表現力を高める重要な要素!写真の印象を決める「光」について

みなさんこんにちは、酒井貴弘(@sakaitakahiro_)です。

Zシリーズで撮り下ろしたポートレート写真を参考に、撮影方法やノウハウを紹介する連載『キミと彩るポートレート』。

前回の構図編はいかがでしたか?少しでも理解を深めてもらって、写真を楽しんでくれていたら嬉しいです。

「ポートレートの構図。まずこの4つを頭に入れよう!」はこちら

さて、第3回目の今回は「光」をテーマに写真表現について説明していきます。

個人的には、写真において最も重要な要素だと思っている「光」。その中でも今回は、特に基礎的な3種類の光についてご説明します!

 

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

そもそも、なぜ写真において光が最も重要なのでしょう?

それは、写真と光は切っても切り離せない関係だからです。空気がないと人が生きられないように、光がなければ写真は撮れません。

写真を撮る上で光は外せない要素で、光について理解することは、表現にとても大きく関わってくるのです。

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AI Nikkor 50mm f/1.4

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

早朝と真昼の光は、明るさも強さも全く違いますよね。光にはたくさんの種類があり、一つ一つ挙げだすとキリがありません。そこで、今回覚えて欲しいのはこの基礎的な3つ。

「順光・サイド光・逆光」です。

この3つを使いこなせるようになるだけで、写真の表現力がグンと変わってきます。

では次から、一つずつ詳しく見ていきましょう。

 

くっきり、はっきり写る「順光」について

順光とは、被写体に対して光が正面から当たる光線状態のこと。3つの光の中で、色や形を一番はっきり写すことができます。

 

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S


そんな順光の特徴を生かして、空の色を鮮やかに表現してみました。
風景写真のように、色を鮮明に出したい場面で順光は効果的。

その反面、影ができないのでフラットに写り、立体感を出すのが難しい場合も。

 

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

晴天の日中は、被写体に直射日光が当たっていると光が強すぎることがあります。強すぎる順光だと露出差のコントロールが難しく、顔だけ白とびしてしまうなんて場合も。

そんな時に使える手段が、“自ら影を作り出す”ことです。

例えば、モデルさんに手で直射日光を遮ってもらうのも一つのテクニック。影の形や位置を工夫すると、表現の幅もグンと広がりますよ。

 

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

一つ前の写真では、顔のほとんどが影に隠れるように撮影しましたが、こちらは太陽の光が直接目に当たるように撮ってみました。

目に直接光を当てることで輝きが増して、瞳の印象的な写真になったかと思います。

 

★ワンポイントアドバイス

順光は、強すぎるとフラットでのっぺりした印象になってしまう場合も。

モデルさんに手で影を作ってもらうなど、工夫して撮影しましょう!

モデルさんの手以外だと、木漏れ日やレースの影などがおすすめです。

 

 陰影を司る「サイド光」について 

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

サイド光とは、被写体に対して横から光が当たる光線状態のこと。

写真の中に明暗をつけることができ、立体感や質感を生み出しやすいのが特徴です。

 

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AI Nikkor 50mm f/1.4

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AI Nikkor 50mm f/1.4

 

順光で撮った先ほどの写真より、肌や服の質感が伝わってきますよね。

では、同じ場所、同じ光で撮った2枚の写真を下で見比べてみましょう。顔の向きを左右逆にして撮影してみました。

 

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AI Nikkor 50mm f/1.4

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AI Nikkor 50mm f/1.4

 

1枚目は顔に直接サイド光があたり、陰影が生まれて立体的な印象になっています。

2枚目は、サイド光を顔に直接当てないように撮影。1枚目よりも光のコントラストが小さく、落ち着いた印象を受けますよね。光は顔でなく髪に当たって、風にそよぐ髪の質感が伝わってきます。

この撮り方は僕も好きな表現方法で、よく使います。どうしても顔に違和感のある影ができてしまう時に回避する手段としても便利。

このように同じサイドからの光でも、被写体のどこに当てるかによって印象は全く違うんです。

★ワンポイントアドバイス

被写体の顔の形や、光の当たる角度によって影の出来方はさまざま。

綺麗にサイド光があたる角度を探しながら撮影してみましょう。

 

ドラマチックさを演出する「逆光」について

逆光とは、被写体の後ろにメインの光源が位置する光線状態のこと。

幻想的な雰囲気や、ふんわりした優しい雰囲気の写真にすることが出来ます。ただし、光が強すぎると全体的に露出オーバーになりやすいので注意。

 

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

一言で逆光といっても、レンズへの光の入り方によって写真の雰囲気は大きく変わります。

いくつか作例を見てみましょう。

 

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

1枚目は、レンズに直射日光を入れずに撮影した写真です。髪に光が透けて、雰囲気のある写真が撮れました。

 

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

2枚目は、同じ場所でカメラの位置を少し下げて撮った写真。下から煽るようにして、直射日光をレンズに入れています。

1枚目よりもふわっとした印象になり、被写体にも淡く光がかかっています。

 

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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

 

3枚目は、完全な逆光ではなく、斜め上から少し被写体に光を当てた写真です。

光に角度がつくことで、顔に立体感を作りました。光の入る角度だけでも、写真の雰囲気は全然違うんです。

 

逆光+オールドレンズでドラマチックな写真を

余談ですが、個人的に好きなのが逆光とオールドレンズの組み合わせ。

オールドレンズは逆光でのフレアを特徴的に生んでくれるものが多く、現行のレンズでは出せない独特な雰囲気を醸し出してくれるんです。

 

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AI Nikkor 50mm f/1.4

 

特徴的なフレアと手の動きで、一瞬を捉えたようなドラマチックな表現にしてみました。フレアや、オレンジ色の光(ゴースト)が幻想的でお気に入り。

最後に、逆光で撮影する際の僕なりのポイントをひとつお伝えします。

それは、モデルさんの顔の明るさを見ながら露出を決めること。あくまでメインはモデルさんです。多少背景が白飛びしていても、顔が暗くならないように撮影したり編集したりするのが僕流です。

 

★ワンポイントアドバイス

少し斜めから逆光を当てて撮ると、光の強さの調整がしやすい。

立体感のある、ドラマチックな印象の写真に仕上がります。

 

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AI Nikkor 50mm f/1.4

 

ここまで光の表現を見てきましたが、いかがでしたか?光の当て方によって写真の印象は大きく変わるので、ぜひいろんな光を試して、自分の表現を見つけてみてくださいね。

それではまた次回、お楽しみに。

 

光を操るための3つのアドバイス

  1. 順光で撮る場合は、モデルさんや木漏れ日でアクセントをつけよう。
  2. サイド光で撮る場合は、綺麗に光があたるお気に入りの角度を探して。
  3. 逆光で撮る場合は、少しだけ斜めから当てて光の強さの調整を。

 

Model:井村美咲(ぼるぞい) (@borzoi.m
Edit:Anco Oshita
Supported by CURBON
ヘッドホン:ヤマハ  HPH-50

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Z 6

製品ページ ニコンダイレクト
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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

製品ページ ニコンダイレクト
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AI Nikkor 50mm f/1.4

※Z シリーズカメラでNIKKOR Fレンズをご使用するにはマウントアダプターFTZを装着する必要があります。 

hiro

酒井貴弘

長野県生まれ。東京在住のフォトグラファー。ポートレートを得意とし、広告写真や企業案件、ポートレートなどの撮影案件から雑誌掲載、WEBメディアでの執筆、写真教室やプリセットのプロデュースなど幅広く活躍。SNSでは約2年間で総フォロワー10万人を超えるなど、SNSでの強みも持っている。