猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル

NICO STOP編集部が、ペットと写真を楽しんでいる方を探しているときに偶然知った「世界を旅する猫」。その事実と、世界の街並みでのびのび過ごす黒猫さんの写真に衝撃を受けて、ぜひお話を聞いてみることにしました!

 

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はじめまして、平松謙三(@kenznstagram)です。フリーでデザインや商品企画の仕事をしていて、八ヶ岳の麓で相棒の黒猫「ノロ」と一緒に暮らしています。

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル

現在18歳のノロ(♂)。

 

「おっさんとじいさん猫の山暮らしの話?」
はい。それが実態なのですが、我々にはもう一つの顔があります。それは…

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル
猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル

 

実は2002年からほぼ毎年、一緒に海外旅行を続けているのです! 18年間で訪れた国は37ヵ国。そう…ノロは海外を旅する“旅猫”なのです。

今回は「猫と旅すること」について、どんな楽しみや困難(!?)が待ち受けているのか…断片的ではありますがお話ししたいと思います。

 

~出会い~ 預かった翌日からどこへ行くのも一緒の“黒いの”

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2001年のこと、当時の仕事場の隣のお店に里親探しにやってきた、黒いもっさりとした子猫。それが生後1か月頃のノロとの出会いでした。

捨て猫で引き取り手もなく、さらに挙動の“ノロさ”も災いしてカラスに狙われる始末…。見かねた近所の人にひとまず保護されたのだとか。僕はと言うと、大がつくほどの猫嫌い…だったのですが、いろんな事情が重なり、しぶしぶ預かることになりました。

 

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預かった翌日は、もともと予定していたドライブへ。ここで、この“黒いの”が一世一代のがんばりを見せたのです。車内で暴れることも車酔いすることもなくおとなしく過ごし、休憩時間とあらば外を散歩。誰に教わるでもなくトイレに見立てたバケツの中でしっかりキメてみせたのには驚きました。

帰り道、僕のひざの上で眠りこける“黒いの”。健気な姿に心打たれた僕は、猫としてどうかと思うほどの鈍い動きから「ノロ」と名付け、家族として迎えることにしたんです。

 

それからというもの、毎日の出勤から帰省まで、どこへ行くにも一緒。こうしてノロは物心がつく前から、知らず知らず“旅猫”としての経験値を上げていたのだと思います。

~ノロと旅へ~ 猫との旅はあっけないほどにスムーズ

ヨーロッパだからこそできた、猫と普段通りに過ごす旅

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はじめての海外旅行は2002年の夏、ノロが9か月のとき。ヨーロッパ旅行を予定していて、「どこかに預けないとなぁ」と思っていたのですが、とある犬の旅行記を読んだのをきっかけに調べてみると、同行も不可能ではなさそうだとわかったんです。

 

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記念すべき初旅の日、空港に到着してすぐ撮影。初々しい雰囲気が出ていて、今も好きな写真です。状況がのみこめていない“きょとん”とした表情もいい。

 

記事の最後に紹介する、事前手続きや搭乗など攻略すべきポイントは多々ありますが、「自然に一緒の旅ができる」ことは、海外でも特にヨーロッパならではだと思います。

経験上、ヨーロッパはペット連れの旅がほぼストレスフリー! しつけがされていれば公共の空間は基本的にOK、もしくはOKなエリアが設定されています。
※美術館、教会、市場など例外はあります。

 

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ほとんどの都市交通はペットOK。フィンランド・ヘルシンキのトラムでは、ケージに入れるなどの規制もなく「人も動物も迷惑をかけない範囲でご自由にどうぞ」というスタンスです。

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「ペットOK」の部屋なら、のびのび自由に過ごすことができます。ヨーロッパでは大型犬と一緒の部屋に泊まることも普通です。

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エストニア・タリンでは、街で一番の老舗カフェに「お行儀のいいペットさん歓迎」の札が。なので、いつもよりちょっとおすましにしております。

 

ホテルやお店などは、喫煙と同じレベルの基本ポリシーとしてOK/NGを明らかにしていて、それに従えばいいだけ。ちなみに、だいたいどこの国でもOKが多数派なので、特に困ることはないでしょう。動物連れが同じ宿やお店ばかりに集まることもなく、どこでも猫と自然に過ごせる環境は夢のようです!

 

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ヨーロッパといえばマーケット。ノロを肩に乗せてお店を冷やかしていると、うしろから猫好きの人にちょっかいを出されていることもしばしば。

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イギリスの有名テーラーの前で撮影していると、中から猫好きなおしゃれスタッフたちがわらわら…。

 

 

行き先はさらに広がり、中東へも!

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まだ中東の情勢が穏やかだった頃、ヨーロッパを飛び出し、モロッコ、チュニジア、エジプト、トルコ、ヨルダンなども訪れましたが、ここでも宿に困ることはありませんでした。宗教上、犬が忌避の対象となっていることもあって猫好きな人が多く、ノロはどこへ行っても大歓迎されていました。

 

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「猫連れの客がいる」と聞きつけ、部屋まで遊びにやってきたホテルのスタッフ。まずは距離をとってのごあいさつから。

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アラブ名物の水タバコ屋に乱入。アラブの男性はもともとフレンドリーなのですが、ノロを見るとさらに笑顔になって話しかけてきます。

 

その中で大苦戦だった…エジプト

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2010年にエジプトを訪れましたが、当時は手続きやチェックなどが非常に厳しく難儀しました。黒猫はエジプトでは守り神的な存在ですから、凛々しい雰囲気で撮ろうと試行錯誤。商売熱心な土産売りをかわしたり、一面の砂漠で油断するとすぐに砂まみれになったりとかなり苦労しました(笑) そうして撮ったのがこの写真です。

 


ノロがいちばんストレスフリー

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旅で誰より自由なのは、ノロ自身です。ホテルの広い部屋にテンションが上がり、見知らぬ街のにおいに刺激を受け、生き生き&のびのびと過ごすのがお約束。その運動量に比例するようにごはんの量も増え、いつも途中で買い足すはめに。「猫は家に付く」という猫界の常識は、うちの猫にはまったく当てはまらないようです(笑)

 

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旅行中に食事の量が増えるのは、猫も人も同じ。

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普段は別なのに、なぜか旅行中は近くで寝てくれることが多いノロ。

~旅猫写真~ 生き生きと旅を楽しむノロの姿を、そのまま残したい

旅をはじめた当初はコンパクトデジタルカメラで写真を撮っていました。 「そこに日本の猫がいる状況のおかしさ」をテーマにしていて、「ピントが合っていなくても、うしろ姿でも、おもしろけりゃOK!」というノリでした。

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル
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当時の「なんでそこに日本の猫?」シリーズ。[左:セーヌ川、右:空港の手荷物受取所]

 

旅の写真を自分のショップのホームぺージで発信するようになり、徐々にノロとの旅を知ってくださる方・楽しみにしてくださる方が増え、2007年頃から人に見られることを意識した写真を撮るようになりました。この頃デジタル一眼レフを買い、自分の写真が急にレベルアップした(ような気になった!)ことを覚えています。

 

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…と言っても、僕は何事も「ひょうひょうとやる」ことをモットーとしているので、奇をてらった構図にしたり、情感やメッセージ性のある画づくりはせず、あくまでその状況や風景を客観的に撮るように心がけてきました。自然に美しく撮ることが「ノロがそこにいる」という事実を、最もシンプルに際立たせると思うからです。

 

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ベルギー・ブリュッセルのグラン=プラスにて。

 

そのためには、到着直後にロケハンをしたり、光がきれいで人のいない早朝に撮影したり、ノロの挙動を研究して動きを予測するようにしたり、アシスタントである妻が阿吽の呼吸でリードを操ったり。

ノロも経験則的に「撮られている」ことがわかってきて、ある程度の時間は非常に協力的です。その間は好きに動いてもらい、僕は自然な表情や姿勢がファインダーに現れるのをひたすら待って、ここぞというタイミングで連写! そして、ノロが飽きたら撤収です。無理して続けてもいいことはありませんから(笑)

 

思い出深いサグラダ・ファミリアでの撮影

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この写真は、7年ぶりにスペインを訪れ、サグラダ・ファミリアをリベンジ撮影したもの。前回はもっと近くから狙ったのですが、混雑の中ノロが座れる場所も探せず…。再挑戦のこのときは、ロケハンを重ねてノロの背景にその全容が自然に収まる場所を探し出し、快晴を待って3日がかりで撮影しました。ファインダーに満点の画が現れ、シャッターボタンを押す指が震えたのを覚えています。

 

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ノロを見つけた子どもたちの無邪気なリアクションも、写真に納めたいシーンの一つです。

 

思い出に残る写真を撮りたい場合、訪れた土地や人と能動的に関わる必要があると思っています。 幸い、ノロがいるおかげで、老若男女を問わずいろんな人が話しかけてくれるためコミュニケーションが生まれやすく、それがきっかけでその土地の歴史や文化に興味を持つこともあります。僕にとってノロとの撮影は、そんな楽しみを与え続けてくれる、「旅の醍醐味」そのものと言えるかな… 。

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル

 

上の写真は、イスタンブールからブカレストへ向かう寝台列車で撮ったものです。この青年はオランダ人のバックパッカー。僕を寝台列車の個室に招き入れ、ノロをベッドに上げてくれました。

ノロに「『魔女の宅急便(Kiki's Delivery Service)』のジジみたいだね〜」と微笑みかけながら、ジブリのアニメがヨーロッパでいかにポピュラーか、その世界観が人々の心をとらえているかを説明してくれました。猫+日本人というくくりでは、村上春樹さん(=現地でも氏の猫好きは有名)への思いを語る人も多いですね。

 

旅撮影のポイント

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  • 「風景の中のノロ」を撮るためレンズは広角中心でそろえています。「自分の足を使って撮る」主義なので明るく軽い単焦点のものを多用。
  • 基本はノロが「風景の一部」となるような構図。ノロが中央から外れても気にしませんが、脇役になりすぎないよう視線の先に目を引く建造物や景色がくるようにして画面内に主従関係をつくったり、毛並みや表情がつぶれないよう光が回る角度を探したり。
  • 前日のうちに太陽の位置や影が伸びる方向を確認。これには逆光などの撮影条件のみならず、体毛が黒く熱中症になりやすいノロの体調管理の側面も。
  • あとはオヤツです。凛々しい顔で写したいとき、これに勝る神通力はありません!

ノロの動きや表情が風景の中に加わることで“その場の美しさや空気感”を引き出せたら、僕としては大成功です。

~猫との旅のイロハ~ 「習慣づくり」「検疫」「飛行機」「トイレ」

ノロとの初旅行のとき、幸い移動の経験値だけは高く「いけるかも!? …というか、おもしろそう!」とチャレンジ魂に火がつきました。18年前はネットに情報もなく、検疫から携行品の準備、当日の手続きなどすべてが手探りでした。

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル

 

猫との旅は、向き・不向きがあるので、旅をすべての猫にオススメするものではありませんが、まだ幼いうちならチャレンジする価値があると思います。僕の本を参考に猫と旅をされたり、海外留学に連れていったという方の報告も多数あり、ノロに限った特殊能力ではないようです。

 

 

日常での習慣づくりから

一般的に猫は“なわばり意識”が強いのですが、幼い頃から移動が日常だったノロは「おうちの人がいるところが家」という彼独特のなわばりの認識を持つようになったのだと思います。

また、普段の生活の工夫ポイントは…

  • 移動に伴うストレスを感じさせないように、食器やトイレ、爪とぎなどの重要な生活用品は、どこに行っても同じ使用感のものをそろえておく。
  • 首輪(や胴輪)を付けることとリードへの慣れは必須(国内外どこの旅でも)。

 

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ちなみに、リードは「カフェリード」と呼ばれる、持ち手側にもナスカンという接続金具が付いたものがオススメ。撮影のときには手すりや柵などに引っ掛けることができます。

 

 

動物検疫というハードルを攻略するのもまた楽しい

海外へ行くために避けて通れないのが「検疫」です。不備があろうものなら帰国できなくなってしまうので、今でも十分な時間をとって準備しています。

 

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猫が海外渡航するために必要な手続き

  1. マイクロチップの埋めこみ
  2. 2回の狂犬病の予防接種と抗体価の検査
  3. 上の2つを証明・追認する書類を日本と最終滞在国で提出

 

ポイントは渡航先での書類作成。海外で獣医さんや役所を回って書類を作るのは骨が折れますが、これを毎回ゲーム攻略のように楽しんでいます。もはや動物検疫オタクですね…。

 

 

ヨーロッパは多くが機内持ちこみOK!

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ヨーロッパの航空会社の多くは、ケージに入れて猫や犬を客室に持ちこむことができます(サイズや重さに制限があります)。迷惑がられることもチヤホヤされることもなく、いたって事務的に手荷物と同じように前席の下に置くよう指示されます。
※国や地域などによって、機内持ちこみができない場合や持ちこみ条件が異なる場合があります。

 

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ケージから出せないので、機内ではじっとがまん。ノロも状況をのみこみ、そそくさと寝てしまいます。旅慣れというか、あきらめが早いというか、とにかく大助かり。旅猫として最大の強みかもしれません…。

 

 

どうするトイレ問題!? 大事なのは旅先でもいつもと同じ環境づくり

猫との旅で一番気がかりなこと、それはトイレではないでしょうか。旅先でノロがトイレにストレスを感じないよう、自宅とほとんど同じサイズ・材質のトイレと猫砂を使います。

 

旅先でのトイレ

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ホテルやレンタカーの車内など定位置で使うのは、アルミ製の「ばんじゅう」(給食の配膳などで見かける運搬容器です)の底に吸収パッドを敷き、その上にトイレに流せる紙砂を入れたトイレ。日本の自宅で使っているのと同じタイプです。ちなみに、流せる紙砂は海外にはあまり種類がないため、日本から持参します。

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル
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さらに、機内や街歩き中に大活躍するこちらは…秘伝のモバイルトイレ! レジ袋を二重にして紙砂を入れたものです。長年改良を重ねた完成形で、どんなシーンでもしっかりキャッチしてくれる優れモノなのです。

 

海外では不測の事態も!?

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一度だけ、中東旅行中に体調をくずして動物病院にお世話になったことがあります。「飲ませる薬はない」とのことで、代わりに出てきたのが、なんと3日分の注射器! 「この国ではみんなやってるから大丈夫」と励まされ、その場でやり方を教わり、手に汗を握りながらがんばりました。

おかげでケロッと回復しましたが、不測の事態が起こることも頭に入れておかないといけません。

Photographer's Note ~ノロと世界を旅して~

ノロとの旅も18年。好きな国を旅し、写真に残し、仕事として発表し続けられるという境遇は、本当に幸運なことです。ノロが元気でいてくれたおかげでもありますが、今世界で起こっていることを見るにつけ、何より平和で心配事がないという世の中の幸運があったからこそ、このありがたい経験が成り立っていたのだと感じています。

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル

 

「旅」は、僕とノロの関係とライフスタイルに大きな影響を与えました。

たまに夫婦や一人で旅をすると、寂しいというより調子が狂うんです。張り合いがなくて楽すぎると言いますか…。ノロにとっては、一緒に旅することが、「家族と特別な時間を過ごしている」ということを実感できるイベントになっている気がします。飛行機でどこかに向かっていること、知らない街を泊まり歩いていること、帰国して家が近づいていること、こういう状況がすべてわかっていて、そういう中から芽生える一体感や高揚感みたいなものがどうやらあるようなのです。

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル

 

日本での暮らしに関しては、2012年から山梨県の八ヶ岳の麓に移住しました。

旅をする中で「季節のメリハリが強いところほど自然が美しい」と気がついたのですが、以前からよく遊びに行っていた八ヶ岳の“冷涼な夏+厳しい冬”という気候が北欧に近く、「住んでみたいなぁ」と思うようになりました。海外で自分と同じような職種の方が田舎を拠点にしている例をたくさん見て、共感していたこともあります。この場所への憧れという意味では、旅の経験が大きいです。

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル
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ノロはと言うと、野生味に溢れた自然の中で、これまでにないほどの刺激を受けているのがよくわかります。今まで見たことがない活動的な姿に、猫っていくつになっても進化していくものだなぁと感心…。

ショップのお客様やSNSのフォロワーさんに「普段のノロも見てほしい」という思いから、八ヶ岳でもノロの写真を毎日のように撮影しています。家では完全にノロが主役の、純粋に「かわいい!」と思う親ばか写真を楽しく撮っています。

 

猫と世界旅行!?黒猫ノロと飼い主がたどり着いた、旅と写真のライフスタイル

 

ノロは今18歳。黒猫は「さし毛(=白髪のことをこう呼びます)」が特に目立つのですが、おかげで歳を重ねるごとに表情がわかりやすくなり、これが新たな撮影の楽しみとなりました。

僕もノロのように小さな好奇心を忘れず、歳を重ねていきたいと思っています。できれば、いつまでもノロがそばにいてくれるといいんだけどな。

 

 

※実体験による記事であり、国や地域、機関や施設によりペット事情が異なる場合があります。

※こちらは旅当時の情報であり、動物検疫所や航空会社・空港・渡航先などの最新情報をご確認ください。

 

Supported by L&MARK

 

平松謙三

フリーでアートディレクション・デザインを行う傍ら、旅と猫から発想した商品を扱う『NOROSHOP』を運営。カレンダー・ダイアリー『NOROJOURNEY/ヨーロッパと旅してしまった猫と12ヵ月』(グリーティングライフ刊)は2021年版で15年目となる長寿シリーズである。近著『世界を旅するネコ 〜クロネコノロの飛行機便、37ヵ国へ』(宝島社刊)は絶版中につき「改訂版出してくださる版元さん募集中〜!」とのこと。