みなさん、こんにちは! コハラタケル(@takerukohara_sono1)です!
Z シリーズで撮り下ろしたポートレート写真を参考に、撮影方法やノウハウを紹介する連載『キミと彩るポートレート』。
前回の記事(初めましてのコミュニケーション〜いざ!撮影編〜)では、撮影中のコミュニケーションについて話しました。
今回はさらに深掘りし、モデルさんの自然な表情の引き出し方についてお話していきます。
人見知りでもできることがある
”自然な表情の引き出し方”と聞くと、「結局、人間力(コミュニケーションスキルや元々の性格など)の問題なんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。
もちろん、ポートレート撮影は人と人が向き合うことが大前提なので、人間力が必要ないと言えば嘘になります。
NICO STOPに出ているフォトグラファーの洋兵さん(@yohei_sawamura)やヒロさん(@sakaitakahiro_)とも面識がありますが、彼らを見ていると「コミュニケーションスキルが高いなぁ......」といつも思います。
ではコミュニケーションスキルが低いと、自然な表情を引き出すことはできないのでしょうか?
決してそんなことはありません。
実は僕、すごく人見知りです。
トークがうまいわけでもないし、相手の話を引き出す力なんてものもありません。パーティーなどでは、いつも端の方へ移動し、影をひそめながらスマートフォンを操作しています……。
しかし、そんな人見知りの僕にも、できることはたくさんあるんです。
まずは一度、トーク力を磨くという考えを捨てる
僕と同じく人見知りな方に、まず第一に伝えたいアドバイス。
それは”トーク力を磨こうという考えを捨てる”ことです。
もちろん、トークについて勉強するのは悪いことではありません。しかし、トーク力というものはこれまでの人生観や性格が大きく反映されると僕は考えます。
生活環境やこれまでの人生をどう歩んできたかで個人差があるし、磨こうと思って次の日に劇的に改善するものでもありません。
そこで今回は、すぐに実践できる方法をいくつか紹介していきます。
とにかくモデルさんに動いてもらう
さて、ここから自然な表情を引き出す方法について解説するのですが、そもそも自然な表情とはどういうものなのでしょうか?
僕が考える自然な表情とは「ちょっと恥ずかしがったり」「クスッと笑っている」表情である場合が多いです。
そのような表情を引き出すためには”モデルさんに行動してもらう”ことが重要になります。
例えば、標識や注意書きの看板があれば、それと同じ行動をしてもらいます。上のような「◯◯禁止」のような看板の隣で、バツのポーズをしてもらうとか。
人というのは、止まっている時間が長ければ長いほど、表情がこわばってしまいます。
「10秒間、笑顔のままで!」と言われた場合、おそらく後半の8〜10秒はぎこちない笑顔になっているでしょう。
「自然な表情を撮りたいのであれば、とにかくモデルさんに動いてもらう」
これがもっとも重要なポイントになります。
子供が遊ぶときに使うようなおもちゃを持ってもらうのも一つの手。
楽しくふざけながら撮影することで、徐々に緊張がほぐれてきます。
アニメや漫画のような誇張したポージングをやってもらう
ポーズは基本的になんでも大丈夫なのですが、その中でも漫画やアニメのキャラクターがやるような”誇張したポージング”がオススメです。
なぜかというと、普段やらない誇張したポーズは、実際にとってみるとちょっとおもしろ恥ずかしいものが多いからです。
例えば、上の写真では室外機から吹く風を強風と見立てて、ものすごい風が襲いかかってきているような演技をしてもらいました。
実際はこんなポーズとは程遠いささやかな風ですが、あえてこのくらい誇張したポーズをとってもらうことで、その場の雰囲気を和ませることができます。
誇張したポージングをとってもらった後の表情です。とても自然な雰囲気が出ていますよね。
恥ずかしい = 自然体!?
あくまで僕の感覚ですが、人がちょっと恥ずかしそうにしている姿というのは、か
なり自然体な雰囲気に近いです。
笑顔の写真が自然体とされることが多いのですが、僕は”笑顔ではなく、ちょっと恥ずかしそうに笑っている姿”のほうが好きです。
「コハラさんの写真に映るモデルさんは自然な感じがする」と言ってもらうことが多いのですが、もしかするとそれは、僕がちょっと恥ずかしそうにしている瞬間を狙っているからかもしれません。
そのような瞬間を引き出すためには、先ほど説明したように、漫画やアニメでやるような誇張した表現のポージングをしてもらうのがコツだと考えています。
自分の髪の毛を口元に持ってきてもらって、ヒゲのようにしてもらいました。日常ではやらないポーズがおもしろいと、自然な笑顔が溢れています。
撮影者もモデルさんにやって欲しいポージングをする
前回の記事(初めましてのコミュニケーション〜いざ!撮影編〜)では、僕が自らポージングをすることで、撮影者とモデルが対等であることを示したり、現場の安全確認ができたりするとお話ししました。
しかし、自らポージングする効果はそれだけではなく、モデルさんの笑顔を引き出してくれることも多いんです。
実はポートレートを撮り始めた頃は何も考えずにポージングを見せていたのですが、ある日、僕がポージングしていることについてモデルさんが「おもしろい」と感想を言ってくれたことがありました。
少し前にお話した、こちらの強風を受けている写真。
実は、モデルさんを撮る前に僕も同じポージングをしています。
おそらく、この記事を読んでくれている読者さんにも伝わると思うのですが、僕の動きちょっとおもしろくないですか?
自然な表情や雰囲気を残すためには”場の雰囲気を和ませる”のがとても重要です。
コミカルな動きや誇張した表現を街中でするのはやっぱり恥ずかしいですが、恥ずかしい動きをするからこそ、照れた笑いや、まるで友達と一緒にいるような雰囲気を写真に残すことができます。
場の空気が和んだ後のクールな表情。
クールながらも、どことなく親しさややわらかい雰囲気が漂っています。
話すのが苦手な人は、是非、自分自身がモデルさんにやって欲しいポージングをしてみてください。
あなたの想像以上に場の雰囲気が変わると思いますよ。
【まとめ】自然な表情を引き出す3つの方法!
1.トーク力に自信がない人はとにかくモデルさんに動いてもらう
2.ふつうのポージングではなくアニメや漫画にあるような誇張したポージングをやってもらう
3.撮影者もモデルさんにやって欲しいポージングをする
いかがでしたでしょうか!
自然な表情を写真に残すのはとても難しいですが、何事も経験あるのみ!
是非、たくさんチャレンジして、あなただけの自然な表情の引き出し方を見つけてください。
それではまた次回の記事で、お会いしましょう!
Model:熊井 りん(@rin_kumai)
Edit:Anco Oshita
Supported by CURBON
コハラタケル
1984年、長崎県生まれ。フリーライター時代に写真撮影もはじめ、その後、フォトグラファーに転身。企業案件や家族写真を撮影するだけでなく、会員140名を越える月額制noteサークルの運営も行っている。SNSの総フォロワー数は12万人以上。