自然と街!ロケ地の特徴をいかした撮影テクニック

みなさん、こんにちは!
とど(@jump_todo)です!

Z シリーズで撮り下ろしたポートレート写真を参考に、撮影方法やノウハウを紹介する連載『キミと彩るポートレート』。

前回はロケ地の選び方についてお話ししました。

今回はさらに詳しく掘り下げるべく、自然ロケ地と街ロケ地の違いや特性についてお話ししたいと思います。ぜひ最後まで見ていただけると嬉しいです!
 

自然と街、それぞれのロケーションの特徴について

 

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ではここからは、自然ロケと街ロケのそれぞれの特徴についてお話ししていきます。

自然ロケ:写真に季節感を出しやすい

自然ロケ地では、モデルさんを囲むものは基本的に周囲の自然(木や山、田んぼ、雲など)になります。そのため、季節ごとに周囲の色や形は大きく変化し、写真に季節感が色濃く出ることになります。

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S


今回撮影した時期は「夏」だったので、すきっとした青空や、山や田んぼの緑が色味の中心となっていました。

では、夏以外の季節だとどうなるのか。季節ごとに写真の雰囲気がどのように変化するのか見てみましょう。


上の4枚は、僕が過去に撮影した写真です。

季節ごとに咲く花や紅葉、天気や空の色の変化によって、それぞれに全く違う表情を見せてくれます。同じ場所でも、自然の中だと大きく変化が現れるので、何度も足を運んでみるのも面白いですよ!

街ロケ:背景の人や色味に注意する

街中は自然の中に比べ周囲に人が多く、背景に写り込んでしまうこともしばしばあります。

 

【後ろに人がいる場合】

Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

【後ろに人がいない場合】

Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S


上の1枚目は、背景にオレンジ色のリュックを背負った人が写り込んでいます。
ビビッドな色味なので目線がそちらに奪われてしまって、モデルさんが際立たなくなってしまっていますよね。

こういう人通りの多い場所では、僕は以下のように対処しています。
・モデルさんに人の流れと別方向に顔を向けてもらう
・なるべく人がいないタイミングでシャッターを切る

基本的には人が途切れるのを待ちますが、場所によっては人の流れが途切れない時も。
そういった場合は、あまりにも目立つ服の色(ビビッドカラーや蛍光色)が画角に入っていないかをチェックしながら撮影します。

上の写真のような目立つ色味は、見る人の注意がそちらにいってしまうので注意。行き交う人の服装の色を常に変化するのは、自然ロケにはない特徴です。

ロケの特性を活かした撮り方① 視点を変える

それではここからは、自然と街のロケ地、それぞれの特徴を踏まえたオススメの撮影方法を紹介していきます。

自然ロケ:モデルさんの立ち位置や構図に気を付けよう

街ロケでは背景に人や車が入りやすいと説明しましたが、自然の中だとそういったものが少ないのも大きな特徴です。

「もう少し引いて撮りたいけど、あの建物が入ってしまう…」といったような状況が街ロケに比べて少ないので、存分に引いて広大なロケーションの中で撮影することができます。

寄りで撮影して背景をボカし、モデルさんを際立たせてるのも良いですが、そのロケーションだからこそ撮れる一枚を狙うのも自然ロケ地だとチャレンジしやすいですよ。

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S


開けたロケーションでは周囲に建物などが無くすっきりしているので、これだけ大きく引いても背景がごちゃごちゃせず、モデルさんの存在感を消すこともありません。

しかし逆にこのような開けたロケーションの場合、最終的にどこを背景にし、どの場所にモデルさんに立ってもらうか、悩む人も多いと思います。

自然ロケ地では、特徴的なものや絵になる背景を探さなければいけません。このときは左側の山と右側の山が、ちょうどモデルさんに向かって降りており、モデルさんと山の位置が重ならず、夏の青空と緑いっぱいの自然を写真に落とし込める位置だったのでシャッターを切りました。

これが例えば、左側の山と右側の山の間からズレた位置にモデルさんを配置していたとします。

 

Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S


どうでしょうか? さきほどの写真に比べ、若干バランスが悪いように見えないでしょうか?

並べて比較してみましょう。


左の写真では山と山の間に人が配置されており、ポイントが中心に集まったバランスの良い写真になっています。
それに対して、右の写真は山の間からモデルさんの位置がズレており、なんだかバランスが悪い感じがしますよね。

自然ロケでは背景が山や緑などシンプルなため、大きく失敗したような写真にはなりにくいのですが、上の写真のように全体のロケーション選びがよくても、モデルさんの立ち位置が変わると写真としての見え方が異なります。

右の写真よりも、左の山と山の間に人を配置した写真の方がバランスが良く見えますよね。

Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S


こちらは長く続く道の真ん中にモデルさんを配置した、日の丸構図になっています。
背景に青空と山、両脇には田んぼという自然ロケを感じさせる一枚です。
「構図」に関する記事はこちら

自然の中では良いロケーションを発見しやすいですが、適当にモデルさんを配置してしまっては意味がありません。

良いロケーションを見つけたあと、どこにモデルさんを配置すればバランスが良い写真に仕上げることができるか考えることが重要です。

街ロケ:建物や階段を利用して視点を変える

階段、自動販売機、ビル、電柱、横断歩道……。
街には様々な人工物が溢れていますが、撮る場所や視点を変えることで写真の見え方は大きく変わります。
とくに階段では上からモデルさんを見下ろすようにして撮影することが出来るため、普段とは違った視点から撮影することが出来ます。

このように視点を大きく変えて撮影すると世界が大きく変わるのが、街ロケの面白さのひとつだとと言えるでしょう。

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S


ご覧の通り、同じ階段にも関わらず、見え方がまったく異なります。

自然ロケの場合、坂道があれば、斜めから見下ろして撮影することも可能ですが、1枚目の写真のように真上から見下ろすことができるロケーションはなかなかありません。

街ロケで階段を発見したら、ぜひ、真上から見下ろすようにして撮影してみてください。

Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S


またこちらは、手すりに沿ってモデルさんと同じ視点で撮影してみました。
隣にいるような感覚が味わえますし、均一な柄の壁や手すりの反射も相まって、まるで上下対称のようなアートな写真になっているかと思います。

”絵”になる壁を探す

街にはたくさんの人や車、建物が溢れています。
そのため背景に配慮したり、整理することがとても大切になります。

そんな街ロケのなかで、積極的に見つけたいのが”絵”になる壁。
背景を美しく整理できますし、下のようなデザイン性のある壁を選ぶと、画に面白さやかっこよさがプラスされています。

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S


今回は全身を入れて撮影しましたが、上半身だけを切り取り、背景はすべて幾何学模様の壁にしてみるのも面白いんです。

ちょっとトリミングした写真を見てみましょう。


どうでしょうか? かなりシンプルでクールな写真に仕上がったと思いませんか?

街でポートレートを撮る場合は、”絵”になる背景を積極的に探してみてくださいね。

 

ロケの特性を活かした撮り方② 光と影を活かす

自然ロケ地と街ロケ地では、光と影の出方が大きく異なります。
ここからは、それぞれの特性を活かしたオススメの撮影方法をご紹介します。

自然ロケ:繊細さやアンニュイ感を演出できる木漏れ日をうまく使って撮影しよう

モデルさんの足元に落ちる、葉っぱの間から差す太陽の光。模様のようになって美しいこれこそが、みんな大好き”木漏れ日”です。

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S


街ロケでは建物によって出来る直線的なかっこいい影が見られますが、自然ロケではこのように不規則で柔らかい影が多く見られます。

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

 

木漏れ日を見つけたら、モデルさんに影の中に入ってもらうのがオススメ。
服や肌に木漏れ日模様ができて、写真に表情が出ます。繊細さやアンニュイさが演出できるので、木漏れ日の中での撮影はとてもオススメです。

 

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

 

このような並木道は、木漏れ日ができる絶好の撮影スポット。

注意したいのは、太陽の位置と雲の動きです。太陽が木の真上にくる昼間は特に木漏れ日が発生しやすいので、ぜひ探してみてくださいね。

街ロケ:街にある特徴的な影を探そう!

街ロケ地特有の人工物は、太陽光が当たることによって面白い形の影を作り出します。

 

Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S


フェンスによってできる影。

Z 6 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S


ビルによってできる影。

Z 6 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S


柵によってできる影。

このように街ロケの影は、主に建物や周辺の人工物によってできるため、直線的でシャープな影になります。影を顔に被せたり、体全体に被せたり、いろんなバリエーションで撮影することが可能です。柔らかな木漏れ日で演出できるアンニュイ感や繊細さとは違い、カッコよくクールな印象になるのもポイント。

街ロケの際は、ぜひ、ビルやフェンスが作りだす、おもしろい影を探してみてください。

まとめ

1. 自然ロケではモデルさんの立ち位置や構図に気をつけよう!
2. 繊細さやアンニュイ感を演出できる木漏れ日をうまく使って撮影しよう!
3. 街中では、背景の人や車に注意しよう!
4. 階段を発見したら、上から見下ろして撮影!
5. ビルにフェンス、街にある特徴的な影を探そう!

 

いかがでしたか?

自然ロケ地と街ロケ地、特性がかなり違いますよね。

それぞれいいところがありますが、僕はどちらかというと自然のほうが好きです!僕が住む岡山県にはたくさんの自然が溢れていて撮りやすい環境にありますし、写真を見る人にも季節感を味わってもらいやすいからです。

山々に囲まれた田舎道を車で走って、良いと思ったロケーションがあれば道端にクルマを止めて撮影。緑いっぱいな環境だからこそできるこんな撮影も、なかなか楽しいですよ!

みなさんも自分の好みや撮りたい写真にあわせて、ぜひ色んなシチュエーションで撮影してみてくださいね!

それでは、また次回もお楽しみに。

 

Model:いちのせうみ(@non_umi622
      なんかうみ(@nankaumi
Edit:Anco Oshita
Supported by CURBON

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Z 6

製品ページ ニコンダイレクト
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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

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NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

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とど

とど

朝夕の綺麗な光、四季折々の美しさなど日常に潜んでいる美しさを活かし光を常に追いかけながら写真を撮っている。 光を上手く利用しオールドレンズによる淡くふんわりとした雰囲気の写真を撮るのを得意としている。