気になるあの人の、撮影へ出かけるときに欠かせないアイテムを紹介する連載企画「フォトグラファーの鞄の中身」。第5回は、東京を拠点に都市の風景をシネマティックに切り取ったスナップが人気のフォトグラファー相沢亮さん(@aizawa0192)の鞄の中身をご紹介いただきます。普段撮影に持ち歩いているアイテムにはそれぞれ、相沢さんが求めるいい写真を撮るための理由がありました。動画コンテンツでも公開していますので、そちらもぜひ、ご覧になってみてくださいね。
相沢亮さん
- メイン機材:デジタルカメラ
- 作風:都市風景スナップ
愛用のカメラバッグ
こんにちは、フォトグラファーの相沢亮です。今回は都市風景スナップを撮影するときの持ち物を紹介したいと思います。
2STYLEカメラバックパック“off toco” DGB-S037シリーズ
カジュアルさをそのままに、撮影機材をたっぷり収納可能なELECOM製カメラバックパック 「off toco」。バッグをおろさずカメラを出し入れできたり、突然の雨に機材を保護できるレインカバーなど高い機能性を備える。
https://www.elecom.co.jp/products/DGB-S037BK.html
僕が愛用しているのはELECOMの「off toco」ブランドのこのバッグ。気に入っているポイントは3つあります。
1つめは、カメラとレンズ3本の入った収納袋をリュック下部のサイドから出し入れできる設計。撮りたい時、すぐに機材を取り出せるので便利なんです。
2つめは、底辺部に入っている簡易レインカバー。野外撮影時、急な天候の変化の際に役に立ちます。
3つめは背面のポケットにノートパソコンを安全に収納できること。ノートパソコンは常に持ち歩いていて、それが入らないバッグでは荷物が1つ増えてしまいます。
鞄の中身大公開!
- Z 7
- NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
- NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
- NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
- 充電器
- 予備バッテリー
- MacBook Pro
- ブロアー
- レンズペーパーとクリーナー
- 防カビ剤
- PLフィルター(円偏光フィルター)
- ソフトフィルター
Point
よく「撮影の荷物が少ない」と言っていただけることが多いです。理由としては旅先やスナップなど外で写真を撮るスタイルが多いから。なるべく動きやすさを重視して最小限の機材を意識していますが、どんな状況にも対応できるように広角なものから望遠までレンズを3本常に持ち歩いていることがポイントです。
軽くて高画質なカメラで、仕事も作品撮りもこなす
Z 7の気に入っているポイントは「軽さ」と「画質のよさ」。仕事にも作品撮りにも使えるので重宝しています。写真を始めたとき「まずは風景を撮りたい」と思い、家電量販店の店員さんに勧められてニコンのD5000を購入。風景を撮ったときの発色のよさが気に入って以来、ニコン製カメラを愛用しています。
コンパクトかつ高画質な3本のレンズでどんな状況にも即座に対応
撮影にはNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRの標準ズームレンズとNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sの単焦点レンズ、そして、NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sの広角ズームレンズの3本を持っていきます。
NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRは普段も持ち歩くくらいよく使うレンズ。軽くてコンパクトながら24mmから200mmと幅広い焦点距離をカバーしているので、さまざまな場面で即座に対応できるのが便利なんです。
机と椅子の写真は24mmの広角側で、雲の写真は200mmの望遠側で撮りました。高い解像力とコントラストの現れかたが気に入っていて、東京タワーの写真では逆光気味のコンディションのなか、光と影が分かれた夕暮れどきの街をドラマティックに切り取ることができました。昼間の撮影や旅先でスナップを撮るさいにはこれ1本で十分。僕の場合、仕事も含めて野外や旅行先など移動しながら撮ることが多いのですが、荷物が少なくて済むのもありがたいんです。
旅先で入ったお店で料理やそこにいる人を撮りたいと思うことってありますよね?
NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sのレンズはそんなときに頼りになります。最大の魅力はボケ味の美しさ。左のパスタの写真は友人の家で作った料理を撮影したときのもので、ピントの合った部分は細かな所までくっきりと立ち上がり、背景に向かってしっとりとやわらかなボケがなだらかに広がります。このボケ味が写真の主役である料理やお皿、小物などを際立たせてくれるんです。開放値がF1.8とNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRのズームレンズより明るいので、室内のようなちょっと暗めの場所で撮る場合に使うことが多いのですが、野外でのポートレート撮影や花を撮ったりする際にも、独特のボケ味が被写体の魅力を引き出してくれます。
NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sは広角ズームは絶景のようなシチュエーションをダイナミックに切り取りたいときに使っています。
上の写真は仕事の帰り道、夕方の新宿を歩いていたときにたまたま出会った風景。光の射しかたがすごく綺麗だったので、その場でバックからカメラとレンズを出して撮影しました。写りはシャープ。国道沿いの建物やビルの窓に写り込んだ周囲の景色、歩道を歩く人たちが鮮明かつ立体的に写っていることがわかっていただけると思います。目の前の景色全体をその場所の雰囲気そのままに写真に収めたいとき、ズームレンズの広角側の24mmやより画角の広い20mmではどうしても写しきれないことがあるんです。そんな場合でも14mmならカバーできるので、14mmで使うことが多いです。
撮った写真をその場でバックアップするために、ノートPCはマスト
旅先や外で写真を撮ることが多いので、撮影したデータはなるべくすぐにバックアップしたい。特に、仕事での撮影の場合はデータのトラブルが怖いですから。旅先でも作業ができることも重要です。僕はMacBook Proを使っています。
コントラストをPLフィルターで調整、自然光で美しい写真を確実に撮る
2種類のフィルターを持ち歩いていて、PLフィルターは撮影先で自然光で撮影するさい、白飛びをしたりコントラストが弱くなるような条件下で使います。白飛びを防いで青空と海ををきれいに撮りたいときなどに重宝します。
ブラックミストのソフトフィルターで、写真をシネマティックに
ブラックミストのソフトフィルターはおもに動画撮影に使用されているものですが、光の雰囲気をよくするために使っています。このフィルターを使うと、シャドーの部分にほどよくフェードが乗ることでシネマティックな雰囲気を出すことができます。
NiSiフィルター・ブラックミスト
独特の暖かさで柔らかい雰囲気が生まれる特徴のフィルター。レンズに装着することで、コントラストとシャープネスは控えめに描写できシネマライクな1枚を演出できる。
https://nisifilters.jp/product/black-mist-1-4/
お手入れ道具は雨天・湿気対策を重視したものを
ほかにはレンズのホコリを取るためのブロアー、レンズペーパーとクリーナー、充電器とカメラの予備バッテリーをいつも携帯しています。湿度の高い場所や急な雨雪に備えて防カビ剤を忍ばせています。
相沢亮のおすすめスマホアプリ
『太陽の場所と軌跡』(無料)は場所と日時を指定するとその時点の太陽の方角がわかるアプリ。都市風景をスナップ撮影するときに自然光の入り方が重要になるのですが、このアプリは初めて行く場所で簡単に太陽の位置を知ることができます。
Photographer's Voice
今回は都市風景をスナップするときの持ち物を紹介しました。僕が考える撮影で使う鞄選びのポイントは①レンズが3本以上入ること ②ノートパソコンが入ること ③急な天候の変化に対応できることの3点。「意外と荷物が少ない」と言われるのですが、旅先や街でのスナップ撮影ではなるべく軽量にしたいので最小限にしています。参考にいただければ嬉しいです。