仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー

仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー

フォトコンテストやSNS投稿など、これまでNICO STOPでピックアップした読者の方(NICO Grapher)を紹介していく本企画

弟2回は、「#NICOSTOP」で多数投稿いただき、2020年の年間ランキング記事ベストフォトグラファーに輝いたMASAKIさんです。風景と人が織り成す情景を透明感溢れる色彩で写し出す、MASAKIさんのフォトライフをうかがってみましょう。

 

仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー

 

MASAKIさん(@masaki_photograph
岡山在住のフォトグラファー。風景の中に人を取り入れて、ストーリー性や風景の壮大さを引き出した写真を撮影している。

 

仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー
仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー

記事のアイキャッチにも採用された#NICOSTOPの投稿写真。

仲間との出会いで広がった写真の楽しみ

-「#NICOSTOP」などで応募いただいた作品は、どれも風景の中に人の姿があることで、イメージが膨らむ印象を受けました! はじめからこのような作風で撮られていたんですか?

MASAKI:写真をはじめた頃は、風景だけを撮っていました。仕事の都合で知らない土地へ引っ越し、目に映る景色がどれも新鮮で。「この風景をきれいに残したい」と思い、3年前にカメラを買ったのがきっかけです。

 

仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー

風景だけを撮っていた頃の写真(岡山県倉敷市・王子が岳)

 

MASAKI:当時は、行きたい場所をリストアップして、画像検索してヒットした写真と同じように撮ってみる…と楽しんでいました。ですが、思い通りに撮れないことに悩むようになり、周りに写真を撮る友人や相談できる人がいなかったこともあって、1年間ほどは撮影の頻度が減ってしまったんです。

-そうだったんですね。それから再び頻繁に撮影をするようになったのは、どんなきっかけがあったんですか?

MASAKI:友人の誘いで、大人数で集まって撮影するフォトミートに参加して、そこで写真仲間ができたんです。自分の目指す写真に近い雰囲気で撮る方とご一緒して、撮った写真を見せ合う中でいろんな学びや気づきがありました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

 

MASAKI:今の作風になったのも、友人と一緒に撮影するようになったことが影響しています。風景に人が加わることでストーリー性が生まれたり、風景の壮大さが際立つことに気づきました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

 

MASAKI:たとえば、くもり空で少し物足りない印象のリフレクションの風景でも、人を配置するだけで不思議な世界観を感じる写真になります。このように表現の幅が広がったのも、より写真にのめりこんだ理由かもしれません。

-写真仲間との出会いで、新しい写真の楽しみが見つかったんですね!

MASAKI:そうですね。1人で撮影していた頃は「目の前の二度とない瞬間を残す」ことを目標にしていましたが、今は何よりカメラを持って友人と過ごす時間が楽しいです。「撮影に行くぞ!」という感じではなくて、「カメラを持ってどこか行こう」というゆったりした感じなので、とりあえず集まったけど行き先が決まってないこともよくあります。そんなカメラとともに流れる時間が好きなんです。

 

仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー

はじめて行った岡山県の北木島で撮影。絵に描いたような「島で過ごす夏」を表現できたと思います。

 

MASAKI:この写真は、今まで行った中で一番よかった場所で撮れたお気に入りの1枚です。

下調べせずに見つけた見晴らしのいい場所で、赤い自転車に乗った白いワンピースの女の子が通りかかり、とっさにシャッターを切りました。バランスよく見える画面構成は意識していますが、自分が「いいな」と感じたように素直に切り取ることを大切にしています。

-撮影スタイルは変わっても「心が動いた風景を残したい」という思いは、写真をはじめた頃から一貫しているんですね。

光と影を意識して生まれた新しい視点

-写真仲間と撮影するようになって、写真に対して意識しはじめたことはありますか?

MASAKI:特に光の向きやとらえ方に敏感になりました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

全体的に明るく撮れる「順光」は、風景の色を生かすことができます。

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

「斜光」は光と影の表情に注目して、画づくりするのがポイントです。

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

日没前は「逆光」で、空のグラデーションとシルエットをよく撮ります。

 

MASAKI:明確なイメージがあるときは、アプリで太陽の角度を調べたり、日の出や日の入り時間に合わせて行くこともありますし、偶然見つけた場所でも光を生かせるように画づくりしています。

 

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

左:順光、右:逆光

 

MASAKI:たとえば、この桜並木を歩いているシチュエーションでは、春の陽気を表現するために桜のピンクと空の水色がきれいに写る光の向きを意識しました。

右の写真は、桜のピンクが薄く空も真っ白に写っています。同じ場所・時間に撮影しても、光の向きが違うだけで印象がだいぶ変わりますよね。

-確かに、左のほうが鮮やかな色合いが春らしくて、人の背中に差す木漏れ日も印象的です。

MASAKI:木漏れ日は意識的に取り入れるようにしています。太陽の位置や風によって出方が変わるのがおもしろいですし、写真のアクセントになるので、どう撮ろうかいろいろと試したくなるんです。

 

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

 

-光のとらえ方が素敵ですね!

MASAKI:ありがとうございます。でも、まだまだだと思っていて。2021年の目標は「自分の好きを深化させること」と掲げました。具体的には、光と影を生かせるように、被写体の位置などをよく考えるようにしていきたいと思っています。

 

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

 

MASAKI:この2枚は、夕方のきれいな光を生かして撮影したものですが、右のほうが自分の“好き”を突き詰めた写真です。

光と影はワンセットで表現したいので、右は人の影が入るように自分が少し後ろに下がって撮っています。また、手前の壁に少し木漏れ日が差していたので、この位置に座ってもらいました。

このように撮影場所をよく観察して、さらに表現を深めていきたいです。

-影に表情が加わって、より光の印象も強くなりました。同じシチュエーションでもこんなに変化が出るんですね!

 

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

 

MASAKI:影を意識するようになってから、風景をとらえる視点も変わりました。上の写真は、梅の花を見上げるように撮ってもよかったのですが、木の影がきれいに出ていたのであえて高い位置から地面を広く写しました。くるくる回って広がったスカートも効果的に見せられ、春のうきうき感が伝わる写真になったと思います。

自分の好きな写真を目指して工夫することで、さらに写真のおもしろさを感じているんです。

自分の好きな写真に合わせた単焦点レンズ

-風景を撮る上ではズームレンズが便利なイメージですが、単焦点レンズを使っているんですね。

MASAKI:自分の好きな写真がわかってきたことで使いやすい焦点距離が明確になり、24mmと50mmの単焦点レンズを使うようになりました。以前はズームレンズを多用していたのですが、ズームできてしまうとなかなか撮りたい写真が決められなかった経験があります。便利なのは間違いないのですが、その反面「あれも撮りたい、これも撮りたい」となってしまっていたので…。焦点距離を限定することで迷いがなくなったので、単焦点にして正解だったと思います。

-24mmと50mmは、どのように使い分けているんですか?

MASAKI:もともと風景を撮っていたこともあり、海や空など、風景を広く見せてくれる24mmが一番よく使うレンズです。50mmはもう少し寄って、人や光と影を際立たせたいときに活躍します。

 

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

 

MASAKI:また、今回はじめて使った開放F1.2の50mm単焦点レンズは、クリアで透明感のある描写が印象的でした。水面のきらめきを写したり、ボケもとてもきれいだったので、開放付近での撮影が楽しかったです。レンズの描写によって撮りたい被写体が変わって、新しい可能性を感じました。

Z 7IIはグリップ感がよく、精細な液晶モニターやEVFで撮った写真を確認しやすくて、どんどんシャッターを切りたくなるカメラです。被写界深度の浅いF1.2でもしっかりピントが合う性能のよさに驚きました。

 

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

写真を通じた交流と広がる世界

-MASAKIさんにとって「写真」はどんな存在ですか?

MASAKI:僕の世界を伝えるもの」です。たとえば目の前に桜の木があったとして、ある人は1輪の桜がきれいだと思うかもしれませんし、別の人は桜の木全体がきれいだと思うかもしれません。桜の花より木漏れ日に惹かれる人もいると思います。同じものを見ていても、感じ方や見え方は人それぞれで、「写真」は僕が見たものや感じた世界を表現できるものだと考えています。

 

仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー

MASAKI:また、写真を通じた出会いや交流もかけがえのないものです。昨年、写真仲間に声をかけてもらって合同写真集の制作に携わりました。自分では作ろうと思ったこともなかったので、とても貴重な経験だったと思います。みんなで1つのものを作るというのもはじめてで、できあがった写真集を手に取ったときはうれしかったです。プリントしてみると、PCのモニターで見るのとは違った印象を受け、新たな写真の魅力にも気づけました。

 

仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー

写真仲間と合同で作った写真集。

 

-形に残すことができるのも写真の醍醐味ですよね! 交流の場としてはSNSもあると思いますが、SNSとの関わり方についてどのように考えていますか?

MASAKI:気軽にコミュニケーションをとれるのはとてもいいと思います。顔が見えないことで、いいねやコメントなど、知らない人に対しても反応がしやすいと思うので。その反面、文章のみのやりとりは発言のハードルが下がったり、誤解を招くこともあるので、慎重に上手につき合っていきたいです。

 

夏のとらえ方特集「#NICOSTOP企画」紹介作品。

 

MASAKI:「#NICOSTOP」をはじめ、フィーチャー系のハッシュタグをつけた投稿もしています。アカウントの方に写真を紹介していただけたら「いい写真ですね」と言ってもらっているみたいでうれしくて。いいねやコメントと同様に、誰かの目に留まることはとてもありがたいです。ですが、それが目的ではないので、周りの評価にとらわれず「自分が好きな世界」を発信していきたいと思っています。

-これからの投稿も楽しみです! 最後に、MASAKIさんにとって「いい写真」とはどんな写真だとお考えですか?

MASAKI:その瞬間を思い出せる写真」です。なんとなく撮った写真でも、見返したときに当時のことが鮮明に思い出せたり、その時に戻れる「タイムマシン」のようなものだと思っています。今後は写真の幅を広げて、今は気づけていない瞬間も残していきたいですね。視野を広くして、もっと写真を楽しみます!

 

仲間が気づかせてくれた自分の好きと写真の楽しさ – 風景と人が織り成す情景を描く写真家MASAKIさんインタビュー仲間

Photo Gallery

最後に、MASAKIさんがZ 7IIで撮影した作品ギャラリーをお届けします。

 

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

Z 7II、NIKKOR Z 24mm f/1.8 S

 

 

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MASAKI

MASAKI

岡山在住のフォトグラファー。四国や中国地方を中心に、四季を追いかけ撮影を行う。風景の中に人を取り入れて、ストーリー性や風景の壮大さを引き出した写真が多くの人を魅了している。