島根県のオススメ撮影スポット8選 – フォトグラファーに聞いた、地元・島根の後世に残したい風景

島根県のオススメ撮影スポット8選 – フォトグラファーに聞いた、地元・島根の後世に残したい風景

こんにちは、島根出身のフォトグラファー・saizou(@saizou4)です。

前回は星空の撮り方や星景スポットを紹介しましたが、今回は地元・島根県のオススメスポットを紹介したいと思います。

進学を機に県外へと移り住んだのですが、離れてみて改めて「島根」という土地のよさ・美しさに気づきました。海の青さ、豊かな自然、歴史ある建造物の数々。島根には八百万の神々が集うとされていますが、あちこちに神話的な雰囲気や神様の気配を感じることができます。

この記事では、「自然の美しい風景」と「歴史ある建造物と自然の織り成す風景」の二つの切り口で島根県のスポットを紹介します。

 

自然の美しい風景4選

まずは、自然がつくる美しい風景4選。日本海に面している島根県は、夕日が美しいスポットが多いのも特徴です。

①【掛戸松島】荒波の中に立つ雄大な奇岩

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

大原川の河口は山地が大きく切り崩された“切り通し”という地形で、日本海の中に立つ高さ約20mの奇岩「松島」を望めるスポットです。

 

オススメポイント:夕日を背に立つ奇岩の姿

夕日に染まる日本海、その荒波の中にそびえ立つ奇岩の堂々とした姿に目を奪われます。

  • オススメ時期:1年中

 

撮影のポイント

  • 場所:専用駐車場の先は立ち入り禁止になっているため、駐車場から標準〜望遠レンズで狙います。
  • 設定や構図:60mm程度の焦点距離で、奇岩を主体にした画づくりができます。日本海の荒波を長時間露出(写真では60秒)でなめらかに描くと幻想的な雰囲気に。風が強い日だったため、雲の動きも表現できました。長時間露出では白とびしやすいため、NDフィルターを使うのがポイントです。

 

掛戸松島
島根県大田市久手町

注意点:専用駐車場から先は立ち入り禁止になっており、海岸までは下りられません。

②【宍道湖】夕日と輝く浮島の神秘的な風景

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

周囲約45kmにもおよぶ宍道湖(しんじこ)は全国で7番目に大きい湖で、「日本の夕日百選」に選ばれるほど夕日が美しいスポットです。さらに、嫁ヶ島という唯一の島があり、夕景のアクセントになっています。

 

オススメポイント:光り輝く嫁ヶ島

1年を通して夕日を堪能できますが、4月~11月に嫁ヶ島がライトアップされ、神秘的な光景が現れます。

  • オススメ時期:4月~11月頃

 

撮影のポイント

  • 場所:宍道湖畔であればどこからでも撮れますが、夕日観賞用に整備された歩道やテラスがある「宍道湖夕日スポット(とるぱ)」周辺が◎。
  • 時間帯:日没約15分前からライトアップがはじまるため、その前から夕景を狙います。
  • 設定や構図:70mmあれば上の写真のように嫁ヶ島をアクセントにできるサイズ感で写せ、100mm以上あれば下の写真のように島の存在を強調できます。ライトアップをしっかり写すには、三脚に固定して1秒以上の露出時間に。夕日や雲の表情で構図を調整するのですが、この日は燃えるような夕日の中の暗雲が印象的だったので空の割合を多くしています。

 

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

Z 7、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

 

宍道湖(しんじこ)
島根県松江市嫁島町周辺
ライトアップ時期:4月~11月末までの土日祝日(荒天時は除く)/日没約15分前~22時
https://www.kankou-matsue.jp/shinjiko
※上記HPより、夕日スポットやライブカメラの映像を確認できます。

注意点:夕日の時間帯は三脚を立てて撮影する方も多いです。他の方の迷惑にならないように十分配慮しましょう。

③【唐音水仙公園】日本海を間近に咲き誇るスイセン

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

 

日本海が眼下に広がる公園に、200万株を超えるニホンスイセンが咲き誇ります。

 

オススメポイント:日本海をバックに咲くスイセン

益田市の花でもあるスイセンは、地域の人たちの手によって植えられたもの。日本海・岩礁・スイセンのコラボレーションはここだけの絶景です。

  • オススメ時期:12月下旬~1月末頃(年によっては2月上旬まで)

 

撮影のポイント

  • 場所:公園内の一面にスイセンが咲いています。特に日本海と岩礁、さらに水平線の奥に見える高島まで写すには、公園奥の岩場へ向かう道中のスイセン畑から撮影します。
  • 設定や構図:日本海や海岸線を構図に盛りこむためには広角にするのですが、花と花の間が広がって見えないように30mm程度と広角にしすぎないのがポイントです。しっかりとパンフォーカスになるよう絞って撮影します。

 

唐音水仙公園
島根県益田市西平原町
https://www.city.masuda.lg.jp/soshiki/156/
※開花状況など詳細は上記HPをご確認ください。

注意点:駐車場から徒歩ですぐの場所ですが、未舗装で段差の部分もあるため、歩きやすい靴で行きましょう。

④【斐川のひまわり畑】夏の夕焼けに染まるひまわり

D750、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

D750、AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

 

出雲縁結び空港近くにある斐川(ひかわ)の農場は、夏にはひまわりで埋め尽くされます。2000年に農家の方が栽培をはじめ、今では地元内外から愛される風景に。飛行機も一緒に撮影できるスポットです。

 

オススメポイント:夕焼けひまわり

青空も夏らしいですが、紹介したいのは夕焼けに染まるひまわり畑です。出雲平野の真ん中にあり、周囲に高い建物がないため空が非常に高く感じます。そして日没間際、濃いオレンジに染まる夕焼けとひまわり畑は絶景。逆光で撮影することで、ひまわりに光が当たりコントラストが生まれます。

  • オススメ時期:8月中旬~下旬頃

 

撮影のポイント

  • 場所:ひまわり畑のすぐそばに農道があり、ひまわりを近くから撮影できます。
  • 設定や構図:広いひまわり畑をとらえるために広角寄りで、F16程度にして奥から手前までしっかりピントを合わせます。逆光で明暗差が激しい場合は、露出違いで撮影するオートブラケティングを活用するか、ハーフNDフィルターを使うと安心です。

 

斐川(ひかわ)のひまわり畑
島根県出雲市斐川町沖洲1765
https://www.okisu.jp/himawari/
※詳細は上記HPをご確認ください。

注意点:ひまわり畑には踏み入らないように、そばの道から撮影しましょう。

 

建造物と自然の織り成す風景4選

島根県には歴史的建造物が数多くあり、建造物と自然が共生する風景も魅力の一つです。

①【月照寺】静寂の中で咲くアジサイの瑞々しさ

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

 

1664年に「月照寺」と改称復興したのがはじまりとされる、松江藩主・松平家の墓がある菩提寺です。

 

オススメポイント:「アジサイ寺」の静かな美しさ

桜・ツツジ・紅葉など四季それぞれの魅力がありますが、特に「山陰のアジサイ寺」と称されるほどアジサイが見どころ。静寂に包まれた境内を、約3万本のアジサイが瑞々しく彩ります。

  • オススメ時期:6月中旬〜7月上旬頃

 

撮影のポイント

  • 場所:境内のいたるところで咲いていますが、一番奥の二代綱隆の墓所へ続く道が、両脇にアジサイ・奥に門という光景を望めます。くもりや雨など、しっとりとした空気感になる天気を狙うのがポイントです。
  • 設定や構図:アジサイから奥までしっかりパンフォーカスにするためF13程度に。墓所前の門を中央にし、道と両脇のアジサイを配置することで、奥へと視線がいく構図をつくれます。

 

月照寺
島根県松江市外中原町179
拝観時間:10:00~16:00(6月は8:30~17:30)
拝観料:大人500円
https://www.gesshoji-matsue.com/
※詳細は上記HPをご確認ください。拝観時間は変更になる可能性があります。

注意点:ヤブ蚊が多いので、虫除けスプレーや虫さされ薬を持参していくと安心です。

②【鰐淵寺】紅葉に包まれる山中の霊地

Z 5、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

Z 5、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

 

594年に創建した鰐淵寺(がくえんじ)は山の中にあり、あの武蔵坊弁慶も修行したと言われている修験道の霊地です。

 

オススメポイント:真っ赤な落ち葉の絨毯

紅葉の名所として知られ、11月中旬~下旬の見頃時期には色づいたイロハモミジが幾重にも重なり境内を包みこみます。そして、11月後半には敷地内を落ち葉が埋め尽くし、真っ赤な絨毯が広がります。

  • オススメ時期:11月後半頃

 

撮影のポイント

  • 場所:階段を登り切った先に本堂(根本堂)があり、紅葉と建造物が織り成す趣のある風景を見られます。
  • 設定や構図:三脚禁止のため、手持ちで撮影します。ブレないシャッタースピードにしながら、できるだけ絞り全体をシャープに。建造物や枝の黒色と紅葉の赤色のコントラスト、色の濃淡を意識することで、紅葉の美しさが際立ちます。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

こちらは雨の日を狙って訪れ、撮影した1枚。濡れた葉によって深い色味になりました。あえてくもりや雨などの天気を狙うと情緒豊かな写真を撮ることができます。

 

鰐淵寺(がくえんじ)
島根県出雲市別所町148
参拝受付時間:8:00~16:15(閉山17:00)
入山料:大人500円

注意点:寺は山の中にあります。駐車場から本堂まで20分ほどかかるため、歩きやすい靴で行きましょう。

③【太皷谷稲成神社】雪の中で映える朱色の神殿

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

 

日本五大稲荷の一つである太鼓谷稲成神社は1773年がはじまりとされ、願望成就の「成」をとって「稲成」と表記する珍しい神社です。千本鳥居の表参道をのぼると、真っ赤な本殿にたどり着きます。

 

オススメポイント:鮮やかな朱色の本殿と千本鳥居

年中楽しめるスポットですが、特に冬に雪が降ると、真っ白な世界の中に朱色が浮かび上がり、息をのむ美しさです。

  • オススメ時期:12月下旬~2月頃の降雪時期

 

撮影のポイント

  • 場所:本殿を撮るには境内中央付近から、千本鳥居は入口から奥に続くさまを撮影します。
  • 設定や構図:雪が降っている日であれば、ストロボを使うことで写し止められます。上の写真は三脚に固定したカメラにストロボをつけて撮影しました。雪を丸く大きく写すには標準〜中望遠レンズを使うのがポイントです。

 

D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G
D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G
D750、AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

 

雪が止んだ後の積雪した本殿や千本鳥居も雰囲気があります。長時間露出撮影は必要ですが、灯籠の光を生かすことで、厳かな世界観を写し出すことができます。

 

太皷谷稲成神社
島根県鹿足郡津和野町後田409
http://taikodani.jp/
※詳細は上記HPをご確認ください。

注意点:雪の日には表参道(千本鳥居)は滑りやすいです。雪道の運転にも十分に注意が必要です。また、ストロボを使用するときは、人がいないことを確認しましょう。

④【日御碕】断崖にそびえ立つ日本一高い灯台

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

島根半島の西端に位置する日御碕は、断崖絶壁が続く海岸線、入り江や岬、大小の島々が点在し、日本海を満喫できるスポットです。

 

オススメポイント:日本一の高さを誇る白亜の灯台

1903年に建てられた「出雲日御碕灯台」は、海抜63.3m、地面からの高さは43.65m。石造灯台として日本一の高さを誇ります。この灯台と日本海、空の表情とのコラボレーションが紹介したい風景です。

  • オススメ時期:1年中

 

撮影のポイント

  • 場所:灯台の向かい側の岩の上から見ると、断崖絶壁の上に立つ様子がよくわかります。
  • 設定や構図:雄大な風景を表現するには広角に。風の強い日が多いため、雲の流れを生かした画づくりができます。上の写真では三脚に固定して長時間露出で撮影。岸壁の水しぶきも雲のように写し出されます。長時間露出ではNDフィルターがあると白とびせずに安心です。

 

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

D750、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

 

日御碕は星景スポットとしてもオススメです。上の写真は星の日周運動を約3時間撮影し、比較明合成で仕上げました。光が海を指し示す灯台ならではの光景が印象的です。

 

日御碕(ひのみさき)
島根県出雲市大社町日御碕1478

注意点:柵などがなく、非常に強い風が吹くことがあるので足元に気をつけましょう。

 

風景撮影にオススメなカメラとレンズ

フルサイズは Z 7と Z 5を持っていますが、風景の細部までしっかり解像させたい場合は Z 7で撮影します。Z 5は手の届きやすい価格ながら、高感度特性などの性能や必要機能が備わっているので、これから風景撮影をはじめたい方にオススメ。データサイズが小さくSDカードやHDDの容量を圧迫しないのもメリットで、ポートレートやスナップにも適しています。

Z シリーズはいずれも操作性がよく、しっくり手になじみます。夜間の撮影などでは手探りで操作することも多いですが、どこにどのボタンがあるか直感的にわかるので使いやすいです。Nikonのカメラを使いはじめて10年近く。故障やトラブルといったことは一度もありません。雪の中、氷点下、高温多湿、標高の高い山々。そんなシビアなシーンでは扱いが雑になることもありますが、それでも壊れることのないタフさも心強いです。

 

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

Z 7、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

 

レンズに関しては、Z レンズになってから次元が一つ上がったような印象を抱いています。単焦点はもちろんズームレンズにおいても細部までしっかり解像し、逆光に強く、収差が出ない優秀なレンズばかり。特にNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sはあらゆるシチュエーションで撮影ができるので、使用頻度が最も高いです。

 

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

Z 5、NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 

また、パースの効いた構図が好きで広角レンズを多用していて、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sは高い逆光性能と解像感で風景・星空などさまざまなシーンで活躍します。今回、日御碕で使用したNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sについては、30mmまで使えてコンパクトなので、荷物をあまり持っていけない場合に活用。円形フィルターが使いやすいため、日中の長時間露出などに使用することが多いです。

Photographer's Note

島根県の風景は、山や川、海などとても自然豊かです。島根の人は言葉少なに感じるかもしれませんが、朴訥で人当たりのいい人ばかり。そんな人たちが築き、大切に守ってきたことがわかるような、素朴で優しい風景に溢れています。

今回紹介したスポット以外でも、車を走らせているだけで魅力的な風景に巡り会えることもあります。ぜひ島根にお越しいただいて、ドライブがてら素敵な風景との出会いを楽しんでいただきたいです。

私自身、今は島根から離れて暮らしていますが、これからも地元の風景を撮り続けたいと思います。また、今後撮りたいのが「隠岐島」。一度訪れたことはあるのですが、素晴らしいところばかりなので、腰をすえてしっかりと撮りたいと考えています。

 

 

※こちらに掲載している情報は、2022年1月11日現在のものです。
※「鰐淵寺」「日御碕」の Z 5で撮影した写真以外は、過去に撮影されたものです。
※新型コロナウイルスの感染症対策に十分にご留意いただくとともに、政府、自治体など公的機関の指示に従った行動をお願いいたします。

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NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

製品ページ ニコンダイレクト
NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

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saizou

saizou

島根出身の写真家。全国各地の美しい風景を撮影する他、ポートレートなどさまざまなジャンルの撮影を行う。Zマウントシステムで作品づくりを楽しむフォトグラファーをピックアップする「Zcreators」にて、インタビュー記事が掲載中。