はじめまして、関東在住のフォトグラファーsia.(@siaspica)です。
私は、「当たり前に暮らしているこの世界は、目線を少し変えるだけで、こんなにも美しく感じられる」ということを表現したいと考えていて、四季を感じる写真や日常の中で心惹かれるようなキラキラしたものを撮影しています。
今回はその中でも好きな被写体の1つ、「クリームソーダ」についてお話ししたいと思います。
甘いアイスクリームとソーダの組み合わせが絶妙なクリームソーダは、味はもちろんのこと、色鮮やかで楽しい見た目、そして光が当たるとキラキラ輝くのが魅力的です。
この記事では、クリームソーダがオススメの関東のお店と、撮り方のポイントを紹介します。
クリームソーダがオススメな関東のお店5選
クリームソーダはお店ごとに見た目や味の特徴があり、新しい出会いにいつもワクワクします。
今回は、関東のお店を5つピックアップしました。「青色が好き」ということもあり、青色のソーダのお店が多めです。
【持っていく機材】
今回はAPS-Cサイズの Z fc+オールドレンズAI Nikkor 28mm f/2.8(35mm判換算42mm)をメインに使用しました。
※ Z シリーズカメラでNIKKOR Fレンズを使用するには、マウントアダプターFTZやFTZ IIを装着する必要があります。
- カメラ:飲食店ではできるだけコンパクトで、シャッター音が小さいカメラが向いています( Z fcはサイレントモードがあります)。また、モニターが可動式なら、席に座ったままアングルを変えた撮影がしやすく便利です。
- レンズ:35mm判換算42mmは店内の雰囲気も一緒に切り取ることができ、F2.8あれば背景を十分ぼかせます。そして、オールドレンズの魅力はピント面の曖昧さ。やわらかい雰囲気のあるクリームソーダとの相性がとてもいいです。
【東京・喫茶ニカイ】透き通る淡いブルー
谷根千エリアにある「喫茶ニカイ」は、名前の通り建物の2階に。器店kokonnの中の階段を上った先にあります。
青色の壁と金色の装飾というおしゃれな店内は、さまざまな種類のランプとの相性が◎。色の濃い壁ですが、家具が落ち着いた色調のため、ゆったりした時間を過ごすことができます。
全体的に光が入る席が多いですが、ひとり席に座りました(左の写真の左奥)。
澄みきった「ニカイのクリームソーダ」
淡いスカイブルーがきれいなソーダ。アイスについているロゴの旗もかわいいです。ヨーグルト風味のアイスとソーダがよく合っていて、最後まですっきりと飲むことができます。
撮り方のポイント
point.1 まわりの装飾は控えめに
まずは、クリームソーダ自体の魅力を生かすため、まわりの装飾を控えめにしました。窓を背景にすることで、ソーダの透明感を表現できます。
左はお店のシンボル・階段のオブジェとともに。右は、カトラリーを入れることで「これから食べる」というイメージが湧くように撮影しました。
point.2 テーブルランプの光で温かい印象に
窓からの光がやわらかく全体に回っていたので、コントラストを出すためにランプを利用しました。壁に伸びるきれいな光をクリームソーダと一緒に写しています。
ぐっと寄ると、クリームソーダの透明感やブルーベリーソースのシズル感も伝わる写真になると思います。
喫茶ニカイ
東京都台東区谷中6-3-8
https://www.instagram.com/kissa.nikai/
※営業時間など詳細はHPをご確認ください。注意点:お客さんが多く入れ替わりも激しいので、長時間の撮影は控えましょう。座席同士の距離の関係上、他のお客さんに当たらないように注意が必要です。
【神奈川・うのまち珈琲店】海と空を感じるソーダ
鎌倉にある「うのまち珈琲店」は、入口が奥まっていて隠れ家のような佇まい。栞をモチーフにしたおしゃれな看板にもこだわりを感じます。
こちらはブックカフェで、店内にはさまざまなジャンルの本が置かれていて、気軽に手に取って読むことができます。
この日はお店の中央付近に座りましたが、外が明るく入口からの光を十分生かせる席でした。
2層のコントラストがきれいな「うのまちクリームソーダ」
「うのまちクリームソーダ(青)」は、栞デザインのグラスの中が青と透明の2層に。海と空のようにも見えます。柑橘系ですっきり飲みやすく、甘いアイスとの相性が抜群でした。
こちらは「うのまちクリームソーダ(赤)」。夕日に染まったような色合いが印象的です。同じ柑橘系ですが、青よりさらにすっきりしています。
撮り方のポイント
point.1 入口を背景にして光を取り入れる
トレイからテーブル直置きにしてみました。このほうがすっきりしますね。
入口を背景にすると光を取り入れやすく、ソーダの透明感も表現できます。左はお店の奥行きを生かしつつ、情報を整理できるよう縦構図に。右は、お店の雰囲気も取り入れながら、クリームソーダの魅力が伝わるよう横構図で少し寄りました。
point.2 誰かと来たときは2つ並べて撮る
誰かと一緒に来たときには、かわいく2つ並べてみてください。
写りこむ要素が多いため、ハイアングル気味で背景を整理し、主役が際立つような画角を試行錯誤しました。店内照明でできた2つの影もポイントです。
うのまち珈琲店 鎌倉店
神奈川県鎌倉市長谷2-14-12
https://www.instagram.com/unomachi_coffee/
※営業時間など詳細はHPをご確認ください。注意点:開店後にお客さんが増えてくるので、開店間際が撮影しやすいと感じました。
【千葉・コーヒープラザ壹番館】華やかなバラのアイス
柏高島屋ステーションモール内にある「コーヒープラザ壹番館」は“The喫茶店”という内観で、レトロな食器やコーヒーの器具が並んでいます。照明もたくさんあり、どこに座っても素敵な写真を撮れる印象です。
このときは右の写真の席に座りました。自然光は入らないので、照明をうまく利用する必要があります。
バラのアイスの「クリームソーダ」
このお店の特徴は、バニラアイスが“バラの形”というおしゃれな遊び心。美しいです。味はしっかり甘く、昔ながらのクリームソーダという印象でした。
こちらは、お店イチオシスイーツのプリンアラモード。豪華な盛り付けで、目にも口にもうれしい一品です。
撮り方のポイント
point.1 バラのアイスはハイアングルで
まず撮りたい、バラのアイス。ハイアングルで撮ることで、形が伝わります。
point.2 店内を写すときは要素を整理する
店内も写す場合、奥行きがあるため、照明の位置も意識しながら放射線構図を生かすのが◎。ただし、他のお客さんが写りこみやすいので、縦構図で要素を整理しながら、小さいF値でできる限りぼかすのがポイントです。
point.3 リフレクションを生かす
テーブルに目を落とすと、反射していることに気づきました。リフレクションは、テーブルにカメラを近づけるほど、反射面がしっかり写ります。
コーヒープラザ壹番館
千葉県柏市末広町3-16
https://www.takashimaya.co.jp/kashiwa/stemo/shop/?id=6012
※営業時間など詳細はHPをご確認ください。注意点:開店後にお客さんが増えてくるので、開店間際が撮影しやすいと感じました。
【東京・L'atelier à ma façon】かわいい色のティーソーダ
世田谷の上野毛にある「L'atelier à ma façon」(ラトリエ・ア・マ・ファソン)は、とてもおしゃれなお店です。中に入ると、ナチュラルなインテリアで統一された、落ち着きのある空間。木目の家具とグレーの床がアンティークな雰囲気を醸し出していました。
この日は、窓際のカウンター席に座りました。
置かれているもの一つひとつにこだわりを感じ、個人的に好みでたくさん撮ってしまいました。
上品な佇まいの「マスカットティーソーダ バニラアイス乗せ」
ここは時期によってメニューが変わります。このとき頼んだティーソーダは、下部の甘味のあるマスカットシロップとソーダの2層になっていて、2つ乗っている小さなアイスもかわいいです。中には実際にマスカットも入っています。バニラ風味が豊かで濃厚なのですが、ティーソーダはすっきり飲みやすく、バランスがとてもよかったです。
このお店はスイーツも魅力的です。上の写真は「桃のタルトタタン~燻製にしたミルクアイス、フレッシュな桃のリュバン仕立て~」。ガラスドームがされたまま席に運ばれ、ドームを取るとスモークが一気に舞い上がる演出に驚きました。濃厚な桃のタタンとフレッシュな桃の対比が美しく、花びらのような桃は口に入れるととろけます。
撮り方のポイント
point 窓際の席では半逆光で撮る
このカウンター席は、窓からの光を十分に生かすことができます。上の写真は、半逆光でソーダの透明感を出し、縦構図で魅力的なカトラリーまで写しこみました。
反対側を向くと、店内の奥行きも生かせます。手前の明るいカウンター席が際立ち、光の入り方や椅子の素敵な雰囲気が伝わるようにフレーミングしました。
風が入ってくると、ひらひらとカーテンが揺れていました。縦構図で写しこむと、そのやわらかさを写真に取り入れることができます。
L'atelier à ma façon(ラトリエ・ア・マ・ファソン)
東京都世田谷区上野毛1-26-14
https://www.instagram.com/latelier_a_ma_facon/
※営業時間など詳細はHPをご確認ください。注意点:長時間の撮影は禁止されており、場所や店内備品の移動もしないようになど注意事項があります。事前にこちらを確認してから行きましょう。また、時期によってメニューが変わります。
【東京・ゆりあぺむぺる】宝石のように美しく輝く
吉祥寺にある「ゆりあぺむぺる」は、アンティークな世界観が素敵な喫茶店です。おひとり様が多く、本を読んでいる人がとても様になっていました。雰囲気のある照明が多いのも好きなポイントです。
全体的に落ち着いた明るさの中、座ったのは外からの光がほぼ入らない席でした。
青色の宝石「ラピスラズリ」
さまざまな種類があるのですが、今回は「ラピスラズリ」というおしゃれな名前のクリームソーダを注文しました。名前の通り宝石を連想するような深い青色。お店の定番のお味は、レモン風味のブルーハワイのようで、まろやかなアイスとの相性が抜群でした。
また、シックなお店の雰囲気に合うと思い、ティラミスを注文しました。非常に濃厚かつ滑らかで上品な甘さ。思い出すとまた食べに行きたくなります!
撮り方のポイント
point.1 暗い店内では雰囲気ごと切り取る
自然光が入らないため、左奥のランプの光を生かし、ソーダの透明感を引き出しました。光が入らない場所では、お店の雰囲気を取り入れるのもポイントです。ここでは、テーブルクロスや椅子などレトロな世界観をほどよく入れこむことを意識しています。
point.2 照明とソーダが重なるように
今度は、店内のいちばん明るい照明とソーダが重なるように撮影。深い青と透明感が強調され、海や宇宙をも感じるような1枚になりました。
ゆりあぺむぺる
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-6
https://mandala.gr.jp/yuria/
※営業時間など詳細はHPをご確認ください。注意点:とても静かなお店で、サイレントシャッターがあると撮影しやすいです。まわりと席が近いため、立ち上がっての撮影などは避けましょう。
クリームソーダを魅力的に写すポイント
ここからは、共通したクリームソーダ撮影のポイントを紹介します。これを覚えると、他のお店でも応用可能です。
【席】お店の中で生かせる光を探す
自然光を生かして撮影したい場合、窓際がベストです。ただ、光が入らない席でも遠くの窓の光や照明の光を生かすことができるので、席に着いたら周囲の光の具合をチェックしましょう。
【設定】ソーダがきれいに写る露出に
風景などでその後の編集を想定して暗めに撮ることがあるかと思いますが、私は撮影時のテンションを大事に、撮って出しのきれいさを優先して明るさを決めています。
- 撮影モード:マニュアルが確実ですが、AモードでもOKです。
- F値:被写体が1つの場合は~F2.8程度、複数撮る場合は~F3.5程度、背景まではっきり写したい場合はF5.6以上に。
- シャッタースピード:手ブレしない速さに設定し、光が入る席の場合は明るくなりすぎないようシャッタースピードを上げて調整します。
- ISO感度:ノイズを抑えるため、暗い場所で上げるとしてもISO6400を上限目安に。上限設定付きのオートにしています。
- 露出補正:逆光気味で撮ると被写体が暗く写りやすいため、露出補正をプラスにしてクリームソーダが明るく、ただし、白とびだけはしないように調整します。
- ピント合わせ:クリームソーダの中の魅力をいちばん感じた部分に合わせます。上に乗っているサクランボがかわいいと思えばそこに、全体の色味がきれいだと思えばF値を上げて全体にピントを合わせます。私は、好みの場所にすぐ合わせられるMFを使用しています。
【光】逆光や半逆光で透明感を出す
透明なドリンクは、逆光や半逆光で光を透過させると、とてもきれいに写ります。私は、ほどよい立体感と透明感を表現できる半逆光で撮影することが多いです。
なお、撮りやすいのはやわらかい光の状態。午前や夕方の時間帯はもちろん、日中でも店内に入る光はやわらかいことが多いです。くもりや雨の日も優しい光が回りやすく、品のよい写真が撮影できます。
【構図】単体かお店の雰囲気を生かすかで決める
左:縦構図、右:横構図
高さのあるクリームソーダを単体で写す場合、縦構図で周囲の情報を整理したほうが主役が際立ちます。一方で、お店の雰囲気や他のフードと一緒に写す場合は、横構図の選択肢も出てきます。ただし、横の場合、他のお客さんが写りこむ可能性があるため、画角を決める際にその点を意識しましょう。
アングルの使い分け
左:水平アングル、右:ハイアングル
水平アングルはフォルムや特徴をよりきれいに写し出せ、少し上から撮ると“自分の目で見た感覚”に近づきます。右のようにハイアングルでカトラリーを入れると、「これから食べる」というイメージが伝わるのではないでしょうか。
ローアングル
また、上にある光源を生かすためにローアングル気味で撮る場合も。普段の見え方とは違い、新鮮な画になります。
クリームソーダの配置
単体の場合、中央に置くとその美しさを全面的に写し出せます。他のフードと一緒に写す場合は、高さのあるクリームソーダは奥に置くとバランスがとりやすいです。
なお、複数を写す場合でも、似た性質を持っているものは2つ並べるとかわいくなるので、いろいろと試してみてください。
背景の色の影響
クリームソーダの置く位置を決める際に気をつけたいのが背景の色です。上の2枚を比べると、左の青壁背景に対して、右の窓を背景にしたほうが、ソーダがより透明に見えると思います。透明感を表現したい場合には、背景の色も意識しましょう。
Photographer's Note
クリームソーダの世界、いかがでしたか?
これまで行ったことがあるお店、前から行きたくて今回はじめて行ったお店など5つを紹介しましたが、それぞれ見た目や味に特徴があり、撮影していてとても楽しかったです。透明感があってキラキラしているところも、やはり魅力的だと改めて感じました。
行ってみたいお店は、関東だけでもまだまだたくさんあります。これからも素敵なクリームソーダとの出会いを楽しみたいと思います。
Nikonの機材を使ってみて
Z fcはフィルムカメラを彷彿とさせるデザインがかわいく、私の好みでした。さらに、オールドレンズをつけると、本物のフィルムカメラのような見た目で、相性が◎。小さくて持ち運びやすく、カフェ撮影にもぴったりで、はじめてでも操作しやすかったです。描写は解像度が高く、色味再現がとてもいいと感じました。
お店で撮影するときの注意点
- 注文する際に、撮影してよいか必ず確認。
- 自分の席以外で立って撮るのは周囲の迷惑になります。どうしても撮りたい場合は、人が少ない時間帯やテラス席など席間が広い場所で、立って撮ってよいかお店の人に確認しましょう。
- サイレントモードでシャッター音を消す。
- あくまでも食事がメインです。撮影は短時間で済ませ、美味しいうちにいただきましょう。
※こちらに掲載している情報は、2022年10月11日現在のものです。
Supported by L&MARK
※ Z シリーズカメラでNIKKOR Fレンズをご使用するには、マウントアダプターFTZやFTZ IIを装着する必要があります。
sia.
四季を感じる写真や、日常の中で心惹かれるようなキラキラしたものを撮影。「当たり前のように暮らしているこの世界は、目線を少し変えるだけで、こんなにも美しく感じられる」ということを表現している。