.185mと、かなり近づいてもピントを合わせて撮ることができます。
50mm単焦点レンズの最短撮影距離0.4mと、60mmマイクロレンズの最短撮影距離でハムスターの食事を撮り比べてみました。右のほうが倍以上寄れてかなり大きく写すことができ、ピントを合わせた部分は質感まで鮮明に写っていますね。
2.等倍撮影ができる
マイクロレンズは最短撮影距離で撮ると、被写体と撮像素子に写る像の大きさが同じ倍率になります。同じ焦点距離の単焦点レンズでは0.2倍以下がほとんどなので、どれだけ大きく写せるかわかると思います。
また、Z 50の撮像素子は約24mm×16mmで、Z 6などのフルサイズ(約36mm×24mm)に比べると約1.5倍拡大されることになり、小さいハムスターの表情をクローズアップするのにぴったりです。
上の写真は、指をあまがみする口元をクローズアップしました。普段は見えませんが口の形がとてもかわいく、上を向いているときや食事をほおばっているときは、ついつい注目してしまいます。
ハムスター撮影にぴったりな中望遠
マイクロレンズには標準・中望遠など焦点距離がいくつかあり、私は40mm(35mm判換算60mm相当)や60mm(35mm判換算90mm相当)を使っていましたが、ハムスターをはじめとした小さな生きものを撮る場合は中望遠をオススメします。その理由は以下の3つです。
- 近すぎない「距離感」
- 余分な要素を省ける「画角」
- 毛並みやひげの繊細な「描写」
【距離感】適度に離れて大きく写せる
マイクロレンズは最短撮影距離が短いとお話ししましたが、ハムスターはレンズを近づけすぎるとびっくりする可能性があるので、最低でも50~60cmはレンズとの距離を空けるようにしています。
焦点距離が大きいレンズほど同じ画角になる撮影距離が長くなるため、40mmよりも60mmのほうが適度な距離を保ちつつ、かわいい表情を画面いっぱいに収められます。さらにAPS-CサイズのZ 50では、焦点距離がフルサイズの1.5倍になるので、より撮影距離に余裕が生まれます。
【画角】引きの画でハムスターの小ささを強調できる
60mm(35mm判換算90mm相当)の中望遠マイクロレンズは、人と触れ合っている様子を50~60cm離れた位置から撮るときに、背景や人の顔が写らないちょうどいい画角です。あえて人の体を大きく入れると、ハムスターの小ささが強調されてよりかわいいと思います。
【描写】ふわふわの質感や細部を精細に描ける
ハムスターのきれいな毛並みやひげなどを繊細に写せるのは、高画質な単焦点ならではです。ふわふわの触り心地やつぶらな瞳、小さい口などハムスターのかわいさを存分に表現できます。
また、開放F値が小さく被写界深度が浅いので、前景や背景がなめらかにボケて主役の存在感を引き立ててくれます。
上の写真は、食事を手渡しであげている様子です。手前の指や背景がきれいにボケて、カボチャをくわえるかわいい口元や繊細な毛並みに目がいく写真になりました。
マクロ撮影/中望遠の撮影のコツ
中望遠マイクロレンズの写りを生かして、ハムスターのかわいい瞬間を切り取るコツをお伝えします。
【設定】開放F値で明るくふんわりと写す
- F値:やわらかい毛並みと透明感を引き出すために、F値は基本的に開放で、明るくふんわりと写すのがポイントです。
- 撮影モード:マニュアル。開放F値で動きに合わせてシャッタースピードを調節します。
- シャッタースピード:1/400~1/500秒あれば、ハムスターの素早い動きや片手で撮影する際の手ブレにも対応できます。
- ISO感度:部屋が明るい日中はISO1000以下、夕方以降はISO3200程度が目安です。
- フォーカス:動く被写体にピントを合わせ続ける「AF-C」で、目や口元の表情の変化に対応します。
- レリーズモード:高速連続撮影でかわいい瞬間を写し止めます。
「AF-C」のおかげで、ハムスターが突然立ち上がっても顔にピントを合わせて撮ることができました。
- サイレント撮影:音に敏感な子もいるので、サイレント撮影にして自然な姿を撮影します。
なお、画面はライブビューで確認します。ハムスターの様子を目で見ながら撮影できるので、突然の動きにも反応できます。画面全体を一目で把握できるので、画づくりもしやすいです。
クリエイティブピクチャーコントロールで雰囲気を出す
手の上に乗せたハムスターを少し引きで撮ったものやケージの中の様子などは、画像の色合いなどを変えられる「クリエイティブピクチャーコントロール」を使うと雰囲気が出ます。効果の度合い(適用度)を0~100の間で調整することも可能です。
※Z 50の「クリエイティブピクチャーコントロール」について詳しくはこちら
左:モーニング、右:ブルー
私はLightroom CCで現像しているのですが、カメラマッチングでクリエイティブピクチャーコントロールを設定できます。お気に入りは、思い出の光景のように演出する「モーニング」と、透明感たっぷりに描いてくれる「ブルー」です。そのままでは色味が強く感じるので、適用度を20~30にしています。
【マクロ撮影】夢中な姿や表情をとらえる
マイクロレンズならではのマクロ撮影は、小さいハムスターを画面いっぱいに切り取ることで、質感や感情の変化を表現することができます。
食事に夢中な後ろ姿をかわいく切り取る
ハムスターが後ろを向いて食事しているときは、近距離で撮影するチャンス。もちもちのおしりをアップで撮ると大福みたいでとってもかわいいです。動きが少ないのではじめてでも撮りやすいと思います。
大福感を演出するために、お皿にハムスターの好物を置いて食べに来るのを待ちます。今回は白いお皿でましろくんの透明感を強調していますが、和テイストのものやガラスのお皿などを使っても、写真の雰囲気が変わって楽しいです。
手渡しで食事する表情をとらえる
手渡しで食事をあげるときは、片手でカメラを構えるので、最短撮影距離を気にせず撮れるマイクロレンズが特に活躍します。
通常は一点を見つめてもくもくと食べ続けることが多いですが、手渡しであげると口元が見えて表情が豊かになります。「食べ物を見つけたとき」「食事中」「食後」と顔つきが変化するので、ハムスターの気持ちを想像しながら撮るのが楽しいです。
ましろくん「あ! ブロッコリーだ!」
ましろくん「これ好きなんだよなぁ。モグモグ…うまい、うまい」
ましろくん「ふぅ、満足」
このとき、食事をあげる手を大きく写すとハムスターの小ささが伝わり、一生懸命に食べる様子がより愛おしく感じられると思います。
【中望遠】ありのままの様子を自然に撮る
35mm判換算90mm相当という画角を生かして、少し離れた場所から自然な様子をとらえるのもオススメです。
筒の出口から顔を出す瞬間を待つ
ましろくんは狭いところが好きなので、よく筒などに入って遊びます。
撮るときは、筒の出口にピントを合わせて、少し距離をとって顔を出す瞬間を待つのがポイント。きょとんとした表情になるのがとてもかわいいです。筒は適度な長さが必要なので、キッチンペーパーやアルミホイルの芯を使っています。
ケージの中で暮らす様子を撮る
ケージの中で過ごす様子を外からクローズアップできるのも中望遠のいいところです。このとき、なるべくケージにレンズを近づけて撮ると、ガラスの反射が気になりません。
ケージの中にいるときのシャッターチャンスは、お家から顔を出したときの目を細めるような表情や、ケージから出してほしそうにしているときなどです。ケージをなめたり、かじったりしてアピールするので、いつもと違った表情が撮れます。
かわいい瞬間を引き出すコツとアイテム
ハムスターのかわいさをさらに引き出す撮影方法やアイテムを紹介します。
大切なのは関係性を築くこと
無理なく関係性を築くことが何より重要です。私はケージの外から名前を呼んで手を出したときに、来てくれてから触れ合うようにしています。
また、できる限り「ありのままの姿を写すこと」を意識しています。夜行性のハムスターは昼間にお家から出てこないことも多いですし、食べているところを撮りたいと思っても、カメラを構えたとたんに食べ終えてしまったり、そもそも食べてくれないこともあります。そんなときは無理に撮らず、ハムスターの行動に合わせることが大切です。
食べ物を持って食べる姿を撮る
食事をあげるときなどに名前を呼んで駆け寄ってきてくれると、少し気持ちが通じたようでうれしくなりますし、ハムスターも優しい表情になる気がします。
キャベツやブロッコリー、ニンジンをあげると、手で持って少しずつかじるので、食事の様子をゆっくり撮影できてオススメです。野菜を少しずつ盛り合わせてあげるととても喜びますし、写真に彩りがプラスされますよ。
撮るときのポイントは、食べている口元もいいですが、食べ物を持つ小さな手にもしっかりとピントを合わせるとかわいさがアップします。
また、食事の後は毛づくろいをすることが多いです。いつも目をぱっちり開けているハムスターが、くしゃっとしている瞬間はたまりません。
広いスペースで自由に遊ばせる
ケージよりも大きい衣装ケースの中に筒などを置くと、アスレチックのようにたくさん動き回ってくれます。予想外の行動をすることもあり、見ていてとてもおもしろいです。撮影するときは、F5程度に絞るとピントの合う範囲が広くなり、動きをとらえやすくなります。
ふわふわの小物と組み合わせる
毛布やふわふわの小物と組み合わせると、ハムスターの毛並みのやわらかさがより感じられます。上の2枚は、たくさん撮った中から目を細めてうっとりとしているような表情のものを選びました。
普段はテーマを決めて撮影することはあまりありませんが、丸まった姿がお団子に見えたので、毛糸のポンポンを並べて春らしく3色団子のイメージで撮りました。ポンポンはハムスターと同じくらいの大きさで自作したものです。まわりに置くだけの装飾であれば、ハムスターのありのままの姿を生かしながら、かわいさを引き出すことができます。
Photographer's Note
「寄って迫力のある写真を撮ろう」と購入したマイクロレンズでしたが、使っていくうちに「最短撮影距離を気にしなくてよいレンズ」として、シーンを選ばず活躍する欠かせない存在になりました。引きでも寄りでも、小さいハムスターを繊細に描写して、なめらかなボケで存在を引き立ててくれます。
特に、食事をあげながらもう片方の手でカメラを構えたときに、近すぎてピントが合わないというストレスがなくなりました。
上の4枚は、食べる様子がかわいく撮れた写真を集めたものです。名前を呼んで来てくれた瞬間と、食事をはじめるところまでを切り取っています。このように、Twitterに数枚投稿するときは「食事をしているところ」や「服の上で遊ぶ様子」など、シーンをそろえるようにしています。
ハムスターは飼い主が家にいるときに姿を見せないこともありますし、触れ合える時間も限られています。だからこそ、一緒に過ごす時間が尊く、愛おしいんですよね。そんな素敵な時間を写真に撮って、プリントしたりSNSに投稿することで、見返したときに思い出が鮮明によみがえってきます。
今までの写真もこれからの写真も、ずっと大切にしていきたいです。
Supported by L&MARK
※Z シリーズカメラでNIKKOR Fレンズをご使用するにはマウントアダプターFTZを装着する必要があります。
※上記以外の機材で撮られた写真は、過去に撮影されたものです。
ぱる
ハムスターと過ごす日常やさまざまな表情を撮影してSNSで発信。うれしそうに食事をしたり、ケージの中で過ごしたりする、ありのままの様子をとらえることを大切にしている。