気づいたら溢れていた、たくさんの写真たち。
あの時、何を感じてシャッターを切ったんだろう?
せっかく写真に収めても、時間が経つと何に感動したのか忘れてしまう……。
それって少し惜しい気がしませんか?
そこで今回は、日々の何気ない瞬間に少しの言葉を添え、「写真日記」としてnoteで発信しているYuta Kosugiさん(@yu29_18)に、写真で日記をつけることの魅力を教えていただきます。
写真で日記をつけることの魅力とは?
はじめまして、Yuta Kosugi(@yu29_18)です。
普段は、日常の何気ない瞬間を撮影して、XやInstagram、noteに投稿しています。noteでは、写真に言葉を添えた「写真日記」を書いており、当時の思い出を振り返ることができるようにしています。
僕がなぜ日記代わりに写真を撮るようになったのか?
僕は文章を書くことがあまり得意ではありません。そもそも文章を読むことも得意ではないのです。そんな僕でも写真を撮ることはできるわけですから、写真に言葉を添える程度の「写真日記」なら続けられると思ったのです。思い付きで始めた写真日記ですが、気づけば1年ほど続けています。
日々を過ごす中で出会う心動かされた瞬間や、身近な街の何気ない光景を撮り続けています。建物に当たる朝日や道端に咲く季節の花など、本当に何気ないものばかりです。でも、写真を通してそれらの美しさを知ることができました。
また、たくさんの写真を撮っていると、それがいつどこで撮った写真でどんな瞬間だったのかを忘れてしまいそうになります。日記のように写真をまとめることで、当時のことを鮮明に思い出すことができるのです。例えばnoteでは、このようにまとめています。
街角で花の匂いを嗅いでいる猫に出会った。
良い香りがしたのだろうか、穏やかな表情をしているように見えた。
軒先に並んだ透明なボトル。
朝日に照らされたそれらを、美しいと感じている人はどれくらいいるのだろうか。
よく晴れた日には、いつもこの高台に登る。
夕陽に染まる街並みと夜に向けてだんだんと深まる空の青さが好きだ。
光と影が1:1に近づくこの時間が好きだ。
何気ないものにもスポットライトが当てられ、何もかもが特別なものに感じられる。
道の脇に咲き乱れるこの花は、夾竹桃(きょうちくとう)というそうだ。
美しい見た目に反して、強い毒を持つのだという。
写真を通して少しずつ花に詳しくなっていく。
いつの日か花の写真集を作りたい。
普段は見逃してしまいそうな何気ない瞬間も、カメラを持つことで大切にできる
普段写真を撮る時に心がけていることは、「いいなと感じたものは妥協せず撮る」ということです。今出会った瞬間は、二度と同じように出会えません。なので、わざわざ言葉にするまでもないような感動も写真として記録しています。例えば、音がして見上げると電灯にカラスが留まっていたこと、足元に花びらが落ちていて季節の終わりを感じたこと。このようなすぐに忘れてしまいそうな些細な感動も、一枚一枚拾い集めるようにシャッターを切っています。
僕はそのときの小さな感動をずっと覚えていたいし、何度も見返して楽しみたいのです。普段は見逃してしまいそうな何気ない瞬間も、カメラを持つことで大切にできる気がしています。
今回は、Zfcをお借りして、僕の日常を撮影しました。軽さとコンパクトさ、そして外観のデザインがとても気に入りました。レンズを含めバッグに入れても邪魔にならないサイズ感なので、どんな時でも携帯しやすいですし、見た目の可愛さから首から下げて持ち歩きたくなるような一台です。携帯性と本格的な写りを両立したい人におすすめしたいです。
現代を「懐かしい」写真に仕上げる設定・編集のポイント
僕は撮った写真をどこか懐かしさを感じる質感にして、「ノスタルジック」に表現することが好きです。それは、何気ない身近な光景も、そうした表現を加えて見ることで、別世界のように感じられるからです。「実際に見える光景との差」を表現として楽しんでいます。結果的に「ノスタルジック」という感想をいただくようになりました。
懐かしさを感じる写真のポイントは、現代の技術と逆行することだと考えています。現在のカメラ技術は非常に進歩していて、誰でも簡単にきれいな写真を撮ることができます。だからこそ昔のカメラの特徴を再現することで、写真に「懐かしさ」を宿すことができると思っています。
それでは、日常を「懐かしい」写真に仕上げる、僕なりのコツを紹介したいと思います。
カメラ設定:僕は、撮影モードはマニュアルモード、F値は開放で撮影します。シャッタースピードは1/250以上、ISO感度は通常100に設定しますが、暗い場合には上げることもあります。ホワイトミストやブラックミストなどのソフトフィルターや、クロスフィルターも時々使用しています。
レタッチ方法:古いカメラの質感は、ソフトフィルターやオールドレンズを使用することで再現することも可能ですが、僕の場合はレタッチで表現します。
・色味:暖色系の色味を強調します。
・明るさ:やや暗めにしてコントラストを強調します。トーンカーブで階調を狭め、質感をマットにします。
・効果:明瞭度を下げ、粒子を足すことで画質の低さや不鮮明さを表現します。
試しに今日、写真を1枚撮ってみませんか?
日常を切り取り、何気なくSNSに投稿するところから始まった僕のカメラライフですが、気づけば「撮る」ということが生活の一部となっていました。写真を通した出会いや実現したい目標を見つけることができました。これからも多くの写真を撮り、たくさんの挑戦をしていく中で、「写真」という存在はますます大きなものとなっていくと感じています。
今回ご紹介した「写真日記」は、文章で出来事を綴るよりも圧倒的にハードルが低いので、日記を書くことに苦手意識がある人にオススメです。記録という役割の大部分を写真が担ってくれますし、言葉では表現しきれないような光景も、写真とともに鮮明に思い返すことができるでしょう。そのときの“感情”も、メモ書きとして一緒に記録しておけば、当時のことを余すことなく振り返ることができます。
試しに今日、写真を1枚撮ってみてください。「写真日記」がきっかけで、いままで気づかなかった驚きに出会えることかもしれません。
Supported by 東京通信社
Yuta Kosugi
1998年生まれ。何気ない街の景色や瞬間を捉えるフォトグラファー。懐かしさを感じる写真が多くの人の共感を呼んでいる。現在、自主制作写真雑誌『UNEARTH』を制作中。