福井県在住のAkine Cocoさん（@akinecoco987）が、写真と言葉で身近な風景に感じた季節感を伝えるフォトエッセイ。今回は「アニメのワンシーンのような冬」をテーマに切り取られた、物語を感じる光景の数々をお届けします。
記事の終わりに、スマホ用壁紙プレゼントのお知らせもあるので、ぜひ最後までご覧ください。
こんにちは、Akine Cocoです。また季節が巡り、私の住む福井にも冬がやってきました。自然の彩りが控えめなこの時期は、澄んだ空気に映える光にカメラを向けることが多いです。厚い雲の間から差す光や、長い夜を照らす街灯の明かりを見ると、空想上のアニメのストーリーが動き出します。
雪が降った次の朝、
いつもの景色はすっかり姿を変えていた。
雲間から注ぐ朝日を反射し、
路面がきらきらと輝く。
光が差す場所へ続くような
奥行きのある風景に惹かれた。
冷たく澄んだ空気を吸いこみ見上げると
枯れ木には雪の花が咲いていた。
雲を通した白い光を重ねると、優しく輝く。
空と雪の花…それぞれの美しさを伝えたくて
斜めに二分して切り取った。
飲みこまれそうなほど大きい雲。
冬も気づけば雲を追っている。
湖に映ればきっときれいだと思い、
空に浮かぶ世界を車のルーフに反射させた。
静けさをまとった街を歩く。
優しい空色と誰かの足跡が続く道。
人の気配を感じるものに心が温まる。
お気に入りの場所も見慣れた道路標識も
吹雪に打たれて雪化粧。
普段と違う表情に思わずシャッターを切った。
いつもは素通りしてしまう場所も
霧に包まれたミステリアスな光景に
思わず立ち止まる。
ファインダー越しに見つめていると
どこか異世界へ迷いこんでしまいそう…。
冬の光が差す時間は短く
どんどん薄暗くなってきた。
足跡一つない田んぼ道を見つけて少し寄り道。
まっさらな雪面を歩いていると
なんだかこの場所を独占した気持ちになる。
住宅街へ続く道に街灯が光のラインを落とす。
真っ白な田園風景と
住宅街との境界線のようで、
日常へと戻っていく感覚を覚えた。
夜になると、街灯や信号など
昼とは違う光で冬景色の表情が変化する。
いつも何気なく目にしているものだからこそ
物語のワンシーンを
感じることができると思う。
ふと視線を向けたように
自然に写して臨場感を伝えたい。
雪が一段と勢いを増し、帰路を急ぐ。
オレンジ色の街灯が
温かく迎えてくれている気がして
なんだかちょっとホッとした。
家に着く頃には雪がやみ、
見上げると満天の星。
部屋であったかいコーヒーでも淹れようか。
- Photo Letter -
福井は今年、記録的な大雪になりました。自家用車の普及率が非常に高い「車社会」の福井では、大雪の影響は計り知れません。雪で道幅が狭くなり対向車とすれ違えなくなってしまったり、スタックする車で道が塞がれてしまったり…。かくいう私も家の前でスタックしてしまい困っていたのですが、ご近所さんが優しい声をかけてくれて、みんなで助けてくれました。人の温かみを感じ、本当に多くの方々に支えられて生きているんだなとあらためて実感した出来事です。
雪は日々の生活に大きな変化をもたらしますが、普段見慣れた風景を一変させ、新たな出会いももたらします。
上の写真は、真っ白な世界の中に建つ朱色の鳥居が印象的でした。鳥居とそこへ続く雪道を入れたかったのですが、目の前に草木が。雪でなければ入れずに撮っていましたが、白い風景の中で生かすのもおもしろいと思い、奥の階段も利用して対角線構図がきれいにはまる位置で撮影しました。雪景色では、普段は写さないような要素がアクセントになる場合もあります。
朝から夜にかけて、光と雪のつくる景色を追い求めた、冬のある日。いつもの散歩道で、アニメのワンシーンのように心揺さぶられる風景と出会うことができました。みなさんもケガなどにくれぐれも気をつけて、身近な場所の冬ならではの表情を探してみてください！
— photo & text by Akine Coco
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Akine Coco
福井県在住のフォトグラファー。身近な風景を「アニメのワンシーン」のようにとらえた作品をTwitterで発表している。どこか懐かしく、物語を感じる情景は、国内のみならず海外での人気も高い。
