Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

こんにちは、NICO STOP編集部(@nicostop_editor)です。

今回は、NICO STOP参加フォトグラファー5人による特別企画。もともとは、2月27日から横浜で開催予定だったCP+2020の連動企画でしたが、フォトギャラリーとしてお届けします。
※CP+2020は開催中止となりました。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

テーマは、一つの街を舞台に、それぞれの思い描く題材と場所で写真作品を撮ること。その舞台は、観光地としても撮影スポットとしても人気の“横浜”です。5人がどんなテーマで、どんな表現に挑戦したのか…? 5人のヨコハマ・ストーリーをぜひお楽しみください!

※掲載写真は2020年1月に撮影したものです。

 

酒井貴弘「Expression with the cruise ship」

横浜港観光船「マリーンルージュ」で撮影した、すべて異なる表現の5枚です。
船の上という非日常な環境で創作意欲が湧き、空・風・海・船という要素を生かしながら、自分の中でもいろいろな表現に挑戦できた楽しい時間でした。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

今回撮影したシリーズのメインイメージです。横浜を象徴する“海風”、そして観光船の白と青空を取り入れました。船の上に吹く強い海風を利用して、風になびく髪でこの女性の美しさと芯の強さを表現しています。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

船のデッキだからこそ見られる景色を思い描き、大黒大橋の下を通る瞬間を狙いました。背景に大きく橋を入れることで、ダイナミックさを表現しています。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

海風になびく髪をキーポイントに、力強い表情を狙った1枚。1枚目は“海風”のほうがメインでしたが、こちらはよりモデルさんにフォーカスしています。順光により力強さを引き出し、背景が発色のいい青色になるよう意識し、コントラストをつけました。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

船内のレストランの窓辺で撮影。他の4枚とは少し異なり、クルージングならではの旅の情感をたっぷりと表現しました。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

船にあるドアを生かしてガラス越しで撮影しました。ガラスの反射を使い、青やオレンジなどの色を取り入れた画づくりをしています。

 

Point

船の上などで撮影する場合、風が強いのでモデルさんの髪が乱れることが多いと思います。それを生かすことで動きのあるダイナミックな写真を撮ることができるので、この“海風”を味方につけるのが最大のポイントです!

 

hiro

酒井貴弘

長野県生まれ。東京在住のフォトグラファー。ポートレートを得意とし、広告写真や企業案件、ポートレートなどの撮影案件から雑誌掲載、WEBメディアでの執筆、写真教室やプリセットのプロデュースなど幅広く活躍。SNSでは約2年間で総フォロワー10万人を超えるなど、SNSでの強みも持っている。

 

【撮影情報】

Item:Z 6、NIKKOR Z 85mm f/1.8 S(1、3枚目)、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S(2、4、5枚目)
Model:小山モモ(@nekura_ganbaro
Spot:横浜港観光船「マリーンルージュ」(船内)
出航場所:山下公園/みなとみらい/赤レンガ(撮影では、山下公園発に乗船)
https://www.yokohama-cruising.jp/index.php
※運航や他のお客様の迷惑にならないようご注意ください。

嵐田大志「うみの見えるまち」

この日、双子の子供たちと一緒に山下公園に行ってきました。
園内を散策してみると、海の景観だけでなく、螺旋階段や石造りの広場などさまざまな魅力に気づき、そこで純粋に楽しむ子供たちとの思い出をまた一つ残せました。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

公園の中にある螺旋階段。真横から撮っていたら、子供たちがピョコっと顔を出した瞬間です。階段と手前の柵、奥の柵、子供たちの幾重にも重なったレイヤーでリズム感を出しました。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

公園からは横浜マリンタワーが見えます。いつもの感覚ならタワーと空でミニマルに構成するのですが、木と木の間からタワーがのぞいている場所を発見。木々の隙間がちょうどタワーと同じような形になっているのがポイントです。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

山下公園で思い浮かぶのが、ベンチで語り合う恋人たち。双子の子供たちが語らっているのもおもしろいと思いシャッターを切りました。通路、海、空がきれいに3層にわかれたデザイン的な構成も意識しました。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

 

目を凝らすと、空の中央に飛行機が見えます。グラデーションになっている空との対比の美しさを写し取りました。広く取った空間がミニマル感に貢献しています。

 

Point

山下公園といえば、「海の見える公園」というイメージが強いと思います。そこで撮影している人を観察してみると、多くの人が水平線や海越しに見える橋や建物群、手すりに止まっているカモメを撮っていました。その先入観にとらわれず、自分の心が動いた瞬間を収めることが大事だと思います。

 

嵐田大志

嵐田大志

本業の傍ら、東京をベースにフォトグラファーとして活動。LightroomやVSCOを活用し、フィルム風の空気感を表現。家族や身近なものを中心にしつつ、頻繁に旅する海外でのスナップを撮り続けている。

 

【撮影情報】

Item:Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
Spot:山下公園
神奈川県横浜市中区山下町279
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/midori-koen/koen/koen/daihyoteki/kouen008.html
※他の方の迷惑にならないようご注意ください。

コハラタケル「月と太陽」

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この作品は、月と太陽という対照的な存在を組写真で一つにし、それぞれの光の違いを表現しています。

月と朝陽の両方を狙うため、24時間出入りができる横浜港大さん橋国際客船ターミナルで、早朝5時から撮影を開始。雲の合間から顔を出す月の美しさ、そして、施設の隙間から見える燃えるような色が強調された朝陽を撮影しました。

月の撮影では、ドラマティックな雰囲気のポートレート作品にしようと、モデルさんにはビニール傘を持ってもらい、月明かりにも負けないような凛々しい表情を切り取りました。

 

Point

今回の撮影のポイントは以下の3つです。

  • 人工物を入れないよう人物写真はローアングルで撮影
  • アプリで日の出・月の方向をチェック
  • 霧吹きで傘を濡らし、雨上がりを演出

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語


ビニール傘を使った撮影のとき、僕は必ず“霧吹き”を持っていきます。霧吹きは100円ショップにあるもので、500mlペットボトルに装着できるタイプがオススメ。荷物もかさばらず、先端部分さえ持っていれば自動販売機やコンビニで水を購入し、いつでもどこでもすぐに使用できます。

 

人工物を入れないよう人物写真はローアングルで撮影

この施設では手すりや立ち入り禁止の柵があるので、それが写らないようローアングルを意識しました。もしも日常的なストーリーを演出したい場合は、手すりに手をかけたり、腕を置いたりしているシーンを撮影できるので、撮影イメージに応じて人工物を写真に入れるかどうかを決めてみてください。

 

アプリで日の出・月の方向をチェック

朝陽や月の撮影で大切なのが、撮影地から見てどの方向に位置するかをあらかじめチェックしておくことです。特に朝陽は刻々と表情が変わるので、方向をしっかり把握しておきましょう。

 

霧吹きで傘を濡らし、雨上がりを演出

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写真をよく見てもらえると、傘に雨粒のような水滴がたくさんついているのがわかると思いますが、このとき雨は降っていませんでした。これは、霧吹きでつけたもの。傘に水滴がつくことで、光の変化がよくわかるようになり、雨上がりの夜空を表現することもできます。ストーリーを思い描くときは、「実際に雨が降っていたら、どんな状況になっていただろうか」という部分までしっかり考えて、それから撮影を行うようにしています。

 

コハラタケル

コハラタケル

1984年、長崎県生まれ。フリーライター時代に写真撮影もはじめ、その後、フォトグラファーに転身。企業案件や家族写真を撮影するだけでなく、会員140名を越える月額制noteサークルの運営も行っている。SNSの総フォロワー数は12万人以上。

 

【撮影情報】

Item:Z 6、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Model:JURI(@juri_ringo7
Spot:横浜港大さん橋国際客船ターミナル
神奈川県横浜市中区海岸通1-1-4
https://osanbashi.jp/
※他の方の迷惑にならないようご注意ください。

nano「ワルツ」

「花」をテーマに、異なるものを混ぜ合わせたいと思いました。
いろんな花が、花瓶でもなく、土でもなく、水中で自由にいろんな表情で踊る世界が見たくて、普段なら交わらない「水中」というシチュエーションに。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

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ひとりで踊るよりふたりで踊る、
誰でもじゃなくて君と踊りたい

 

私は普段から、願わくは前向きに、誰かの感情に寄り添えるような写真を撮りたいと思っています。光が当たらない部分を受け入れて、光を探すことで、少しずつ前進できるような。これは、ひとりではできなくて、きっと誰かとの交わりの中で変化していくものなのかな…という思いをこめて、「ワルツ」という作品にしました。

 

Point

今回の4枚の作品は、光の差しこみ方や背景を変えることで、異なる水中を表現しています。そして、花と水の世界だけでは非現実感が強いので、女の子を仲介とすることで現実感を意識しました。

 

nano

Fujikawa hinano

Instagramで作品を投稿。グループ展やメディア執筆など、幅広く活動中。「日常と非日常の中にある曖昧さ、そして感情を丁寧に表現したいと思っています」

 

【撮影情報】

Item:FE2、Nikkor S Auto 5cm F2
Model:Yukie(@__yukie_
Spot:横浜・八景島シーパラダイス
神奈川県横浜市金沢区八景島
http://www.seaparadise.co.jp/
※施設内での撮影は、施設や他のお客様の迷惑にならないようご注意ください。

澤村洋兵「洋館の少女」

モデルさんのどこか謎めいた表情に惹かれてシャッターを切っていました。
表現したかったのは、とある洋館に住む少女。何かに想いを馳せているような。どこか謎めいた少女。徐々に心を引く様を表現しようと試みました。

 

Yokohama Stories - 横浜を舞台に、5人のフォトグラファーが写真で描く物語

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ポイントは洋館に合わせたモデルさんの雰囲気、ヘアメイク、服装、撮る前からのイメージも大切です。ストーリーに合わせた表情や視線を伝えることで、モデルさんと2人で世界観をつくり上げていきます。そして、その雰囲気を引き上げてくれるような光の場所を選ぶことが大事です。そうすることで、ストーリーの中の人物の心情を写し出すことができると思います。

 

Point

洋館はとても雰囲気のある建物なので、そこに合う時代設定のイメージを思い描いて服装なども意識すると、どの場所でもいい画づくりができます。また、いろんなところに窓があるので、光の入り方にも注目してみましょう。

 

澤村洋兵

澤村洋兵

美容師、和食料理人、バリスタ、珈琲焙煎士など様々な職業を経験してきた異色のフォトグラファー。
それぞれの職業で培った感性と器用さを武器に、ポートレートから風景、カフェ写真など幅広く活躍している。

 

【撮影情報】

Item:Z 7、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Model:まりな(@_mlnpn
Spot:山手111番館
神奈川県横浜市中区山手町111
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/yamate111/
※山手111番館を含め山手西洋館での撮影は、重要文化財・歴史的建造物保護のため下記の注意事項をお守りください。
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/kyokai/author200ce/46a7492a97750a6fe3015616cf82b4308ead3649.pdf

 

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いかがでしたか?
横浜という一つの街を舞台に、5人のフォトグラファーが挑戦した写真表現。1枚1枚にこめられた世界観やストーリーから、それぞれの独自の視点、作品づくりの考え方やプロセスをうかがい知ることができます。5人の作品が、みなさんのクリエイティビティを刺激し、今後の写真撮影に少しでもプラスになればうれしいです!

 

※掲載写真は2020年1月に撮影したものです。

 

協力:横浜フィルムコミッション
Supported by L&MARK