まるでアニメのワンシーン! 見る人の共感を呼ぶ田園風景の撮り方

まるでアニメのワンシーン! 見る人の共感を呼ぶ田園風景の撮り方

みなさん、はじめまして。身近な町の断片や田舎の自然風景を撮影している、福井県在住のAkine Coco(@akinecoco987)です。Twitterでは、まるで「アニメのワンシーン」のように切り取った情景を投稿しています。

今回は、田園風景の魅力や、その魅力を引き出す構図や被写体の探し方など撮影ポイントについてお伝えしたいと思います。

 

アニメの世界観にはまったきっかけは、ある日に見た夕景

趣味の旅行がきっかけで、約3年前にはじめてミラーレスカメラを購入しました。その後も旅先だけで使っていたのですが、写真にハマった知人の影響で、2019年6月頃から本格的に撮るように。当初はジャンルにこだわらず、いろんな被写体を撮影していました。この頃は、ひまさえあれば京都や大阪などの都市でスナップ撮影していましたね。

 

それが、2020年に入ってから環境の変化もあり、“本当に自分が撮りたいもの”が何かを考えるようになりました。

そして、都市よりも身近でなじみ深い「田舎の何気ない風景」を撮るようになったある日のこと、撮影の帰り道でとても幻想的な夕日に出会ったんです。

 

まるで新海誠監督作品のような…まさに「アニメのワンシーン」を思わせる世界。そのときに撮影した写真を見て、アニメチックな風景を表現したいと思ったのが今のスタイルのはじまりです。 それからは、昔からさまざまなアニメ作品を見てきた私の頭の中の「空想のアニメ」をイメージして風景をとらえています。

 

 

いつ見ても懐かしい、幼い頃の記憶と重なる田園風景

祖父母が専業農家で、私は田んぼや畑、農道を遊び場にして育ちました。撮影しながら幼い頃のことをよく思い出し、ノスタルジックな気分になったり…。写真を見てくださる方々にもどこか懐かしさを伝えられたら、という思いで日々撮影しています。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

「まるでジブリ作品に出てくるような風景」とコメントをいただきますが、田舎はまさにそんな世界だと思います。久石譲さんの音楽が聞こえてきそうな景色が広がっているんです。最近は海外の方からも好評で、日本のアニメーションの世界的な人気を感じています。

「緑+空」空の表情を生かした田園風景の撮り方

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

私はさまざまな表情を見せてくれる空が好きで、大きな雲を見るとついつい撮りに出かけてしまいます。特に好きなのは青空と積雲の組み合わせです。

ここからは、「空の表情」に着目した田園風景の撮り方について、 Z 7で撮影した写真を例に紹介していきます。

 

田園風景の撮影スタイル

カメラ片手に目的地は特に決めず、印象的な雲が出ている方向や、曇りの日は少しでも青空の見える方向へ出かけるのが私の好きな撮影スタイルです。

また、風景も「瞬間を収める」という点では、スナップに近い感覚があります。三脚をほとんど使わず、ファインダーをのぞいて気ままにシャッターを切っています。

地上1:空2が基本。雲の表情が生きる比率を探す

田園は開けた場所が多いので、空との相性が抜群! 田園風景は空とワンセットが基本です。まずは好きな空を見つけて雲の様子を観察しながら、山などの風景を合わせてフレーミングしていきます。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

田園風景をきれいに見せるポイントは、

  • 地上と空で画面を2分割する
  • まずは地上1:空2でフレーミングしてみて、好きな雲がきちんと入るように比率を調整する

撮影時に地上:空の割合を「1:2」→「1:1」→「2:1」という順で検証してみると、雲が際立つ比率が決めやすくなります。上の写真では、雲が入りきるように、地上1:空2という割合にしました。慣れるまでは何パターンか撮影しておいて、後でしっくりくるものを選ぶのがオススメです。

 

空をきれいに写すコツ

空の色味は太陽に近いほど薄く写るので、太陽から十分離れた空で画づくりすることで、きれいな色を出すことができます。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

情緒的に撮りたいときは、あえて逆光で太陽を入れるときも。アニメでフレアやゴーストが描かれるシーンがあると思いますが、そのイメージでやわらかい印象を狙います。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

こちらはインパクトのある雲を中央に、かつ、青空も見せるため地上をかなり少なめの比率に。普段は広角をよく使うのですが、雲が遠くにあるときは望遠側で圧縮効果を活用します。遠近感が弱くなるので、より絵画調に表現できます。

 

アニメのワンシーンに仕上げる編集

編集するときに気をつけていることは、

  • 「絵画調になるHDR合成」をしたような仕上がりに各パラメータを調整
  • 白とび、黒つぶれをなくして諧調豊かに

自分の“好き”に向き合いながら編集作業を積み重ねることで、今のスタイルに結びつきました。

「アングル+レンズの効果」でスケール感やイメージをより具体的に表現

普段は24~35mm程度の広角を好んで使いますが、風景全体をただ広く撮るのではなく、意識すべきポイントがあります。

 

雲の迫力が出るローアングル、風景の広大さを伝えるハイアングル
広大な風景の中でも着目したポイントを際立てるために、アングルを意識しています。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

  • 左:空を見上げる形で撮影しました。大きな雲にまるで手が届きそうなイメージです。
  • 右:少し高いところから見下ろして撮影。山の稜線と空をダイナミックに切り取りました。

 

基本はアイレベルで撮影をはじめ、パースを強調したいときや主役のスケール感を強調したいときはローアングル、地上も含めて広大さを出したいときはハイアングルで…など、一つのシーンで目線を変えて撮るようにしています。

 

草の前ボケ+ローアングルで、まるで小さくなったような感覚に

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

小さくかわいい雲を見つけたときは、しゃがんで思いきり草に寄ってみるのもおもしろいです。自分自身が「気づいたら急に小さくなってしまって、空を見上げている」ような感覚になりました。最小限の情報量でスッキリさせているのもポイントです。

 

 

パースを強調して前後方向の広がりも表現

田園風景のスケール感を表現する上で、「放射線構図」(消失点構図ともいいます)でパースを強調するのが好きです。この際も、空の表情が生きるように構図を決めます。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

こちらは、ガードレールが奥へと伸びていく様子を撮影しました。手前から奥へとしっかり遠近感を表現することで、迫力のある風景を切り取れます。

 

構図のポイント

右上の雲をしっかり入れながら、空の青、田んぼの緑、道路の赤味がかった色で3分割になるようにバランスを整えています。

 

まるでアニメのワンシーン! 見る人の共感を呼ぶ田園風景の撮り方

 

のどかな田舎の風景を表現したい場合、車や人がいない瞬間を狙うのが効果的です。写真を見る人の視線を、景色に集中させることができます。

定点観測で、その時々の違いを楽しむ

私が一番好きなのは晴天ですが、天気の悪い日でも青空とは違う魅力があるんです。同じ場所・同じ構図で定点観測してみると、時間帯や天気による表情の違いに気づくことができます。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

「空と地上の比率」で紹介した上の写真と同じ場所・構図で、違いを見てみましょう。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

  • 左:山に太陽が沈む瞬間。夕暮れ色に染まる空がきれいで、優しく切ない気持ちになります。
  • 右:今にも雨が降り出しそうな厚い雲。不穏な空気に包まれています。

+αの要素で、田園風景の世界を広げていく

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

「何もないけど、何かがある…!」それが田園風景です。のどかな田舎の風景を楽しみながら散歩するのは、いい息抜きになります。

道端で出会う、カーブミラーや標識、鉄塔や家屋、車…等々。決して珍しくなくても、田園風景の世界観を強めるいい働きをしてくれます。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

カーブミラーの色味を風景のアクセントに

道でよく見かけるカーブミラー。はっきりしたオレンジ色が、田園風景の緑や青空のアクセントになります。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

大きな雲が出ていたので、思わずカーブミラーを合わせてシャッターを切りました。はっきり出ていたミラーの影も意識して、縦構図でまとめています。

カーブミラーを撮影するときは、ミラーに自分が映りこまないように注意して配置を決めることがポイントです。

 

ミラーの映りこみも風景にプラス

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

同じ場所でも、切り取り方でまったく異なる写真になります。ミラーを大きく写して、青空とミラーが反射した景色のみで田園風景を表現しました。

足元に映る世界に目を向けてみる

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

雨上がりに見つけた、何気ない水たまり。広角でパースを強調しながら、水たまりのリフレクションでガードレールと空を写し入れました。リフレクションは幻想的な世界を表現できるのでぜひ狙ってほしいです。

 

自分の影でも画づくりできる

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

 

特別な被写体がなくても、自分の影を生かすとおもしろいです。一面田んぼの緑の場所を選ぶと、影の画をはっきりと描けます。まわりを細かく見渡しながら散歩していると、ちょっとした気づきで、いい被写体に出会えるかもしれません。

4枚で一つの世界観を表現する

Twitterでは「4枚の組写真」としてとらえていて、セットで一つの世界観を表現したいと考えています。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S(左上・右上・右下)、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR(左下)

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S(右上・右下)、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR(左上・左下)

 

今回撮り下ろした写真で「田舎の情景」をテーマに組んでみました。

ポイントは、

  • 同じ構図ばかりにしない
  • 焦点距離もなるべくバラバラにする
  • アクセントとなる色を1枚は入れる(カーブミラー)
  • 4枚並べたときに、色味や被写体のかたよりがないかチェック(地面比率が多いものが上に集中すると重く感じるので、空の比率が大きいものを上に配置するなど調整)

それぞれの配置を変えるだけで印象が大きく変わるので、別のアカウントで4枚組のバランスをチェックした上で投稿しています。

【おまけ】ミニマルに、非現実的に切り取る楽しさ

これまで広く風景を写した写真を紹介してきましたが、実はInstagramではミニマル写真メインで投稿しています。もともとTwitterでもミニマル写真を同じ頻度で投稿していましたが、反響が風景写真のほうに集まったので切りわけました。Instagramでミニマル写真が並ぶとかわいいですしね。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

ミニマル写真ならではの被写体探し

田園風景を撮る際は、アニメのワンシーンとはいえ現実感のある世界を表現していますが、ミニマル写真は「現実のようでどこか非現実的な雰囲気が漂う世界」を表現しようとしています。ミニマルらしく撮るときは、視点を少し変えて被写体を探すのがコツです。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

ミニマル写真の撮影のポイント

  • 200~240mmの望遠で切り取る
  • 圧縮効果を利用して平面的に表現する
  • 大胆な切り取りで、アートのような画づくりをする

「これは何だろう?」と少し不思議な印象を覚える切り取り方が好きです。

Photographer's Note

あらためて「何もないけど何かがある…!」。それが田園風景であり、田舎の魅力です。

はじめは、田園風景の背景に山や林、小さな集落などがある場所を意識して撮ると雰囲気を出しやすいかもしれません。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

Z 7、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

 

ずっと田園風景を撮影していると、ベンチなど何気ないものにも「きっとそこに存在する意味がある」と背景や物語を想像するようになり、被写体探しが楽しくなってきます。

 

アニメや映画だったり、いろんな写真家さんの作品を見ることで、自分なりのイメージがつかめてくると、表現の幅は広がっていくと思います。田園風景の表現の仕方も、きっとまだまだたくさんあるはず。この記事をきっかけに田園風景の魅力を知っていただけたらうれしいですし、私もさらに新しい魅力を発見していきたいです。

 

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Z 7

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NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

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※掲載した写真で機材名の記載がないものは、上記機材以外で過去に撮影された写真です。

 

Akine Coco

Akine Coco

福井県在住のフォトグラファー。身近な風景を「アニメのワンシーン」のようにとらえた作品をTwitterで発表している。どこか懐かしく、物語を感じる情景は、国内のみならず海外での人気も高い。